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戦評:対ジェフリザーブズ戦@栃木SC通信

2008年5月 3日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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試合序盤、悪質なファールにより小林成光は左膝を痛める。ピッチに戻ることは困難なほどの状態だった。柱谷幸一監督の頭の中には選択肢が2つ用意されていた。ひとつはボランチの向慎一を右ワイドに回し、代わりに久保田勲を投入する。もうひとつは小林のポジションへ、そのまま深澤幸次を入れる。指揮官が選んだのは後者だった。中盤の守備が安定したいたことが、攻撃的な深澤を送り出す決め手となった。結果として、この交代が奏功する。

「深澤選手が交代で入ってから嫌だな、と。中盤とDFラインの間でセカンドボールを拾われ、流れを持っていかれてしまった。両チームを通じて一番のストロングポイントになっていた」

ジェフリザーブズ・越後和男監督は賛辞を惜しまなかった。敵将から最大級の褒め言葉をもらった深澤。突然のアクシデントにより巡ってきた機会にも動じる様子はなく、すんなりと試合に溶け込めた。交代の時間帯がアップからそれほど経っておらず体が温まっていたこと、「もしかしたら行くかも」と心の準備が出来ていたことが小さくなかった。

「中でプレーしろ。守備の時だけ右に戻ればいいから」と柱谷監督から指示を受けた深澤は、ボールに噛み付いた。果敢な姿勢が推進力を働かせることに拍車を掛ける。「FWの近くでプレーすればゴールを取れる。それを意識しました」。緻密なスカウティングが実を結んだ。追加点となるゴールを叩き込む。「狙い通り?そうですね」。深澤は照れ笑いを浮かべた。

怪我の功名。傷を負った小林には気の毒だが、深澤は相手にとって厄介な存在となり、勝利に一役買う。この日のテーマであった「アグレッシブさ」を見事に体現した。

敗戦の傷跡は残った。週明け、重い空気が漂ったという。しかし、日が経つに連れて、徐々にモチベーションは回復し、集中したトレーニングを積むことができ、気持ちの切り替えが図れた。攻撃面では連動性、決めきる力。守備面ではセットプレーへの対応。浮き彫りになった課題が明確だったからこそ、次のゲームへ向けて整理ができ、万全の準備が行えた。連敗は避けたい栃木SCの布陣は、GK小針清允、DFは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、ダブルボランチに向と落合正幸、左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに小林の中盤、2トップは上野優作と横山聡でスタートした。

苦杯を舐めた流通経済大学に負けず劣らず、ジェフのスタメンも平均年齢が低かった。10代の選手が4人も名を連ね、控えの金井涼太に至っては15歳。2戦続けて若さに押し切られるわけにはいかない。

開始3分、ジェフのFKを跳ね返すとカウンターが発動する。向から横山聡へとスムーズにボールが渡った。これを足掛かりに、栃木SCは前傾姿勢をとる。2トップは背後から上手くボールを誘引し、向は積極的な攻撃参加を繰り返す。クロスに対するPボックス内の人数も揃っていた。リスクを背負うことを覚悟して前に出た。

小林が足を痛めて早々に退場するも大勢に影響はなく、14分に岡田の右クロスから横山聡がダイビングヘッドを突き刺す。ついに、待望のゴリダンスを披露する時がやってきた。陽気な一面を見せた一方で、横山聡は焦りやプレッシャーを感じたことを吐露した。「ラストチャンスという思いがあった」。悲壮感が今季初ゴールを引き寄せた。

前節、不足していたゴールへの意識が先制点を呼び込んだ。守備陣も反省を生かす。ラインを高めに保ち、全体を圧縮する。「クサビを潰せた。足元のボールを跳ね返せたことで、自分達のリズムに持っていけた」とは川鍋。ショートパスを軸にしたジェフに思うような攻撃をさせなかった。窮地はカットインから朴宗眞にシュートを打たれたシーンのみ。

先手を取り、一息ついた栃木SCだが、上野と横山聡がゴールに襲い掛かり、40分に追加点を奪う。佐藤のクサビを受けた上野がスルーパスを通す。反応したのは深澤。GK瀧本雄太を交わし、無人のゴールへ流し込んだ。その後、向のロングシュートが枠を捕らえるも、GKとクロスバーに阻まれる。決定的な3点目を得られなかったが、イニシアチブを握り続けたまま45分を折り返す。

後半頭から圧を強めるジェフに対し、耐え凌ぐ時間帯が続く。高田健吾のロングシュート、乾達朗の至近距離からのシュートに肝を冷やされるも、GK小針が決死のセーブで難を逃れた。

「決めるべきところで決めきれなかった」

越後監督は2つの絶好機を逸したことに触れ、決まっていれば状況は変わっていたかもしれない、と嘆いた。

打ち止めのジェフと交代するように、今度は栃木SCが攻勢に回る。佐藤のシュートをお膳立てし、自らはジャンピングボレーを放つなど向の機動力は落ちなかった。対流通経済戦、不本意な途中交代がプラスに作用した。リードを保持していても守りに入らなかった栃木SCは、39分に再び岡田と横山聡のコンビでゴールネットを揺らし、CKを川鍋が頭でねじ込みゴールショーを締め括った。個々に芽生えた危機感が望外の4ゴールを生み出し、勝点3を掴み取った。

「1敗した後の1勝は大きいが、34分の1に過ぎない。何も達成していない。次が大事」

結果に内容が初めて伴った今季のベストゲームにも、落合は安堵することはなかった。むしろ、経験則から快勝後の次のゲームは「だらける」可能性があることを指摘し、気を引き締めて臨むべきだと説いた。

慢心や驕りが入り込む余地はない。

JFL前期第9節 栃木SC4―0ジェフリザーブズ 観衆4102人 @栃木県総合運動公園陸上競技場

〈栃木SC〉小林(→深澤)、上野(→松田正俊)佐藤(→久保田勲)

〈ジェフリザーブズ〉GK瀧本雄太、DF山中誠晃、田中淳也、川上典洋、鳥養祐矢、MF宇野勇気、高田健吾、蓮沼剛、乾達朗、FW朴宗眞、熊谷智哉

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