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『上策か、下策か』@栃木SC通信

2008年9月22日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

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ボールを自陣で奪ってから、闇雲にトップへボールを蹴り込んでしまう。栃木SCは攻守の切り替え時、縦へ急ぐ嫌いがある。ワンクッションのない、単調な攻撃は前期こそ個々の能力でカバーが可能だったことでゴールを生み出し、勝点3を積み上げるに至ったが、屈強なセンターバックを擁するチームに手の内が知れ渡った途端に効力は殺がれ、失速の一因となった。

そこで、柱谷幸一監督は新たな手を打った。左ワイドからボランチへ佐藤悠介を下げたのである。

「もう少し中盤で落ち着いてゲームをコントロールする。悠介を内側へ入れることでタメが出来る。長いパスを左右に散らせるし、クサビを入れられる」

ボランチを経由地とすることで、展開力に長ける佐藤を真ん中に配することで、安易にマイボールを譲り渡す機会を減らそうとした考えたのである。トレーニングマッチの対大宮アルディージャ戦では、ロングボールを利した攻撃と、佐藤のキープ力を活かした攻撃の2パターンが見られた。まだまだ、ロングボールに頼る傾向はあるものの、些か強引にでも佐藤がボールを呼び込むことでリズムを変えることが出来ていた。ただ、何事にも功罪はあるもので、佐藤のタッチ数が増えることで遅攻に陥るシーンもあった。横山聡は言う。

「悠介さんにボールが入った時に周囲が動かなければならない。悠介さん頼りになるのもどうなのかと思う。周りが感じてあげないと」

佐藤のボランチ起用には、急いてしまう攻撃を一旦スローダウンさせ、中盤の支配力を上げる他にも、実はこんな意図もあった。

「高安(亮介)を失ったことで攻撃のスピードが落ちてしまい、チャンスを作れなくなっている」(柱谷監督)

ワイドには縦への爆発的なスピードと突破力を有したウインガータイプの選手を据えることを好む柱谷監督。佐藤のスキルは群を抜くがスピードに乏しく、小林成光もドリブラーであるが間合いで勝負するタイプである。そこで、白羽の矢が立ったのが、稲葉久人である。敗れはしたものの、アウェー都田での対HondaFC戦での奮闘は記憶に新しい。稲葉の相手ゴールへ向けて突っかけられる、上下動を惜しまない特長を発揮させるために、「攻撃に迫力とスピードを与える」ために、佐藤を後ろに配したのである。攻撃にダイナミズムを生み出すことが主目的であるからこそ、横山の言葉が重みを増してくる。周囲がフォローするタイミング、動き出すタイミングを掴まない限り、アタッキングサードで決定的な仕事が出来る佐藤を一列下げた意味がなくなってしまう。味方のサポートなしには欠如しているスピード感を生じさせることは困難である。

別メニュー調整を続ける高安の復帰は、もう少し時間を要しそうである。あくまでも試験的な、オプションのひとつに過ぎないことから、次節のSAGAWA SHIGA FC戦で佐藤がボランチ起用される可能性は、現時点で未知数である。主力組はゲーム後、輪になって意見を交換していた。当然ながら新システムの導入に戸惑いもある。展開力を高め、スピードアップも同時に図る。欲張りなシステムを、リーグ再開に向けた2週間である程度のカタチにすれば幅は広がる。シーズン前に柱谷監督が理想として挙げた、柔軟性のあるチームに変貌できる可能性はある。また、エンターテイメント性も増す。と同時にリスクも伴うことから、下策に終わるケースも十分に有り得る。

試みたはいいがお蔵入りするのか、それとも終盤戦の主戦術(あるいはオプション)と成り得るのか。後者になることを、使えないと判断した時点で切り捨てる決断を誤らないことを願う。

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