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戦評:対MIOびわこ草津戦@栃木SC通信

2008年8月 4日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

mio1.JPGメモを取る手が追い付かない。柱谷幸一監督が機関銃のようにまくし立てたからである。次々と言葉は吐き出され、怒気を帯びた表情を隠そうとはしなかった。

前半43分に横山聡が、後半2分に上野優作がゴールを奪う。2点のビハインドを帳消しにした。スタミナが切れたことでMIOびわこ草津(以下、ミーオ)は足が止まり、後半22分には退場者を出した。逆襲の機運は醸成される。残り20分あまり、栃木SCは一方的に攻め立てた。が、終ぞゴールを、勝ち越しの3点目を手中に収めることは叶わなかった。

指揮官の怒りの矛先は守備陣に向けられた。

「何回も同じことを言っている。そこがうちの、DFラインの弱いところ」

ワンサイドゲームではあったが、危機を招いたシーンもいくつかあった。象徴的だったのは後半35分。FKのこぼれ球からカウンターを浴びた。局面は3対4。相手のオフサイドに救われるも、警戒心が希薄だったと言わざるを得ない。ミーオは前線にひとりを残し、他の8人は自陣に引いていた。守りを固めて機を窺い前に出る。カウンターが効き易い状況ではあった。それでも、2対1、あるいは3対1の状況を保ち、マークを外さずにいれば窮地に陥ることはなく、いったん跳ね返されたボールから再び攻撃の再構築が滑らかに行えたはずである。イニシアチブを握ってはいたが、畳み掛けるような攻撃が見られなかったのは、守から攻の切り替えの悪さが挙がる。

「利点が活かせなかった」とは川鍋良祐。易々とボールを渡してしまったことで、預けられてしまったことで、攻撃の芽が開いたり萎んだりしてしまった。「守備からボールを奪えていれば厚みのある攻撃ができた」と臍を噛んだ。

こしらえた好機をゴールとして結実させられなかった攻撃陣にも責任はあるが、むしろ前傾姿勢を取り続けることを阻んだ守備陣の対応の拙さ、「体力をロスさせた」ことの方にこそ問題があった。

「ずっとやれていない」

柱谷監督は、そう糾弾した。所謂、アラートな状態にないことは、前期の対戦時にも指摘されていたことである。課題は克服されず先送りにされたままだったといえる。リーグ戦が中盤から終盤に差し掛かる大事な時期に指摘されるようでは心許ない。

選手に伝える。浸透しない。口を酸っぱくして訴えても身に付かないようでは、自ずと言葉も刺々しくなる。

「やろうと思わないと。大事なことを自分でやろうと思わなければ出来ない。皆で話し合いたい」

事態は想像以上に深刻さを極めている。チーム状態は下降線を辿り、今はどん底にある。危機感を募らせ、持ち越された課題を消化しない限り、今後も苦戦は避けられないだろう。綻びは早急に修繕しなければ拡がるばかりである。


敵地での敗戦、ドローと勝点の取りこぼしを、次戦のホームゲームで穴埋めしてきた栃木SC。ジェフリザーブズと1―1に終わり、次なる戦地は滋賀の湖南とホームには戻れず、アウェー2連戦となった。守備の立て直しの兆しが千葉では見られたものの、継続性に欠ける。序盤から波乱の様相を呈した。陣容はGK小針清允、DFは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋、赤井秀行、中盤は落合正幸と鴨志田誉のダブルボランチ、左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに岡田佑樹が入り、上野優作と横山聡が2トップに起用された。肉離れの高安亮介に代わり岡田が一列前にポジションを上げ、右サイドバックに赤井が収まった。

4連敗後にドローを挟んで3連敗。一時の勢いに翳りが出始めたミーオは、補強によりてこ入れを図る。JからFW村瀬和隆、DF李成浩を加えた。

「最近、こういう展開ばっかりですよね」

先行を許し、追っ掛ける状況を上野は嘆いた。開始僅か12分で2度の被弾。セットプレーから虚を突かれた千葉での教訓、「集中力の欠如」が活かされなかった。

9分、スペースに出たボールを鷲田が競り負け、安部雄二郎にドリブルからシュートを決められる。11分に栃木SCはゴールほぼ正面、絶好の位置から佐藤が左足を振るもクロスバーに嫌われ、詰めた鴨志田のシュートも枠外へ。同点の機会を逸するとCKの流れで鴨志田が佐藤に叩いたボールを強奪され、ミーオのカウンターが発動。冨田晋矢のスルーパスに飛び出した大江勇詞が追加点を挙げる。序盤から旺盛だったミーオは中盤でのパス回し、運動量で勝り、攻勢であり続ける。

栃木SCもサイドでの攻防では引けを取っていなかった。ことに右ワイドへ今季初めて配された岡田は縦横無尽にピッチを駆け回った。ストロングポイントであった一方で、岡田と赤井の間に大江が潜り込み、時間帯によってはウイークポイントになりもした。18分、赤井のフィードに抜けた上野のシュートは阻止されるも、前線へのボールの収まりがよくなると好機が増え始める。岡田と佐藤はPボックス内でシュートを放った。38分に岡田の右クロスがファーサイドへ抜け、佐藤が狙ったシュートはブロックされるが、43分にクイックリスターから再び岡田が送ったグラウンダーのクロスはゴールに結び付く。押し込んだのは横山だった。

前半終盤に1点を返せたことは小さくなかった。「聡のゴールは大きかった」と話した上野。後半早々に試合を振り出しに戻す。オーバーラップした赤井の右からのクロスを直接蹴り込んだ。俄然、反撃ムードは高まる。両サイドからスピードに乗った攻撃は躍動感に溢れていた。勝負を決める3点目を奪うために横山と上野を立て続けに下げて、石舘靖樹と松田正俊を投入。フレッシュな2人は果敢にラインへと圧を掛けた。流れを引き込んだことでプレスも機能し始め、石舘はDFの前に入り込み決定的なシュートを打ち込んだ。GK田中剛の好守にあうも、石舘はドリブルで突っかけ石澤典明を退場へ追い込んだ。

劣勢を挽回し、数的有利と逆転への条件は整い、気配は濃厚となる。しかし、ロスタイムを含めて約25分間で栃木SCはゴールを割れなかった。佐藤の左クロスから途中交代の稲葉久人がシュートしただけと、作り出した好機は数えるほど。試合を支配した割にはゴールに迫れなかった。

ファイナルスコア2―2。

またしても栃木SCは勝利をもぎ取れなかった。

「3点目を取れなかったことが悔しい」

横山は勝点3が目の前にありながら逃したことで「力不足」と付け加えたが、「負けたわけではない。いい方向に考えていきたい」と現状をポジティブに捉えてもいた。

欲を言えば切りが無い。引っ繰り返す芽はあったのだから。だが、極暑の中で2点を取り返せたことを、勝点1を拾えたことを、プラスに考えるしかない。

独特の表現で柱谷監督は言う。

「テープを巻き戻してやり直せない」

前を向き、準備を怠らずに戦っていくしか他に手は無い。

ホームでリーグ最小失点の横河武蔵野FCを迎え撃つ一戦に勝利することで、アウェーで受けた傷を少しでも癒したい。

喪失した自信を回復させる特効薬などない。ただし、1―0で勝ちきれれば事態は緩やかに上向くかもしれない。ゴールラッシュと完封。今、渇望して止まないのは後者ではないだろうか。

JFL後期第6節 MIOびわこ草津2―2栃木SC 観衆746人 @湖南市市民グラウンド陸上競技場

〈MIOびわこ草津〉GK田中剛、DF李成浩、石澤典明、田尾知己(→金東秀)、桝田雄太郎、MF若林令緒、田中大輔、大江勇詞、冨田晋矢、FW安部雄二郎(→アラン)、村瀬和隆(→壽健志)

〈栃木SC〉横山(→石舘)、上野(→松田)、岡田(稲葉)

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