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『植え付けられた意識』@栃木SC通信

2008年9月 1日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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同点弾をぶち込んだ向慎一は言う。

「打てる場面で僕等、中盤も打っていく。そういう部分を実行する。シュートだけが重要ではないが、回数が少ないゴール前へ行く意識を変えることで流れが変わると思う」

HondaFC(以下、Honda)戦ではピッチに立てなかった。外から戦況を見詰め、思った。「シュートが少ない」と。実際に記録されたシュートは僅か数本だった。リーグ戦のつもりで臨んだという水戸ホーリーホックとのトレーニングマッチ。「アタッキングサードに入ったらシュートを打ってやろう」。フィニッシュへの意欲は自信に繋がるゴールとして結実した。

「シュートは枠を外れていたかもしれない。でも、(シュートを打つ)意識があったからこそ決まった」

充実感が漂う。

向の一撃は流れを引き寄せ、反撃の狼煙となった。チームは活気を取り戻し、逆転勝利を飾ることになる。試合終盤には疲労と打撲によりパフォーマンスは落ち、ミスが目に付いた。柱谷幸一監督は「ボールへの寄せの甘さ」を指摘した。守備面では課題が残った。しかし、Honda戦で感じた物足りなさを、持ち前の推進力を生かすことで埋めることは出来た。自身とチームの問題点をひとつ克服した。

「ボランチがゴールを目指していく。結果にこだわりたい」と話す向は、「流れを変えられる原動力になれれば」とも口にした。悪しき流れを断ち切るには、「TMなので逃げるプレーよりはチャレンジする」積極的なメンタリティーを兼備した、ミスを恐れない選手が求められるのではないか。向は起爆剤に成り得る資質を有している。

意識が変わったのは個人だけではない。

「前へボールをつける。シン(向)にも言っていた。前へボールを入れるように」(上野優作)

ポゼッションを意識したトレーニングを入れたことにより、これまでのボコボコ前線にハイボールを蹴り込むだけの単調で退屈なサッカーからの出口を見い出せた。出足の鈍さに起因する失点はいただけなかったが、痛みを味わったことで目が覚めたのか、ボールはテンポよく芝の上を走るようになる。

前半、バックパスが目を引いた。相手のプレスに萎縮した部分もあったことは否定できないが、意図の乏しいロングボールを闇雲に蹴ることからの、簡単にマイボールを譲り渡すことからの脱却を図る狙いがあったと柱谷監督は話す。一旦、最終ラインで作り直し、ボールを動かすことで相手の陣形が崩れるのを窺うことを心掛けさせたという。感触は悪くなかった。まだ、自陣の深いエリアで奪ったボールを単純にトップへ放り込むシーンは見受けられるが、以前よりは減少傾向にある。

ビルドアップが滑らかになる兆しは感じ取れた。1タッチ、2タッチでボールを回してトップにボールを預けることは、屈強なセンターバックがいればクサビを潰し、カウンターを受けるリスクは伴うものの、一方で攻撃の幅は拡がる。セーフティに事を運ぶことも時には必要であるが、終盤になると一層心許無くなるポゼッションが高まれば、いなせるようなボール扱いがチームとして可能になれば、グンと勝率は上がる。

ボールを大切にする気持ちを植えつけられたのだから、水を絶やさずあげることで根を枯らさないようにしなければならない。

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