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戦評:対ソニー仙台FC戦@栃木SC通信

2008年7月13日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

sony.JPG夏場は先手必勝。

後期一発目の試合、アウェーは北谷でのFC琉球との耐久戦を制したことで暑さを味方につけ、勝ち切る方策と自信を手に入れられた。それは前節の対佐川印刷SC戦でも遺憾なく発揮され、望外の4ゴールを奪う圧勝に結び付く。体力の消費が激しいこの時期、とにもかくにも先にゴールを挙げ、相手には許さない。この鉄則さえ遵守できていれば、フィジカルで勝る栃木SCの勝率が下がることはない。

それだけに肝心なのは前半、それも不安定さが付き纏う立ち上がり。

経験則から上野優作は説く。

「前半は体が温まるまで動かない。その時間帯で失点をしないことが大切」

暑さをうまくやり過ごすには序盤からハイプレッシャーを掛けるよりも、ブロックを下げて守備からリズムを作ることが得策である。後期に入り栃木SCは相手に攻めさせ、スタミナを十分に吸い取ってから叩きのめす、“横綱相撲”を身に付けたはずだった。が、対ソニー仙台FC(以下、ソニー)戦では、前半4分の失点が全てを狂わせた。必勝パターンは崩れ去る。

追われるのではなく追いかける立場の難しさは、対戦相手の疲労困憊ぶりから熟知していたはずである。だからこそ、2度も振り出しに戻してからの試合運びに、慎重さが求められたのだが困難を極めた。ソニー戦では常に背中を追っ掛ける展開が続き、いつしか選手の運動量は削り取られていった。2―2まで持ち込みはしたものの、引っ繰り返すだけの余力は残されていなかった。

「先に点を取られると夏の試合はきつくなる。(1点返したことで)『いける』という雰囲気になったが、もう1点取られてしまい難しくなった。勢いがでればよかったが・・・厳しかった」(上野)

引き込むはずのアリ地獄に引き込まれたのは、栃木SCだった。


後期2連勝と最高のスタートを切った栃木SCは、前期からの連勝を7に伸ばすべく杜の都・仙台に乗り込んだ。スタメンは前節から不動。2トップは上野と石舘靖樹、中盤は左に佐藤悠介、右に高安亮介、底に落合正幸と鴨志田誉、4バックは右から岡田佑樹、川鍋良祐、鷲田雅一、赤井秀行の並び。赤井は3試合連続の先発、サブには左足の傷が癒えた小林成光が入った。

アウェー3連戦を2勝1分けと無敗で潜り抜け、首位を迎え撃つには万全の態勢を整えたソニー。元栃木SCの谷池洋平が4―4―2の最終ラインを束ねた。

真夏日の仙台。先取したのはソニーだった。前田和之の横パスから大瀧義史が左足一閃。中長距離からのシュートに絶対の自信を有するGK小針がゴールを割られたのだから、打った大瀧を褒めるしかないだろう。

リードしたソニーは守備に神経を割いた。スペースを消去され、対面の元木数馬のマークを剥がせなかったことも加わり、高安の突破は封じられた。DFラインからしっかりビルドアップを行い、食いついてきたところで背後を突く。ソニーは自分達のやりたいことを貫く。

FKから鷲田の折り返しを落合がボレーで合わせ、GK金子進を脅かした直後の20分。同点弾は生まれた。左サイドで上野がボールをキープし、佐藤に叩く。佐藤は敵陣の深くまで侵入し、ロークロスを送り、ファーに走り込んだ高安が抑えの効いたシュートを叩き込む。完璧に左サイドを崩した。ニアサイドで潰れた石舘の隠れたアシストも見逃せない。

ゴールにより球際での激しさが増した栃木SC。ようやくのお目覚めによりイニシアチブを握るかに思われたが、CKから谷池にヘディングシュートを浴びる。これでもかとガッツポーズを連発した谷池。この一戦に懸ける思いが表れていた。解雇、そして前期の流血騒動の鬱憤を晴らされる。流れを掴み損なった栃木SCは、その後も肝を冷やされるが、辛くも事なきを得る。

後半開始早々、村田純平のシュートがGK小針を襲う。至近距離のシュートを弾き出すも、集中力の欠如からか立て続けにゴールに迫られる。ハーフタイムを挟んでも栃木SCは精彩を欠く。時折、繰り出すカウンターもフィニッシュには繋がらなかった。

しかし、高安が佐藤のサイドチェンジから突破を図れるようになるとリズムが生じる。後半17分に岡田が供給したロブがPボックス内を混沌とさせ、最後は体を倒しながら上野が左足ボレーでネットを揺らす。形勢を逆転させられると呼んだ柱谷幸一監督。2枚替えを敢行する。鴨志田と石舘を下げ、小林と稲葉久人を同時に送り出す。陣形もいじった。小林をトップ下に配し、中盤をダイヤモンド型に移行した。小林が拾えていなかったセカンドボールを拾い、起点を設け、上野が制空権を取り戻す。逆転の機運は徐々に醸成されるも、守備陣が耐え切れず、ぶち壊した。途中交代、185cmの金子央朋にハイボールを落とされ、寄せが甘かったことで村田にミドルを決められてしまう。

「ボクのところで跳ね返せていれば問題なかった。情けない」

金子央朋のマークに付いていた川鍋は唇を噛んだ。

ソニーに守備ブロックを構築されるも、途中交代の斎藤雅也は強引に仕掛け、ラストワンプレーのCKを鷲田がジャンプ一番、頭で合わせるも枠を捕らえきれなかった。最後の悪足掻きも水泡に帰す。

ファイナルスコア2―3。

リスクを冒して攻めに打って出るが届かなかった。敗戦により連勝は6で途絶えた。

「3点も取られたら勝つのは難しい」

柱谷監督は嘆いた。

ハーフタイムにシュート数、ポゼッシンが勝敗を左右するのではなく、重要なのは「ゴール前で決定機を決めきれるか否か」と話をしたそうだが、90分を終えて「両ゴール前での甘さが結果として表れた」。

「何もないです」

石舘は一言いい残し、バスへ消えた。

今季3敗は、これまで喫した2敗以上に選手達を滅入らせた。一様に口は重く、落ち込みの度合いは濃かった。

今季の強さの秘訣は挽回力にある。気持ちを切り替え、月曜日からのトレーニングで反省点を修正して欲しい。

落合は言う。

「下を向いていられない」

JFL後期第3節 ソニー仙台FC3―2栃木SC 観衆1469人 @ユアテックスタジアム仙台

〈ソニー仙台FC〉GK金子進、DF橋本尚樹、谷池洋平(→木村孝次)、亀ヶ渕幹、元木数馬、MF瀬田貴仁、今田傑、大瀧義史、高野和隆(→桐田英樹)、FW前田和之(→金子央朋)、村田純平

〈栃木SC〉交代:鴨志田(→小林)、石舘(→稲葉)、岡田(→斎藤)
  

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