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戦評:対ジェフリザーブズ戦@栃木SC通信

2008年7月28日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

016.JPG虚を衝かれた、わけではない。スカウティングの段階で頭の中にはインプットされていた。相手がセットプレーを早く行ってくることを。つまり、全く予期せぬ攻撃だったわけではない。だからこそ、歯がゆく、もどかしさは募る。

「セットプレーを早く蹴ってくる情報は入っていた。情報が入っているのにピッチで表現できないのは、選手のミスだと思う」

落合正幸は歯を噛んだ。

後半34分、FKからのクイックリスタートに戸惑う。対応しきれず、ゴールネットは揺らされる。警戒心は僅かに薄れ、それは大きな痛手となった。

2試合で計6失点。修正するべき課題は明確だった。当然ながら今週のトレーニングは守備に重点が置かれた。マークのズレを確認し、改めて1対1の勝負では絶対に負けないことも肝に銘じた。必然的に決壊している守備陣だけではなく、チーム全体の守備意識は高まった。

「組織としては破られなかった」(柱谷幸一監督)

流れの中から崩されたシーンは皆無だった。前半29分、後半1分と好機を作られはしたものの、それ以外はほぼ磐石だった。築き上げたブロックは強度を保ち、攻撃をしっかりと跳ね返せていた。

しかし、ゴールを2度も脅かされたのはセットプレーとその流れからだった。リスタートに対する守備は覚束なかった。フリーでダイビングヘッドを許し、競り合いで後手を踏んでは、どうしたって屈強なイメージは湧いてこない。右サイドバックの岡田佑樹はこんな風に感じている。

「CK、FKに怖さを感じる。完全に弾き返せているわけではないから」

好印象を抱けないセットプレーからの失点に岡田は絡んでしまう。「あそこはオカの判断ミスだった」。失点シーンを振り返りながら指揮官はあえて岡田の名を挙げた。個人に責任を押し付けるには、あまりにも酷な状況だった。「マークのズレは自分の責任だった」と右サイドでコンビを組んだ小林成光が話す通り、周囲の準備は整っておらず、集中力の欠如が失点の要因だったからである。非は岡田ひとりにはない。

ボールが蹴り込まれた瞬間、状況は1対2と数的不利だった。走り込んできた選手に、ボールに釣られてしまうのは致し方がないことである。ゴールを決めた選手のマークを外してまで競りに行った岡田の選択は、大きな間違いだったとは言い切れない。それでも、柱谷監督は「一発でクリアできないならば、中途半端なポジションをとるべきだった」と注文を付けた。相手選手2人の間に位置していれば味方のサポートを待つ時間を稼ぐ、或いはトラップした時にチャレンジに行けたかもしれない。そう考えているからである。困難な状況でも対処可能な能力を兼備しており、カバーリングに優れている岡田であれば防げたはず。そう思い至ったからこそ厳しい発言に繋がったに違いない。無理な選手に高い要求はしない。

辛辣な言葉をぶつけられた岡田は言う。

「ロングボールを跳ね返す力は(相手と自分で)五分五分。自分が強くなることで安定感のある守備をしたい」

常に進歩を遂げるための向上心が絶えることはない。零封できない守備の
特効薬はない。結局のところ最終ラインの不安定さは個を伸ばすことでしか解決できない。一人ひとりの心身両面での逞しさがユニットとしての機能を高める。


好対照なチーム同士の対戦となった。ホーム全勝の栃木SCと、未だホーム未勝利のジェフリザーブズ(以下、ジェフ)。

瓦解している守備陣の立て直しを図り、勝利も持ち帰りたい栃木SCの布陣は、GK小針清允、DF斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田、MFは底に落合正幸、鴨志田誉、左に佐藤悠介、右に高安亮介、FWは上野優作と横山聡が並んだ。向慎一に代わり鴨志田が先発に復帰した。

18人の平均年齢が20.7歳のジェフは、4―4―2の変則4―5―1だった。

鴨志田が中盤の底から果敢に前に出る。トップ下のようなポジションを取った。前線へのサポート意識は強く、慎重ながらもリスクを冒すことも忘れなかった。ボランチラインでボールを引っ掛けては、サイドチェンジで高安をスペースへと走らせた。

「ジェフの守備は強かった。CB2人には強さと高さがあった」と柱谷監督。ショートパス主体の攻撃は序盤だけ。その後はリトリート(帰陣して陣形を整える)してスペースを埋めたジェフ。守備に比重を置く。2トップにべったりと張り付き、起点を設けさせなかった。中央を固め、ボールが集められた高安のドリブル突破も阻んだ。栃木SCは攻めあぐんだ。

栃木SCも同様の試合運びをする。守備組織はジェフの攻撃を寸断し続けた。互いに失点しないことを心掛けたことで試合は膠着する。共に好機は一度ずつだった。

些か退屈な試合を動かしたのは、個の力だった。2トップが確保したボールが左へと叩かれ、佐藤が1対1を楽々と制し、振り抜いた左足からのシュートは逆サイドネットへ突き刺さった。間合いを計り、躊躇いなく一太刀で仕留める。鋭さはまさに剣豪のようだった。再三、味方から供給されるボールを追っ掛けた高安がモモを痛めて退場(小林が交代出場)。アクシデントに見舞われるも、前半35分の先制点を保持したまま45分を折り返す。

後半開始早々にFKから窮地を招くも、GK小針がヘディングシュートを弾き出す。難を逃れた栃木SCは人もボールも走るようになり、佐藤が試合をコントロールしたことでイニシアチブを握る。ショートカウンターを効率的に繰り出した。だが、アタッキングサードにまで持ち込むも肝心のフィニッシュに至らない。左からの良質なクロスから上野が追加点を狙うも、ジェフDFも粘ったことで決定機とはならず。逆に一瞬、生じた隙を衝かれて同点とされる。素早いFKから山中誠晃が潰れ、こぼれ球をPボックス内でフリーの堀川恭平が流し込んだ。

振り出しに戻されるも、気持ちが萎えることはなかった。岡田は無尽蔵のスタミナで何度も右サイドを駆け上がり、佐藤は左から危険なクロスを届け、鴨志田はボール奪取から前に飛び出す。が、残念ながらシュートには結び付かなかった。カタチは出来るもシュートを打ち切れない展開が繰り返され、ロスタイムの3分が過ぎ去った。ドローという結果が残り、勝点2を取り損なった。

「今のチーム状態を物語っていると思う」

総括を求められた佐藤は、そう述懐する。栃木SCの今とは。「1―0では勝ち切れない」「踏ん張りきれない」、すなわち「力のあるチームではない」ということになる。オブラートに包むことなく佐藤は言い切った。

「胸を張ってJへいけるチームではない」

佐藤は成長を感じ取ってはいるが、一方で首位のチームが有する風格が伴っていないとも思っている。足りないものを手のするために再度、「監督から何を求められているのかを確認する」必要性を説いた。そして、それがぶれているようでは、求められていることが理解できないようでは本物の強さは身に付かない、と付け加えた。

上に行くためには、まだまだ多くの苦難が待ち受けているようだ。

JFL後期第5節 ジェフリザーブズ1―1栃木SC 観衆1017人 @市原臨海競技場

〈ジェフリザーブズ〉GK大河原弘樹、DF安川洋介、宇野勇気、田中淳也、李智星、MF蓮沼剛、中原浩介(→山中誠晃)、金正旭、鳥養祐矢(→平田直也)、FW乾達朗(→加藤韻)、堀川恭介

〈栃木SC〉交代:高安(→小林)、横山(→石舘靖樹)、上野(→稲葉久人)
  

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