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旨味たっぷり
2008年5月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
久方ぶりに総合の試合を見て体の奥底から沸き立つものがあった。
ここ最近はストレスが蓄積し、茫漠とした思いが消えなかったが、かなりそれも晴れた。
青木真也対J.Z.カルバン戦のおかげである。
旨味たっぷりだった。
構図は単純でプライド対HERO’S。
これまでプライドの熱に浮かされてきただけに、ライバル団体の王者といえども実力は眉唾物と思っていたが、どうしてカルバンは強靭なメンタリティと柔軟な試合運びを披露する立派なファイターだった。そして、カルバンの実力をあますところなく引き出しのたが生粋のグラップラー青木だった。
とこかく足さばきが尋常ではない。猪木-アリ状態からのキックが的確かつ有効だった。十分に対策を練ってきたことが窺えた。グラウンドに迷いなき自信があるから自分のリズム、間合いで試合を押し進められた。勝因のひとつだろう。粘っこくカルバンに絡み付き、“こなきじじい”状態、つまりバックマウントからフェイスロックでじわりじわりと締め上げスタミナを奪い、下から常に三角締めを狙った。強烈なパウンドを殺すラバーガードも効果的だった。足を獲りに行った際、パウンドにかかと落としを食らい、危機を招くシーンもあったが、終始青木はイニシアチブを握った。2Rには得意とするカタチから完璧にカルバンの腕を伸ばす。一瞬、雌雄は決したかに思われたものの、さすがはカルバン。タップせず。窮地を脱するとすぐに鉄槌を振り下ろしてきた。末恐ろしい勝利への執念を見せるが、判定の結果0-3で青木に軍配が上がる。
互いの持ち味が発揮された好カード。2度も流れた試合だけに因縁めいたものを試合前には感じ取ったが、白黒はっきりした時には、そんなものはどこかに吹っ飛んでいた。極めることは出来なかった、泥臭かったが青木の強さは本物である。テーマ曲にウルフルズを選ぶあたりに、青木の人間性が表われている。
DREAM.2 青木真也3-0J.Z.カルバン
伝統に逆らうのもいいではないか。
2008年4月30日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
思うように自分のカタチに持っていけない。組んでも技を仕掛けるアグレッシブさに欠けた。攻めきれない。ここ一番で脆さが仇となった。消極的な姿勢がポイントを譲り渡す結果となってしまう。柔道男子100キロ超級、準決勝。棟田康幸は五輪代表の座を競っていた石井慧に破れた。全日本選手権のタイトル、北京五輪の切符を逃した。その2つを手にしたのは、試合巧者の石井。決勝では同門の鈴木桂治を下し、王座に返り咲いた。柔能く剛を制す。体現者である棟田の敗戦は北京での楽しみがひとつ減ったことと同義である。
代表を懸けたライバル棟田戦。攻勢に出たことで自分の展開に持ち込んだ石井の老獪さは批判の対象となった。1本を獲りにいっていないのではないか。消化不良は拭えないが、好意的に見れば勝負に徹したとも解釈できる。その執念が最終的に代表の座を掴むことに繋がるのだが。決勝でも大内刈りから抑え込みに移行し、ポイントで優位に立つも、その後は逃げ腰に。鈴木の猛攻を耐え凌ぐしかすべはなく、守りに入ったことで印象としては芳しくなかった。
世代交代には常に逆風がつきものである。厳しい声が飛ぶのは一種のアレルギー反応のようなもの。勝利を得ても祝福されなかった。この悔しさを糧に五輪では圧倒的な柔道で、己の形で外国勢をねじ伏せればいい。汚い。それを強味にしてもいいのではないか。美しく勝つことだけが最高の舞台で求められる要素ではない。日本の伝統に逆らってでも金メダルに食らいつく。いいではないか。そんな柔道家でも。
崖っぷちに立たされた井上康生の負けっぷりは爽快感を残した。対高井洋平戦は今大会のベストバウトだろう。技を掛け合い、互いに持ち味を出し切った。ポイントが取れないまま推移した試合は残り10秒、井上が内股を放った瞬間に決した。一度、伝家の宝刀をすかしていた高井。2度目も見事にさばき切った。切れ味が鋭過ぎたことが裏目に出たのかもしれない。高井にすかされ、圧し掛かられた。完璧に抑え込まれ動けず。敗北の時を待つしかなかった。やりきった。試合後、井上の目から滴が落ちることはなかった。泣き虫は最後に笑顔で畳を去った。
優位に試合を運んだのは清水だった。ホームの柏は主力が諸々の事情により抜けた影響が出てしまう。1トップに配された大津を生かしきれない。ビルドアップが覚束無く、中盤を清水に支配される。前半の終盤、藤本の絶妙なパスに反応したフェルナンジーニョに先制点を奪われる。後半も清水がイニシアチブを握る。伊東が渋みを効かせたことで、柏は進撃を阻まれた。フィニッシャーが心許無い清水だが、交代出場のFW岡崎がCKを泥臭く頭でねじ込み追加点を挙げ、勝点3を手にした。清水は守りに関してはJトップクラスだが、フィニッシュの精度、前線のタレント不足はいかんともし難く、優勝を狙うならばゴールを計算できる人材を補強しなければ苦戦は必至。柏は左右のウイングが躍動しないと戦えない。全体的に低調なパフォーマンスに終始。ピッチ外のごたごたを言い訳にしたくはないだろうが、少なからず波紋は残っていた。
J1 柏レイソル0-2清水エスパルス @日立柏サッカー場
マンバ、恐るべし
2008年3月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
K-1とPRIDEが大連立して誕生したのがDREAM。
旗揚げ戦が総合格闘技の聖地・さいたまスーパーアリーナで開催された。
ヨアキム・ハンセンはグッドファイター。立ってよし、寝てよし。朴も根性を見せるが実力差は明白。戦慄のヒザが売りだが、序盤にチョークスリーパー、腕十字、三角締めと流れるように技を繰り出すグラウンドテクニックには唸らされた。左ストレートは分かっていても食らってしまうのだから、打ち出す角度が見え難いのだろう。KOこそならなかったが判定勝利し、順当にベスト8に進んだ。
ワンマッチに登場したマッハ。久々にリングでの姿を見たが、カリスマとしての輝きは失われておらず、カウンターの左で門馬を沈めた。野性味は見るものを虜にする。
川尻達也は曲者ブラックマンバに苦戦を強いられた。日本人ファイターを葬り去ってきたヒザを警戒し、密着した川尻だが粘り腰に手を焼く。テイクダウンに時間を要してしまい、グラウンドに持ち込んでも寝技を極められず。バックマウントからスリーパー、裸締めに肩固めも尽く外される。引きずり込んではみたものの、好機を逃し続け、十八番のパウンドも鳴りを潜める。アグレッシブに攻め、判定決着で次に進むも、この試合はマンバの毒蛇ぶりが際立った。川尻としては不満が残る一戦となってしまった。
メーンのJ.Z.カルバン対青木真也戦は、偶発的にカルバンのヒジが青木の首に2発入ったとしてノーコンテストに。ミルコ・クロコップが貫禄の秒殺劇で会場を沸かせるも、旗揚げ戦としては釈然としない幕切れになってしまった。大晦日に流れたカードだけに期待感は高かったが、またしても決着はつかず。
消化不良に終わるが、これから育っていく、ふぁんと選手がともに育てていく興行ということは確認できた。
DREAM.1 さいたまスーパーアリーナ
昨晩、雨に降られながら帰宅したものとしてはピーカンが恨めしかった。
昼寝したら汗だくだく。
監督、キャプテン会見があったらしいが、リリースがこなくて欠席。
本気でFAX買わないと駄目かな、と思ったポカポカ陽気の土曜日だった。
フリーランスであることを嘆いても仕方がないのだ。
と思いつつ、太陽が恨めしかった。
フェイクではないもの@WBC世界フライ級タイトルマッチ:内藤大助対ポンサクレック・ウォンジョンカム
2008年3月 8日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
ジャッジ3人の採点が割れた。優劣が付かない。4度目の対戦はドローに終わる。こうなるとベルトを巻いてリングに上がったWBC世界フライ級王者・内藤大助が有利。2度目の防衛に成功した。
ゴングが打ち鳴らされる。互いにアグレッシブに動き回る。上体を沈め、がに股で前へ。内藤はおちょくるように揺さぶる。トリッキーな動きで17度の防衛を果たした偉大なる挑戦者ポンサクレック・ウォンジョンカムをかく乱する策をとった。ただし、単に変則的なだけではなく、距離を測りながら捨てパンチを足掛かりに懐に潜り込む強かさも兼ね備えていた。沈着冷静なポンサクレックは、さばくのに苦労しながら、それでもカウンターを合わせる。確かなスキルで序盤戦、リードを奪う。
回を重ねる毎に機敏に、ステップは小刻みに。間合いを適度に保ちながらロング、ミドル、ショートのパンチを打ち分けた。加速していく内藤。回転が増したことで序盤に失ったポイントを挽回し、中盤戦をものにする。
8R終了後、スコアに大差が付いたことを知ったポンサクレックは焦れた。次の回、どこかで見た光景、再び。内藤がリングへと投げ飛ばされる。若気の至り、恐怖に打ち勝てなかった。前挑戦者には立つ言い訳も、歴戦の勇に当てはめれば、それは暴挙以外の何物でもなくなる。理性を欠いた。巧妙な策略、とは解釈し難い。蛮行を犯すも悪びれることもなくポンサクレックはKOを狙ってきた。推進力が増す。やや受けに回った内藤であるが、ボディからフックのコンビネーションは的確かつ有効であった。進撃を寸断。10R、終了間際に右フックでポンサクレックの顔面を叩いた。尽きないスタミナ、拳は忙しなく交差。内藤、ポンサクレック両者の矜持がぶつかりあった試合は手に汗握る攻防を繰り返し、終焉を迎えた。
ベルトは動かず。つまり、内藤が勝ち名乗りをあげた。ドロー決着に不満を抱かぬはずはないが、手の内を知り尽くした相手に引けをとらなかったのだから胸を張っていい。
フェイクではない、本物を堪能できた。それで、十分だ。
WBC世界フライ級タイトルマッチ 〇内藤大助(114-115。115-113。114-114)ポンサクレック・ウォンジョンカム× @両国国技館
左ハイを拝める仕合わせ
2008年2月13日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
待ち侘びた、いや待ちくたびれた“火の玉小僧”五味隆典の「戦極」参戦に胸を躍らせていたら、さらにビッグサプライズが。時を同じくしてFEG(HERO’S主催)と「やれんのか!大晦日!2007」実行委員会が連立を組んで「DREAM」なる新格闘技イベントを立ち上げた。「PRIDE」の消滅によりUFCの独壇場になりつつあった総合の流れにストップをかける動き。うねりは既に大晦日に手を組んだ際に出来上がっていたわけだが、「一度きり」という謳い文句を見事に裏切ってくれたことに感謝である。9月までの予定が発表された「DREAM」ではライト、ミドル級グランプリが設置され、そうそうたる面々が出場予定選手として名を連ねている。ライトの充実ぶりは凄まじい。また、金網で辛酸を舐めたミルコ・クロコップの参戦も決まった。日本であの左ハイがまた拝めるとは。よだれダラダラである。犬猿の仲であったFEGと旧PRIDE勢ががっちりと握手したことで、これまで実現不可能だったカードを目にする確率が高まった。是非とも夢のカードを。そして、下火になりつつあった総合の灯を再び燃え上がらせて欲しい。鬱積した日常のストレスをぶっ飛ばすようなイベントに育ってくれることを切に願う。
防衛記録樹立
2008年1月12日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
距離を詰めて拳を交える。
WBC世界バンタム級王者・長谷川穂積と同世界ランク1位のシモーネ・マルドロットの一戦は序盤から打ち合いになった。
パンチの応酬は、2回に長谷川が右眉上をカット(バッティングだったが、レフリーはパンチによるものと判断)しても続く。
イタリアはサルディニア島からの刺客は接近戦を挑み、左右をスイッチさせるなど揺さぶりを掛ける。
相手の仕掛けに惑わされず、回を重ねる毎に酷くなった出血には多少、気を使うも、長谷川はリズムを掴むと的確にパンチをヒットさせ応戦。
大振りも目に付いたが、8Rには左フックをクリーンヒットさせた。
4、8R終了後の採点では大差をつける。
終盤にリードを守り切れば防衛は揺るがない。
そんな状況でも長谷川は前に出た。
ポイントを死守するのではなく、あくまでもKOにこだわりをみせる。
出血によるドクターストップを恐れもしたのだろうが。
戦意を殺ぐようなパンチを叩き込まれても向かってくるマルドロット。
打たれ強く、スタミナ十分、鼻っ柱も強い。
激しい攻防は最終Rまで終わりをみせない。
クリンチが皆無に等しかった、見応え十分のタイトルマッチ。
ベルトは流出しなかった。
3-0の判定勝利を長谷川が収め、ファイティング原田の防衛記録4度を抜く、5度目の防衛記録を樹立した。
WBC世界バンタム級タイトルマッチ 長谷川穂積3-0シモーネ・マルドロット @大阪府立体育館
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