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プレーバック:対アルテ高崎戦@栃木SC通信

2008年6月19日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大

受付で頂いた資料に目を通す。「各チームとの通算対戦成績」という項目があった。驚くことに栃木SCはアルテ高崎(前身のFCホリコシ時代を含む)と6度対戦して、まだ1勝しかしていなかった(1勝3敗2分け)。昨季も2戦して1敗1分けと未勝利。負け越していたのである。近年、ゴタゴタが相次いだアルテ高崎。プロ契約選手が次々とチームを去り、監督交代も激しく組織が弱体化した印象が強いことから、これほどまでに分が悪いとは思ってもみなかった。「選手は相性の悪さにこだわっていなかった」といいつつも、「相手も、うちも(メンバーが)変わっている。今年は違うぞ」と高橋監督はミーティングで言い聞かせた。

連勝しているロッソ熊本、FC岐阜に遅れを取るわけには行かない3位の栃木SC。過去の対戦成績を今季で五分に戻すべく、先ずは2勝目を、そして勝ち点3の獲得を目指した。スタメンはGK原裕晃、4バックは左から高野修栄、谷池洋平、照井篤、北出勉、ダブルボランチに堀田利明と山田智也、左に石川裕之、右に小林成光、センターFW山下芳輝の下にシャドーとして吉田賢太郎を配した。フォーメーションはお馴染みの4―5―1だった。遠征組としてアウェーでの勝利に多大なる貢献をした吉田賢太郎と山田智也。ホーム、グリーンスタジアム今季初登場となった。

大量にメンバーが入れ替わったアルテ高崎は、中盤をダイヤモンド型にした4―4―2を選択した。

福田富一知事、公約果たす。佐藤栄一宇都宮市長とユニホームに身を包み、不恰好ながらタオルマフラーを広げ(途中まで裏側を掲げていた)、サポーターと一緒に“ようやく”「県民の歌」を歌い上げた。スタジアムで4000人近い観衆と県歌を歌った知事は「県民に馴染みのない県歌を(スタジアムで)歌うことで『県民の歌』を知ってもらいたい。また、全国の各競技場で歌いたいし、聞きたい」と述べた。ご多忙だとは思いますが、知事にもなるべくスタジアムに足を運んで頂き、熱を感じ取ってもらいたい。「岐阜、熊本戦でどんな戦い方をするのか」とクラブに対する関心は高いようなので。

さて、本題に。「ジェフ(リザーブズ)戦で高い授業料を払った」(高橋監督)甲斐があった。吉田賢太郎のオープニングシュートを契機に両サイドから攻め立てる。拙い入り方をした前々節の教訓が活かされた。序盤から優勢に試合を運ぶ。大半の時間をアルテ高崎陣内で過ごした。

しかし、ゴールを脅かせない。攻め崩せない、煮え切らない時間が続いたが、高野が左から入れた低いクロスを中央で小林が合わせ損なうも、なぜか右サイドにいた石川がこぼれ球を押し込んだ。均衡を破った石川曰く「おいしかった」そうだ。確かに、プッシュしただけなのだから、ラッキーだったかもしれないのだが、その場所――ゴールに最も近い位置――にポジションを取っていたことは特筆に価する。変幻自在。神出鬼没。石川の特長が発揮された先制点だった。その後、Pボックス内で吉田賢太郎、小林がシュートするも追加点とはいかなかった。アルテ高崎は防戦一方であり、攻め手をなかなか見出せなかった。前半のシュート数はゼロだった。

畳み掛けられなかったものの、完全に最初の45分間を支配した栃木SC。後半もリズムを明け渡さなかった。堀田の縦パスに対して吉田賢太郎が潰れ、結果的にスルーのようなカタチになり小林の元へとボールが届く。守から攻へと切り替わるだろう思っていたDFの足が止まった隙を突いた小林は、ドリブルから冷静に流し込んでチーム2点目にして、栃木SC移籍後初ゴールを挙げる。

高橋監督は手綱を緩めない。体調不良により出遅れたスーパーサブ永井健太を送り出した。吉田賢太郎、山田智也と同様、今季初めてホームのピッチに立った永井。早速、持ち味である馬力のあるドリブルで突っかける。このドリブルは阻止されるもルーズボールは山下、山田智也を経由して小林に渡る。「イメージはできていたが、気持ちの強さがゴールに結び付いた」。浮き球を右足で合わせた。GK岡田大の頭上を越し、緩い弧を描いたボールはサイドネットに吸い込まれた。絶妙のループシュート。技ありである。

「ようやく、結果が残せた。他の選手が結果を出し、茅島(史彦)と永井が前節、得点に絡んでいたのでプレッシャーを感じていた。ホッとしている。やっと、チームの一員になれた、かな」

フリーでのシュートを決めきれない、クロスバーに嫌われるなど、ゴール前のポジショニングは申し分なくとも運に見放されていた小林だったが、2ゴールに安堵していた。

3点リードで勝利をほぼ手中にした栃木SC。試合から遠ざかり周囲との連係に戸惑いを見せていた吉田賢太郎を下げ、横山聡を投入する。いまだノーゴールの横山聡。「信頼している。点差が開いているから、勝負してこい」と指揮官に発破をかけられた。その言葉に発奮し、「点を取ることに集中した」。永井が突破して供給したクロスにニアサイドで詰めた。小林に続き、こちらも嬉しい移籍後、初ゴールとなった。駄目押しとなる4点を奪ってからも、前半にひとり退場者を出したアルテ高崎に、3枚目の交代カード西川吉英が容赦なく襲いかかる。だが、好機を演出するも山下はシュートを立て続けに外した。計4本のシュートを放ったが、残念ながら山下の日ではなかった。これはFWにはよくあること。悲観的になることはない。「強い相手に点を取ってくれればいいのでは」。高橋監督も特段、山下に関しては心配していなかった。

4―0で試合は終了。完勝だった。「内容は一番良い。10点中8点はあげたい」としながらも高橋監督は自身がDF出身であることから、無失点に封じながらもDF陣には納得がいかなかった。ハーフタイムには雷を落としたそうだ。

減点2としたのは、ファウルで事無きを得たが前半にCKからヘディングでゴールネットを揺らされてしまったこと、拙攻を重ねているうちにカウンターを食らいシュートまで持ち込まれたこと、だった。試合前に「相手のリスタートを凌ぐことをポイント」としていたことから「先にボールに触れるべきだった」のに、それが出来なかったことが不満であったようだ。また、「不用意なファウルからCK、FKを与えてしまった」ことも減点の対象となった。

シュートを2本しか打たせなかったにしては些か厳しい採点となったが、今後の上位チームとの対戦に向けて詰めるべきところは詰めておきたいとの思いから、あえて辛口な評価を下したのだろう。セットプレイからの失点は喫していないが、栃木SCのウイークポイントのひとつであることは動かし難い事実。良質なボールを蹴るキッカーが存在するチームに、失点する可能性が高いセットプレイの機会を許さないように心掛ける。より強固なDF組織の構築を高橋監督は頭の中で思い描いているに違いない。要求が高いことは悪いことではない。理想を更に追求してもらいたい。

JFL前期第5節 栃木SC4―0アルテ高崎 @栃木県グリーンスタジアム 観衆3833人

〈アルテ高崎〉GK岡田大、DF松本三四郎、村木伸二(→磯山和司)、濱岡寛、山田裕也、MF川勾邦明(→石川貢)、白山貴俊、今井雅貴、工藤光俊、FW小川雄司、高橋竜太(→杉山拓也)

 

『超守備的4バックからの脱皮』

左サイドバック高野修栄、右サイドバック北出勉は、ハーフラインを越えた位置に構えた。そこから高野は石川裕之を、北出は小林成光を追い越し、ゴールライン深くまで侵入した。

試合開始からイニシアチブを握った栃木SCは、両サイドから厚みのある攻撃を繰り出す。1次攻撃だけに留まらず、2次、3次と波状攻撃を行えた。その要因として両サイドバックが敵陣内でプレイする時間が長かったたことが挙げられる。
 
これまでは高野、谷池洋平、照井篤、北出の4バックだけで最終ラインからボールを運んでいたが、対アルテ高崎戦では山田智也と堀田利明のダブルボランチが交互に組み立てに参加した。ボランチのどちらかが下がることの利点は幾つかある。DFラインへ意識的に入ることで展開力が上がる、スムーズなビルドアップが可能になる、サイドバックを高位置に持っていける、など。そのなかでも、とりわけ高野と北出を攻撃参加させられたことは大きかった。

栃木SCの4バックは、サイドバックが守備に比重を置いていたことから“超守備的4バック”といわれてきた。4枚でスペースを消去することで堅牢な守備ブロックを形成した。失点数は激減した。その一方で、必ず4人が最後尾に残ることから攻撃に割ける人数は自ずと限られもした。紙の上ではサイドバックが存在していたが、実際には4人のストッパーを並べていたといっても過言ではなかった。先ずは“守備ありき”のシステムだったといえる。

しかし、今季は得点力アップを図ることをメインテーマに始動したことから、紅白戦、対外試合で積極的にサイドバックが中盤の選手の外側を回って前に出た。元J選手の個人技だけに依存せず、チーム全体でゴールを奪う、という強い意志が感じられた。

それが、見事に結実したのが先制点のシーンだった。オーバーラップした高野の左クロスからゴールが生まれた。

「トレーニングの成果が出ている。サイドバックの有効利用ができている」

クロスの精度に改善の余地がある、と言いつつも、高橋監督は一定の満足感を得ていた。進むべき方向は間違っていなかった。

最終ラインを4枚からセンターバック谷池と照井にボランチの3枚へと移行。相手2トップに対してひとり余らせるカタチをとることで、数的同数になるリスクを背負わずに、左右のサイドバックを押し出す。攻撃が肉厚となり、サイドバックがオーバーラップし、クロスからゴールへと繋げる。昨季はお目にかかれなかったカタチである。

途中から11対10と数的優位に立ったこと、相手が引いたことで余裕を持ってボール保持できたにしても、サイドアタックが機能した開幕戦の対FC琉球戦より、サイドを効果的に使う攻撃のクオリティは格段に増している。

“超守備的4バック”から脱皮し、両サイドバックがアグレッシブに攻撃に加わる2007年度版の新たな栃木SC像がくっきり見えた、といっても大袈裟ではないだろう。確実に進化している。”攻撃的な4バック”に。

※後期、PSMは明日と明後日にアップします。

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