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戦評:対横河武蔵野FC戦@栃木SC通信

2008年8月10日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

176.JPGのサムネール画像のサムネール画像リーグ最多の49ゴールを誇る栃木SCの「矛」か、それともリーグ最小失点20と堅守を轟かす横河武蔵野FC(以下、横河)の「盾」か。試合の構図は鮮明だった。

果たして、「矛」が「盾」を突き破ることは叶わなかった。スコアは2度目の対戦でも0―1。同じ相手に、またしても苦杯を舐めた。

「点を取れなかったことだけが、今日のゲームでは出来なかった」

この日の柱谷幸一監督の言葉は、負け惜しみに聞こえなかった。前期と同様に完封されはしたものの、中身が大きく異なったからである。

アウェーの武蔵野に乗り込んだ際、拙攻が繰り返され、好機は全く作れなかった。のらりくらりとした相手の術中にはまり込み、サッカーをさせてもらえなかった。

敗北を喫するが、一転してホームでの栃木SCは数多の好機を生み出した。前半10分、斎藤雅也のロングシュートを皮切りにゴールを脅かす。その回数は二桁近くに迫った。公式記録によるシュート数は17本。約半数がゴールに繋がる可能性があったといえる。

しかし、ゴールは遠かった。足りなかったのは、雌雄を決したのは、決定機を決め切る力だった。それが横河にはあり、栃木SCにはなかった。

「守備はオーガナイズされている。粘り強い相手」(柱谷監督)に対し、戦前の予想に反する数のシュートを浴びせた。内容も前節より格段に向上した。それでも、勝ち切れなかった。

「ゴールに嫌われたかな」

指揮官は運に見放されたことで、そう漏らした。好機が結果に結び付かない。34試合の長丁場では必ず数試合、そんな展開に陥る。リベンジを果たすことで悪しき流れを絶ち切り、再び波に乗るには横河は絶好の相手だったが、ゴールを取りきるという点での巡り合せが悪かった。

3試合も勝ち星から遠ざかっている。今季、初めて味わう痛みと屈辱。フラストレーションは溜まる一方であるが、勝利に縁がなかった。そう割り切った方が得策である。負の感情を引きずらないためには。

「気持ちを切り替える。若い選手も多いので出来ると思う」

今はGK小針清允の言葉を信じようではないか。 


アウェー2連戦で2つのドロー。勝点を4つも落としてきた栃木SCは、無類の強さを発揮するホームに戻ってきた。「全勝を継続しよう」。試合前、選手たちは誓い合った。スタメンは以下の通り。GK小針、DFは左から斎藤、鷲田雅一、川鍋良祐、赤井秀行、中盤は底に落合正幸と鴨志田誉、左に佐藤悠介、右に岡田佑樹、2トップには横山聡と出場停止の上野優作に代わり松田正俊がパートナーに指名された。

前期終盤に失速。首位争いから転落した横河であるが、後期は○△△△○○と再建に成功。再度、上位に顔を出してきた。2失点以上した試合がひとつもない。堅実な守備が特徴であることは、開幕から不変の強みである。

「(栃木の)中盤は強い。イニシアチブを握るために、そこの(裏の)スペースを突くことを考えた」とは横河・依田博樹監督。中盤を省略し、金子剛と岡正道の2トップを走らせた。執拗に。3分、金子剛に裏を取られはしたが、プレスが強まるとロングボールの精度も落ち、栃木SCが攻勢に回る。ボランチラインで引っ掛けてから前に出た。11分には落合がインターセプトから持ち上がり、左の佐藤へ叩いて左足を一閃。強シュートは枠内を捕らえるも、GK金子芳裕に阻止される。

金子剛と岡のコンビから危機を招くも回避すると、栃木SCは左サイドを軸に攻め立てる。FKから横山が、CKからは松田がゴールを脅かしもした。「ボールが回ってこなかった」。右サイドバックの赤井が話す通り、左偏重であり、アンバランスが目に付くも、優勢に試合を運んでいたことで、さほど気にはならなかった。むしろ、気掛かりだったのは、ゴール前での応対に躊躇いが見られたことである。39分、カウンターから岡に決定的なシュートを放たれる。GK小針が腕一本で叩き落としたが、赤井が1対1でかわされていなければ冷や汗はかかなかった。

前半ロスタイム、栃木SCはネットを揺らされる窮地も、相手オフサイドで逃れる。持ち直して先手を取りたかった後半。5分に失点を、1点勝負の試合で喫してしまう。左サイド、ゴールライン際で鷲田と岡がマッチアップ。あまりにもあっさりと鷲田は振り切られ、供給されたクロスを加藤正樹に頭で突き刺された。「自分のマークの意識をはっきりさせないと。サイドからのクロスに対応できない」。加藤に前へ入り込まれた赤井は下を向いた。局面での弱さが浮き彫りとなる。

リードを得たことで堅守速攻の色合いを濃くした横河。対する栃木SCは石舘靖樹、稲葉久人、初出場の坂本勇一と次々にアタッカーを注ぎ込み、同点に追い付く態勢を整える。流れを完全に掌握し、佐藤は直接FKを、岡田は切り込んでからミドルを、坂本はダイビングヘッドから同点弾を狙うが、1点を奪うことは容易い作業ではなかった。

ホーム全勝を途絶えさえるわけにはいかない。逸機しても諦めることなくゴールを窺う。最終手段であるパワープレーを敢行し、強固な守備組織を崩しに掛かる。が、ゴール前に人数を割いた横河の壁は厚く、タイムアップまで崩れることはなかった。

「先に失点せずに点を取れれば、勝つ可能性はある」

結果的に依田監督の思惑通りに事は運び、栃木SCは12試合目で開幕からのホーム連勝記録をストップされた。

次節は今節、共に足踏みをした2位・HondaFCとの天王山である。ドロー2つに、敗戦が塗り重ねられた現状に「気持ちを切り替えるのは難しい」と横山は言う。弱音を吐く一方で、「サポーター、ファンの信頼を取り戻すために勝点3を取る」と固い決意を口にした。続ける。「内容よりも勝点3を死に物狂いで取りに行く。アウェーで勝点3を取れれば、かなりの自信になる」。

昨季、横山は涙を呑んだ選手の一人である。「同じ過ちを繰り返すと昇格を逃す」と連敗することに危機感を募らせており、だからこそ「アウェー、相手がHondaだが勝点3を」と勝利を貪欲に求める。そのためには、「形振り構わない」とも付け加えた。

「Jでやるためにここにいる」(横山)

現況は芳しくないものの、首位に立っていることに自負を抱き、俯くことなく「強い気持ちで向かっていく」重要性を説いた。

JFL後期第7節 栃木SC0―1横河武蔵野FC 観衆4307人 @栃木県グリーンスタジアム

〈栃木SC〉交代:松田(→石舘)、横山(→稲葉)、鴨志田(→坂本)

〈横河武蔵野FC〉GK金子芳裕、DF大澤雄樹、瀬田達弘、小山大樹、金守貴紀、MF加藤正樹(→池上寿之)、安藤利典、太田康介、野木健司、FW岡正道(→高橋周大)、金子剛(→石川清司)
 

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