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レポート:対FC刈谷戦@栃木SC通信

2008年3月21日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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不快感を包み隠さない。

「全然、駄目でしょう。つまらない。面白くないゲームだった」

収穫は「勝っただけ。でも、それが大きい」と付け加えたが、キャプテン佐藤悠介は思うに任せないゲーム展開と自身のパフォーマンスに誰よりも苛立っていた。

柱谷幸一監督曰く、「悪条件が重なる」。アウェー、しかも18時キックオフのナイターゲーム。スタジアムには弱くはない風が舞い、降り続いた強い雨は止んだがピッチコンディションは芳しいとはいえず、ホーム開幕戦のFC刈谷は鼻息が荒かった。

冗談を交えて佐藤は言う。「風がなく、打ち合ってくれればいいゲームが出来る」。正面から堂々と組み組み合えれば魅力的なサッカーを披露でき、なおかつ勝利も高い確率で約束できる自信があるのだろう。しかし、リーグで圧倒的な戦力を有する今季の栃木SCに真っ向勝負を挑んでくるチームは数えるほどだろう。先ずストロングポイントを消す手を打つのが定石。結果的に勝点3を得ることになるが、刈谷が練り上げた戦術を徹底したことでJFLの醍醐味、一筋縄ではいかないことを思い知らされた。

開幕戦を3―1でものにした栃木SC。ローテーションを用いることをほのめかしたものの、大幅なメンバー変更はなかった。陣容はGK小針清允、DFラインは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、ボランチを落合正幸と向慎一が組み、左ワイドに佐藤、右ワイドに初先発の高安亮介が入り、2トップに起用されたのは松田正俊と横山聡。FC琉球戦から上野優作と小林成光が外れ、ベンチに控えた。

3―0。刈谷も開幕を飾った。その3ゴール全てに絡んだ和多田充寿はリザーブに回った。故障でもしたのだろうか。フォーメーションは攻撃的な4―3―3。

開始1分と経たずに先制パンチを浴びる。ラインを上げ損なったところにスルーパスを通される。伊藤智弘のシュートはGK正面を突くも、不穏な空気が漂う。9分にも背後をあっさりと取られ、フリーで平林輝良寛にシュートを打たれてしまう。

「意図的ではないが前に前にボールを入れてきて、セカンドボールを拾う。予想はしていたが、うちがセカンドボールを拾えずに、相手に拾われて攻撃されてしまった」(柱谷監督)

風上の刈谷はラッシュをかけた。変則的な3トップに供給されるアバウトなロングボールに苦しめられる。センターバックが弾き返しても、セカンドボール争奪戦で後手を踏み、攻守交替が図れない。平林の力強いドリブル突破に、アンカー酒井康平の巧みなボールさばきが加わり、劣勢の時間帯は延々と続く。

「セカンドボールを拾えていた部分もあるが、引いてしまったので前で自由にやらせ過ぎてしまった」と向。中盤を省略されたことで、プレスを掛けてボール奪取からカウンターを繰り出すことができなかった。全体が間延びしてしまい、食い付けない。

 

FKからの伊藤のヘディングシュートはGK小針が辛うじて防ぎ。石川高大の右クロスにファーで平林がダイレクトで合わせるも僅かに枠を反れる。 難を逃れるも、攻撃は右のアタッカー高安、一辺倒。左から組み立てるケースは皆無に等しかった。2トップが前に張り付いてしまいボールが収まらず、ビルドアップも拙かったことでカタチすら作れない。縦に攻め急ぎ過ぎた感は否めなかった。高安は消されてしまう。

フラストレーションを溜める一方の栃木SCに対して刈谷は、自分達のゲームプランを着実に遂行し、立て続けに好機をこしらえた。エース和多田の不在が響き、ゴールこそ割れなかったが45分間を完全に掌握した。滅多に対戦相手を褒めない柱谷監督も脱帽するほどの出来だった。

低調な前半を終えて迎えた後半。数多の危機を無失点で切り抜けられたことは小さくなかったようだ。落合は言う。

「リセットして、押し込んで行ければチャンスができる、というイメージは出来上がっていた」

前半同様、後半もいきなりどっぷりと冷や汗をかかされるものの、シュートミスに助けられた。ドリブルに対する守備がまだ覚束ない。改善点として挙げられるだろう。これはトレーニングマッチから持ち越されている課題である。

 

命拾いした栃木SCはFKから松田正俊がジャンプ一番。頭ひとつ抜けるも、叩き切れずに枠を越えた。再び松田正俊。今度はカウンターからGK石川扶と1対1になり、ループシュートを放つがゴールネットに収められなかった。逸機したものの、連続して得たセットプレーから流れを手繰り、上野優作の投入で起点が設けられると、高安も躍動し始める。だいぶ右から崩せるようになったが、無常にも高安は下がられ、小林がピッチに入る。高安を引っ込めたことで推進力が削がれるかに思われたが、独特のリズムを有する小林のドリブルは効果的であり、キープ力も兼備していることから右サイドバック岡田が駆け上がれるタメを構築できた。その岡田がゴール前まで顔を出し、左足を振り抜くもGKの正面に飛んでしまう。

残り15分を切ったところで石舘靖樹イン。トップ下に配し、中盤をボックス型から、落合をアンカーにしたダイヤモンド型に切り換えた。Pボックス周辺に人数を割き、パワープレーを敢行。クロスの雨を降らせることでプレッシャーを与え、刈谷を押し込めることに成功。

ロスタイムに片足を突っ込んだ土壇場の44分、バックパスをGKが手で処理したことで間接FKを手にする。Pボックス内、ゴールライン際の難しい角度。プレースキッカー小林からボールを引き出したのは、ひとりゴールから遠ざかった佐藤。「ヒットせずにボテボテ」のシュートはゴールへ向かう。両軍入り乱れての混戦、肩を脱臼させながら体ごと突っ込み、左足でゴールネットを揺らしたのは落合だった。ゲームをイメージしながら取り組んだセットプレーの成果が表れた。

「完全にオレっす。別にマツ君(松田正俊)のゴールでもいいですけども・・・・・・。体ごと飛び込んだ?突っ込んでないと入ってないです」

ゴールの感触を問われると、そう笑いを誘った落合。表情を一変させて語る。

「勝ち続けることで勝ちのリズム、勝ち癖がつく。今日のような勝ち方をすると、前半の内容が悪くても勝てるのではないか、と思えてくる」

苦境に立たされても守備陣が粘りに粘り、千載一遇の好機を確実にゴールに結び付けることが、勝点3を取ることが重要であると話した。

「今日は勝点を取れなくてもおかしくなかった。1の可能性も十分にあった。(内容が)悪い時に1点を取って勝ち切ることで勝点を積み上げられる」

柱谷監督は安堵の表情を浮かべながらも、「選手は納得していない。勝っても喜んでいないことが表情から読み取れた。内容も上げていかなければならない」と、中2日でのホームゲームではアグレッシブに戦い、観衆を満足させることを誓った。

JFL前期第2節 FC刈谷0―1栃木SC @ウェーブスタジアム刈谷 観衆592人

〈FC刈谷〉GK石川扶、DF田上裕、松田勉、西原拓巳、石川高大、MF平林輝良寛、酒井康平、日下大資、FW社本将成(→森山大地)、伊藤智弘、原賀啓輔

〈栃木SC〉交代:横山(→上野)、高安(→小林)、向(→石舘)

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