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『実り多き遠征』@栃木SC通信

2008年6月30日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

okinawa5.JPG決断は下された。

玉のような汗が黙っていても噴き出してくる気候条件。疲労はいつも以上に早く体を蝕む。体温の上昇は脳に熱をこもらせ正確な判断を困難にする。

前線から相手を追い回せば、足が鈍るのは目に見えていた。 そこで、ラインを深く保ち、背後のスペースを消去することを選んだ。目の前でボールを動かされているぶんには構わない。ただし、個々が受け持つゾーンに相手が入ってきたら厳しく潰しに行く。例えばサイドバックにはオーバーラップを仕掛けるなど持ち場を放棄するリスクを避けさせた。マークを受け渡しながら守ることで体力の消耗を出来る限り軽減させる。攻撃参加したことで息が上がり、戻りきれずに穴を空けることを嫌ったのである。赤井秀行と岡田佑樹の両サイドバックは守りに比重を置いた。高位置に顔を出した回数は数えるほどだった。内へ絞り込みセンターバックのカバーに回るなど、専守防衛に徹する。

全体が間延びし、バランスを欠き、足を攣るなど先に悲鳴を上げたのは、地の利があるはずのFC琉球(以下、琉球)だった。自信たっぷりに柱谷幸一監督は勝因を語る。

「ここまでいい準備をしてきた。トレーニングの成果により体力が落ちなかった」

栃木では体感できない沖縄の暑さと湿度。出来ることは自ずと限られてくる。それを見越し、みっちりトレーニングを積んだ。練りこんだ戦術、守備の約束事は見事なまでにはまった。90分間コンパクトな守備ブロックは破綻することなく、球際で激しく体を寄せたことでコースを切るなど決定的なシュートを許さず、連続失点を4試合で止めることにも成功する。

序盤からリズムよくボールを回す琉球に対し、栃木SCは焦れずに我慢できた。入念な下準備がなされていたからであり、落合正幸曰く「ボールの取りどころがはっきりしていた」ことが小さくない。落合と鴨志田誉が位置する、ボランチラインで引っ掛けてから、いい状態でボールを持てた時だけ攻撃に人数を割く。ポゼッションよりもカウンターに的を絞った。

「攻め込まれていたというよりも、攻めさせていた」

佐藤悠介は前半をそう振り返る。フィニッシュに持ち込まれる回数の多さには苦言を呈しつつも、概ね内容には満足そうだった。前節、オブラートに包むことなく「何もない」と吐き捨て、会場を後にした口振りとは明らかに異なっていた。普段は味わうことのない、味わいたくもない状況で、「柔軟に頭を使いながら戦った」結果の勝利に手応えを掴みもした。佐藤は続ける。「こういう状況のゲームの対処としてはよかった」。今後に繋がる確かなものを手に入れられた充実感が窺えた。

それは指揮官も同じだった。

「栃木もこれから暑くなる。ゾーンでブロックを作って守れた、この試合をベースにしたい」

自分達のストロングポイントを前面に押し出すだけのサッカーに、相手の長所を引き出しながら体力を削いでいき、粘り強く戦うことで一瞬の隙を見逃さずに仕留める戦い方が加わった。思い出されるのは昨季の対FC岐阜戦。綺麗な3ラインが進撃を阻み、効率よく2ゴールを叩き出しての完勝だった。ニューウェーブ北九州戦では5バックを、ファジアーノ岡山戦ではあ4―1―4―1を試みるなど、少しずつ使えるオプションは増えてきている。多様性は育まれ、夏場を乗り切る下ごしらえと、終盤に向けた備蓄は滞りがない。

勝ち越しているとはいえ内容が芳しくないアウェーで、勝率を高めるには打って付けの試合運びを可能にする、
大きなヒントを獲得できた。南国で得たものは勝点3だけに止まらなかった。実り多き遠征となった。

戦評:対FC琉球戦@栃木SC通信

2008年6月30日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

okinawa2.JPG交代後、間もなくのことだった。右サイドから中へと切り込みシュートを放つ。アグレッシブなプレーも、シュート精度には乏しかった。

「スキル、両足のキックの精度が足りない」

以前、柱谷幸一監督は稲葉久人の短所を、そう口にした。一方で、高安亮介に匹敵するスピードと高さを長所に挙げていた。

後半18分に登場した稲葉は、僅か10分足らずで大仕事をやってのける。左サイドの佐藤悠介から供給されたクロスをニアサイドに走り込み頭で合わせた。プロ初ゴールに続き、2ゴール目も足ではなく頭から生み出された。

「ヘディングは得意ではないが、ゴール前での入り方は意識している」

自らの特長を「ゴール前での嗅覚」と言い切る稲葉。この日もストライカーという人種にしか察知できない匂いを敏感に嗅ぎ取った。GKとDFの間にボールが蹴り込まれると読み切る。「当てるだけでした。悠介さんに感謝です」と謙遜しながらも、「上手く間を突けた。狙い通り」。湧き上がってくる感情を抑えきれず、頬は緩んだままだった。

ファジアーノ岡山戦で決勝弾を叩き出し、喝采を浴びた。続くアウェーのアルテ高崎戦でも活躍が期待され、出場時間も増えたが存在感は薄かった。持ち味を発揮できなかった。そのことを本人も自覚していた。

「ホームでは点を取ったが、次のアウェーでの動きは悪かった。アウェーでも結果を出したかった」

出場6試合目でようやく本職のFWで起用され、結果を残した。「試合に出られるならば、どちらでも(右ワイドとFW)構わない」とは言うものの、水を得た魚のように溌剌とプレーできているのは本来の位置、ゴールに近い場所である。

初ゴールによりこれまで遠慮がちだったプレーと訣別。間隔を空けることなく次のゴールを手に出来たことで自信は一層深まった。

殊勲を立てた稲葉は饒舌だった。

「ボクは暑さ、夏に強い。暑くても結構、走れます。暑さは好きですね」

ピッチ外でも猛烈にアピールを行った。

チームは完全プロ化し、トレーニングは夜間から昼間に移行された。例年のような夏場に失速する事態は、おそらく回避できるだろう。が、ベテランが中核を成していることから、パフォーマンスが落ちる可能性は低くない。それだけに、“夏男”を公言して憚らない稲葉の調子が上向いてきたことは頼もしい。2枚看板の横山聡と松田正俊が鳴りを潜めているという点でも。


前期首位ターン、天皇杯のJFLシード権を獲得しても、柱谷監督の表情は硬かった。何も成していない。前後期の区切りをつけることで、気持ちが弛緩することを極端に嫌った。緊張感は選手にも伝わり、後期を白星でスタートさせる一因となった。4―4―2のスタメンは以下の通り。GK小針清允、DFは左から赤井秀行、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、MFはボランチに落合正幸と鴨志田誉、左ワイドに佐藤、右ワイドに高安亮介、FWは上野優作と石舘靖樹。負傷した斎藤雅也に代わり急遽、赤井が左サイドで起用された。

前期の残り2試合を連勝で飾ったFC琉球(以下、琉球)は、トゥルシエ総監督もベンチ入り。山下芳輝(元栃木SC)をワントップに据えた変則的な3―3―3―1で臨んだ。

いかに無駄な動きを減らし、長い距離を走ることを避けるか。

肌に刺さるような日差しは気温を32度まで上昇させ、湿気をはらんだ海風により湿度は70%を超えた。酷暑に対抗するために、栃木SCは省エネサッカーを貫徹した。前線からボールを追わず、ラインを深くし、自陣で引っ掛けてから前に出る策を採った。

受身の姿勢を取ったことで我慢の時間帯が続く。山下がサイドに流れ起点を構築。Pボックス内にパスを入れられるシーンが目に付くが、DF陣は慌てることなく弾き返す。納谷伊織、國仲厚助、鎌田安啓のトリプルボランチに中盤を支配され、ポゼッションで凌駕されても動じなかった。ゲームをコントロールされても、最後の部分で跳ね返せれば問題ない。山下への寄せの甘さは頂けなかったが、意思統一が図られていたことは小さくなかった。浮き足立つことなくゲームプランを粛々と遂行する。

守備に軸足を置いたことで栃木SCの攻撃回数は数えるほどだった。CKから上野の際どいヘディングシュートと、石舘のGKライス・エンボリの正面を突くミドルシュートの計2本に終わる。それでも、琉球を無失点に封じ込め、体力の消耗を最小限に抑えられたことが、後半に繋がる。

前半の終盤に鎌田と山下に連続してゴールに迫られ肝を冷やすも、GK小針の好守と正確性を欠いたシュートに救われた栃木SC。錆び付かない、豊富な選択肢を有する山下のポストプレーに手を焼くが、次第に運動量で琉球を圧倒し、反撃に打って出る。デュド・ミヌングの投入、4バックへの移行が裏目に出た琉球とは対照的だった。

立ち上がりから先のことなど考えず、上下動を盛んに繰り返した石舘と高安が立て続けにゴールに襲い掛かる。「セーブするつもりはなかった。突破できるところは突破する」と高安。ドリブル勝負を仕掛けたことで、対面のDFのスタミナを奪い、ピッチから追い出す逞しさを見せた。手綱を引き寄せたところで、「相手のCBがへばっていた」と見て取った柱谷監督。フレッシュな稲葉をピッチに送り出す。

意図的に使用頻度を高めたサイドチェンジは効果的であり、ゴールを呼び込んだ。右から左へ滑らかにボールは運ばれ、佐藤が上げたクロスを稲葉が頭で突き刺した。後半26分、先制点にして決勝点が生まれる。

サイドに張り気味だったデュドが内側に入り、背後を狙うようになると2度も窮地を招く。しかし、GK小針の好判断と気持ちを切らさなかった守備陣の奮闘がゴールを許さない。サッカーをするには過酷な状況下でも萎えることなく最後まで戦い抜き、柱谷監督就任1周年を勝利で飾った。

「今日は悠介と稲葉だけではなく、全員で勝ち切った。後期初戦ということでモチベーションを上げにくかったが、集中力を切らさずにプレーしてくれた」

相手に付き合うことなく、自分達の思惑通りにゲームを押し進められたことで、柱谷監督は選手の労をねぎらった。

「これで波に乗れる。中断期間前の後期8節まで突っ走る」(柱谷監督)

連勝を5から更に伸ばし、勝点を積み上げてから一呼吸入れる腹積もりでいる。それまで小休止するつもりは毛頭ない。

JFL後期第1節 FC琉球0―1栃木SC 観衆3104人 @北谷公園陸上競技場

〈FC琉球〉GKライス・エンボリ、三好拓児、久保篤史(→秦賢二)、MF納谷伊織、國仲厚助、鎌田安啓(→森戸壮介)、澤口雅彦、林田光佑(→デュド・ミヌング)、FW山下芳輝

〈栃木SC〉交代:石舘(→稲葉)、上野(→松田)、高安(向慎一)

短評:対FC琉球戦@栃木SC通信

2008年6月30日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

気温32度では望むべきサッカーなど展開できない。栃木SCはリアリズムに徹する。つまり、スタミナを削がれるような動きを避けたのである。フォアチェックは行わず、ラインを後退させ、FC琉球の攻撃に備えた。傍目には劣勢に映り、現に山下芳輝のポストプレーからフィニッシュに繋げられる。だが、混乱するには至らなかった。シュートを打たれ過ぎはしたが、それも織り込み済みだったからである。さすがに終盤に枠内シュートを浴びた際には肝を冷やしたが、ゴールマウスにはGK小針清允がいた。いつもながらの俊敏な反応で弾き出す。

CKから上野優作の惜しいヘディングに、石舘靖樹の果敢なミドル2本に終わった前半から一転、栃木SCは圧力を強め、琉球を押し込める。後半から意識的に使い始めたサイドチェンジがゴールの呼び水となった。右から中央の落合を経由したボールは左の佐藤まで届く。ニアを狙った高精度のクロスに頭で合わせたのは、途中投入の稲葉久人だった。値千金の決勝弾を、際どいシーンを作られはしたが、維持された高い集中力で耐え凌ぐ。

ポゼッションに未練を残しつつも、柱谷幸一監督は「この暑さの中では、内容は責められない。攻守によくやってくれた」と、全員で勝ち取った勝利を称えた。

※お疲れ様でした。先程、帰宅しました。疲労と肌のかゆさが半端ない。今日はレポート&コラムは無理ですので明日、順次アップします。勝ってよかった。

ロシア対オランダ、ロシア対スペイン@EURO2本

2008年6月28日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

死のグループリーグを破竹3連勝で勝ち抜いたオランダは、120分間もち味を発揮できぬままロシアに屠られた。

互いに慎重なロシアとオランダであったが、立ち上がりから優勢に試合を進めたのはロシアだった。ジルコフ、パブリチェンコのシュートがゴールを襲う。それでも、あくまでも無理をしないオランダ。1トップのファンニステルローイは抜群のキープ力でボールを収めるが、サポートする選手との距離が遠いため好機に結び付かない。アルシャービンのシャープなカウンターが炸裂すると、これを皮切りにフィニッシュまで至る回数が増えたロシア。シュートを打ち続けゴールに迫る。ファンニステルローイの個人技に、相手のパスミスからファンデルファールトがシュートを放つもGKアキンフェエフの正面を突く。両者とも決定機は作るも、決め手を欠いたまま45分が過ぎた。

後半頭にカイトを下げてファンペルシを投入し、てこ入れを図ろうとしたオランダであるが、中盤でボールが引っ掛かるシーンが目に付き、ポゼッションができない。サイドからの攻略も困難となる。流れを掴みきれず、アルシャービンにポストをなめる直接FKを食らう。窮地を脱しするも、左サイドを完璧に崩され最後はパブリチェンコに左足で押し込まれた。しっかりボールを繋ぎ、豊富なスタミナで試合を支配したロシアは、Pボックス内に人数を割く保険をかけながら、好機と踏んだら今度は攻撃に人数をかける切り替えが奏功した。辛うじて危機をGKファンデルサールの好守で凌いだオランダは、FKからファンニステルローイが渾身のダイビングヘッドで同点に追い付く。序盤から精度の高いボールを供給していたセットプレーで、ようやくゴールを割る。90分で雌雄は決せず。

延長戦に突入してもロシア優位は変わらなかった。アルシャービンとパブリチェンコがオランダを陥落させようと試みる。ついに延長後半、オランダは力尽きた。途中交代のトルビンスキー、アルシャービンに連続ゴールを許し、グループリーグの快進撃を持続できずに準々決勝で散った。勝利を得たロシアはショートパス主体の攻撃的なスタイルと無尽蔵のスタミナで優勝候補の一角を破った。名将ヒディンクに鍛え上げられた選手達は逞しく、勇敢だった。

ユーロ2008 準々決勝 ロシア3-1オランダ @バーゼル

<ロシア>GKアキンフェエフ、DFジルコフ、コロディン、イグナシェビッチ、アニュコフ、MFセマク、サエンコ(→トルビンスキー)、セムショフ(→ビリャレトディノフ)、ジリヤノフ、FWアルシャービン、パブリチェンコ(→シチェフ)

<オランダ>GKファンデルサール、DFファンブロンクホルスト、オーイエル、マタイセン、ブラルーズ(→ヘイティンハ)、MFエンゲラール(→アフェライ)、デヨング、スナイデル、ファンデルファールト、カイト(→ファンペルシ)、FWファンニステルローイ

 

自分達のサッカー、つまりボールを支配することを貫き通したスペインが、不気味な存在感を放っていたロシアを蹂躙した。

オランダにリズムを作らせなかったロシアの勇猛果敢さは鳴りを潜める。序盤からスペインに押し込められ、F・トーレスとビジャの2トップにシュートを許し、サイドをセルヒオ・ラモスに制圧された。荒削りながらゴールを奪える位置に顔を出すパブリチェンコにシュートを打たれ、グループリーグでロシアから3ゴールを挙げたビジャが負傷退場しても、スペインは動じる気配を見せなかった。ゴールこそマークできなかったが、前半はスペインのものだった。

カウンターを効率よく繰り出せないのはアルシャービンが徹底マークされたから。ボールタッチ数は数えるほどだった。覇気に乏しいロシアとは対照的にスペインは後半5分にイニエスタのロークロスに走りこんだシャビがダイレクトでネットを揺らす。ゴールを得たことでパス回しが更に冴え渡る。ロシアも前に出ようとするが細かなミスとスペインの守備に阻まれてしまう。リードは僅かに1点。F・トーレスの出来は悪くなかったが、アラゴネス監督は大胆な交代に打って出る。グイサとシャビ・アロンソを立て続けに送り出したのだ(F・トーレスとシャビが下がる)。一歩間違えればリズムを崩しかねない交代策だが、これが見事にはまる。ビジャの代わりにピッチに立ったセスクからの背後へのパスに飛び出したのはグイサ。冷静にGKの頭越しにシュートを収める。横に揺さぶられ反撃の糸口すら見出せなかったロシアは、リスクを冒して前に出ようとしたところ、裏を使われ決定的な3点目をシルバに蹴りこまれる。一矢報いようと交代出場したシチェフがFKに頭から飛び込むもGKカシージャスの正面。グループリーグ同様にスペインに大敗を喫した。ヒディンクとロシアの躍進はスペインにより終止符を打たれた。

ユーロ2008 準決勝 ロシア0-3スペイン @ウィーン

<ロシア>GKアキンフェエフ、DFジルコフ、V・ベルズツキー、イグナシェビッチ、アニュコフ、MFセマク、サエンコ(→シチェフ)、セムショフ(→ビリャレトディノフ)、ジリヤノフ、FWアルシャービン、パブリチェンコ

<スペイン>GKカシージャス、DFカプテビラ、プジョル、マルチェナ、セルヒオ・ラモス、MFセナ、シャビ(→シャビ・アロンソ)、シルバ、イニエスタ、FWビジャ(→セスク)、F・トーレス(→グイサ)

プレーバック:対FC琉球戦@栃木SC通信

2008年6月28日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

腹の底から野太い声で『県民の歌』を高らかに歌い上げる。ゴール裏に陣取ったサポーターを中心にした声がスタジアムに響き渡れば、それは少なくない栃木県民にとってサッカーの幕開けを意味する。

3月16日。第10回日本フットボールリーグ(JFL)開幕。栃木SCと柱谷幸一監督のJFL初制覇、その先にある「J2昇格」へ向けた再チャレンジも同時に始まった。

「今年はタダ券を配ってないからねえ。最低でも5000人は入ってくれれば……」

新井賢太郎社長の表情は渋い。開門前、入場ゲートに長蛇の列は出来ていなかった。昨季の開幕戦は1万人以上を動員したが、その時の勢いと活気に乏しい。客足の鈍さが耳に届いていたのかもしれない。 あるいは、目の当たりにしたのかも。

11時10分、開門。滑らかに入場が行われる。淡かったメインスタンドの黄色は徐々に濃度を増すも、津波のように人が押し寄せた昨季を体験したものからすれば、物足りなく、寂しくもあった。

最終的に6338人が足を運んだことになる開幕戦。昨季と比べると半減したことになる。配布された無料チケット5万枚が有する破壊力を思い知る。一方で、リピーターを増やし、アップダウンが少なくなることこそ、安定した収入に繋がると、新井社長と柱谷監督は観客動員に対して同じ見解を示している。昨季を上回る入場者数を記録できなかったことへの悔しさがないといったら嘘になるが、負け惜しみを言っているわけでもない。瞬間的に大人数を集めるよりも、継続的な動員を。今季の、先を見据えたクラブとしてのスタンスが感じ取れる。

コンスタントにスタジアムに足を向けてもらうためには、魅力的で強いチームであることが、諸条件の中で優先される項目であることは言をまたない。

「勝ちたい。勝って勢いに乗りたい」

オフシーズンから入念な下準備を行ってきた柱谷監督が幸先のよいスタートを切るために、白星を強く欲する気持ちが滲む。

栃木SCの陣容はGK小針清允、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、中盤は底に落合正幸と向慎一、左に佐藤悠介、右に小林成光が配され、上野優作と松田正俊が2トップを組んだ。

元日本代表フィリップ・トゥルシエ氏が総監督に就任し、カズこと三浦和良の親類も入団するなどニュースバリューが一気に高まったFC琉球とは、3季連続して開幕戦で顔を合わせることとなった。身内の不幸によりトゥルシエ氏は緊急帰国するも、昨季までグリーンスタジアムで喝采を浴びていた山下芳輝がスタメンに名を連ねる。敵役として戻ってきた。フォーメーションはトゥルシエ仕込の3―5―2。

「10分、15分、地に足が着いていないプレーが多かった」(柱谷監督)

心地よくブーイングを浴びる山下に起点を設けられてしまう。オープニングシュートは山下のポストプレーから白尾秀人が放ったもの。その後もあっさりと背後を取られる、サイドを攻略されるなど、連続してシュートを打たれてしまう。バイタルエリアを利した琉球の攻撃に躊躇いや迷いはなかった。

足に鉛を付けたように栃木SCの動きは重かった。「今日は硬くなるから。自分自身にプレッシャーをかけた部分があるかもしれない」と上野は低調なパフォーマンスを分析した。アップから立ち上がりの拙さが予想される兆しはあったものの、修正を施すまでに多大な時間を要するとは思いもしなかった。佐藤が下がり気味にポジションを取りながら、試合を落ち着けようとするも思うに任せなかった。 叫びながらプレスの掛け方に関して「メリハリをつけるように」と指示を出すも、調整が図れない。

19分、山下のスルーパスから白尾に決定的なシュートを、そのリバウンドを出し手の山下が再びシュート。絶体絶命の窮地をGK小針が救うも、「先に1点を取られたら、どっちに転ぶか分からないゲーム内容だった」と佐藤が振り返る通り、このゲームの大きな山場だった。凌ぎ切ったことは小さくなかった。

ピッチを幅広く使い、ポゼッションしながら緩急をつけて攻め入るのもひとつの手だったが、栃木SCは自分達の優位性を生かした。それは上野と松田の高さである。敢えてロングボールを多用した。そこには、パスを繋いで食い付かれ、カウンターを浴びるリスクを回避したいとの思惑、トップにボールをあててからセカンドボールを拾う方が選手個々の特性を生かせるとの公算があったからだ。目論み通り、
先制点を得る。小林のアーリークロスを上野が胸で落とし、佐藤が間髪入れずに左足一閃。ゴールネットを揺さぶったのは26分のことだった。

向は言う。

「先制点が大きかった。いいカタチで取れたし、取ったのが精神的支柱である悠介さんだったので盛り上がった。スタンドも僕等も。いくぞ、という感じになれた」

ゴールにより栃木SCはようやく覚醒する。ボランチを横並びから縦関係に変えたことで守備を安定させ、プレスの掛かりが格段に向上し、球際での激しさが見られるようになる。カウンターも効率よく打てるようになり、松田がボレーシュート(GKライス・エンポリに弾かれる)、鷲田がCKからクロスバー直撃のヘディングシュートでゴールを脅かした。

前半の終盤に持ち直した栃木SCたったが、ハーフタイムを挟むと、またしても消極的になってしまう。受けるに回るシーンが目に付いた。相手のシュート精度が低かったから助かったものの、フィニッシュで攻撃を終わらせてしまったことは反省すべき点だろう。

「ゲームがイーブンな内容の時は決定力のある選手がいたチームが有利、勝ちを持って来られる、とつくづく感じました」

イニシアチブを掴みきれないゲームを決定付けたのは、補強により手に入れた松田と佐藤だった。決定力とは個の力と置換できるだろう。不足していたものを補った甲斐があったと柱谷監督は再認識させられた。

一旦、CKは弾き返されるも佐藤が左から供給したクロスを松田が頭で沈めて2点目を獲得。さらに途中投入の横山聡がドリブル突破からもぎ取ったFKを佐藤が直接、蹴り込んで勝負あり。佐藤は豪語した。「あの距離(Pボックスのすぐ外)から僕に蹴らせたら、だいたい入る」。

リードを広げ、相手のセンターバックのエメ・ラヴィが退場したことで数的優位に立った栃木SCだが、ピリッとしない。GK小針の好守、斎藤の懸命のカバーリングで難を逃れるも、41分に不要な失点を喫した。ドリブルを仕掛けてきた澤口雅彦を止めきれず。突っかけられて最後は高松健太郎にプッシュされてしまう。3―1で開幕戦を勝利で飾るも、後味は悪かった。

琉球に退場者を出してからゴールを重ねられなかったこと、無駄な失点を許したことを反省材料に挙げながらも、柱谷監督は「開幕戦を勝てたことでチームとして目指している方向が間違っていないと思えるのが大きい」と、勝点3の意義を語り、内容が伴ってくれば自信を深めていける1勝、と付け加えた。

木曜日にはFC刈谷戦、中2日で三菱水島FC戦を控える栃木SC。週明けのコンディションにもよるが、「今日出ていない選手もいいパフォーマンスをしている。フレッシュな選手を使ってみてもいい」と、柱谷監督はローテーションを用いることを暗に示唆した。怪我を負っている選手には無理をさせないつもりだ。

JFL前期第1節 栃木SC3―1FC琉球 @栃木県グリーンスタジアム 観衆6338人

〈栃木SC〉交代:上野(→横山)、松田(→石舘靖樹)、向(→久保田勲)

〈FC琉球〉GKライス・エンポリ、DF三好拓児、エメ・ラヴィ、久保篤史(→栗田泰次郎)、澤口雅彦、當間正人(→納谷伊織)、高松健太郎、杉山洋一郎、林田光佑、FW山下芳輝、白尾秀人(→白井博幸)

 

『でかい口、叩いて出した結果』

畳み掛けるように、言葉を並べていく。ストレートな物言いは誤解を数多く生み、同時にサポーターの心を鷲掴みにしてきたことが容易に想像できる。
 
2ゴール1アシスト。チームの全ゴールに佐藤悠介は絡んだ。手垢の付いた表現になることを許してもらえるならば、役者が違う、ということに尽きる。

「開幕戦をホームで勝てたことが一番」とは言ったが、キャプテンとしてチームを勝利に導くことが出来た、などとは口にしない。優等生発言を控える代わり、「とにかく自分の中で大事なゲームだった」と言い切った。
 
代表クラスの選手でもガチガチに緊張する「特別な思いがある」開幕戦。プロ生活13年目を迎える佐藤も例外ではなかった。ウォーミングアップから体に違和感を抱いた。経験があるとはいえ、纏わり付く独特の緊張感から逃れることは不可避。「僕自身、硬かった」と偽らざる本音を吐露しつつ、それでも向慎一、斎藤雅也、川鍋良祐らの若手には「思いっ切りやれ」とアドヴァイスをした。特別な試合に襲ってくる恐怖は己で乗り越えるより他に手はないからだ。壁を打破してこそプレーヤーとして一段、高みに行ける。実体験に裏打ちされた言葉には重みがあり、実行に移してしまうのだから、キャプテンシーとカリスマ性はより増していく。

「栃木SCに来た経緯もあり、いろんな思いがある。いろんな人達に『なんでJFLなんだ』と言われた。ここに来たことが間違いじゃなかったと証明したかった」
 
佐藤はチームの勝利と同等、いやそれ以上に自己証明をしなければならなかった。新入団記者会見では、最もプレッシャーを感じていると述べ、一方で期待感もあると話している。下した決断が、栃木SCに入団したことが、正しかったと周囲に思わせるには結果を残すしかない。それもスタートから、目に見えるカタチの。「とにかく自分が結果を出して勝ちたかった」。強い決意を胸に、試合に臨んだ。
 
前半の半ばまで思うように試合をコントロールできない、ナーバスな時間帯が続いた。ストレスの溜まる状況を、しかし佐藤の左足が一変させる。「蹴った瞬間に入った」と確信したボレーシュートは綺麗にゴールへ吸い込まれた。歓喜の輪の中心には佐藤がいた。チーム2点目となるお膳立てをした後は、一転してクールに振舞う。自信を持って蹴りこんだFKはゴールに突き刺さり、雌雄を決した。今度は感情を露に。恍惚の瞬間をサポーターと共有した。

敵将、ジャン・ポール・ラビエ監督は「経験」の有無を敗因に挙げ、「栃木の左の方がプッシュが効いていた」と付け加えた。印象に残った選手の具体名こそ伏せたが、佐藤を指していることは想像に難くない。

「自分でいろんな人に証明しないといけなかったので、貪欲に結果が出せた。初めて僕のプレーを見てくれた人は、佐藤悠介のプレーがよく分かったと思う。皆さんにでかい口を叩いて結果を出せてよかった」
 
よどみなく続ける。

「自分の代理人やサッカー関係者が見に来ていた。『このチームに来てよかったね』と話してもらえた。凄く大事なゲームで点をとれたのは非常に誇れる」
 
押し潰されそうな負荷を自らにかし、跳ね除け、存在価値を認めさせた。強靭なメンタルを兼備したプロフェッショナルである。

「プロ化して、責任を背負ってやっている。キャプテンとして先頭に立ち責任を持ってやっていきたい」
 
サッカーで碌を食む自覚と覚悟がひしひしと伝わってくる。

柱谷幸一監督がリーダーに指名したことが頷ける、非の打ち所がないパフォーマンスを披露した。 

メッチンの連発に期待@ワンコインベッターの呟き

2008年6月27日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

スペインが行っちまったよ。

完勝だったね。

参りました。

ドイツ対スペインかあ。

敢えて予想はせず。

外すのが怖すぎる。

といいながらtoto予想。

☆toto☆

大宮対東京V:2 もう期待を裏切らないで。

清水対京都:1 アグレッシブな補強だね。

柏対浦和:2 高原復活?

横浜Fマリノス対磐田:1 ホームだから大丈夫でしょう。

名古屋対鹿島:0 復帰だっけ?中田は。

新潟対川崎:1 苦手意識。

大分対神戸:1 召集拒否?

F東京対千葉:2 巻、泣かせてくれ。

G大阪対札幌:1 テッパン。

愛媛対福岡:0 なんとなく。

水戸対仙台:2 意外と下にした杜の都。

熊本対C大阪:2 順当に。

徳島対岐阜:1 メッチン連発か?

☆minitoto☆

大宮対東京V:1、清水対京都:0、柏対浦和:1、横浜Fマリノス対磐田:2、名古屋対鹿島:2

☆BIG☆

再開後の予想としては悪くないかな。

あめとーーーーーーーーーーーーーく

2008年6月26日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

雨の日にあめにちなんだ“とーーーーーーーーーーーーーく”を。

朝刊のファッションコーナーが傘特集だった。

チープな傘しか手にしたことがないから漠然と読んでいたが、面白かったね。

京都と外国人デザイナーのコラボ作品は秀逸。

デザイン性に優れているだけではなく、機能性も高いときたもんだ。

風速100mでも対応可能ときたもんだ。

あれなら2万払ってもいいかもね。

かなり惚れた。

傘でも他との差別化を図る。

いい試みじゃないですか。

コンビニ傘から脱却したいですな。

遠征先では雨のため、ビニール傘が増えて仕方がない今日この頃。

また、次回

2008年6月25日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

余計な出費に『またたびサッカー』は敗れた。

チャリさえパンクしなければ我が手元に今頃はあるはずなのに。

残念。

てか、欲していた『RUN』が置いてないってどういうこと?

品揃え悪いぞ。

結構なスペース取ってる割には。

スポーツ本が充実していない本屋は駄目です。

書店員のクオリティがばれてしまう、とは言い過ぎか。

フォト・ステーション@栃木SC通信

2008年6月25日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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PK失敗も、それ以上に難易度の高いミドルを叩き込み、結局は3ゴール全てに絡んだ。

「何もない」

憮然とした表情で会場を去る。

これまで尖った選手が少なかった栃木SCに佐藤悠介の強烈な個性は必要不可欠。

やんちゃ坊主を上手く使いこなす。

指揮官の手腕の見せ所である。

 

 

 

 

 

 

 

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今季も前期は3ゴール(昨季は2ゴール)と鳴りを潜めた横山聡。

ゴール以外での貢献度は高かったが、望まれるのはやはり可視的なもの。

後期の山場で、こちらも不発の松田正俊とともに前線をリードして欲しい。

 

前半4分、鷲田雅一の背後へのボールに鋭く反応。DFラインの裏を突いた鴨志田誉。シュートは惜しくも枠を外れるが、チームとして狙っていたカタチから好機を作り出す。ゴールへの意欲は日々、高まっているようだ。

 

 

 

arte5.JPG高安亮介と組むとサイドに張り気味に構えるため、使えるスペースは限られてしまう。

そのぶんオーバーラップの回数は減ってしまうが、抜かれない守備の強さがチームを支えている。

また、岡田佑樹のカバーリングで凌いだ相手の決定機は数知れず。殊に開幕のFC琉球戦での絞り込みは秀逸だった。

この日はパートナーが内側へ入る嫌いのある稲葉久人に代わってから、精度の高いサイドチェンジを利し佐藤のビューティフルゴールを演出した。

戦線復帰は心強かった。

 

 

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FW陣を牽引する34歳の大ベテラン上野優作。開幕前は怪我によるコンディション不良が心配されたものの、蓋を開けてみれば柱谷監督のファーストチョイスに。ポジションを譲らず、攻撃陣の柱になっている。今季は体が軽く、高さを活かし、ゴールも決めている。激しいフォアチェックで前線から激を飛ばす。献身的なプレーは尊い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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佐藤とのコンビは抜群。

オーバーラップのタイミングは絶妙であるが、クロスの精度が欲しい。

鋭利なクロスからゴールをお膳立てすればプレーヤーとして飛躍する可能性は低くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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強さが求められた鷲田と川鍋良祐の2CB。ボランチラインを超えるくらい、ボールを頭で跳ね返すパワーを指揮官は欲している。

足元もあるだけにビルドアップの起点にもなってもらいたい。

リードした後、終盤に試合を落ち着けるために後方でゆっくりボールを回すのもひとつの手。

ポゼッションできるだけのスキルはある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ゴールを奪えるようになるも、高安の自己評価は常に厳しい。

ストイックな姿勢がポテンシャルを引き出すことは明白。

アルテ高崎戦ではサイドでの勝負が目立ったが、ファジアーノ岡山戦では内側に入り込んでのヘディングシュートも果敢に狙っていた。

引き出しは確実に増えている。

つまり、相手の警戒レベルは上がっているといえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ファイトできる選手。

落合正幸不在の中盤は想像できない。

プレーに波がなく、指揮官の信頼も厚い。

重馬場に強いのは深澤幸次だけではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

arte10.JPGシンクロ。

ただ、それだけ。

 

 

 

 

 

 

 

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勝利にも笑顔なし。

ここ数試合の失点数が気になる。

後期開幕戦は完封勝利でスタートしたい。

 

 

 

 

 

arte13.JPG今回も熱かった。

カキ氷

2008年6月24日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

宇治抹茶カキ氷が食いたい。

8月には滋賀遠征があるんだよねー。

前泊はもちろん京都。

食えるかな?

でも、胃腸が弱いのよ。

試合当日にケツを抑えているわけにはいかんからね。

ほどほどに半分くらい食って、後は友人に託そうかな。

花火と水着と浴衣にカキ氷の季節でやんすな。

溶けないように気をつけよう。

プロ野球が観たいっす、ノムさん。

プレーバック:1年の時を経て@栃木SC通信

2008年6月24日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

※会見は2007年6月24日に行われました。

・柱谷監督就任会見

「先程、事務所の方で契約書にサインをしてきました。7月1日から正式に栃木SCの監督に就任することになりました。オファーを頂いた社長、会社に感謝したい。栃木の現状は厳しい。簡単な仕事ではないが今シーズン終了後に4位以内に入り、J2へ上がれるように頑張りたい」

――オファーを受けた時の感想。厳しい状況で就任を引き受けた決め手は

「監督としてのスタートは山形からでした。山形はJ2の中でもJ1を狙えるクラブ規模ではなかったが、3年間仕事をさせて頂いた。その後、京都の監督に就任しJ2のチームだったが年間予算が充実していて2年目にはJ1へ昇格できた。昨年は力不足で勝てなかったが、自分のキャリアの中でJ2、J1と上がってきたので栃木からのオファーを頂いた時には悩みました。J2、J1のクラブで指揮を執りたいとの気持ちがありました。社長、3人のフロントの方に大宮まで来て頂き熱心に誘ってもらい、『J2へ上がりたい。力を貸して頂きたい』という言葉に強く胸を打たれた。開幕戦で1万人以上のサポーターを集め、常時3、4千人のサポーターがスタジアムに集まる。スタジアムもサッカー専用スタジアムで魅力的なクラブ。意外と栃木には将来性があると思いました。イタリアにはプロビンチャという小さな町のクラブだが熱心なサポーターがいて、小さいがサッカー専用スタジアムがあり、2週に1回のホームゲームで皆がサッカーを楽しんでいる。その土壌が栃木にはある。それが是非この仕事をやってみたいという決め手になりました」

――現状の栃木SCをどのように分析し、どんなサッカーを目指していこうと考えているのか

「実際に生で見たのは1試合(対流通経済大学戦)、それ以外はDVDで数試合見ました。チーム戦術はそれほど悪くない。ただ、1対1の場面で勝てていない、走れていない。フィジカルベースが相手よりも劣っている。戦う意志があってもフィジカルがついていかずに勝ち切れていない。もうひとつ、プロの選手とアマチュア選手が混在しているクラブなので、そこをもう少し整理していかなければならない。今後は昼のトレーニングを多くして、トレーニング内容も1対1の戦いで勝つ、勝ち切れないといけない。走れないと勝てませんから、そこを上げていく」

――コーチングスタッフ、選手の新たな補強は

「シーズン途中で私自身はフリーの身なので来ることができましたが、Jリーグはシーズン真っ盛りでどの選手もコーチも契約期間中。その人を連れてくることは簡単なことではない。自分達のやれること、持っている力で最大限にやりたい」

――得点力を上げるには

「トレーニングでしっかりコンディションを上げていくことです」

――監督のサッカー理念は

「3つあります。結果を絶対に残す。勝負事なので勝たないと認めてもらえない。目の前のゲームに勝つ。もうひとつは、内容にもこだわる。相手にしっかりプレッシャーを掛けて、ボールを奪い、素早く攻める。3つ目はフェアプレイ。フェアに勝つことに価値がある。汚いファウル、フェアでないプレイで勝ったとしてもサポーターに認めてもらえない、地元に愛されない。3つが同時に達成され、いいチームになる。調べてもらえれば分かるが、山形、京都と過去にボクが率いてきたチームはイエローカード、ファウルが少ない。非常にフェアなチームだった」

――目標の4位以内になるために今、何が必要か

「プロとアマが混在しているので、よりプロに近いカタチにしていくことが大切。J2で戦うクラブ体制にしていかなければならない。今年の苦戦は昨年と比べて大きく力が落ちているわけではなく、他チーム(のレベル)が上がっている。(ロッソ)熊本、(FC)岐阜にしてもプロ選手を入れ、昼にトレーニングをして、『絶対に上がらなければ』という気持ちで戦っている。佐川(急便SC)、ホンダ(FC)も企業チームだが午前にトレーニングし、午後に揃ってトレーニングをしている。どこのチームもいい環境でいいモチベーションでやれている。そこが今の差となって表れている。その部分を埋めていかないと勝てない。サポーターがたくさんいることが、このクラブの僕等の力になる。ユース組織、女子チームもあり、組織を構築すれば素晴らしい、ビッグクラブではないが地域に愛されるクラブになる可能性がある。そのためには今年4位以内に入り、Jへ行かなければ、そういう流れにはならない。結局、大事なのは4位以内よりも目の前のゲーム、もっといえば目の前のトレーニングを100%やること。4位以内ということも大事だが、目の前にあることを100%やることを選手に訴えていきたい」

――FC琉球戦までの1週間で何に着手するのか

「1週間で選手を見極めたい。契約は7月1日からだが6月30日にJの解説が入っているので、6月中の仕事はしっかり責任を持ってやる。火曜日のトレーニングから私が全部仕切ってしっかりやる。先ずはコンディションを上げる。トレーニングの中で選手を見極め、どういうやり方が栃木にあっているのか見ていきたい。山下(芳輝)、上野(優作)、横山(聡)と前線には経験、得点力、潜在能力のある選手がいるので彼等を活かせるようにしたい。1試合、1試合を全力でやっていく。目の前のゲームを勝っていく。そこに集中していきたい。4位以内のチームが全勝すれば我々は追い付けない。でも、自分達が全勝することが大切。今いる選手に頑張ってもらう。全部、代えるわけにはいかないので。シーズン途中の補強は難しいが、難しいから諦めるのではなく可能性があれば探っていきたい。現状では難しいが」

――アマチュア選手、仕事がある人達の管理は

「練習環境が色々あり難しいが、基本は昼間のトレーニング。必要ならば午前と午後の2部練習もやる。夜しか来られない選手、アマチュア選手もトレーニングに入れて、昼のトレーニングと同じ内容で彼等にもしっかりやってもらう。あくまでも昼のトレーニングがベース。例えば、夕方に練習したい。16~8人しかいない。イメージとしてはユースや、宇都宮の高校生、国体少年に参加できるならば参加してもらい紅白戦をやりたい。ユース、高校生、国体少年が同じトレーニングをやることで強く、上手くなる。13時キックオフなのに夜(トレーニングを)やるのはおかしい。キックオフ時間にあわせたトレーニングをしたい。昼に出られない選手もいい状態ならばゲーム、遠征メンバーに入ってもらう。いい選手には当然、力になってもらう」

――高橋監督はなんらかのカタチで残ると思ったのですが(新井賢太郎社長が答える)

「高橋高は22年間、自己犠牲の生活を強いられてきた。これ以上、彼に自己犠牲を強いるのは残酷極まりない。自分の人生設計、楽しみを持つようにお願いした。『自分の人生設計を作ってくれ』と伝えた。さっぱりした表情で辞めてもらった。22年間、自己を犠牲にしてきた高橋高には本当に感謝している。これからは自分の時間を持つことが大切だと考え、チームから切り離した。(国士舘大学の先輩後輩である高橋前監督と柱谷新監督は言葉を交わしていない)」

――地域密着が上手くいっているチームは。それを成すのに必要な要素は

「2000年にスペインのアスレティック・ビルバオを訪れました。バスク地方にあり、100年のリーガ・エスパニョーラの歴史でバルセロナ、レアル・マドリードとともに2部に落ちていない。バスク人しかクラブに入れない、プレイできない。サポーターに聞いたところ、その理念を曲げてまで勝ちたくないと言っていた。自分達で選手を育てていく練習環境や施設をもっている。メインスポンサーをつけず、ソシオ組織で会費を募る。そういう理念を持っているクラブは素晴らしいと感じました。栃木は関東にあるクラブ。ジュニア、ジュニアユースにはいい選手がいるが、ユース年代の環境が悪く県外へ出て行ってしまう。ユース年代の練習環境を整え、いい指導者がいれば、栃木がJでプレイし目標があれば県外へ逃げない。一緒にトレーニングをすることもできるし、ユース年代でもトップでプレイするのは全く不可能ではない。高校卒業時に戦力にもなってもらえる。そのような環境作りをやることがいいクラブの条件だと思っています。栃木県は周囲の市町村のバックアップ体制も充実している。いいクラブになる素材がある。山形での3年間でクラブハウス、人工芝を作ってもらい、移籍関係をスムーズにさせるなど組織作りをやってきました。4位以内もクラブ作りもやっていく。10年でも20年でも、このクラブでやりたい。そのためには先ず4位以内に入らないと次の契約をして頂けないので、監督としての仕事で結果を残すことに集中してやっていきたい」

――ファン、サポーターにメッセージを

「とにかくサポートして頂きたい。苦しい、辛い時期を一緒に乗り越えることが、その先の喜びに繋がる。こういう時こそサポーター、県民と4位以内、J2入りを目指したい。こういう時期を支えるのが本当のサポーターだと思っています。多くの支援をもらいたい」

<柱谷幸一> 
1961年生まれ。京都市出身。京都商業高校(現・京都学園高校)、国士舘大学を経て、日産自動車(現・横浜Fマリノス)―浦和レッズ―柏レイソルでFWとして活躍。元日本代表。監督としてモンテディオ山形、京都パープルサンガ(現・京都サンガFC)を指揮した。2005年には京都でJ2優勝、J1へ昇格させた。

独走してJ2へ行きたい@栃木SC通信

2008年6月24日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

 

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・佐藤悠介

「何もない」

・高安亮介

「ゴールだけでした。残念ながらゴールしかなかった。たままたそこ(ゴール前)にいただけ。自分達のカタチができたか?難しかった。個人的には課題が残った。(ピッチが)いいコンディションではなかったが、言い訳にはできない。(浅いラインはやり難かったか)相手がラインを下げてくることは分かっていた。裏を突くなどシンプルにやればよかった。それが出来ない時にどうするか。足元でもらって行けばいいが、単調になってしまった。失点は2つともセットプレー。中に(Pボックス内に)いなかったので、なんとも言えないが課題として残る。相手が上でも下でも関係なくボールがゴール前に入ってくるので集中しなければならない。(攻撃が停滞した原因は)蹴って弾かれたこぼれ球を拾ってから慌てずに1本繋ぐ。それがあると上手くいく。サイドチェンジも何回もやらないと。続けることで結果に繋がる」

・川鍋良祐

「前半に先制したがセットプレーから2つも失点をした。セットプレーからはもったいない。相手が7枚入ってきたことで、自分達が捕まえ切れなかった。ハーフタイムに『落ち着いて自分達のサッカーをしよう』とハシラさん(柱谷幸一監督)に言われた。後ろは慌てる感じはなかった。もう1回、0で抑えようと鷲さん(鷲田雅一)と話した。厳しいゲームでも負けないことが大事。勝点3を取れたことは大きいと思う。ゲーム内容は苦しい展開が多いが、楽な試合はひとつもないので1戦1戦を戦っていくだけです。(サポーターが)雨の中アウェーでも声援を送ってくれたことで、ホームのように戦えた」

・石舘靖樹

「蹴ってくる分だけ相手に合わせていたと思う。アルテを想定してサブの選手が蹴り込んで来るトレーニングをしたが、それに合わせてしまった部分が前半はあった。監督からは特に変わった指示はない。ラインが浅いので裏に抜ける動きを何回もやるようにと。トレーニングから何回もやっている動き。いつも通りのプレースタイル。あれをやらないと試合に出られなくなる。出来れば点を取りたかった。負けている状態で自分がどれだけやれるか。自分との戦いだった。(重苦しい雰囲気だったが)そんなに雰囲気は悪かったですか?特別には感じなかった。相手の順位が下なので勝たなければならないとは思ったが。(前期を振り返って)強いチームに勝ち切れている。負けた試合がプラスになっている。3-2で勝ちきれたのは代償は大きかったが、(負けたことが)勉強になっている。後期は全勝する。(前半の試合を観ていて)相当イライラした。セットプレーの練習もしたはず。でも、セットプレーの2失点は後期の勉強になればいい。『セットプレーからは失点しない』と、いい方向に考える。払った授業料は高かったが、強くなれば経験を積めればいい。1位をキープし、独走してJ2へ行きたい」

・落合正幸

「サポーターがたくさん来てくれてホームみたいだった。勝たなければならないと思った。0で抑える。1点取れれば流れはこっちに来る。冷静にバタバタしなかったことが勝因だと思う。粘り強く戦ったことで結果が出た。厳しいトレーニングをしたおかげでメンタル面が成長した。90分粘り強く戦えば相手が痺れを切らすと思えるようになった。サポーターからは『上がりたい』、『上がるんだ』という気持ちを強く感じる。それに対して失礼のないように選手はプレーしている。苦しい試合が続くが、引き続き応援してもらいたい。今後もやることは変わらない。いい流れを止めないように、勝ちの流れを切らさないよう戦う。(失点でトーンダウンしてしまったが)セットプレーからの失点が痛かった。相手に行けると思われた。点を取られてしまうと雰囲気が変わる。ハーフタイムに淡白にならないようにと修正し、それができたことはよかった。(セットプレーの際に)集中力はあったが、マークが足らず、ズレもあった。本当は失点をしなければよかったが、修正を図れたことは収穫だった。セットプレーから失点するのはもったいない。うちはセットプレーを武器にしているのだから」

・上野優作

「今日の後半みたいにパワーを出すことが大切ですね。厳しいゲームだったが後半は栃木の方がパワーがあった。(具体的には)一人ひとりのボールに対するアグレッシブさ、スピード、タックルの激しさなど。(それをもっと早い段階で出さなければならないと)失点をしなければよかったですよね。失点すると雰囲気が悪くなる。そのへんは課題のひとつですね。内容は兎も角、結果的に1位は評価して欲しい。天皇杯のシード権を獲得したことで栃木県から2チーム出られる。栃木SCが盛り上がれば、栃木県のサッカー熱も高まる。今年は地域貢献の一環を果たせたと思う。琉球は流通経済に4-0で勝ちましたし、沖縄は暑さもある。後期の初戦はなんとか勝ちたい。そのためにひとつひとつ、1週間しっかりトレーニングを積みたい」

EURO2008 グループC@フランス対イタリア

2008年6月24日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

ジダンとその仲間達――マケレレ、テュラム、ビエラ――の時代は終焉した。本当ならばドイツワールドカップ杯後に隆盛を極めた世代との訣別を図らなければならなかったが、ドメネク監督がそれを拒んだことでフランスは取り残された。グループリーグで奪ったゴールは僅かに1。これでは先に進めない。

オランダ、ルーマニアから奪った勝点は共に1と、ドイツW杯のファイナルで激闘を演じたイタリアとフランスは追い込まれた。最終戦で喉から手が出るほど欲しいのが勝点3であるが、仮に白星を挙げてもルーマニアがオランダを退ければ敗退が決まる過酷な状況下で決戦は幕を開けた。球際の激しさから滲む勝利への渇望。試合の入りはフランスが比較的よかったものの、トニの惜しいシュート、CKからパヌッチがヘディングシュートを放つと流れはイタリアに傾く。さらに攻撃の核であるリベリーを欠く不幸が重なる。ザンブロッタのドリブルを阻んだ際に負傷し、ピッチを去る不測の事態に見舞われる。2戦を終えて不発のトニだったがゴール前での存在感は抜群であり、使わない手はなかった。ピルロから供給された背後へのボールに足を伸ばしたトニ。ボールを吸いつけ、シュート態勢に入ったところをアビダルがたまらずファールを犯す。アビダルは一発退場し、与えたPKをピルロにぶち込まれたフランスはリードを奪われる。先制後もトニを利する賢明な選択をしたイタリア。立て続けに好機をこしらえる。フランスはPB内に人数を割かれたことでフィニッシュに至れず、逆にFKからグロッソにポスト直撃のシュートを浴びる。

追加点を許さなかったことで首の皮一枚繋がったフランスは、アンリのひとつ下に構えたベンゼマが後半早々にフリーで右足を振るも、しかしふかしてしまう。トゥララン、マケレレのダブルボランチが無理をしたことで攻勢に転じるも、デロッシにとどめを刺された。FKからの強シュートは壁の端に立っていたアンリの足に当たりコースが変わる。GKクペは逆を取られネットは揺れた。遅攻になってもシュートにまで漕ぎ付けられる力強さをフランスは見せ付けるも、決定的なベンゼマのコントロールシュートはGKブフォンに弾かれる始末。ゴールは遠く、決勝トーナメントには進めず。グループリーグで姿を消す結果となった。勝利を得たイタリアはオランダがルーマニアを下したことで、辛くも荷物を纏めて帰国する事態を免れた。コロコロとメンバーとフォーメーションをいじったドナドニ監督の采配が奏功したとは言い難いが面目は保った。

ユーロ2008 グループC フランス0-2イタリア @チューリヒ

<フランス>GKクペ、DFエブラ、アビダル、ギャラス、クレルク、MFマケレレ、トゥララン、リベリー(→ナスリ)(→ブームソン)、ゴブ(→アネルカ)、FWアンリ、ベンゼマ

<イタリア>GKブフォン、DFグロッソ、キエッリーニ、パヌッチ、ザンブロッタ、MFガットゥーゾ(→アクイラーニ)、デロッシ、ピルロ(→アンブロジーニ)、ペロッタ(→カモラネージ)、FWカッサーノ、トニ

日本対バーレーン@アジア3次予選

2008年6月24日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

日本もバーレーンも最終予選進出を決していることから、3次予選最終戦は消化試合となった。

アウェー、マナマではサッカーをさせてもらえなかったというよりも、策におぼれ墓穴を掘ったことで屈した日本。内容には乏しいものの独自の色を見せ始めた指揮官がプライドを懸けた一戦は、先発起用の佐藤寿人が裏を取りPKを獲得するが、中村俊輔のキックはGKにセーブされてしまう。PK職人・遠藤もスタメンに名を連ねていただけに勿体ない。先制機を逃した。13分、小気味よいパス交換から左サイドを本田圭祐が駆け上がり、玉田がフィニッシュ。効き足の左ではなかったことでシュートの威力は落ち、GK正面を突くが躍動感のある攻撃だった。切り替えの速さを生かしてサイドをもっと活用したかった。中村憲剛がボランチに配されたことで遠藤、中村俊輔とオシムが作り上げたトライアングルのパス回しで日本は優勢に立ち、アジアでは絶対的な闘莉王の高さで好機を演出する。流れは日本にあったがバーレーンも自陣にこもることなく前に出てきたことで非常にオープンな展開で試合は進んだ。時折、繰り出されるカウンターの切れ味は鋭かった。ロスタイムに遠藤のFKはクロスバーに嫌われ、リバウンドに詰めた本田圭祐も空振りと逸機する。

後半はスリッピーなピッチコンディションをバーレーンが生かす。アグレッシブにミドルレンジから枠内を捕らえるシュートを放った。GK楢崎が尽く弾き出すが、あまりにも打たせ過ぎた。カウンター同様に警戒が必要だったはず。日本でピッチコンディションを味方にしたのは玉田だけだった。つまり、果敢にシュートを狙う姿勢に欠けた。0-0のままスコアは動かず、闘莉王を前線に上げ、巻も投入し、なんとしてでもゴールをこじ開けたにかかった日本は、思わぬカタチから決勝点を得る。クリアボールの跳ね返りをPボックス内へとヘディングで押し返した内田。これに巻が猛然と迫る。気迫に負けたのだろう。巻はバウンドしたボールにタイミングを合わせることは出来なかったが、GKもボールを掴みきれず。内田のパスはシュートに成り代わりネットを揺らした。なんとも幸運なカタチで勝点3が転がり込んできた日本は紆余曲折がありながらも、最終的に首位通過を果たした。

飛び出すタイプの選手を中盤に並べなかったことでモビリティは下がったが、パスはそこそこ繋がり、ポゼッションでは凌駕できた。しかし、ゴールを最も脅かしたのが闘莉王というところに攻撃陣の脆弱さが顕著に現れている。選手を入れ替えることで多少の改善は図れるだろうが、個人での打開にも限界はある。立ち上げ時にぶち上げたコンセプトを煮詰めるしかないだろう。

アジア3次予選 日本1-0バーレーン @埼玉

<日本>GK楢崎、DF安田(→今野)、闘莉王、中沢、内田、MF遠藤、中村憲剛、本田圭祐(→巻)、中村俊輔、佐藤寿人、FW玉田

『前期17試合から見えたこと』@栃木SC通信

2008年6月23日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

arte2.JPG沈思黙考した末に口を開いた。

「どれも厳しいゲームだった。ベストゲームはない」

前期のベストゲームとワーストゲームは。そう問われた際の柱谷幸一監督の応答である。ホームで1―0と勝利したHondaFC戦を挙げると思っていたが、予想はものの見事に外れた。

敢えて印象に残る試合を口にしなかったのは、こんな理由からである。

「競っているゲームが多い。1点差で取ってきたが、どっちに転んでもおかしくはないゲームがあった」

勝ち星13の内、実に10が1点差と僅差である。豊富な戦力を有しても、容易に勝ち抜けるリーグではないことを、数字は如実に物語る。

それでも、シーソーゲームをものにしてきたことで、「しぶとさ」が生じたことはプラスであったと考えている。対アルテ高崎(以下、アルテ)戦も小差のゲームを勝ち切れた自信があったからこそ、気持ちを切らさずに勝利を追求し、最終的に手に入れられた。激闘を潜り抜けてきたことで、開幕時よりメンタル面は相当タフになってきている。

石舘靖樹は言う。

「負けた試合がプラスに働いている。3―2で勝ち切れるのは、代償は大きかったかもしれないが、勉強したことが実になっているからだと思う」

柱谷監督は、「チーム戦術、コンセプトが攻守において全員に浸透している」ことも収穫とした。チームとしてやるべきこと、ベースが確立され、刷り込まれていることは殊の外、大きい。負傷離脱、出場停止によりリザーブだった選手が先発しても遜色ないプレーを披露したことが、それを証明している。鴨志田誉は今や確たる地位を築いている。高安亮介はゴールにより長足の進歩を遂げた。赤井秀行は守備力の高さを見せ付けた。田村仁崇は鷲田雅一と川鍋良祐を脅かす存在へと成長している。危機を好機に変換できるのは、しっかりとした約束事と規律がチーム内に存在し、選手が理解しているからである。主力が欠けても代わりの選手が一定レベルの役割を果たす。ボトムアップが図れ、薄かった選手層に厚みが加わった。

「内容を上げて結果を残さなければ後期は苦しむ」

楽観的な言葉は聞かれない。悲観的ではないものの、「気持ちを緩めない」ことなどの重要性を柱谷監督は説く。後期に入り、2順目ともなれば相手も手の内を読んでくることは明白。苦戦は前期の比ではなくなるだろう。そこで、問われるのが「対応力」である。スカウティングとは異なる戦略で臨んできた相手に対し、策略にはまり込む前にいかに手を打てるか。動じて後手を踏む時間帯、劣勢に回る機会を減らせる柔軟な姿勢と発想が必須になる。

そして、個の力量を高めることもまた不可欠である。アルテにセットプレーから2つもゴールを献上したのは、「跳ね返す力が足りない」から。それはCBの2人だけではなく、Pボックス内に入っていた選手全員に該当する。先ずは1対1で負けない。セットプレーのみならず、流れの中でも。この大前提はファーストミーティングから口を酸っぱくして指揮官が訴えてきたことである。

再び石舘。

「セットプレーから2度も失点したことで後期の勉強になればいい。『セットプレーからは失点しない』と、いい方向に考える。払った授業料は高いですが、強くなれば経験が積めればいい」

どこまでもポジティブである。攻撃的な資質を見抜いた柱谷監督。FWへのコンバートは前期最大のヒットだろう。

17試合を消化してもアバウトにボールを蹴り込み、セカンドボールから2次、3次攻撃を仕掛けてくる相手への戸惑いは消えない。そろそろJFLの水に慣れてもいい頃なのだが・・・。ポゼッションしてイニシアチブを握ろうと目論むチームは、ほんの一握りである。チーム最大の泣き所が解決できれば安定した試合運びが可能となり、手詰まりに陥った相手を支配することは、そう難しくはない。結果に内容が伴えば、完勝が増えれば、風格は備わるはずである。試合前から相手を飲み込んでしまえば、勝率はより一層高まる。

詰めなければならない細かな点は多々あるが、今後へ向けて大雑把な要求をするならば、守備では組織的な要素に個の強さが
、攻撃では前へボールを入れることで発揮される強みにポゼッション力が欲しい。   

戦評:対アルテ高崎戦@栃木SC通信

2008年6月23日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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栃木SCサポーターはアウェー側のメインスタンドを黄色に染め上げた。収まりきれないものはホーム側に回り、スタンド最上段で立ち見するなど人で溢れかえった。公式入場者数は854人。そのおよそ8割を黄色が占めた。ただいま9戦全勝。無類の強さを誇るホームと同じ空気を、高崎は浜川競技場でも醸成させた。

「雨でもアウェーでも声援を送ってくれる。ホームのような感覚でやれた」(川鍋良祐)

45分を終えて1―2とビハインドを背負った。それを残り45分で3―2と引っ繰り返す。クロスゲームを勝ち切り、勝点3を手中に収め、前期を首位で折り返すことに成功する。「錯覚」はプラスに作用したといえる。

楽な試合などひとつもなかった前期を象徴するような一戦。

「粘り強く戦った結果」

落合正幸は日々のハードなトレーニングと実戦を通じて培われた、メンタル面の成長を勝因に挙げた。そして、粘着力はサポーターの存在なしには育まれなかったと信じて疑わない。

「サポーターからは『上がりたい』、『上がるんだ』という気持ちを強く感じる。それに対して失礼のないように選手はプレーしている」

次第に芽生え始めた勝利への義務感。それは選手のメンタルを程よく刺激し、勝利を届けなければならないとの思いを日増しに強くした。声を嗄らし、諦めることなく終了の笛が鳴るまで背中を押し続けてくれる。投げ掛けられる熱に報いなければ、応えなければならない。

「声援を受けることで『勝たなければならない』と、少しずつプロ意識が出てきた」

柱谷幸一監督は選手の心境の変化を、そう語る。

チームを強化するのは、なにも監督やコーチだけではない。厳しくも温かい眼差しでチームを見守り、共に戦うサポーターもその一端を担っている。指揮官はその力の偉大さを知り尽くしている。だからこそ、常に口にする。「サポーターの力が大きい」と。そこにはリスペクトと感謝が含まれてもいる。

 

クラブ史上初となる前期首位ターンが達せられたのは、今から3年前の2005シーズンである。原動力となった若林学(愛媛FC)のゴール量産は、遠い過去の記憶ではないだろう。あれから月日は流れ、再びJFL前期1位に授与される天皇杯シード権を他力ではなく(当時はHondaFCが躓いたことによるタナボタだった)、自力で掴み取る機会を作り出した。スタメンは2トップに上野優作と横山聡、中盤は左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに高安亮介、ボランチは落合と鴨志田誉、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋、岡田佑樹が配され、ゴールマウスには小針清允が立った。

アルテ高崎(以下、アルテ)の頻繁な監督交代は欧州のクラブ並み。前期途中で渡辺克之監督から攻撃サッカーを掲げる幸谷秀巳氏にスイッチした。4―4―2から4―3―3への布陣変更が奏功。連勝を飾るなどちょっとしたサプライズを起こしている。定位置だった最下位から脱しもした。

栃木SCの中盤を無力化するためにアルテが選択したのは、浅いラインを敷き、全体を圧縮することだった。スペースを潰され、試合前から降り続いた雨によりピッチ状態は万全ではなかったが、ものともしない。横山が巧みにボールを誘引。両サイドからの攻撃を滑らかにする。攻め入ることが出来ていたサイドから先制点は生まれた。佐藤の左クロスを横山がトラップからシュート。GK斯波薫に1対1を制されるも、ルーズボールをゴールへパスするように高安が流し込んだ。前半15分の出来事だった。

先手を取った。しかし、試合を落ち着けられない。ここ数試合の課題が顔を出す。直接FKでゴールを脅かされ、その流れの中で与えたCKから今井雅貴に泥臭くゴールを割られる。5分と経たない内に同点とされる。

試合は振り出しに戻ったに過ぎないが、ショックを引き摺った。出足が遅れたことで、容易に危険な香りのするクロスを供給される。28分の決定的な窮地を潜り抜けるも、32分にまたしてもCKを跳ね返しきれず、阿久澤剛に強烈な一発を浴びせられる。「集中力はあったが、相手の人数が多く、マークが足りなかった。ズレもあった」と落合。「セットプレーからやられるのは勿体ない。うちはセットプレーを武器にしているのだから」と続けた。

アグレッシブに3列目から飛び出しを図った鴨志田の動きも実らず、ゴールを取り返せなかった。

「負けていたが0―0のつもりで。1点を取ったら流れはこっちに来る。もう一度、やり直そう」

ハーフタイムにそう伝えた柱谷監督は、横山を下げて石舘靖樹を投入する。開始1分のCKから川鍋が放ったシュートはクロスバーに嫌われる。だが、背後を突き、空中戦でも引けを取らなかった石舘のプレーに触発されるように、運動量が上がった栃木SCは攻勢に転じる。ショートカウンターが決まり始めた矢先だった。佐藤が右サイドの高安へ通そうとしたスルーパスを阻もうとしたアルテDF。伸ばした足に当たったボールは、予期せぬ、自陣ゴール方向へと向かう。栃木SCは相手の絶妙なループシュートからのオウンゴールで追い付く。

「一人ひとりのボールに対するアグレッシブさ、スピード、タックルの激しさなど」(上野)パワーを発揮した栃木SCは、3点目を手に入れる。右サイドの岡田からサイドチェンジのボールを受けた佐藤が左足を一振り。豪快な一発がネットを激しく揺さぶる。逆転弾は後半24分に突き刺さった。

勢いに乗った栃木SCはセットプレーから、GK斯波の肘打ち一発退場でPKを獲得。これを佐藤が左へ蹴り込む。ややコースが甘かったこともあるが、ここは交代したばかりのGK岡田大の読みが勝った。セーブされ、逸機する。絶好機を逃したものの、前半の反省を生かし、セットプレーを与えても危機を招くことはなく、3―2で逆転勝利を飾った。

「内容はともかく、結果的に首位は評価して欲しい」

そう語るのは上野。天皇杯のシード権を手にしたことで、今年は栃木県から2チームが全国を舞台に戦うことが許される。アマチュアに枠をひとつ増やした功績は小さくない。最高の地域貢献である。

積み上げた勝点は41。昨季、首位ターンした佐川急便SC(SAGAWA SHIGA FC)の39を上回り、2位を勝点で5つも離す単独首位、ご褒美にシード権を頂戴するに至るも、喜びが湧き上がってこなかったのは、「攻撃と守備で5割もやれていない」試合内容に不満を抱いたからだろう。柱谷監督の表情は何時になく険しかった。

「一区切りではなく対FC琉球戦への準備を行わなければならない。今日出来なかったことの修正を今週1週間で行うことが大事」

中断期間の設けられていないJFLの困難さを説き、既に今月29日に幕を開ける後期へ目を向けていた。

JFL前期第17節 アルテ高崎2―3栃木SC 観衆854人 @高崎市浜川競技場

〈アルテ高崎〉GK斯波薫、DF杉山琢也、阿久澤剛(→神谷恭平)、西村陽毅、床井伸太郎(→小川裕史)、MF里見仁義、工藤光俊、今井雅貴、FW久保田圭一、田中靖大(→GK岡田大)、白山貴俊

〈栃木SC〉交代:横山(→石舘)、高安(→稲葉久人)

対アルテ高崎@栃木SC通信

2008年6月22日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

前半:2-1。

後半:0-2。

ファイナルスコア:2-3。

オウンゴール、佐藤で勝利。首位ターン。

順位:首位(勝点41)◆2位:HondaFC(勝点36)

得点者:高安亮介、オウンゴール、佐藤悠介(栃木SC)、今井雅貴、阿久澤剛(アルテ高崎)

※お疲れ様です。前期が終わりました。ここまで走り続けてきた疲労が出てますが、レポート&コラムは順次アップします。

プレーバック:対アルテ高崎戦(PSM)@栃木SC通信

2008年6月21日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

1週間後に控えた開幕戦を迎えるにあたり、悔いを残さないように。総仕上げとなるアルテ高崎とのプレシーズンマッチは、集合時間、食事、ミーティングなど、当日と全く同じタイムスケジュールが組まれ、「今日が開幕戦くらいの気持ち」(GK小針清允)で選手達は試合に臨んだ。サポーターも本番に備える。今年から陣取るゴール裏からリハーサルを行った。

来週には間に合うとのことだが、大事をとってコンディションが万全ではない佐藤悠介、鷲田雅一、松田正俊の主力3選手はベンチからも外れた。栃木SCの陣容は上野優作と石舘靖樹の2トップ、中盤は左に深澤幸次、右に小林成光、底には落合正幸と向慎一が入り、DFラインは左から斎藤雅也、山崎透、川鍋良祐、岡田佑樹と並び、ゴールマウスには小針が立った。

高崎も4―4―2を選択。

序盤からポゼッションで勝ったのは栃木SCだったが、「自分は硬かった。いけるかな、と思ったが・・・」と向が言うように、全体的に体が重い。「後ろで動かして前へ入れたかった。前線と中盤の連動がなく、ボールを前へ入れられない」(柱谷幸一監督)展開が繰り返される。アンカー(舵取り役)の落合がDFラインからボールを受け、ルックアップしても前が動き出していなかった。ボールを散らすことは出来たが、ゴール方向への勝負パスは少なかった。複数人が絡んだプレーは数えるほどだった。

前線にボールが収まらないのだからサイドが活性化されるはずがない。両サイドバックは上がるタイミングを見出せなかった。タメを構築できる佐藤の不在も響く。その佐藤とコンビネーションを磨いてきた斎藤は言う。「悠介さん、鷲さんと一緒にやっていたので、正直合わせるのに時間が掛かった」。柱谷監督曰く「ぎくしゃくした」左サイドは、いつものように起点と成り得ない。それでも、向のパスに抜け出た小林の左クロスを石舘がヘディングで合わせたあたりから、カタチを崩してでも前に出る姿勢が垣間見られるようになる。34、36分には上野が連続してゴールに襲い掛かる。相手の好守に阻まれるも「コンディションは一番よかった」と上野。逸機したことには苦笑したものの、1ヶ月前のキャンプでは歩くことすら困難だったのだから驚異的な回復ぶり。果敢にゴールを狙い、ベテラン健在をアピールした。

プロ契約選手の大量解雇により「マイナスからのスタート」(渡辺克之監督)を切った高崎。昨季の低調なサッカーからの脱皮段階にある。会見ではネガティブな発言が目立つも、それほど悲観することはないのではないか。環境と待遇に恵まれていないとはいえ。

前半ゴールを奪えなかった栃木SC。後半に入ると僅かながらサッカーの質が向上するも、上野、石舘の2トップが巡ってきた絶好機を決めきれない。ボールが動くようになり、リズムも好転するなどしたが、その矢先に斎藤が2枚目の警告でピッチ外へと追い出されてしまう。幾分か動揺したのか、ミスから窮地を招く。これを耐え凌ぐと入江利和を投入し、4バックを維持。4―4―1の2ラインを敷き、コンパクトフィールドを保ち高崎の攻撃を封じては、反撃の時を待った。スルーパスに反応した川勾に冷や汗をかかされるも、GK小針の好判断で危機を回避すると、ロスタイムに交代出場の久保田勲がFKを右上段へ直接突き刺し、さらに落合のフォアチェックを足掛かりに最後は石舘が追加点を奪い去った。90分、苦しんだことが嘘のように、あまりにもあっさりと2度、ゴールネットが揺れた。

「退場者を出すのはよくないが、リーグ戦ではこういうゲームもある。勝点1、チャンスがあれば3を取るのが勝点を積み上げることになる。内容はよくないが、シーズン前にはいい経験ができた」

数的不利、スコアレスで推移した試合。ドローで勝点1を拾うことも覚悟したが、4バックのブロックで攻撃を跳ね返し、機を伺う策がはまり、勝利をものに出来たことに柱谷監督は一定の評価を与えた。表現こそ異なるが選手たちも一様に「開幕前にいいシミュレーションができた」と口にしていた。

リハーサルは終わった。いよいよ本番である。来週は開幕戦の相手、FC琉球を想定したトレーニングを入れ、勝点3を手にする確率を上げるための戦術を練り上げる。

指揮官は欲した。

「勝ちたい。なんとか勝って勢いに乗っていきたい」

プレシーズンマッチ 栃木SC2―0アルテ高崎 @栃木県グリーンスタジアム

〈アルテ高崎〉GK岡田大、DF小柴翔太、西村陽毅、山田裕也、杉山琢也、MF今井政貴、里見仁義、川勾邦明、白山貴俊(→ファブリシオ)、FW田中靖大(→田中翔太)、久保田圭一(→チアゴ)

〈栃木SC〉交代:向(→久保田)、小林(→高安亮介)、上野(→入江)

 

『JFLの笛』

試合後、挨拶に向かうチームメートを尻目に、ひとりコンクリートの壁に背を預ける。ベンチコートを羽織った斎藤雅也は俯いたままだった。顔色は優れない。ロスタイムに2ゴールを挙げて勝利したにもかかわらず、である。

落ち込むのも無理はない。先発しながら最後までピッチに立っていられなかったのだから。
 
後半22分、退場。

パフォーマンスに起因するものならばまだ救いはあるが、イエローカード2枚を提示されてのピッチ追放は、さすがに堪える。

「JFLの基準は難しい。大学時代にはとられなかった(ファール)が、とられた」
 
4年間で体に刷り込まれた感覚を他のカテゴリーに持ち込むと痛い目を見る。

同じく大卒新人の向慎一も判定基準に違和感を抱いている。序盤にカードをもらってしまった。ボディコンタクトが不可欠なボランチにとっては、致命的である。1枚カードを持っていることで、「持ち味を出し切れなかった」。厳しくいけば再びカードを出される。早々に追い出されるわけにはいかない。数的不利に陥ることを避けるために萎縮してしまった。意欲的に人とボールにチャレンジできない。際どいプレーに腰が引ける。それが硬さに繋がり、停滞していた前半の攻撃を活性化させられなかった一因でもあった。

「中盤でボールを取れた。カードをもらったシーンも、もう一歩、出足が早ければ・・・。中盤でボールを取ってチャンスを作れたはず」

向は唇を噛んだ。

リーグ戦と同様のシチュエーションで辛酸を舐めた。しかし、“JFLの笛”を肌で感じられたことは、2人にとって小さくなかったようだ。「退場したことでチームに迷惑をかけたが、これだけやったらファールになる、との線引きができた。開幕前にわかったのはよかった」と斎藤が言えば、「今日、硬さを経験したことで、次は絶対に(硬くなら)ない。思いっ切りやれる」と向もポジティブだった。
 
JFLの判定は独特であり、誰しもが受ける洗礼でもある。許容範囲を探るのは容易ではない。昨季、途中加入した上野優作も戸惑いを隠せなかったという。立て続けにカードを頂戴してしまった。判定に慣れるには多少の痛みを伴うのかもしれない。
 
だが、チームコンセプトとして「フェアネス」を掲げている柱谷幸一監督は、当然ながら不快感を露にした。

「ミーティングで選手にはイエロー(カード)をもらわないように、と言っているだけに残念。反省を求めたい。退場者を出すと厳しい、と(