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『一挙両得』@栃木SC通信

2008年10月28日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

 

051.JPG一挙両得とはいかないものである。

4―2―3―1(4―4―2)を3―5―2へシフトしてから、「安定したゲーム運び」、「守備での手応え」を、佐藤悠介を筆頭に選手は感じている。新システムの機能性は低くない。勝利は挙げられなかったが、TDK SC(以下、TDK)戦では、後期第2節の対佐川印刷SC戦以来、10試合ぶりに相手を零封した。失点を喫しなければ極端に勝率は下がらない。個々の守備意識の向上は、これまで先行を許す展開に苦しんだことを考えれば、好ましい傾向にあるといえる。ただし、守備に軸足を置き過ぎることに加えて、3バックが5バックになってしまう状況は、攻撃力が激減する危険性を孕んでもいる。

TDKは栃木SCの両ワイド、岡田佑樹と入江利和を徹底して消しにかかった。中途半端な位置を取られ、起点となられることを恐れたのである。ワイドとサイドバックがサンドすることで進路を妨害し、自軍のワイドの選手を攻撃的に構えさせることで岡田と入江をDFラインへと押し込んだ。

「ボールがうまく回らなかった。自分もボールを受けられなかった」

全く仕事をさせてもらえなかった岡田は唇を噛んだ。

サイドの綱引きに屈したことで優位性は損なわれた。次々と弊害が生じる。5バックにさせられたことで攻守交替時にスタートする位置が低くなり、相手に陣形を整える時間を与え、思うようにボールが運べなかった。攻撃に避ける人数は限られ、推進力は働かなかった。中盤は厚みをなくし、セカンドボール争奪戦でも後手を踏んだ。

サイドを囮にして、中央で2トップが相手センターバックとの2対2の攻防を制することができていればゴールを得られたかもしれない、と柱谷幸一監督は上野優作と横山聡に対する物足りなさを口にした。中央をぶち破る力強さは確かに欠けていた。しかし、前線だけの問題ではない、と佐藤は言う。

「攻撃は水もの。色んなチームが苦労する。『決定力不足』の一言では片付けられない。そこに至ってもいない」

決定力を論じる以前、つまりFWがシュートを打てるだけの機会を作れていない「中盤の未熟さ」も、ゴールを奪えなかった一因だったと話す。シンプルにプレーすればいいシーンでも、手間をかけることで機を逸していた。いい状態でトップにボールを預けられなかったのも動かし難い事実。

守備と異なり攻撃は計算が容易に成り立たない。ひとりで局面を打開できるスーパーな選手は栃木SCには存在しない。攻守の隔たりを無くし、骨惜しみせず全員で戦い抜くしかない。システムを変更したからといってゴール数が急増することはない。だからこそ、「立ち上がりの(好機)一本をしっかり決め切る」集中力と心持ちの重要性を上野は訴え、「打てば何かが起こるかもしれない」と向慎一は果敢にシュートする姿勢を持つべきだと主張する。

近道などない。だが、知恵を絞ることでゴールへ辿り着ける、栃木SCに最適な独自のルートは開拓できるはずである。

「得点力」という古くて新しい命題に挑むことを怠ってはいけない。

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