ホーム > コラム 『The Cut(仮)』 > 『体裁を取り繕う暇などない』@栃木SC通信

『体裁を取り繕う暇などない』@栃木SC通信

2008年8月10日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

165.JPG歯が立たない。今季、栃木SCが拠り所にしてきた「ホーム全勝」も「挽回力」も。はまりこんだ悪しき流れの前では。

開幕からの好循環は、ここにきてついに滞った。前節、上手く歯車が噛み合っていないことを上野優作は指摘している。前期はものに出来た接戦を勝ち切れなくなってきた、と敏感に察知したからである。ジェフリザーブズ戦では1点のリードを守りきれず、MIOびわこ草津戦(以下、ミーオ)では劣勢を覆すもその後の数的優位を活かせず、横河武蔵野FC戦(以下、横河)では引いた相手を攻め崩せなかった。

波間にある苦しい現状を象徴するかのようなシーンが、2戦連続して見受けられた。対ミーオ戦の前半11分、対横河戦の後半20分。ゴールほぼ正面。プレイスキッカーは、もちろん佐藤悠介。高性能の左足ならば射程圏内の距離である。きっちりと枠へと飛ばす。だが、2度ともクロスバーを叩いた。これまでならばゴールネットを揺らしていたはずのボールは、ゴールマウスに嫌われ、綺麗に弾かれた。佐藤は頭を抱え、思わずその場にしゃがみ込んでしまった。苦境を打破してきた絶対的な武器の効力も弱まっている。

ツキも味方に勝利を積み重ねてきたチームは、そっぽを向かれ始めた。由々しき事態である。勝ち運が尽きたわけではないが、勝機を手繰るには相当の労力を要する期間に突入してしまった。

柱谷幸一監督は痛感している。「2点以上を取らないと勝ちゲームを持ってくるのは難しい」と。偶発的な要素による失点も考えられる。今の守備力では、1点を守り切ることは困難を極める。だからといって、攻撃陣への過剰な期待は禁物である。常にゴールが奪えるほどサッカーは甘くない。2順目に入ったことで対戦相手も研究を重ね、対策を練り込んできてもいる。易々とゴールに勝利を譲り渡してはくれない。横河戦では数多くこしらえた好機も、今後は減少する傾向が予想される。今まで以上に求められるのはラスト3分の1での精度であり、絶好機を逃さないという固い意志であり、流れを掴んだ時に一気に押し切ってしまえる力強さである。

翳り出した勢いを取り戻し、再び加速させるのは簡単ではない。昨季、東京ヴェルディで昇格レースに身を置いた佐藤は、素直に力不足を認めた上で言う。

「変えていかなければならない。劇的には難しいが一人ひとりが意識を変えれば変わっていく。問題は多いが一つ一つ改善できるものからやりたい」

どん底から一足飛びに這い上がることなど出来ない。優れた効能を有する薬も存在しない。しかし、しょぼくれ、静観しているだけでは変化は起こらないし、起きるはずがない。再度、自分達が何を目指して戦っているのか。見詰め直す必要がある。

海の奥深くまで沈んでしまったのだから、この際ジタバタもがこうではないか。プロ化により手にした勝敗に対するドライな一面は今現在、不可欠な要素ではない。もっと声を出し、泥臭く、気持ちを前面に押し出していかなければならない。体裁など取り繕う暇などないのだ。誰が音頭を取ろうと構わない。徹底的に話し合い、改善点を炙り出し、突破口を見出すべきである。ズルズルと尾を引き、悲嘆した昨季と同じ轍を踏まないためにも。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 『体裁を取り繕う暇などない』@栃木SC通信

このブログ記事に対するトラックバックURL:

コメントする