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戦評:対カターレ富山戦@栃木SC通信

2008年5月26日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

126.JPG記憶を辿ってみる。プロ生活を振り返ってみても出場停止、警告を受けた回数は数えるほどだという上野優作。

後半17分、イエローカードを提示される。

「僕自身、気を付ける。(カードを)もらわないように注意したい」

自省しながらも一方で、JFL2年目でも容易には拭い去れない審判の笛に対する違和感。「気を付けていても、もらってしまう」。パートナーを組む松田正俊も同様に戸惑いを隠せないという。昨年からカテゴリーをJFLに移すが、体に染み込んだJでの感覚は抜け切れていないそうだ。

大学リーグとの差異を感じたのは、ルーキーの斎藤雅也である。プレシーズンマッチで退場を宣告された。早々と「JFLの笛」の洗礼を受けた。今季、チーム全体として、基準の定まらないにジャッジに悩まされ、苛立っている感は否めない。これまで当然のように流されてきたプレーでファウルを取られ、自らのリズムを狂わされ、挙句の果てにカードまで頂戴してしまう。フラストレーションが溜まり、食い下がってしまうのも無理はないが、不要な抗議などで出場機会を失ってしまっては元も子もない。闘志は対戦相手に向けるべきである。

対カターレ富山(以下、カターレ)戦でも出場停止にリーチがかかっていた深澤幸次が、Pボックス内でドリブルを仕掛けたまではいいが、明らかに審判を欺く行為でシミュレーションを取られた。次節の出場が不可能となる。その他にも累積警告3枚で黄色信号が岡田佑樹、川鍋良祐、落合正幸と欠くことの出来ない選手に点滅している。向慎一の謹慎が今節解け、次戦は佐藤悠介と石舘靖樹が戻ってくるが、交代で主力がピッチ外へと追い遣られる事態は回避しなければならない。

「結局、最後に積もり積もって自分達の首を絞めることになる。注意しないと。チーム全体として意識していかなければならない」

上野は警鐘を鳴らす。

佐藤の3試合出場停止中に副産物として鴨志田誉の台頭、石舘が左ワイドで使える目処が立つなど底上げが図れた。1勝1敗1分けの五分と成績もまずまずである。しかし、タラレバになるが、例えば佐藤が継続的に出場していたならば勝点を4ではなく5もしくは6に伸ばせ、更に言えば9獲得できていたかもしれない。そう考えると今後の栃木SCにとって、怪我以上にファウルトラブルが順位の浮沈を左右する要素となるかもしれない。再度、フェアプレー精神の徹底を監督と選手には求めたい。

虎の子の1点を守り切りHonndaFCを退けた栃木SC。富山に乗り込み対ガイナーレ鳥取戦に続き、カターレとの「J2準加盟ダービー」に臨んだ。陣容はGK小針清允、DFは左から斎藤、鷲田雅一、川鍋、岡田、中盤はダブルボランチを落合と鴨志田が組み、左ワイドに向、右ワイドに高安亮介が配され、上野と松田が2トップに据えられた。

富山に拠点を置くアローズ北陸とYKK APの統合が発表されたのは、昨年9月のことだった。青天の霹靂とは、まさにこのことだろう。県サッカー協会主導で成された合併。スムーズに準加盟の権利を勝ち取り、初代監督にはYKKを率いていた楚輪博氏が就いた。昨季、優勝をさらった佐川急便東京と大阪の連合チーム(旧・佐川急便SC)に匹敵する戦力を有し優勝候補に挙がるも、ここまで12戦して5勝4敗3分けと中位に甘んじているのが現状である。メンバーを固定したのは栃木SC戦が今季初といったところに、「融合」を掲げるチームの模索と苦悩が透けて見える。

基本的な戦術に大差はなかった。2トップを軸にサイドから攻撃を繰り出す。前半の序盤、栃木SCは右の高安にボールを集める。カターレは長谷川満をターゲットにしながら松下和磨を背後に走らせた。拮抗した展開ながら幾分か優位に立っていた栃木SCであるが、左ワイドで初先発の向が機能不全に陥り、上野と松田へのボールの収まりが次第に悪くなるとペースが乱れる。長谷川がミドルを飛ばした30分あたりからカターレが流れを掴んだ。ボールを繋ぐ、または蹴る。使い分けの巧さで勝り、立て続けにゴールを脅かした。渡辺誠はCKのリバウンドから、松下は西野誠のロークロスからのヒールシュートに加えて、ロスタイムに朝日大輔のスルーパスから裏を突いた。シュートミスに救われ、ゴールライン上での上野のクリアにGK小針の捨て身のブロック。窮地を脱した栃木SCは、鴨志田のシュート1本に抑え込まれる。

0―0で迎えた後半。蓋をされていたサイドでの攻防で高安がイニシアチブを握れるようになる。次々と敵陣でFKを得るが、好機に結び付けられない。逆にハイボールから長谷川がフリックし、途中交代の石田英之に決定的なシュートを浴びた。が、GK小針が横っ飛びで弾き出す。難を逃れると深澤と横山聡を送り出して形勢を逆転しにかかる。だが、「流れは悪くなかった」と言うものの、「ポゼッションしていれば、落ち着いてゲームを運べたかもしれない。前へ急いでしまった」と高安。縦方向へばかりボールを動かしたことで、変化に乏しかった。尽く前線へ供給したボールを跳ね返される。29分には石田のバックヘッドから肝を冷やされる。驚異的な反応でGK小針がかき出すも、スタンドの大歓声に背中を押されたカターレの攻勢は続く。ゴール前で石田は危険な香りを漂わせた。

終盤に差し掛かると互いに中盤が間延びし、撃ち合いの様相が色濃くなる。圧を強めてきた相手の反動を利用してカウンターを打ち込みたかったが、しかし機会が巡ってくるも栃木SCは連携を欠いたことで自ら潰してしまう。勝点3を狙って送り込まれた稲葉久人は勝負所を見誤った。ゴールネットは揺れず。スコアレスでタイムアップとなった。

「アウェーの成績が悪いので流れを変えようと。立ち上がりは悪くなかったが、その勢いのまま点を取って攻め切る力強さが足りなかった」(上野)

アウェーでの連敗は2で止まるも、記録したシュート数はたったの3本。勝点1を分け合ったというより、辛くも手に入れたと表現する方が適切だろう。守備陣は奮闘するも、攻撃陣は沈黙したままだった。組し易い相手ではなかったが、お粗末なゲーム。それでも、柱谷幸一監督は前向きだ。

「失点0は大きい。悠介が戻ってくるので守備が安定していれば、攻撃面でパワーが出せる」

次節の相手は昨季の王者・SAGAWA SHIGA FCである。勝利をもぎ取り、拾った勝点1の価値を高めたい。 そして、勝ち切れなかった鬱憤を晴らすように果敢な、高揚感を得られるようなサッカーを披露して欲しい。

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