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戦評:対MIOびわこ草津戦@栃木SC通信

2008年5月 7日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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2試合続けての4ゴール。意識的に取り組み始めた攻撃的なスタイルが、前傾姿勢が結果として実を結んでいる。「前節から前掛かりに行こうと。その効果が出ている」。柱谷幸一監督は攻撃面に関して手応えを口にする一方で、満ち足りない思いをストレートに表現した。

「4点を取ったことは評価してもいいが、ルーズなゲームは好きではない」

苦言を呈したのはゲーム展開だった。先制パンチを食らうも4発を打ち返し、相手に致命傷を負わせる。雌雄は大方、決したかに思われたが、1点を返されると途端に浮き足立つ。退場者を出すと更に錯乱し、もう1点を献上してしまう。リードはみるみる縮まる。4―3で逃げ切ることは出来たが、安定感を欠いた「粗雑なゲーム」となってしまった。

沈着冷静に試合を押し進められなかった要素はふんだんにあった。刺すような強い日差し、過密日程、大勝した後のゲーム、など。しかし、柱谷監督が感じ取った不甲斐なさの原因は、先に挙げたことに起因する気の緩みではなく、「研ぎ澄まされた神経」、つまりアラートな(機敏な。警戒心の強い)状態を保持できなかったことにある。

「(相手が)ボールを持っている時に足が揃っている。いつでも動ける状態にない。足が速い、遅いではなく、メンタル的な部分の問題」

喫した3失点、全てに該当するのが準備不足である。危機感、張り詰めた緊張感を身に纏いプレーしていれば、対応は困難ではなかった、と考えている。「難しいが」と前置きし、上野優作も「90分、戦い続ける」ことの重要性を説き、それが欠如していると指摘した。レベルが上がれば一瞬、集中力が途切れた所を付け狙われる。判断力以前に状況把握能力を養わなければ、強靭な精神力を身に付けなれば、チーム力はアップせず、次のステージへと進めない。勝者になるためには、様々な要素が求められる。

栃木SCは連敗を逃れ、4―0とジェフリザーブズを退けた。余勢を駆ってホームで2連勝を飾りたいところ。2トップに上野と横山聡、左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに深澤幸次、中盤の底に落合正幸と向慎一、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、GK小針清允の布陣。

JFL初参戦のMIOびわこ草津(以下、ミーオ)。昇格の立役者である戸塚哲也前監督(現・FC町田ゼルビア)に代わり平岡直起氏が就任。「人とボールが動くサッカー」を標榜し、中位に位置している。フォーメーションは4―4―2。

「最初の15分はロングボール主体に」(平岡監督)。ミーオの思惑にはまる。右サイド裏のスペースへ抜け出た幸山聡太がグラウンダーのクロスを供給。これを川鍋がクリアに戸惑う間に背後からアランに突っつかれ、ゴールを許す。前半1分の出来事だった。

「試合に入り込む前の失点。リセットできる」

先手を奪われるも佐藤の言葉通り、4分にGK田中剛の正面を突くも深澤が放ったダイビングヘッドを口火に反撃開始。右サイドの岡田を軸に攻め立てる。その岡田が獲得したCKから同点弾が生まれる。倒れ込みながら上野が頭で合わせてネットを揺らす。ミスをした川鍋のニアサイドにDFを釣る動きは効果的だった。失いかけた自信を隠れた好プレーで取り戻し、タイトなマークで尽く2トップを潰した。

両チームともコンパクトに、スペースを付き合うも、試合を振り出しに戻した栃木SCに流れは傾く。トップに引っ張られるように、2列目、3列目の選手が次々とゴール前に顔を出す。リスクを冒したことが奏功し、逆転弾が生まれる。佐藤のスルーパスに向が飛び出しシュート。GKの好守に阻止されるも、弾かれたボールは横山聡の元へと転がり、左足で冷静に沈める。ゴール後のお約束、進化したゴリダンスの余韻が冷めやらぬ内に、3点目が決まる。FKから鷲田がゴール前に放り込んだボールを上野が頭に当てると、ボールは目測を誤ったGKを越えて無人のゴールへと吸い込まれた。

前半終了間際、冨田晋矢にクロスバー直撃のFKでゴールを脅かされたものの、お返しとばかりに後半8分、佐藤が左足一閃。Pボックス外、やや右よりの位置からFKを直接突き刺した。怒涛の4連続ゴールで勝点3は確約されたはずだったが、FKからゴール前の混戦を浦島貴大に制されると雲行きが怪しくなる。向が“不可解な”一発レッドで追い出された5分後、今度はCKを完璧に石澤典明に叩き込まれる。差は僅かに1点。

「自分達で(ゲームを)難しくした」

落合正幸は堅守速攻のゲームプランが積極性を殺ぎ、それゆえにゴールへの推進力が失われ手綱を明け渡した、と話した。数的不利に陥るも中盤とDFラインが綺麗な2ラインを形成し、守り切る策は崩壊した。途中交代の石舘靖樹がスピードに突進力と前線で奮闘するも、攻撃的なカードを切ったミーオの圧は退場者を出しても弱まらない。ポゼッションで凌駕され、押し込められる。タイムアップまでに3度も決定機を作られた。だが、絶体絶命の危機をGK小針の俊敏な反応と、内林広高のシュート精度の低さに救われる。辛うじて勝利を手にした幕切れに後味の悪さだけが残った。

「勝ててよかった。それだけ。JFLで優勝するなど口に出来ない」

口を衝いて出るのは反省の弁ばかりだった。柱谷監督は横川武蔵野FCとの上位決戦を前に、「反省し、『強いチームとはどういうチームか』を考えたい」と、限られた時間の中で選手と膝を突き合わせて話し合う必要性を訴えた。

「手堅く守り少ないチャンスを決める。もう一度、自分達の形を取り戻す」

横山聡は原点を見詰め直すべきだと、既にひとつの答えを提示している。

3日後、どのような解答が出されるのだろうか。

JFL前期第10節 栃木SC4―3MIOびわこ草津 @栃木県グリーンスタジアム 観衆4317人

〈栃木SC〉交代:上野(→石舘)、横山聡(→久保田勲)、佐藤(→田村仁崇)

〈MIOびわこ草津〉GK田中剛、DF浦島貴大(→木島徹也)、田尾知己、石沢典明、大瀧直也、MF金東秀、若林令緒、冨田晋矢、壽建志(→内林広高)、幸山聡太(→山本正男)、アラン
 
  

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