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『安心感』@栃木SC通信

2008年5月 4日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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でんと構える。中盤の底に。DFラインの前に。

重心がぶれることなく、バランスを保てていれば、望むような展開に持ち込むことは困難ではない。落合正幸の復帰によりチーム全体のパフォーマンスは向上し、多少のリスクは覚悟の上でゴールを目指すことが可能となった。

自分の持ち場を離れても、穴埋めをしてくれるはず。後ろに落合が控えていてくれることから生じる安心感は、少々臆病になっていた攻撃陣の背中を押した。上野優作と横山聡の2トップは意欲的にゴールを狙い、佐藤悠介と向慎一、そして深澤幸次は盛んに上下動を繰り返し、FWにより近い位置でプレーすることができた。都合4つのゴールが誕生することになるが、その背景には機転を利かせ、引き立て役に徹した落合が居たことを忘れてはならない。影響力は甚大である。

「チーム全体が安定しましたね。落ち着いて試合を運べていた。(ボールを)跳ね返すだけではなく、シン(向慎一)のよさも引き出した。周りが活きる。オチは必要な選手」

落合の存在感の大きさを、柱谷幸一監督はそう口にした。

対流通経済大学戦、1―2の敗戦の一因に挙がったのが、落合の不在だった。対ソニー仙台FC戦で負った右足の痛みは癒えることなく、欠場を余儀なくされた。

「中盤のDFの力強さが足りなかった」(柱谷監督)

フレッシュな選手の勢いを止める術を、経験の浅い向と久保田勲のダブルボランチは持ち合わせていなかった。良好な関係を築けず、DFラインとの連携も覚束なかったことで、バイタルエリアを起点に攻撃を組み立てられてしまう。前線から中盤へ下りて来たFWを捕まえて潰すのはボランチなのか、それともCBなのか。問題は解決しないままタイムアップを迎えた。

「試合に出るからには怪我を言い訳にはしたくない。(チームメートに)失礼のないように強い気持ちで臨んだ」

万全のコンディションではなかったかもしれない。しかし、ピッチに立つ以上は責任感を持ち、故障を抱えていても与えられた役割はこなす。パスコースを消す。打ち込まれたクサビをさばかれないようにCBと呼吸を合わせながら挟み込む。空中戦で引けを取らない。強くボールを跳ね返す。基本的な仕事を落合は卒なくこなした。

「高さがあり、守備的なので凄く楽ですね。DFだけでは対応しきれないところを、前で潰してくれる」

縦の関係にある川鍋良祐は、落合が目の前に居てくれることで守り易い、と証言している。

球際では絶対に負けない。局面での強さと狡猾さも際立った。

こんなシーンがあった。左サイドからのクロスをGK小針清允が弾いた。ルーズボールに群がる両チームの選手達。逸早くボールを確保し、体を入れることで相手をブロック。ファールを誘ったのが落合だった。2次攻撃の芽を摘んだ。「ボールを隠す」プレーは秀逸である。後半、劣勢に陥った際も、相手の勢いを殺ぎ、形勢を変えるべく、意図的にファールをもらっては時間を稼いだ。 人目を引くことはない。だが、地味に映るプレーの積み重ねが、ゆっくりと手綱を引いているのである。身を粉にして職務を全うする献身的な姿勢は尊く、個性的な選手が共存するチームには不可欠である。

その存在価値は小針、佐藤に匹敵する。柱谷監督が「チームの背骨」と位置付けたことも頷ける。 

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