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『避けられない作業』@栃木SC通信

2008年11月24日 大塚秀毅 | | コメント(0) | トラックバック(0)

fo3.JPGアウェーで勝点1を積み上げる。33戦を消化して6勝5敗6分けと12勝2敗2分け。前者がアウェー、後者がホームの戦績である。圧倒的な勝率を誇る根城と比べるまでもなく、栃木SCは不思議と敵地では分が悪い。相手が上位に位置する、昇格が懸ったファジアーノ岡山(以下、岡山)である点を考慮に入れれば、ドローは次善の結果だったともいえる。ただし、岡山がひとり退場者を出し、「数的優位」の時間帯が60分近くもあったことを差し引けば、である。

岡山は前線の選手を欠いてから、すぐさま守備に人数を割く。失点を喫しないゲームプランを採った。8人が強固なブロックを構築し、引き込んでから機を窺いつつカウンターを打ち込む策に切り替える。その徹底ぶりにPKを阻止したGK小針清允も舌を巻くほどだった。「昇格が懸ったゲーム。岡山は粘り強くやっていた」。柱谷幸一監督も、無失点で凌ぎ切り、あわよくばゴールを陥れようと画策した岡山を称えた。その一方で、厚い壁を突き崩せなかった自軍への不満も口にした。

11対10となってからボールポゼッションは必然的に栃木SCのものとなる。パスは回るが、横方向、或いは相手の2ラインの前で慎重に繋ぐことが多く、つまり縦への勝負を仕掛けるメッセージが込められたボールは数えるほどだった。冒険をしなかった。「無理をしないと点は取れない」。ハーフタイムに柱谷監督は強調したが、アグレッシブに試合を運び、アタッキングサードまでボールを持ち込めなかった。

攻めきれない事態を改善しようと、指揮官は続け様に交代カードを切る。先ず横山聡を入れることで前を松田正俊と2枚にして厚みを加えた。次に向慎一を投入。稲葉が守備における原則を順守できず、機能不全だった右サイドの攻守の活性化を狙った。最後に高さに長ける坂本勇一を送り出した。前線を3枚にして左に佐藤悠介を張り出させ、良質なクロスから1点をもぎ取ろうとした。だが、積極的な交代は実を結ばなかった。入江と向のクロスから迎えた好機。松田と横山はシュートを枠には飛ばしたが、ネットを揺さぶることは叶わなかった。松田のヘディングシュートはジャストミートするも、待ち構えていたGKの懐に収まるなど運にも見放される。

「がっちりと守ってくる相手には攻撃のクオリティが要求される。クオリティの高いプレーをしないと点を取るのは難しい」(柱谷監督)

Pボックス内で数の優位性を活かせない状況ではサイドからのピンポイントのクロスと中のポジショニングが、ゴール前を固められたら精度の高いシュートが物を言う。また、分厚い中央から攻略するためにアイディア、コンビネーション、スピードなど強烈な武器が、もっといえば個の力が要求される。「工夫も足りなかった」と柱谷監督は嘆きもした。例えば、佐藤を中央からサイドに持ち出した際、クロスを上げ易いように2トップがサイドバックの注意を引きつけるなど気配りが必要だったが、あまりにも足りなかった。

僅かな決定機を決め切る最後の部分での精度、崩し切るためのひと手間が欠如したことで、ゴールをこじ開けられなかった。2敗した“堅守速攻”が売りの横河武蔵野FC、勝点を確実に手にするために身上のアタッキングサッカーを封印したガイナーレ鳥取と、今季は自陣にこもる相手に手を焼いた。守備をガチガチに固めてくる相手に対し、いかにしてゴールを取り切ればいいのか。柱谷監督は絶対的なストライカー不在が響いた、と話したことから補強により突きつけられた課題の早期解決を図るのだろうか。それともトレーニングを積むことでゴールに至るルートを増やすのか。来季はカテゴリーが上がることで劣勢に回る展開が増えることが予想されるも、ビハインドを背負えば守備に比重を置くチームからゴールを奪わなければならない。避けられない作業に関する対策の準備は不可欠である。 

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