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『苦難は幸福』@栃木SC通信

2008年8月 5日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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庇護する訳ではない。失点がかさんでいることは厳然たる事実であり、顕在化している。守備陣に責任転嫁してしまえば、肩の荷は幾分か軽くなるだろう。しかし、問題点を他人に押し付けることで得られるものなど多くはない。むしろ、空中分解を引き起こす種を蒔く行為に等しい。

横山聡は言う。

「失点は守備陣だけの責任ではない」

序盤の連続失点は確かに痛かった。それが最後まで響いたことは追い付くのが精一杯の状況が、ドローという結果が、如実に示している。2点差を引っ繰り返すことは容易ではない。ここ数試合、先手を取られていることも気掛かりである。それでも、守備陣を槍玉に挙げることはない。「後ろはしっかりやってくれている」という思いに加えて、振り返ってみれば「守備陣に助けられた試合が多かった」と考えてもいるからである。

瞼を閉じればGK小針清允を中心とした守備陣が踏ん張ったことで、小差のゲームを勝ち切ってきた絵が浮かぶ。攻撃陣がゴールを奪えなかった時、耐えてくれたのは後ろの選手達である。とても批判する気にはなれない。

「暑い中で3点を返すのは難しい」。横山はそう思う一方で、こんな感情も抱く。「引っ繰り返すチャンスはあった。前がチャンスを決め切れなかったのは力が足りない」。リーグ最小失点の肩書きは失われた。壊滅的な状態にあるからこそ守備陣を攻撃陣が盛り立て、リードしていく必要がある。そうすれば悪しき状況は好転するかもしれない。

上野優作も失点の原因を守備陣に限定することは、得策ではないことに同意している。

「守備陣だけではなくチーム全体、FWも含めて守備をもう一度考えたい」

具体的な改善点を上野は話す。FWは前線からのボールの追い方、ボールの失い方ひとつにしても細かく気を使うべきだと。ボランチの鴨志田誉は、ボールを奪う位置に注意を払うべきだと説く。DFラインを上げるのか、それともFWを下げるのか。明確にしなければ、失点は止まらないと言い切った。前線と中盤の助けなくして、堅固な要塞は築けない。

GK小針の好守により前期は覆い隠されていた欠点が、ここにきて浮き彫りになってきた。チームに波があるように、GK小針にも好不調はある。また、リーグ戦にはバイオリズムが付き物でもある。栃木SCとGK小針の状態は芳しくない、と言っても過言ではない。

集中力を維持できないことが失点に直結し、勝点3をものに出来ない要因なのだろうが、「上手く歯車が噛み合っていない」ことも無視できない。クロスゲームを勝ち切れた要素が薄くなった今、安定感のある試合運びをするには、やはり「今まで以上に守備意識を高める」(横山)ことが求められる。

誰もが現状に喘いでいる。何かを勝ち取る厳しさは想像を絶する。重圧は生半可なものではない。だが、苦難を乗り越える機会を与えられているクラブは、ほんの一握りに過ぎない。発想を転換すれば極上の幸福を味わっているともいえる。

困難な事態に直面してもこれまで乗り切ってきた実績を、どん底に居る時こそ活かすべきである。  

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