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『カンフル剤』@栃木SC通信

2008年10月31日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

                       gt2.JPG             勝ち切れた前期と勝ち切れない後期。その差異を、柱谷幸一監督は端的に述べた。

「決定機を決め切れず、守り切れていないことから勝てていない」

粘着力を前面に押し出し、しぶとく戦い抜き、1点差の接戦を制してきた。パッと思い浮かぶのはFC刈谷戦(1―0)、ガイナーレ鳥取戦(1―0)。GK小針清允が好守を連発してゴールを死守。相手が痺れを切らしたところで、数少ない好機を佐藤悠介の左足がものにしてきた。期待に違わず攻守の核である佐藤と小針の活躍が光った。2人を中心に勝利を積み重ねてきたが、2順目ともなれば対戦相手も栃木SCの対策を練り込む。次第に個に依存した戦い方、単調で工夫に欠けるサッカーには陰りが見え始め、失速の一因となる。僅差の展開を勝ちに繋げる作業は容易ではなくなった。

躓きの入り口となったのは、後期第5節のジェフリザーブズ戦である。先行するも土壇場で1―1に持ち込まれた。ここから負のスパイラルに陥った。ドロー後に4連敗を喫する。が、大差での敗北はひとつもなかった。ただ、同点、或いは逆転するだけの力が欠落したことで、悪しき流れを断ち切れなくなる。好調時には取り切れていた1点が、果てしなく遠く感じるようになる。

静観を貫いたわけではない。布陣をいじり、メンバーを入れ替えるなど策を講じた。だが、一旦滞った循環は完全に回復には至らない。ボールをアタッキングサードまで運べてはいる。頼りなかったビルドアップも改善された。しかし、結果が、ゴールが伴わない。内容に乏しかった前期は勝利を得られたのに、内容が上向いた後期に勝利を掴み損ね、足踏みを続けている。「相手にプレッシャーをかけ、突き放す」2点目が強奪できないからである。

その原因を柱谷監督は列挙した。

「ラストパス、最後のクロス、(Pボックスの)中でのパワー」

この3つの条件を兼ね備えていたのは、皮肉にも対峙したガイナーレ鳥取だった。サイドチェンジ、そこからの左クロス、山崎のマークを剥がしてのヘディングシュートと、どれも精度が高かった。失点シーンを振り返り、「前の選手のクオリティが高くないと点は入らない」と柱谷監督は言い切った。

上野優作はサイドに流れて起点を作れ、横山聡はゴール前での嗅覚に優れる。稲葉久人はスピードに溢れ、松田正俊はPボックス内で逞しさを発揮できる。個々に特長を有しているが、ゴールという結果を出せていない。

「武器を持った選手が前にいないとサッカーは難しい」

打つ手打つ手が実らず、9戦も勝利に恵まれない指揮官が、戦線離脱中の高安亮介と石舘靖樹に救いを求めるのも分からないではない。

高安のシャープでスピーディなドリブル突破はいかなる状況下でも相手に恐怖心を植え付けてきた。FKやCKなどおびただし数のセットプレーを獲得し、形勢逆転の口火となってきた。ゴリゴリとゴールしか頭にないと言わんばかりの石舘の突進力は、立ち向かっていく分だけ相手DFにとっては厄介極りないものだった。前線からの激しいチェイシングも守備力向上に一役買っていた。奇しくも両者がピッチに立てなくなってから、栃木SCは低迷の一途を辿っている。

持ち駒で現状を打破できないのならば、復帰してくる選手には酷ではあるが、柱谷監督曰く欠如している「爆発力」を望むしかない。幸い“救世主”は天皇杯4回戦、対ジュビロ磐田戦を挟んで翌週に行われる次節に戻ってくる目処が立っている。

結局は個の力に頼ることになってしまうが、逼迫した状況では贅沢で悠長なことは言っていられない。兎に角、カンフル剤の注入が事態を好転させることを願おうではないか。
  

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