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戦評:対TDK SC戦@栃木SC通信

2008年10月27日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

tdk1.JPG 勝点1は即効性のある、特効薬とは成らなかった。

前節の対ニューウェーブ北九州戦。ロスタイムの被弾により勝点2を逃したものの、リーグ戦の連敗は4で止まり、ポイントも僅か1ではあるが加算できた。ポジティブに考えられる要素を幾つか見出せた。勝点3に繋げなければならない勝点1を、しかし栃木SCは自らフイにしてしまう。数試合ぶりに手に入れた1の価値は下落した。

前の試合で勝点2を取り逃した最大の要因は、リードしながらも精神的に受けに回ったことだった。守り切ろうとする消極的な姿勢と意識が結果的に失点を呼び込んだ。敵地、仁賀保での対TDK SC(以下、TDK)戦でも、ネガティブな要素がポジティブな要素を凌駕してしまった。

「ひたむきにやっているが、思い切りのよさがなかった」(上野優作)

攻守において覇気に乏しかった。勝利への飢えは感じるものの、それがプレーに反映されていなかった。好機は数えるほど。対照的に相手が記録した二桁のシュートは、その大半が好機となっていた。つまり、辛うじて勝点1を拾ったに過ぎない。

なるほど、無失点に抑えられたことは収穫である。だが、現状で最重要なのは失点を喫しないことではなく、内容度外視で勝点3を獲得することである(零封も必要条件には含まれるが)。ドローで状況が好転しないのならば、勝利を掴む他に手はない。前半序盤こそ旺盛に動き回ったが、前節と同様に20分を境にして次第に勢いは萎み、形勢を逆転できないまま時間だけが経過した。結局、同じことが繰り返され、反省が活かされていたとは言い難かった。

3―5―2への手応えを感じ、自信も芽生えてきただけに、どうしても勝点3が欲しかったのだが、リスクを背負う覚悟でゴールを目指す気持ちに欠けた。

勝点1を3に結び付けられなかった事実は重い。


前の試合から栃木SCはスタメン、ベンチ入りメンバーをいじらなかった。布陣はGKに小針清允、3バックには赤井秀行、山崎透、鷲田雅一が入り、中盤は鴨志田誉がワンボランチを務め、右ワイドに岡田佑樹、左ワイドに入江利和、上野優作と横山聡の2トップ下に向慎一と佐藤悠介が収まった。

前期の対戦時には怪我で不在だった主力が復帰したTDKは、4―4―2を敷いた。

試合前の所謂“ゲリラ豪雨”の影響で水を含んだピッチに、両チームとも暫し苦慮する。Pボックス内は水浸し。慎重さが要求された。

互いにミスが続出した一戦。先ず仕掛けたのはホームのTDKだった。池田昌広がサイドをえぐってからシュート。枠を反れるも、冷や汗をかかされる。難を逃れた栃木SCは佐藤悠介のクイックリスタートに向が鋭く反応したまではよかったが、ミートできずに逸機する。その後、向と佐藤悠介が中長距離からシュートを放つものの、ゴールネットは揺らせなかった。

サイドバックは攻撃参加を控え、入江と岡田の両ワイドに目を光らせたTDK。サイドに蓋をする。スペースを埋められた栃木SCは手詰まりに陥った。また、ボール回しがゴールを得るための手段から目的にすり替わり、綺麗に崩そうとする嫌いも見受けられた。難しいプレーの選択が自らの首を絞める。

佐藤悠介の展開力とサイドの優位性を発揮できず、縦へとボールを運んだTDKが徐々に攻勢に立つ。ドリブル突破とアーリークロスは効果的で、ラインを押し下げられた栃木SCは自陣ゴール前に釘づけにされる。得点ランキング上位に顔を出す富樫豪のドリブルシュートを皮切りに、立て続けにゴールに迫られた。GK小針の好守で危機を回避するも、怒涛の攻めに対処は困難を極め、向曰く「どんと構えていれば跳ね返せていたのにバタバタした」。ちょっとの動揺が波紋のように広がり、パフォーマンスを著しく低下させる。芳しくないチーム状態を端的に表している。

エンドが変わっても軽快な動きのTDKがイニシアチブを握ったままだった。リズムを掌握できない栃木SCは佐藤悠介が得意の位置からFKで直接ゴールを狙うも、クロスバーに嫌われる。向はサイドに出て起点を構築しようとするが、劇的に状況を変えるには至らなかった。2トップには力強さが不足した。

ワイドにピッチを利したTDKは左の池田と右の松ヶ枝泰介を利してサイドから圧を掛けた。栃木SCの3バックを5バックにすることに成功。すかすかの中盤を支配し、良質なクロスと背後への飛び出しからゴールを窺った。窮地が続くも相手のミスに救われたこともあり耐え凌いだ栃木SC。ロスタイムに好機を生み出す。途中出場の小林成光を介して届けられたパスを佐藤悠介が右からシュート。これをGK小野聡人がこぼし、途中交代の稲葉久人が滑り込んでプッシュするが、オフサイドの判定により終ぞゴールは割れなかった。

ファイナルスコア0―0。

栃木SCは勝点1を積み上げるも、3位に付けていたファジアーノ岡山が勝ったことで順位は逆転した。首位のHondaFCを抜き去ることは難儀な作業となり、目標を4位以内確保に軌道修正しなければならなくなった。

中3日、木曜日には勝点差を4に縮めた5位ガイナーレ鳥取との決戦が控える。

「ここで勝たないとJへ上がる資格はない。開き直り鳥取を蹴落とし、自分達が生き残る」(柱谷幸一監督)

直接対決が残っている鳥取と岡山の挑戦を受けるのではなく、“挑戦者”として臨む立場になった(鳥取は順位では下回るが、勢いでは勝る)。立ち向かっていく際に本来の力が引き出される栃木SCにとっては、悪くない条件が整ったのではないだろうか。今後に向けた数少ないプラス材料だろう。

JFL後期第12節 TDK SC0―0栃木SC 観衆638人 @仁賀保運動公園多目的広場

〈TDK SC〉GK小野聡人、DF高橋臣徳、岩瀬浩介、朝比奈伸、加賀潤、MF池田昌広、成田卓也、松田英樹、松ヶ枝泰介(→佐藤和旗)、FW木下真吾、富樫豪

〈栃木SC〉交代:上野(→松田正俊)、横山(→稲葉)、向(→小林)
  

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