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プレーバック:対ジェフリザーブズ戦@栃木SC通信

2008年5月 2日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大

今季、リーグ戦に国体予選と本選(栃木SCはアマチュアが主体)を含めればジェフリザーブズ(以下、ジェフ)と顔を合わせるのは、今回で4度目である。些か倦んだ気持ちを抱かずにはいられない対戦は、3戦して1勝1敗1分けとイーブン。決着の時、来る。

ウォーミングアップでのことだった。高安亮介のクロスがGK原裕晃の後頭部を直撃。幸い大事には至らなかったが、試合前に一抹の不安を覚えた。
ほろ苦い記憶が甦る。開幕1、2戦を勝利で飾った栃木SCであるが、3節で早くも躓いた。その相手がスタメンの平均年齢が22歳以下のジェフだった。恐れを知らない若さに抗いきれず開始4分に失点。辛くも1―1のドローに持ち込み、その後は3連勝するも、立ち上がりの不安定さは暫く付き纏い、離れようとはしなかった。

およそ関東とは思えない、千葉は東総での決戦。栃木SCの布陣はGK原、4バックには左から石川裕之、山崎透、谷池洋平、片野寛理、中盤の構成はダブルボランチに米田兼一郎と久保田勲、右ワイドに高安、左ワイドに小林成光が配され、ここ数試合でゴール量産中の横山聡と2トップを組んだのは上野優作だった。

ジェフもフォーメーションはオーソドックスな4―4―2を選択した。18歳が2人、スタートから起用された。
 
山崎をターゲットに良質なボールが供給されたにもかかわらず、CKからの先制機を逸すると、前期の悪夢が再現されそうな展開、つまりジェフの時間帯に突入する。引いてきたFWのマーキングが曖昧だったことで起点を設けられ、自陣での緩慢なミスも手伝い、立て続けに3度もゴールを脅かされる。アップでのアクシデントなど物ともしないGK原の冷静な対応で難を逃れるが、たっぷりと冷や汗をかかされた。FWが両センターバックの間のスペースへと上手く潜り込み、Pボックス手前でのショートパスは工夫が凝らされていた。窮地を脱しても依然としてイニシアチブを渡さないジェフに後手を踏む。

しかし、曇天からシャワーのような雨が降り始めた時だった。雨音は反撃の調べとなる。

「入江(作新学院大学卒)の特長は知っていた。左足からのボールの精度は高い。自分が仕掛ければ入江(利和)は前に出られない。意識的に背後でボールをもらうようにした」
 
火花散るサイドでの攻防を高安が制する。鋭いフェイントを入れてから縦に抜けた。対面の入江はファウルで止めるしか他に手はなかった。カードが提示される。獲得したFKは好機には繋がらなかったが、形勢を変えるには十分であり、なにより要注意人物を黙らせたことは小さくなかった。

抑止力を働かせ、リズムを生んだ果敢な突破は、横山聡の先制弾の契機となるCKをもたらしもした。久保田が蹴りこんだニアサイドのボールに飛び込み、混戦から捻じ込んだ。好調を維持している泥臭い2試合連続ゴールにより、リードして45分を締め括る。
 
クロスのクリアをバックパスと判断され、後半の開始早々に間接FKを献上したジェフ。Pボックス内での危機を逃れると、再びスペースを効率よく使い出す。高安のスタミナが切れ始めると見るや、入江がオーバーラップ。攻撃に厚みを加える。更にテンポのいいパスワークで翻弄。栃木SCは劣勢に立たされる。が、フィニッシュには持ち込ませない。ミドルシュートは許しても、決定機は作らせなかった。

「しんどくなったところで聡がゴールを取ってくれたことで助かった」
 
好守を連発した守護神・原が感謝したのは、後半18分の追加点。左サイド、ゴールラインを割るか割らないか。ギリギリのところから上野がクロスを入れる。ふわりとしたボールを横山聡は難易度の高いバイシクルシュートでネットを揺らした。ど派手なゴールとは対照的に本人は「当てるのが精一杯」と謙遜し、「体の切れは関係ない。結果を出さないと・・・与えられたチャンスをものにするだけです」。常に断崖に身を置いていることが好結果を導き出していることを強調した。

「ホームの2試合と比べるとアグレッシブさはなかったが、バランスはよかった。(相手は)ポゼッションが上手く、3人目の動きをしてきたが、守備に入れた」(柱谷幸一監督)

ビハインドを取り戻すためにジェフは3トップにして圧を強めるが、栃木SCも前節2―0から2―2とされた轍を踏むまいと、引いてブロックを形成。コンパクトに保たれた守備網は破綻することなく、高い集中力を維持し、零封に成功した。勝ち点を伸ばし、上位陣が足踏みしたことで「数字の上での昇格の可能性」は消滅しなかった。
 
サポーターからの「幸一コール」に「嬉しいですねえ」と相好を崩した柱谷監督は、「おそらく多くの人が来てくれると思っていた。帰り道(での気分)が暗くならないように、明るくなるようにやろう」と決めたミッションを遂行できたことに安堵と喜びを感じていた。ただし、デリケートな問題、続投か否かに話題が及ぶと一転して表情は引き締まった。先週と同様に言葉を慎重に選びながら語った。

「J2かJFLか。決まらないと体制が整えられない。結果が出てから社長と話し合う」と言いながらも、「短期的なもの、3年後、5年後にこうしたい、という細かな部分を詰めていきたい」と続投の意思が固いことを改めて口にした。
 
来季も柱谷監督が指揮を執る確率は低くない。それは、就任時からノリシロのある大学生を補強、良質なトレーニングを課して鍛えあげるプランを掲げたことに対して、フロントが活発かつ迅速な動きで応えていることが裏付けている。柱谷体制の継続決定は、中長期的な展望での強化が推し進められることを意味する。

JFL後期第14節 ジェフリザーブズ0―2栃木SC 観衆304人 @千葉県総合スポーツセンター東総運動場

〈ジェフリザーブズ〉GK瀧本雄太、DF松本憲、宇野勇気、高田健吾、入江利和(→竹田忠嗣)、MF小沼純矢、野沢健一(→野沢和良)、鳥養祐也、蓮沼剛(→金沢亮)、FW河野将吾、堀川恭平

〈栃木SC〉交代:高安(→只木章広)、小林(→深澤幸次)、上野(→山下芳輝)

 

『早急な綻びの修繕は近い未来への期待』

相手に長くボールを持たれ、アプローチが遅れたことで焦りが生まれてしまう。横パス、オフサイドトラップのミスから危機を招き、かかなくてもいい汗をかく。無理に飛び込んではかわされ背後を取られた。共通するのは判断の悪さ、である。細かな部分に改善の余地を残すも、「全体のバランスはよかった。前からプレッシャーを掛ける、引いてブロックを作り守る。使い分けができていた」と、柱谷幸一監督が及第点を与えたのは修正能力だった。
 
前節の後期第13節、対ガイナーレ鳥取(以下、鳥取)戦は前半に手にした2点のリードを死守できず、追い付かれ手痛いドローに終わった。勝ち点2の喪失により、今季に終止符が打たれた。アドバンテージを有しながらも、逃げ切れなかった要因として共通理解が図られていなかったことが挙げられる。前線と中盤、最終ラインには意識のズレがあった。3点目を取りに行くのか、それとも守りに入るのか。チームとしてのゲームプランは漠然としていた。戸惑いを隠せない、手探りの状態では勝ち点3を掴めるはずがなかった。ゲーム運びの稚拙さが浮き彫りとなる。
 
前半42分、後半17分と横山聡が連続ゴール。2―0とジェフリザーブズ(以下、ジェフ)を突き放した。奇しくも状況は先週と酷似する。問題は残された時間の進め方である。再び蹉跌を来たすのか。それとも――

「点を取りに行くよりも、取られないように。しっかり守ろうと(確認した)」(久保田勲)

意思の統一は、なされていた。全体を圧縮し、網を張り巡らせる。DFラインと中盤が2本のラインを構築し、FWもやや引いた位置から守備を開始した。2トップの一角である上野優作に至っては自陣の深いところまで戻り、相手を追っ掛け回した。強固な守備ブロックは崩壊することなく、最後までその強度とバランスを保持し続けた。
 
犯してしまったミスをいかに早い段階で取り返すことができるか。繰り返し同じ過ちを起こさないリカバリー能力が問われたが、選手たちは無失点に抑え込んだことで答えを出したといえる。好機すら許さずに耐え凌いだことは、特筆に価する。

「(先週のことに関して)週明け、ミーティングでも話し合った。そういう状況(2点リードした後)でも考えてやれていた。相手がシステムを変更してきても、自分たちで対応できていた。その力は大事」(柱谷監督)
 
少し時間を遡る。前期の対戦時、ジェフリザーブズ(以下、ジェフ)につけられた傷の治癒には思いの外、時間を要した。ハイプレッシャーをいなしきれずに早々と失ったゴールは、栃木SCを臆病にさせる。立ち上がりの拙さを克服する作業は容易ではなかった。暫く尾を引くこととなる。

献身的な姿勢を貫いた上野優作は言う。

「2点リードを追い付かれた前回の反省が生かされていた。前に行くのか、後ろに引くのか。はっきりできた。トレーニングの成果が出せたと思う」

常々、柱谷監督が口にする「しっかりと目の前の試合に向けてトレーニングを入れ、100%の準備をする」ことで、鳥取戦の宿題を無事に消化することができた。柱谷体制となってからの長所が試合に反映された。
 
一戦必勝の思いは強まり、だからこそメンタルは高いレベルで安定し、フィジカルは幾分か不足するも、ケース・バイ・ケースでのチーム、個人の対応力は痛みを伴った経験を経たことで向上した。攻守における「もう少し」の部分は、実戦を通じて次第に埋まりつつある。冒頭に記したディテールを詰め、継続的に振り幅の少ないパフォーマンスを持続できれば、上位を狙える強いチームへと変貌を遂げられるに違いない。

課題を先々まで持ち越すことなく、すぐに克服できたことは大きな収穫だった。早急な綻びの修繕は、近い未来への期待を膨らませるに足るものだった。

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