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『使い分け』@栃木SC通信

2008年10月13日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

208.JPG場当たり的と思われた今季初となる3―5―2の採用は、PK決着(5―3で栃木SC)ではあったが、結果的に吉と出た。

「相手を圧倒し、ボールを支配して、いいゲームができた」

誇らしげに柱谷幸一監督が語った通り、ロアッソ熊本(以下、ロアッソ)を試合内容で凌駕した。

「ブロックを作り、オーガナイズされ、引きだしてからのカウンターにはまった。ラインは高かったが、背後を取れなかった。上手くやられた」

敗軍の将・池谷友良監督は脱帽するしかなかった。それだけ、栃木SCが展開したサッカーはクオリティが高かったといえる。もちろん、成算はあったのだろうが、期待していた以上の効用があった。

敗れ去った先週の対SAGAWA SHIGA FC戦後、険しい表情で柱谷監督は言った。

「一人一人が強い責任感を持ってやらなければいけない」

個々の責任の所在を明確にするには、顕在化させるには4―4―2よりも、1対1の攻防が必然的に増える3―5―2の方が適していた。マークを剥がされれば失点に繋がるリスクを背負うが、一方で強い責任感と危機感が芽生えもする。ハイリスクを覚悟の上での決断は実を結んだ。

相手エース、高橋泰とマッチアップするシーンが多々あった赤井秀行は、「3バックは自分の役割がはっきりする。結構、やり易いですね」と話す。高橋と木島良輔の2トップを赤井、山崎透、鷲田雅一の3枚は抑え込むことに成功した。拙かったビルドアップでも、3人は上手くボールを味方に供給した。

「3か4にこだわる必要はない。役割を見つけ、明確にし、全員が自分の仕事をこなした。結果として+αが出た」

相の手を入れたのはトップ下に配され、推進力を働かせた向慎一。強調したのは失敗を恐れず、「自分達から仕掛ける」アグレッシブな姿勢だった。同様の趣旨のコメントを横山聡も残している。与えられた仕事を着実に遂行し、1対1の局面で、球際の競り合いで後手を踏むことがなければ、イニシアチブを握ることはそれほど難しくない。サッカーの基本を順守したことは、試合を優位に運ぶ上で小さくなかった。

3か4か。「フォーメーションは問題ではない」。表現こそ異なるが、選手は口を揃えた。 佐藤悠介もその一人である。

「3でも4でも11対11に変わりはない。12対11になるわけではない」

独特の言い回しで、システムを論じることには、意味を見出さなかった。ただ、3―5―2では宙ぶらりんとなる、両ワイドの使い方に留意すべきだと主張することは忘れなかった。重要なのはシステム云々ではなく、「ポイントの作り方」である。岡田佑樹、斎藤雅也、途中交代の入江利和と左右のワイドの選手を効果的かつ効率的に操れたことには、確かな感触を得ていた。

今後のリーグ戦に向けて未整備状態の4―2―3―1に戻すのか、それとも3―5―2を継続的に主軸とするのか。指揮官に問うた。

「(3バックに)手応えを感じられた。両方を使い分けられればいい。相手によりメンバーを変える。ゲーム中に使い分けることも出来たらいい」

システムに無理矢理はめ込むことはしない。好調な選手を上手く組み合わせ、それぞれの特長が最大限に発揮できる、プレーし易いものを状況に応じて選択する。フレキシブルに3バックと4バックを併用することを視野に入れている。3か4かの二者択一ではなく、3も4もという欲張りな指針で、残されたリーグ戦7試合を戦い抜く腹積もりでいる。

対ロアッソ戦の選手と同じく、メンバーをいじり、4―4―2から4―2―3―1、さらには3―5―2と負けが込んだ、閉塞した状況を打開すべく、積極的に動いた柱谷監督は賭けに勝った。

もがき苦しんだ末、キャンプからチームが追及してきた柔軟性を、ようやく手にできた。闇の先に光は存在した。  

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