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『再出発』@栃木SC通信

2008年7月13日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

sony2.JPG2ヶ月ぶりの戦線復帰は小林成光にとって、ほろ苦いものとなった。

後半17分、上野優作のゴールによりスコアは2―2のタイとなる。アウェーで勝点1を拾うのではなく、あくまでも強気に勝点3を取ることを選択した柱谷幸一監督。当初のゲームプラン通りの選手交代をする。稲葉久人と小林の2人を一挙に投入。嵩に掛かって攻め立て、逆転勝利を目論んだ。勝負に出る。

小林が配されたのは本職の右ワイドではなくトップ下だった。つまり、フラットな4―4―2の中盤は、ひし形に変更されたのである。底に落合正幸、左に佐藤悠介、右に高安亮介が入った。「守備を意識しながら2トップをサポートする」役割を小林は任される。

ゴールを得た余勢を駆り、流れは僅かに栃木SCへと傾いた。上野と「チームに入っていけなかった」とは言うものの小林が高位置でプレーをすることで、前傾姿勢をとれたことは小さくなかった。ソニー仙台FC(以下、ソニー)陣内で過ごす時間は増える。さらに拍車を掛けようと柱谷監督は最後のカードを切る。疲労の色が見て取れた岡田佑樹を下げ、斎藤雅也を送り出した。左サイドの赤井秀行は右へ回る。フレッシュな斎藤にはサイドの攻防で主導権を握って欲しいとの思惑があった。

果たして、打った手は功を奏しなかった。一時的に盛り返すも、決勝点を掴み取ったのはソニーの方だった。長身FWにハイボールを競らせ、セカンドボールから手数をかけず、カウンター気味にゴールを陥れる。講じた策は見事なまでに的中した。

小林は認識の甘さを口にする。

「もう少し守備の時にポジションを下げてから出て行けばよかったかもしれない。あそこまで簡単にDFがやられるとは思っていなかった」

1ボランチの落合と小林は話し合った。バランスを崩してでも前に残ってプレーしてもいいか、と。

「点を取りに行かなければならない。アグレッシブになるのは当然」

落合の考えである。

小林は出来る限りゴールに絡める、またはゴールを決められる位置にいようと思い至った。小林を押し出した落合であるが、実はかなりの疲労が蓄積していた。試合後、小林は落合と言葉を交わした。「厳しかったです」。落合は体力の消耗が激しかったことを告白した。それは終始、追い掛ける展開を自ら招いてしまった守備陣にも該当していた。致命的な3失点目の足掛かりとなるポストプレーを潰せなかった川鍋。踏ん張りがきかなかった。

「ロングボール1本に対応しきれなかった。なんとか修正したかったが、(1点目と)同じカタチからやられてしまった」(落合)

守備陣の口をつくのは反省の弁ばかりである。個で負けなければ失点を食らうことはなかった。シュートを打たれる際、人数は足りていた。ひとりがアタックに行き、もうひとりはカバーに回れた。だが、あと一歩が出なかった。詰めきれずに失点を喫する。

だからこそ、小林は後悔した。自分が一旦下りてから挟み込むなどしてボールを奪い、それから前に出るべきだったのではないか。サポートしてから攻撃に移る手もあったのではないかと。味方の疲労度までは読み切れなかった。

小林と稲葉で前線を肉厚にし、サイドのてこ入れに斎藤を起用。積極的な選手交代と配置転換により、アンバランスは覚悟の上で勝利を追求した。リスクを負った采配は責められないが、反撃の芽を摘んでしまった守備陣は猛省をしなければならないだろう。

「開始早々、セットプレーとしてはいけない失点だった。2―2に追い付いてからもわりと早い時間に失点をした。ボクも含めて守備はいいところがなかった」

苛立ちを押し殺しながらGK小針清允は3点も献上した拙い守備の不甲斐なさを語った。

2試合連続の零封により立て直しの兆しが窺えた守備だが、大量失点による敗戦で築き上げつつあった自信は揺らいだ。

一から出直しである。

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