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『滞りなく準備はできている』@栃木SC通信

2008年3月24日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

077.JPG既に横山聡、高安亮介と2枚の交代カードは切られていた。スコアは4―0。残り時間を考えれば、栃木SCの勝利は動かない。控えに回った選手の中にはアップを止め、戦況を見守る者もいた。そんな中、ひとり黙々と前後左右にステップを切る。ゴール裏に配されたコーンを相手に。ベンチから呼ばれる可能性は限りなく低いかもしれない。しかし、久保田勲が、動きを止めることはなかった。汗を流し続け、その時を待った。

後半42分、佐藤悠介に代わりピッチに立つ。与えられた時間はロスタイムを含めて5分にも満たなかった。収まったポジションは本職のボランチではなく、佐藤が配されていた左ワイドだった。大量リードしているとはいえ、ひとり退場者を出していた。守備固めとして柱谷幸一監督が送り出したことは容易に想像できる。現にコーナーフラッグ付近でボールをキープして時間を潰した。それも、試合をきっちりと閉める“クローザー”に課された役割のひとつである。思惑通り時間は削られていった。

突如、好機が巡ってくる。ピッチ中央の横山聡から、左サイドのスペースへとパスが供給される。サポートに入ったのは久保田だった。トラップでマーカーを剥がし、躊躇いなく左足を一振り。強シュートはゴールネットを激しく揺さぶった。ボールを受けた際、背後から「ストップ」の声が掛かったという。

「パスを出そうかと思ったが、時間帯も考えてシュートを選択した」

これが吉と出る。鋭利なカウンターから追加点をもたらしのだから。

ゴール後、落合正幸に促され、ゴール裏に陣取ったサポーターの元へと駆け寄る。刹那、久保田の脳裏に過ぎったのは栃木SCに加入したばかり、一昨年の鳥取戦だという。ホームゲーム、土壇場で勝利をもたらしたのは左足。それも、ミドルレンジからのシュートだった。

「昨年は(ゴールが)0だったので、入ってよかった」

胸を撫で下ろし、日頃のトレーニングの成果?と問われると、「まあ、そうですね」とはぐらかした。

久保田は知っている。「出してもらった時にしっかりプレーできないと使ってもらえない」ことを、「しっかり準備をしていれば不測の事態が起きた時にチャンスを掴み取れる」ことを。昨季途中、米田兼一郎(現・徳島ヴォルティス)の加入により、ポジションを失った。出場機会を得たのは、堀田利明(現・ヴェルフェたかはら那須)が佐川急便SC(現・SAGAWA SHIGA FC)戦で負傷離脱したからだったが、それまで入念に準備を行っていたことで、一度手にしたポジションを他人に譲ることはなかった。

日々のトレーニングを大事にする姿勢は入団当初から変わることがない。常に向上心を持ち続けている。「たくさんある」という足りない部分を補うのは、もちろんトレーニング。

久保田は言う。

「短い時間の中でプレーすることは難しいが、いかに準備ができるか。準備不足で後悔はしたくない。いつ使ってもらってもいいように準備をする」

こつこつとアピールをすれば、結果を出せば、「出場時間は自ずと伸びる」「スタートから起用される」と信じている。そして、「ボランチでプレーしたい」と強く欲してもいる。レギュラーを張る落合と向慎一からポジションを奪う準備も、滞りなくできている。

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