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『過剰な守備意識が殺いだ躍動感』@栃木SC通信

2008年7月28日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

013.JPGFKから集中力が途切れたことより喫した失点を悔やむ一方で、「1点では試合展開は分からない。1―0の状態で取っておきたかった」と、柱谷幸一監督は次のゴールが遠かったことを嘆きもした。

栃木SCもジェフリザーブズ(以下、ジェフ)も、堅牢な守備ブロックを構築したことで、前半はゴール前の攻防が極端に少なかった。両者ともに手堅く試合を進めたことで見所に乏しかったが、35分に佐藤悠介の個人技でジェフの守備網をぶち破り、先制する。数少ない好機をゴールに結んだ。

ここ数試合の失点数、不得手のアウェーという状況を考慮すれば、僅差では勝ち切れない、との思考が働くのは道理である。2点目を狙いに後半頭から攻めに打って出る。大人しかったジェフとは対照的に、栃木SCはじわじわと圧力を掛け、雌雄を決するゴールを奪いに行った。ゴールへの意識は格段に高まったがシュートを浴びせられず、中盤に差し掛かるとペースダウンしてしまう。試合開始前からしとしと降っていた雨が上がったはいいが、止んだ途端に今度は湿気が急上昇。いくらフィジカルに分があるとはいえ運動量は落ちる。勢いは削がれた。

なるほど、体力の低下は動かし難い事実だった。足取りは重くなっていた。しかし、拙攻の原因はスタミナの消耗に限ったことではない、と落合正幸は言う。

「弱気になってしまったことで周りが下がってしまった」

スリッピーなグラウンドでしっかりとボールを止めて蹴る作業が、プレッシャーに晒されても出来なかった。メンタル面で守りに入ったことが決定機を生み出すことを阻んだ。「ボールを取った瞬間に拡がる、受けに行く、サポートに入るなどの動作が足りなかった」。

そして、落合はこうも言っている。

「守備から(攻撃に移る際)休む時間が長かった」

効率のいいカウンターを繰り出しはしたが、ゴール前に顔を出した人数は数えるほどだった。「ボールを取ることに一杯一杯」。守備一辺倒になったことで、カウンターから鋭さは失われた。つまり、守備に神経を割いたことが、攻守の切り替えに時間を要するという弊害に繋がってしまった。0に抑えよう。意思統一はいつしか強迫観念に摩り替わり、出足を鈍らせた。

途中からピッチに立った小林成光は、ボール回しから微妙な気持ちの揺れを感じ取っていた。リードしていることからセーフティに試合を押し進めるのか、それともリスクを冒して追加点を取りに行くのか。方向性が定まっていなかったことで、好機を演出するような仕掛けができなかった。「しっかり前を見ていたら起点が出来ていたはず。安全なプレーを選んでしまった」。前への推進力が働かないはずである。

連続失点を食い止めなければならない。過剰なまでの守備意識は破綻をきたしはしなかったが同時に、攻撃から躍動感を損なわせもした。

攻守におけるバランス感覚は難しい。オープンな展開から失点をしなかったとはいえ、無失点に封じられなかった。1点は手にするも、2点目は掴めなかった。現状では1点を守りきることは容易ではない。だからといって撃ち合いを挑み、大雑把な試合が続くようでは自信喪失気味の守備陣の再構築は図れない。実に悩ましい。

キャンプから取り組んできたチームコンセプト―失点をせずに僅かな好機を決め切るという原点に再び立ち返る時期なのではないだろうか。中断期間に修正を行えばいいと悠長なことはいっていられない。横河武蔵野FC、HondaFCと譲れない難敵との対戦が控えているからである。

「一人ひとり僕自身も含めて今日のゲームで学んだことを活かし、カタチにしなければならない」(佐藤)

時間は待ってくれない。

「集中しなければならないというよりも、(課題を克服するために)行動に移す姿勢を持たなければならない」(落合) 

火曜日、平出のトレーニングから正念場に向けた戦いが始まる。  

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