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お久しブリッジ
2009年2月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
充実感漂う初練習@栃木SC通信
2009年1月21日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
ファーストトレーニング後の監督&選手コメントは公式HPにアップされているので、そちらをご覧くださいませ。
新入団会見の模様はJ’sゴールにアップされてます。こちらも併せてよろしくお願いいたします。
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00076747.html
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00076751.html
昨年は持久走に軽くボールへ触れるだけのファーストトレーニングだったが、今年は一転して「軽いと聞いていたがきつかった」と稲葉久人が言うように、初日から選手の荒い息使いが聞こえてくるハードなトレーニングで幕を開けた。
ウォーミングアップでのランニング。先頭を引っ張ったのは、トレーニング前に松田浩監督から昨季に引き続いてキャプテンに指名された佐藤悠介だった。その後ろには副キャプテンの落合正幸と栗原圭介が続くなど、中軸の意識は初っ端から高かった。昨年の3人体制を踏襲した松田監督は、新たに副キャプテンを任せた栗原に、若手の模範になること、佐藤をサポートすることを期待した。
ストレッチの間、松田監督が積極的に選手に声をかけている姿が印象的だった。コミュニケーションを図ることは戦術浸透にも繋がる、と硬いことは抜きに、個々のパーソナリティを把握するために意識的に話しかけていたようだった。
体を解した後は両ゴール前に設置されたコーンを15秒で走るインターバル走。GK3人も参加。さすがにきつそうだった。対照的に若手は飛ばし気味だった。その後、対角線に走りながらステップを入れたインターバル走をもう一度、挟んでからJ公式球を使ってのリフティング。ここでミスが多かったことで松田監督から厳しい言葉が飛んだ。「簡単なトレーニングでも、ただやっているだけでは意味がない。プロとして自覚をもってやる。改めて(当然のことを)言われることで自覚できた」とは向慎一。「メリハリがもう少し必要」と松田監督が言うように、単にドリルをこなしているだけでは時間の無駄ということだろう。「簡単なミスは悪い習慣になってしまう」とも。
締めはミニコートでのゲーム(5対5と6対6)。積極的に指示を出し、周りを動かしていたのは栗原。「それが(声を出すことが)僕のスタイル。自然と出ましたね」。強烈なリーダーシップを感じた。チーム最年長のベテランは若手に経験を伝えつつ、若手からいい部分を吸収しようと貪欲である。「若手に伝えることで僕自身も学べる」。35歳でも現役にこだわった理由として、「中盤の選手としてまだまだ成長している」と実感していることを挙げた。
まだ始まったばかりであるが、「今日一日、楽しみながらトレーニングができました」と話した笑顔の河原和寿をはじめ、囲み取材に応じた選手の表情はおしなべて充実感に満ち溢れていた。
いよいよ栃木SCの2009年が、J2参入元年がスタートした。
栃木SCがある、喜び@栃木SC通信
2009年1月17日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
表舞台への帰還@栃木SC通信
2009年1月14日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
この補強は“デカイ”@栃木SC通信
2008年12月26日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
ファッションショー@栃木SC通信
2008年12月24日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
松田浩監督就任会見@栃木SC通信
2008年12月13日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
ポカポカ陽気の平出@栃木SC通信
2008年12月10日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
別件での取材後、平出の練習場にお邪魔してきました。
アウター不要のポカポカ陽気。
試合のオフ明けのような雰囲気で、監督が居て選手も居て、「今週末も試合があるんじゃねえか?」なんて錯覚するくらいだった。
練習後に選手はインフルエンザの予防接種を受けていた。
若干、嫌がっている選手もいたり・・・。
冗談だとは思うけど・・・。
クラブハウス建設も視野に入れていると宇都宮市長は言及していたけど、確かに現在の施設ではちょっと狭い気もする。
シャワーもなかった頃に比べれば格段に良くなったとはいえ、環境面の充実も図らねば、なんて思ったりした久々の平出訪問でした。
ベストイレブンに2選手が選出@栃木SC通信
2008年12月10日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
栃木SC、J2入会承認!!@栃木SC通信
2008年12月 2日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対FC刈谷戦@栃木SC通信
2008年11月29日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
不快感を包み隠さない。
「全然、駄目でしょう。つまらない。面白くないゲームだった」
収穫は「勝っただけ。でも、それが大きい」と付け加えたが、キャプテン佐藤悠介は思うに任せないゲーム展開と自身のパフォーマンスに誰よりも苛立っていた。
柱谷幸一監督曰く、「悪条件が重なる」。アウェー、しかも18時キックオフのナイターゲーム。スタジアムには弱くはない風が舞い、降り続いた強い雨は止んだがピッチコンディションは芳しいとはいえず、ホーム開幕戦のFC刈谷は鼻息が荒かった。
冗談を交えて佐藤は言う。「風がなく、打ち合ってくれればいいゲームが出来る」。正面から堂々と組み組み合えれば魅力的なサッカーを披露でき、なおかつ勝利も高い確率で約束できる自信があるのだろう。しかし、リーグで圧倒的な戦力を有する今季の栃木SCに真っ向勝負を挑んでくるチームは数えるほどだろう。先ずストロングポイントを消す手を打つのが定石。結果的に勝点3を得ることになるが、刈谷が練り上げた戦術を徹底したことでJFLの醍醐味、一筋縄ではいかないことを思い知らされた。
開幕戦を3―1でものにした栃木SC。ローテーションを用いることをほのめかしたものの、大幅なメンバー変更はなかった。陣容はGK小針清允、DFラインは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、ボランチを落合正幸と向慎一が組み、左ワイドに佐藤、右ワイドに初先発の高安亮介が入り、2トップに起用されたのは松田正俊と横山聡。FC琉球戦から上野優作と小林成光が外れ、ベンチに控えた。
3―0。刈谷も開幕を飾った。その3ゴール全てに絡んだ和多田充寿はリザーブに回った。故障でもしたのだろうか。フォーメーションは攻撃的な4―3―3。
開始1分と経たずに先制パンチを浴びる。ラインを上げ損なったところにスルーパスを通される。伊藤智弘のシュートはGK正面を突くも、不穏な空気が漂う。9分にも背後をあっさりと取られ、フリーで平林輝良寛にシュートを打たれてしまう。
「意図的ではないが前に前にボールを入れてきて、セカンドボールを拾う。予想はしていたが、うちがセカンドボールを拾えずに、相手に拾われて攻撃されてしまった」(柱谷監督)
風上の刈谷はラッシュをかけた。変則的な3トップに供給されるアバウトなロングボールに苦しめられる。センターバックが弾き返しても、セカンドボール争奪戦で後手を踏み、攻守交替が図れない。平林の力強いドリブル突破に、アンカー酒井康平の巧みなボールさばきが加わり、劣勢の時間帯は延々と続く。
「セカンドボールを拾えていた部分もあるが、引いてしまったので前で自由にやらせ過ぎてしまった」と向。中盤を省略されたことで、プレスを掛けてボール奪取からカウンターを繰り出すことができなかった。全体が間延びしてしまい、食い付けない。
FKからの伊藤のヘディングシュートはGK小針が辛うじて防ぎ。石川高大の右クロスにファーで平林がダイレクトで合わせるも僅かに枠を反れる。 難を逃れるも、攻撃は右のアタッカー高安、一辺倒。左から組み立てるケースは皆無に等しかった。2トップが前に張り付いてしまいボールが収まらず、ビルドアップも拙かったことでカタチすら作れない。縦に攻め急ぎ過ぎた感は否めなかった。高安は消されてしまう。
フラストレーションを溜める一方の栃木SCに対して刈谷は、自分達のゲームプランを着実に遂行し、立て続けに好機をこしらえた。エース和多田の不在が響き、ゴールこそ割れなかったが45分間を完全に掌握した。滅多に対戦相手を褒めない柱谷監督も脱帽するほどの出来だった。
低調な前半を終えて迎えた後半。数多の危機を無失点で切り抜けられたことは小さくなかったようだ。落合は言う。
「リセットして、押し込んで行ければチャンスができる、というイメージは出来上がっていた」
前半同様、後半もいきなりどっぷりと冷や汗をかかされるものの、シュートミスに助けられた。ドリブルに対する守備がまだ覚束ない。改善点として挙げられるだろう。これはトレーニングマッチから持ち越されている課題である。
命拾いした栃木SCはFKから松田正俊がジャンプ一番。頭ひとつ抜けるも、叩き切れずに枠を越えた。再び松田正俊。今度はカウンターからGK石川扶と1対1になり、ループシュートを放つがゴールネットに収められなかった。逸機したものの、連続して得たセットプレーから流れを手繰り、上野優作の投入で起点が設けられると、高安も躍動し始める。だいぶ右から崩せるようになったが、無常にも高安は下がられ、小林がピッチに入る。高安を引っ込めたことで推進力が削がれるかに思われたが、独特のリズムを有する小林のドリブルは効果的であり、キープ力も兼備していることから右サイドバック岡田が駆け上がれるタメを構築できた。その岡田がゴール前まで顔を出し、左足を振り抜くもGKの正面に飛んでしまう。
残り15分を切ったところで石舘靖樹イン。トップ下に配し、中盤をボックス型から、落合をアンカーにしたダイヤモンド型に切り換えた。Pボックス周辺に人数を割き、パワープレーを敢行。クロスの雨を降らせることでプレッシャーを与え、刈谷を押し込めることに成功。
ロスタイムに片足を突っ込んだ土壇場の44分、バックパスをGKが手で処理したことで間接FKを手にする。Pボックス内、ゴールライン際の難しい角度。プレースキッカー小林からボールを引き出したのは、ひとりゴールから遠ざかった佐藤。「ヒットせずにボテボテ」のシュートはゴールへ向かう。両軍入り乱れての混戦、肩を脱臼させながら体ごと突っ込み、左足でゴールネットを揺らしたのは落合だった。ゲームをイメージしながら取り組んだセットプレーの成果が表れた。
「完全にオレっす。別にマツ君(松田正俊)のゴールでもいいですけども・・・・・・。体ごと飛び込んだ?突っ込んでないと入ってないです」
ゴールの感触を問われると、そう笑いを誘った落合。表情を一変させて語る。
「勝ち続けることで勝ちのリズム、勝ち癖がつく。今日のような勝ち方をすると、前半の内容が悪くても勝てるのではないか、と思えてくる」
苦境に立たされても守備陣が粘りに粘り、千載一遇の好機を確実にゴールに結び付けることが、勝点3を取ることが重要であると話した。
「今日は勝点を取れなくてもおかしくなかった。1の可能性も十分にあった。(内容が)悪い時に1点を取って勝ち切ることで勝点を積み上げられる」
柱谷監督は安堵の表情を浮かべながらも、「選手は納得していない。勝っても喜んでいないことが表情から読み取れた。内容も上げていかなければならない」と、中2日でのホームゲームではアグレッシブに戦い、観衆を満足させることを誓った。
JFL前期第2節 FC刈谷0―1栃木SC @ウェーブスタジアム刈谷 観衆592人
〈FC刈谷〉GK石川扶、DF田上裕、松田勉、西原拓巳、石川高大、MF平林輝良寛、酒井康平、日下大資、FW社本将成(→森山大地)、伊藤智弘、原賀啓輔
〈栃木SC〉交代:横山(→上野)、高安(→小林)、向(→石舘)
『気脈』
明らかなアンバランス。戦略のひとつならば、個人のキャラクターを生かすならば、十分に合点が行く。それにしても、偏り方は顕著だった。時間を経るに連れて疑問がもたげてくる。単に意固地になり、執着してしまっているだけではないのか、と。右ワイドに先発起用された高安亮介の突破力とスピードに。右偏重は一向に是正される兆しが見えないどころか、ズブズブと泥沼にはまっていった。
「上手くビルドアップできなかったのが全て。同サイド、同サイドで行くのは難しい」
柱谷幸一監督は、問題点をそう分析した。例えばGK小針清允が右サイドバック岡田佑樹にボールを預ける。その時点で相手の陣形は崩れていない。高安の対面の選手も万全の準備を整えて待ち構えている。それでも、強引なまでにパスを通そうとした。いくらスピードがあっても、スペースを消されてしまっていては、抜きに掛かるのは容易ではない。目的地までの最短ルートを選択するあまり、攻撃が淡白になってしまった。進路を塞がれた高安はピッチから消去された。脅威を与えるべき場所が逆に足かせとなってしまう。
DFラインとボランチがポゼッションしながら機を伺い、サイドチェンジ、或いはコンビネーションを駆使して局面の打開を図っていくのが本来の栃木SCのスタイルである。一か八かのギャンブル的なパスを利すことは皆無に等しい。
ボールを散らす役割を担う向慎一は、「高安さんのよさを生かそうと、右、右になってしまった。相手もケアーしてくる。真ん中でボールを動かして、左にもっていくべきだった」と自ら選択肢を狭めてしまったことを激しく悔いた。続ける。「変化をつけられればよかった。ボク、(佐藤)悠介さん、(斎藤)雅也が起点になれれば、面白いサッカーになった」。
高安の速さは熟知している。それは、対戦相手のFC刈谷も同じこと。当然、警戒してくる。工夫が施されていない、安易なパスを出しても読まれてしまう。マークも剥がれない。一旦、逆サイドに振る、或いはボランチ、トップにあててから、右へはたく。単純な揺さ振りができていなかった。それどころか、一点に意識が集中してしまったことで、反対サイド、つまり左サイドは放置されたままになってしまった。佐藤は「ボールが触れないとリズムが作れない。ストレスが溜まった」とあけすけに話す。
高安の存在感が際立つのに45分以上を要してしまう。後半、上野優作がピッチに送り出されると、攻撃に緩急がつく。鳴りを潜めていたサイドアタックがようやく機能し始める。上野というワンクッションを挟んでから、サイドに展開したことで活性化が図れた。
直線で目的地に到達するのではなく、迂回したことが奏功する。良質なサイドからのアタックを可能にするためには、回り道も欠かせない。そして、修正能力も。「ゲーム中に、ボールが動いている時に修正するのはなかなか難しい」(柱谷監督)。だが、刻一刻と移り変わる状況に手をこまねいているわけにもいかない。「全部が全部、上手くはいかないが、悪い時間帯を減らして、いい時間帯を増やしていかなければならない」と佐藤は自省しながら、劣勢をイーブンに、更に攻勢に転じられるような能力を磨く必要性を説いた。
満遍なく両サイドからアタックを繰り出すには、能動的にサッカーを押し進めるには、コミュニケーションと連携を深め、気脈を通じ合わせることもまた、重要である。
交渉決裂@栃木SC通信
2008年11月29日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対ファジアーノ岡山戦@栃木SC通信
2008年11月23日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-0。
後半:0-0。
順位:2位(勝点62)◆優勝:HondaFC(勝点71)
目の前での歓喜を阻む。
※お疲れ様でした。一月に2度の山陰遠征は疲労度が高い。レポートくらいは仕上げたいと思います。
プレーバック:対ファジアーノ岡山戦@栃木SC通信
2008年11月22日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
1月のファーストミーティングで柱谷幸一監督が今季の理念として掲げたのは3つ。結果、内容、フェアプレーである。とりわけ強調したのが結果。所属選手全員がプロ契約を結んだことで、「プロである以上、当たり前」と話し、突きつけた要求が「ホーム全勝」だった。勝負に徹するシーズンに相応しい、退転の決意が如実に表れている目標である。勝ち続ければクラブの財政基盤を安定させるのに不可欠な観客動員にも結び付く。だからこそ、スタジアムへ再び足を運んでもらうために、栃木のサッカー熱を上げるために、カタルシスを得られるゲーム内容と同等に勝利が必要とされることを声高に訴えた。
前期に組まれたホームゲーム9試合を、栃木SCは見事に全勝で終える。傷ひとつない、綺麗な白星が並んだ。指揮官の過酷なノルマを半分クリアした。
整えられた環境、熱狂的なサポーターの応援など、枚挙にいとまがないほどのプラス要素が集中力を高め、試合への入り方を滑らかにする。対照的にアウェーでは比較的リーグの中で恵まれた状況がマイナスに作用し、勝点が伸び悩む一因となっているのだが。
「負けたり引き分けたりした後に今季は必ず勝つからね。それが大きいよ」
コールリーダーのシゲルさんは、昨季との違いをそう語る。
選手達の中には芽生えつつある。敗戦を喫する、或いはドローで勝点を取り逃しても、ホームに戻れば立て直しが図れるという強い思いが。キャプテンの佐藤悠介は、現況をこんな風に感じ取っている。
「ホームで負けていないことで自信が出てきている」
いつかは途切れるかもしれない連勝に怯え、プレッシャーに押し潰されることなどない。根城に帰れば自分達は負けないという心理。その働きは思考をポジティブにし、気持ちの切り替えを促進している。ホームゲームでの勝利に対する強い意識が「ホーム力」を培い、優勝争いを繰り広げられている好循環を生んでいる。
久方ぶりのアウェーでの勝利と引き換えに、中盤のオーガナイザー落合正幸と右サイドで職人芸を披露していた岡田佑樹が揃って出場停止と、代えの効かない選手を2人も欠く事態を招く。佐藤の3試合出場停止に匹敵すると言っても過言ではない。前節、奪取した首位のまま折り返すには、乗り越えなければならない難しい試合に直面した。栃木SCの布陣はGK小針清允、DFは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、赤井秀行、中盤は底に向慎一と鴨志田誉、左ワイドに佐藤、右ワイドに高安亮介が据えられ、上野優作と横山聡が2トップを組んだ。5人もの大卒新人が先発起用され、最終ラインには鷲田を除き“北京五輪世代”が3人も名を連ねた。
さて、6月15日は栃木県民の日であり、クラブが株式会社化して1周年のメモリアルデーでもある。「県民の歌を1万人で大合唱」と大々的な告知を刊行。そのかいもあり1万人には達しなかったが、開幕戦の6338人を超える7253人が集う。恥ずかしい試合はできない。
異例の地域リーグ所属時代に「J2準加盟」の権利を得たのが、ファジアーノ岡山(以下、ファジアーノ)である。中国リーグ、全国地域リーグ決勝をトップ通過した実力に偽りなし。HondaFCを開幕で食すとカターレ富山、SAGAWA SHIGA FCも撃破した。一時は首位に立つほどの快進撃も、昨季の下位チーム相手に苦戦を強いられ、ズルズルと順位を下げた。どうやらチームの体質として強敵には高いモチベーションで挑めるが、その反面ちからが劣ると自己判断した相手には手を焼くようだ。
対戦前の順位では栃木SCが勝る。つまり、ファジアーノが闘志を剝き出しにする材料は整っていた。スタートダッシュに成功。左サイドを軸に攻撃を仕掛け、持ち味のひとつであるセットプレーの流れから、中盤に下がった喜山康平がヘディングシュートを放つ。ゴールを脅かされ、拙い立ち上がりの栃木SCも、特長であるセットプレーから上野が競り勝つなど応戦した。序盤はセットプレーの攻防が続いたが、徐々に互いの2トップを2CBが抑え込んだことで、試合は拮抗した展開となる。
サイドに上手く蓋をされ、手詰まりに陥っていた栃木SCであるが、開眼した高安が果敢にシュートを打つと活気が生じる。縦だけではなく内側へルートを開拓したことが奏功。圧を掛け、DF陣を揺さぶる。全体の動きも軽快になる。前線から骨惜しみない横山聡のフォアチェックが守備組織を強固にし、ファジアーノは打つ手がなくなる。
手綱を握ったはずだったが、41分に朝比奈祐作に至近距離から決定的なシュートを浴びる。ここはGK小針が腕一本で叩き落とすビックセーブで凌ぐも、44分にFKとカウンターから冷や汗をかかされるなど、相手に盛り返される後味の悪さを残した。
後半の立ち上がりもファジアーノのリズムで試合は進んだ。前を向いてのプレーを許してしまう。しかし、前傾姿勢になった相手の逆手を取り、スペースを利するボールと動きが目を引くようになると栃木SCは攻勢に出る。12分、鷲田から高安へと良質なロングフィードが届けられる。高安は迷わない。1対1を制し、PKを勝ち取る。これをGK李彰剛の間合いを外し、佐藤が左隅にきっちり沈める。
先制後も前半はミスの目立った向と鴨志田のダブルボランチがゴールに迫るなど、追加点を狙いに行く。畳み掛けてリードを拡げようとするも、単純なミスが重なったことでファジアーノに息を吹き返されてしまう。怒涛の反撃を守備陣が身を挺して脱するが、持ちこたえられなかった。29分に喜山の左クロスから小林康剛にヘディングシュートをぶち込まれて同点とされる。失点直前、栃木SCは5人で攻め込んでいた。カウンターを打ち込むも、防がれると戻りが遅れる。鴨志田がディレイさせるも、味方は帰陣してこない。人数は足りていたが、バランスが崩れていたのも事実。一瞬、切れた集中力が仇となる。
後半の頭には既に疲労の色が濃かったという高安を下げて稲葉久人を投入。松田正俊を送り出してパワープレーの選択肢も用意されていたが、柱谷監督は稲葉に賭けた。この交代は吉と出た。
ドリブルで中へカットイン。左の佐藤にボールを預け、自身はゴール前へ。絶妙のタイミングでマーカーを振り切った佐藤のクロスを頭で叩いたのは稲葉だった。県民の日に地元、小山市出身のルーキーがゴールを決めたことでスタンドは爆発。手拍子は足が止まり始めていた選手を叱咤し、陣形を久保田勲と深澤幸次を入れて中盤に厚みをもたせる4―1―4―1(4―5―1)へシフトさせたことでセカンドボールが拾えるようになり、2次攻撃を阻んだ。ニューウェーブ北九州戦では5バックで逃げ切ったが、今回は中盤を肉厚にしたことで準加盟ダービーを勝ち切った。大観衆に勝利をプレゼントできたことに加え、ホームでの不敗が継続されたことに選手と柱谷監督は安堵の表情を浮かべた。
頬を緩めたのも束の間、引き締め直した柱谷監督は言った。
「得ているものはひとつもない。しっかり勝って前期を締め括りたい」
まさにその通りである。16試合を消化した時点で首位に居るだけに過ぎない。次節、対アルテ高崎戦に勝利することで初めて天皇杯のシード権が得られる(ドローなどケチな考えは持っていないだろう)。栃木県のサッカー界のためにも首位ターンを叶え、枠をひとつ増やしたい。
JFL前期第16節 栃木SC2―1ファジアーノ岡山 観衆7253人 @栃木県グリーンスタジアム
〈栃木SC〉交代:高安(→稲葉)、向(→久保田)、横山聡(→深澤)
〈ファジアーノ岡山〉GK李彰剛、DF尾崎雄二(→大島翼)、伊藤琢矢、木村允彦、野本安啓、MF妹尾隆佑(→小林優希)、小野雄平、喜山康平、川原周剛、FW朝比奈祐作(→玉林睦実)、小林康剛
『苦境を乗り越え果たされたボトムアップ』
大卒新人が5人もスタートから起用されることに対して不安は感じなかったそうだ。むしろ、頼もしかったとチーム最年長の34歳、上野優作は言う。
「大卒の5人で勝手に盛り上がっていましたからね。心配はしていなかった」
続けて初先発の赤井秀行を、こう評した。
「ヒデはいいプレーをしていた」
栃木SCでのJFLデビューはアウェーでの対佐川印刷SC戦、後半のロスタイム(流通経済大学でリーグ戦は経験済み)。守備固めで投入された赤井は、左サイドバック(以下、SB)に配された。左右のSBに加え、センターバック(以下、CB)も可能なポリバレントな選手である。1点を守り切る状況でピッチに立つも、自らの持ち場から同点被弾のクロスを上げられてしまう。応対したのは佐藤悠介であったが、悔しさは残ったはずである。その後、ベンチには辿り着くも、僅か数メートル、眼前のタッチラインを越えることは困難を極めた。攻守に卒がなく、抜群の安定感を誇る岡田佑樹が同ポジションに君臨していたからである。挽回の好機はなかなか得られなかった。
右SBのファーストチョイス、岡田が累積警告により出場停止となった。やっと巡ってきた先発機会。心の準備は既に岡田が3枚目のカードをもらった時点から出来ていた。特長である1対1の強さ、CBとの連係を意識して試合に臨む。
「弱気にならずに強気で向かって行こう」
序盤からファジアーノ岡山(以下、ファジアーノ)は赤井のサイドから攻略を図る。このゲームの鍵はサイドの攻防にあった。そのことを赤井はしっかりと認識して試合に入っていた。
「サイドにボールを散らしてくるので1対1では負けないように」
気負いはあった。が、浮き足立った時間は長くなかった。強みである対人プレーでは飛び込まず、自分の間合いに引き込んでから足を出し、進撃を阻む。後手を踏むことはなかった。持ち味の守備力は遺憾なく発揮され、守備組織の強度を強めた。カバーリングも冴え渡る。
「高安さん(亮介)が前にいたので、攻撃は高安さんがやってくれる。後ろで穴を埋める」仕事に徹したが、前半19分にはスペースがあると見定めるやドリブルで持ち上がる。最終的に高安の際どいシュートを引き出した。敵陣深くまで侵入する回数は皆無に等しく、攻撃参加は数えるほど、赤井曰く「攻撃ではちょっとミスが多かった」ものの、スピードもあるだけにえぐってからのクロスも今後は期待が持てる。
シーズン前にはフィットできなかったことで「追試」を科された。失点の大半は赤井のサイドからだった。対ファジアーノ戦も結果的に赤井のところから供給されたクロスが同点弾に繋がるも、「十何試合目で初先発。あれだけやれたのはトレーニングをしっかりやっていた証拠」と、柱谷幸一監督は高評価を与えた。岡田を右ワイドに、赤井をそのひとつ下で組ませる考えがあることも口にした。
岡田が復帰すれば取って代わられる。それでも、勝利に貢献できたこと、手応えを得られたことに充足感を抱いた。
「勝てて嬉しい。一安心」
赤井の笑顔が弾けた。
3度ピッチに立つも出場時間は、たったの29分。上野、横山聡、松田正俊に石舘靖樹の4人をローテーションするFWの位置に、稲葉久人の居場所はなかった。交代出場するも、ポジションはいずれも右ワイド。スタミナの切れた高安に代わり、後半34分に送り出された位置は今度も右ワイドだった。相手のSBが攻撃的だったこともあり、「守備から入るように」との指示を受ける。守備に神経を割きつつも、しかしスコアが1―1だったことで、こんな言葉も掛けられる。「相手のSBの裏を狙え。左からいいボールが来るから準備はしておけ」。
「直感ですかね。ここにくるだろうと」
背後を取るスピードと嗅覚で勝負するプレイヤーと自己を語る稲葉。ゴールの匂いを敏感に嗅ぎ取った。佐藤悠介のピンポイントクロスを頭で突き刺す。ワイドの選手がPボックス内でヘディングシュートを決めるカタチはトレーニングから繰り返されていた。
「金曜日の紅白戦でも決めていましたから」
ゴールはトレーニングの賜物であるが、ゴールを決められる位置に走り込むことは容易ではない。生まれ持った才能のひとつだろう。
「いいポジションにいた」
FW出身の柱谷監督も手放しで褒め称えた。
今まで派手に映る外見とは異なり、稲葉は試合に出てもどこか控え目だった。覇気に乏しく、泥臭さは影を潜めた。そのギャップの真相を本人が明かした。
「これまで試合に出ていても遠慮があり、空回りの原因になっていた」
試合に入り込めていなかった。「周りに迷惑をかけていた」。そこで、一念発起する。1週間前から心に決めていた。フレッシュな状態で入るのだから皆よりも動き回ろう、貪欲さを意識したプレーをしようと。ゴールの切っ掛けは、自らが作り出した。前を向き、アグレッシブにドリブルを仕掛けた。思い切りのよさが佐藤にボールを託してから状況を傍観するのではなく、ゴール前に飛び込んでいく姿勢として結実した。攻撃的な選手は強引なくらいが程よい。高安がゴールにより脱皮したように、稲葉も結果を残したことでブレイクスルーする確率は低くない。
佐藤の不在時には石舘と鴨志田誉が特性を生かして難局を乗り切る一助となった。落合正幸と岡田を失ったファジアーノ戦も苦しいメンバー構成となったが、向慎一、赤井、稲葉とピチピチした若手が奮起し、勝点3を呼び込んだ。ただし、“背骨”となるGK小針清允、鷲田、佐藤、上野のベテラン勢の存在と、町田秀三、阪倉裕二コーチの熱血指導を忘れてはいけないと柱谷監督は付け加えた。
「ボクが何かをしなければいけないチームはよくない。皆が逞しくなっている」
現在のチーム状況を佐藤は、そう見ている。
開幕から固定メンバーで戦ってきたことで、一時はバイオリズムが落ち込んだ時期もあったが、主力が抜けるという逆境を乗り越えたことでチーム力は養われた。つまり、選手層は厚みを増し、全体の底上げが図れた。各ポジションに先発しても一定レベルのパフォーマンスができる、バックアッパーが控えていることは勝利が得難くなる今後へ向けて心強い。
昨季、続投が決まってから柱谷監督は常々大学生、しかもトップレベルでプレーする選手の質の高さを強調。資金面の問題もあるが大量に獲得する方向性を示していた。精力的に動きオフに行ったチーム編成が間違いではなかったことが、若手の台頭により証明されている。
若手とベテランの融合は緩やかに成され、強者になるための階段をまたひとつ上った。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年11月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
サイン会は右サイドバックとセンターバック。
72分、猛然と右のスペースへ。
大胆不敵なオーバーラップからのクロスは惜しくもゴールに結び付かなかったが、仕掛けは毎試合見応え充分。
ハーフライン付近から供給された落合の背後へのパスに鋭利な反応を見せたのは鴨志田誉。
相手GKが先に落下点に到達するも、まさかの空振り。
鴨志田曰く「ビックリした」ものの、「ラッキーでした。全速力で走った」ことで並走してきたDFに先んじ貴重な3点目を奪った。
この日も安定した守備で危機を防いだ。
開幕から唯一のフル出場もあっ晴れ。
先制点を奪った位置とほぼ同じ距離から入念にシュートを打ち込んだ。
アップから準備は出来ていた。
2ゴールをお膳立てするも、「たまたまです」と謙遜。
田村仁崇、佐藤悠介、そして入江利和とレフティのキック精度は高い。
アップ後、ロッカーに戻ってくる選手を出迎えた控えの選手達。
こどもたちに夢を。
スローガンを実現した。
選手会長・山崎透は次節以降の意気込みを語った。
「相手はホーム最終戦だし、昇格のために負けられないと思う。楽しみ。連勝で終われるようにしたい」
ちょっぴりすねた感じの上野優作。
「ホームの残り2試合。この試合で決まると思っていたのに・・・」
歴史的な試合には出場できなかったが、献身的なプレーでチームを牽引した。
マイクの故障でスピーチの内容が吹っ飛ぶアクシデントも。
栃木SCの歴史に触れてくれたことが嬉しかった。
「栃木最高!!」
新たな歴史が2008・11・16に刻まれた。
昨季からのメンバー@栃木SC通信
2008年11月17日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
吼える@栃木SC通信
2008年11月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対アルテ高崎戦@栃木SC通信
2008年11月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
栃木SCサポーターはアウェー側のメインスタンドを黄色に染め上げた。収まりきれないものはホーム側に回り、スタンド最上段で立ち見するなど人で溢れかえった。公式入場者数は854人。そのおよそ8割を黄色が占めた。ただいま9戦全勝。無類の強さを誇るホームと同じ空気を、高崎は浜川競技場でも醸成させた。「雨でもアウェーでも声援を送ってくれる。ホームのような感覚でやれた」(川鍋良祐)
45分を終えて1―2とビハインドを背負った。それを残り45分で3―2と引っ繰り返す。クロスゲームを勝ち切り、勝点3を手中に収め、前期を首位で折り返すことに成功する。「錯覚」はプラスに作用したといえる。
楽な試合などひとつもなかった前期を象徴するような一戦。
「粘り強く戦った結果」
落合正幸は日々のハードなトレーニングと実戦を通じて培われた、メンタル面の成長を勝因に挙げた。そして、粘着力はサポーターの存在なしには育まれなかったと信じて疑わない。
「サポーターからは『上がりたい』、『上がるんだ』という気持ちを強く感じる。それに対して失礼のないように選手はプレーしている」
次第に芽生え始めた勝利への義務感。それは選手のメンタルを程よく刺激し、勝利を届けなければならないとの思いを日増しに強くした。声を嗄らし、諦めることなく終了の笛が鳴るまで背中を押し続けてくれる。投げ掛けられる熱に報いなければ、応えなければならない。
「声援を受けることで『勝たなければならない』と、少しずつプロ意識が出てきた」
柱谷幸一監督は選手の心境の変化を、そう語る。
チームを強化するのは、なにも監督やコーチだけではない。厳しくも温かい眼差しでチームを見守り、共に戦うサポーターもその一端を担っている。指揮官はその力の偉大さを知り尽くしている。だからこそ、常に口にする。「サポーターの力が大きい」と。そこにはリスペクトと感謝が含まれてもいる。
クラブ史上初となる前期首位ターンが達せられたのは、今から3年前の2005シーズンである。原動力となった若林学(愛媛FC)のゴール量産は、遠い過去の記憶ではないだろう。あれから月日は流れ、再びJFL前期1位に授与される天皇杯シード権を他力ではなく(当時はHondaFCが躓いたことによるタナボタだった)、自力で掴み取る機会を作り出した。スタメンは2トップに上野優作と横山聡、中盤は左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに高安亮介、ボランチは落合と鴨志田誉、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋、岡田佑樹が配され、ゴールマウスには小針清允が立った。
アルテ高崎(以下、アルテ)の頻繁な監督交代は欧州のクラブ並み。前期途中で渡辺克之監督から攻撃サッカーを掲げる幸谷秀巳氏にスイッチした。4―4―2から4―3―3への布陣変更が奏功。連勝を飾るなどちょっとしたサプライズを起こしている。定位置だった最下位から脱しもした。
栃木SCの中盤を無力化するためにアルテが選択したのは、浅いラインを敷き、全体を圧縮することだった。スペースを潰され、試合前から降り続いた雨によりピッチ状態は万全ではなかったが、ものともしない。横山が巧みにボールを誘引。両サイドからの攻撃を滑らかにする。攻め入ることが出来ていたサイドから先制点は生まれた。佐藤の左クロスを横山がトラップからシュート。GK斯波薫に1対1を制されるも、ルーズボールをゴールへパスするように高安が流し込んだ。前半15分の出来事だった。
先手を取った。しかし、試合を落ち着けられない。ここ数試合の課題が顔を出す。直接FKでゴールを脅かされ、その流れの中で与えたCKから今井雅貴に泥臭くゴールを割られる。5分と経たない内に同点とされる。
試合は振り出しに戻ったに過ぎないが、ショックを引き摺った。出足が遅れたことで、容易に危険な香りのするクロスを供給される。28分の決定的な窮地を潜り抜けるも、32分にまたしてもCKを跳ね返しきれず、阿久澤剛に強烈な一発を浴びせられる。「集中力はあったが、相手の人数が多く、マークが足りなかった。ズレもあった」と落合。「セットプレーからやられるのは勿体ない。うちはセットプレーを武器にしているのだから」と続けた。
アグレッシブに3列目から飛び出しを図った鴨志田の動きも実らず、ゴールを取り返せなかった。
「負けていたが0―0のつもりで。1点を取ったら流れはこっちに来る。もう一度、やり直そう」
ハーフタイムにそう伝えた柱谷監督は、横山を下げて石舘靖樹を投入する。開始1分のCKから川鍋が放ったシュートはクロスバーに嫌われる。だが、背後を突き、空中戦でも引けを取らなかった石舘のプレーに触発されるように、運動量が上がった栃木SCは攻勢に転じる。ショートカウンターが決まり始めた矢先だった。佐藤が右サイドの高安へ通そうとしたスルーパスを阻もうとしたアルテDF。伸ばした足に当たったボールは、予期せぬ、自陣ゴール方向へと向かう。栃木SCは相手の絶妙なループシュートからのオウンゴールで追い付く。
「一人ひとりのボールに対するアグレッシブさ、スピード、タックルの激しさなど」(上野)パワーを発揮した栃木SCは、3点目を手に入れる。右サイドの岡田からサイドチェンジのボールを受けた佐藤が左足を一振り。豪快な一発がネットを激しく揺さぶる。逆転弾は後半24分に突き刺さった。
勢いに乗った栃木SCはセットプレーから、GK斯波の肘打ち一発退場でPKを獲得。これを佐藤が左へ蹴り込む。ややコースが甘かったこともあるが、ここは交代したばかりのGK岡田大の読みが勝った。セーブされ、逸機する。絶好機を逃したものの、前半の反省を生かし、セットプレーを与えても危機を招くことはなく、3―2で逆転勝利を飾った。
「内容はともかく、結果的に首位は評価して欲しい」
そう語るのは上野。天皇杯のシード権を手にしたことで、今年は栃木県から2チームが全国を舞台に戦うことが許される。アマチュアに枠をひとつ増やした功績は小さくない。最高の地域貢献である。
積み上げた勝点は41。昨季、首位ターンした佐川急便SC(SAGAWA SHIGA FC)の39を上回り、2位を勝点で5つも離す単独首位、ご褒美にシード権を頂戴するに至るも、喜びが湧き上がってこなかったのは、「攻撃と守備で5割もやれていない」試合内容に不満を抱いたからだろう。柱谷監督の表情は何時になく険しかった。
「一区切りではなく対FC琉球戦への準備を行わなければならない。今日出来なかったことの修正を今週1週間で行うことが大事」
中断期間の設けられていないJFLの困難さを説き、既に今月29日に幕を開ける後期へ目を向けていた。
JFL前期第17節 アルテ高崎2―3栃木SC 観衆854人 @高崎市浜川競技場
〈アルテ高崎〉GK斯波薫、DF杉山琢也、阿久澤剛(→神谷恭平)、西村陽毅、床井伸太郎(→小川裕史)、MF里見仁義、工藤光俊、今井雅貴、FW久保田圭一、田中靖大(→GK岡田大)、白山貴俊
〈栃木SC〉交代:横山(→石舘)、高安(→稲葉久人)
『浸透、底上げ。対応力、個の強さ、ポゼッション』
沈思黙考した末に口を開いた。
「どれも厳しいゲームだった。ベストゲームはない」
前期のベストゲームとワーストゲームは。そう問われた際の柱谷幸一監督の応答である。ホームで1―0と勝利したHondaFC戦を挙げると思っていたが、予想はものの見事に外れた。
敢えて印象に残る試合を口にしなかったのは、こんな理由からである。
「競っているゲームが多い。1点差で取ってきたが、どっちに転んでもおかしくはないゲームがあった」
勝ち星13の内、実に10が1点差と僅差である。豊富な戦力を有しても、容易に勝ち抜けるリーグではないことを、数字は如実に物語る。
それでも、シーソーゲームをものにしてきたことで、「しぶとさ」が生じたことはプラスであったと考えている。対アルテ高崎(以下、アルテ)戦も小差のゲームを勝ち切れた自信があったからこそ、気持ちを切らさずに勝利を追求し、最終的に手に入れられた。激闘を潜り抜けてきたことで、開幕時よりメンタル面は相当タフになってきている。
石舘靖樹は言う。
「負けた試合がプラスに働いている。3―2で勝ち切れるのは、代償は大きかったかもしれないが、勉強したことが実になっているからだと思う」
柱谷監督は、「チーム戦術、コンセプトが攻守において全員に浸透している」ことも収穫とした。チームとしてやるべきこと、ベースが確立され、刷り込まれていることは殊の外、大きい。負傷離脱、出場停止によりリザーブだった選手が先発しても遜色ないプレーを披露したことが、それを証明している。鴨志田誉は今や確たる地位を築いている。高安亮介はゴールにより長足の進歩を遂げた。赤井秀行は守備力の高さを見せ付けた。田村仁崇は鷲田雅一と川鍋良祐を脅かす存在へと成長している。危機を好機に変換できるのは、しっかりとした約束事と規律がチーム内に存在し、選手が理解しているからである。主力が欠けても代わりの選手が一定レベルの役割を果たす。ボトムアップが図れ、薄かった選手層に厚みが加わった。
「内容を上げて結果を残さなければ後期は苦しむ」
楽観的な言葉は聞かれない。悲観的ではないものの、「気持ちを緩めない」ことなどの重要性を柱谷監督は説く。後期に入り、2順目ともなれば相手も手の内を読んでくることは明白。苦戦は前期の比ではなくなるだろう。そこで、問われるのが「対応力」である。スカウティングとは異なる戦略で臨んできた相手に対し、策略にはまり込む前にいかに手を打てるか。動じて後手を踏む時間帯、劣勢に回る機会を減らせる柔軟な姿勢と発想が必須になる。
そして、個の力量を高めることもまた不可欠である。アルテにセットプレーから2つもゴールを献上したのは、「跳ね返す力が足りない」から。それはCBの2人だけではなく、Pボックス内に入っていた選手全員に該当する。先ずは1対1で負けない。セットプレーのみならず、流れの中でも。この大前提はファーストミーティングから口を酸っぱくして指揮官が訴えてきたことである。
再び石舘。
「セットプレーから2度も失点したことで後期の勉強になればいい。『セットプレーからは失点しない』と、いい方向に考える。払った授業料は高いですが、強くなれば経験が積めればいい」
どこまでもポジティブである。攻撃的な資質を見抜いた柱谷監督。FWへのコンバートは前期最大のヒットだろう。
17試合を消化してもアバウトにボールを蹴り込み、セカンドボールから2次、3次攻撃を仕掛けてくる相手への戸惑いは消えない。そろそろJFLの水に慣れてもいい頃なのだが・・・。ポゼッションしてイニシアチブを握ろうと目論むチームは、ほんの一握りである。チーム最大の泣き所が解決できれば安定した試合運びが可能となり、手詰まりに陥った相手を支配することは、そう難しくはない。結果に内容が伴えば、完勝が増えれば、風格は備わるはずである。試合前から相手を飲み込んでしまえば、勝率はより一層高まる。
詰めなければならない細かな点は多々あるが、今後へ向けて大雑把な要求をするならば、守備では組織的な要素に個の強さが、攻撃では前へボールを入れることで発揮される強みにポゼッション力が欲しい。
綾瀬と鍋したい。
2008年11月13日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
体調不良で取材を欠席。
安静にしていたら代表戦を録画ミス。
あちゃー。
綾瀬はるかに癒してもらうしか手はない。
『3セット』
田村と松田。
このラインは強烈。トゥルシエ時代の中田浩二のイメージで最終ラインから精度の高いボールを供給する田村と受ける松田。息がピッタリだ。田村のボールが逆サイドへ抜ければ小林が走り込んでクロスにシュートを狙う。攻撃の幅が広がった。
向と佐藤。
物怖じしない向の性格は佐藤がパートナーでも問題なし。テクニカルなトップ下は好機を演出し続ける。
鴨志田と落合。
佐藤とのコンビでは萎縮していた感のある鴨志田だが、落合とダブルボランチを組んでから飛躍的にパフォーマンスが向上した。ここ数試合のプレーの質は非常に高い。
プレーバック:対三菱水島FC戦@栃木SC通信
2008年11月 8日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
開幕からの3試合を3連勝と上々のスターとを切った栃木SC。勝点9を獲得した連戦を終え、柱谷幸一監督が振り返る。
「負けていてもおかしくはないゲームだっただけに、第2戦を取れたことは大きかった」
ポイントに挙げたのは、蹴り合いに個々が戸惑ったFC刈谷とのアウェーゲーム。度重なる窮地を守備陣が耐え忍び、勝点2の喪失を覚悟したロスタイム目前、間接FKからゴールをこじ開け勝利を手繰った。些か幸運にも恵まれるが今季のテーマである勝点1を勝点3に転換できたことは小さくなかった。小林成光は言う。「(連勝することで)勝ち方が分かってくる。踏ん張れば点を取れる、と思える。ネガティブな考えは浮かんでこない。いい流れができる」。敗戦、或いはドローをも覚悟したタフなゲームを制した自信と浴びたJFLの洗礼。それらがゴールショーの要因となったことは言うまでもない。
試合前、栃木SCは思い通りに事が運ばなかった前節の反省を生かすために、主導権を握り、自分達のサッカーを前面に押し出すことを確認した。スタメンは上野優作と石舘靖樹が2トップを組み、中盤は左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに小林、落合正幸と向慎一がダブルボランチに配され、左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹がDFラインを形成し、GKは小針清允が務めた。
2戦2分け。三菱水島FCの陣容も4―4―2だった。
不安定な立ち上がりも、上野が連続してゴールに迫るとリズムが生じ、6分に先手を取る。Pボックスへ侵入されるも事なきを得るとカウンターが炸裂。佐藤が右へサイドチェンジし、小林が背後へパスを送り、上野が落としたボールを石舘が冷静に流し込んだ。あっさりとゴールネットを揺らし、「後ろからのボールに強い」上野と石舘が良好な関係性を築いたことで優勢に試合を進める。13分、再び佐藤が起点となり、上野のポストプレーから今度は走り込んできた小林が強烈なミドルシュートを突き刺した。「放り込むだけでチャンスになった。バランスを崩さずに攻撃できた」とは、引き立て役を担った上野。奪ったボールはすぐさま前線の2人へ。三菱水島の守備陣形が整わないうちに、鋭く速い縦へのシンプルな攻撃を仕掛けたことが見事にはまった。
長身の松永一慶をリザーブに回し、「動ける選手を選んだ」(熊代正志監督)三菱水島。小柄な菅康介、中川心平が、こちらもカウンターからゴールに襲い掛かる。GK小針の俊敏な反応がシュートを防ぐも、フィニッシュにまで持ち込まれることは頂けない。アドバンテージを有していても、常にアラートな状態を保持しなければならない。集中力の欠如が失点を招くことは、開幕戦で経験済みのはず。GK小針への依存度を減らしていかなければならない。
難を逃れた栃木SCはFKから鷲田が競り落としたボールを、ゴールライン際で小林が残し、最後は落合がプッシュ。プロ初ゴールを記録した刈谷戦をなぞるような、泥臭いゴールを決めた。「皆が繋いでくれて押し込むだけだった。でも、3点目は重要。次は流れの中で絡んで取りたいですね」。
最初の45分で3ゴールを叩き出すも、反撃を許した時間帯に関して注文をつけた柱谷監督。「あと3点は取ろう」とハーフタイムに指示し、選手を送り出す。
後半4分、小林の右クロスをニアサイドで石舘がダイビングヘッド。柏レイソルでは左ワイド、サイドバックが主戦場だったが、元来は前の選手である。自分の色を出せるFWのポジションでの先発起用に発奮。「ボックス内で力を発揮できる」(柱谷監督)ことを証明した。「サポーターに魅せるプレーを好む」石舘は、前半44分に続き、後半9分にもオーバーヘッドを繰り出し、さらに14分には胸トラップからスキルフルな反転シュートを放つ。「調子に乗り過ぎましたね」とは言うものの、悪びれる素振りなど全く見せず、「決まっていたらヒーローでしたね」と、むしろ悔しさの方が勝っていたようだった。
前線で体を張り、ボールを収めていた上野だが、「早く結果が欲しくて気負っていた部分があったかもしれない」と、ボックス内でルーズボールに飛び込んだ際、足裏を見せたとして本日2枚目のカードを提示される。ピッチから追い出された。数的不利に陥るも栃木SCは動じない。中盤とDFラインが綺麗なラインを引き、アプローチを掛ける位置を明確に定めたことで、要所をしっかりと抑える。好機を作らせなかった。
守備を固めてリズムを整えたことが実を結ぶ。素早い攻守の切り替えから途中交代の横山聡が粘り、左サイドを駆け上がってきたこちらも途中出場の久保田勲に叩く。その久保田はDFを振り切ると左足一閃。持ち味のひとつである、どこか懐かしい匂いのするミドルシュートでゴール右上段を射抜いた。あのプロセス、弾道は、現広報・吉見康之が現役時代に対ホンダFC戦で描いたものと酷似していた。
昨季ゴール数0だった久保田の最高のアピールが幕引きとなり、栃木SCは開幕3連勝を望外の5ゴールで飾った。
「一人少ない中でゲームを作れた。流れをよく見て、自分たちのやらなければならない仕事をやってくれたのは大きい。長いリーグ戦を考えればサブの選手が入り、結果を残せたことはよかった」(柱谷監督)
退場者を出してしまいプランが崩壊したことに落胆する一方で、10人でベンチの意図したプレーが体現できたことをポジティブに捉えてもいた。
1週間後には準加盟クラブ同士の対戦、対ガイナーレ鳥取戦を控える。ひとつの山場へ向けて、柱谷監督は現在の胸中を吐露した。
「自分達のスタイル、サッカーをする。相手によってやり方を変えるのではなく、自分達のスタイルで戦い、勝つことが今は大切」
スカウティングを怠ることはないが、練りに練りこんだ方策を用いることもなさそうだ。過去3戦で蓄積したものを全てぶつける。真っ向勝負を挑む気構えでいるのではないだろうか。それで敗れるようならば、力不足を認め、再スタートを切ればいい。再構築も可能な時期だけに当然ながら逼迫した様子は伺えない。
JFL前期第3節 栃木SC5―0三菱水島FC戦 @栃木県グリーンスタジアム 観衆4275人
〈栃木SC〉交代:石舘(→横山)、小林(→高安)、佐藤(→久保田)
〈三菱水島FC〉GK永冨裕尚、DF松岡宏晃、坂口遥、萩生田真也、三宅一徳、MF山下聡也、丸山拓志(→松永一慶)、川口正人、田丸誠(→日笠山優)、FW菅康介(→上田隆央)、中川心平
『いかにいい準備ができるか』
既に横山聡、高安亮介と2枚の交代カードは切られていた。スコアは4―0。残り時間を考えれば、栃木SCの勝利は動かない。控えに回った選手の中にはアップを止め、戦況を見守る者もいた。そんな中、ひとり黙々と前後左右にステップを切る。ゴール裏に配されたコーンを相手に。ベンチから呼ばれる可能性は限りなく低いかもしれない。しかし、久保田勲が、動きを止めることはなかった。汗を流し続け、その時を待った。
後半42分、佐藤悠介に代わりピッチに立つ。与えられた時間はロスタイムを含めて5分にも満たなかった。収まったポジションは本職のボランチではなく、佐藤が配されていた左ワイドだった。大量リードしているとはいえ、ひとり退場者を出していた。守備固めとして柱谷幸一監督が送り出したことは容易に想像できる。現にコーナーフラッグ付近でボールをキープして時間を潰した。それも、試合をきっちりと閉める“クローザー”に課された役割のひとつである。思惑通り時間は削られていった。
突如、好機が巡ってくる。ピッチ中央の横山聡から、左サイドのスペースへとパスが供給される。サポートに入ったのは久保田だった。トラップでマーカーを剥がし、躊躇いなく左足を一振り。強シュートはゴールネットを激しく揺さぶった。ボールを受けた際、背後から「ストップ」の声が掛かったという。
「パスを出そうかと思ったが、時間帯も考えてシュートを選択した」
これが吉と出る。鋭利なカウンターから追加点をもたらしのだから。
ゴール後、落合正幸に促され、ゴール裏に陣取ったサポーターの元へと駆け寄る。刹那、久保田の脳裏に過ぎったのは栃木SCに加入したばかり、一昨年の鳥取戦だという。ホームゲーム、土壇場で勝利をもたらしたのは左足。それも、ミドルレンジからのシュートだった。
「昨年は(ゴールが)0だったので、入ってよかった」
胸を撫で下ろし、日頃のトレーニングの成果?と問われると、「まあ、そうですね」とはぐらかした。
久保田は知っている。「出してもらった時にしっかりプレーできないと使ってもらえない」ことを、「しっかり準備をしていれば不測の事態が起きた時にチャンスを掴み取れる」ことを。昨季途中、米田兼一郎(現・徳島ヴォルティス)の加入により、ポジションを失った。出場機会を得たのは、堀田利明(現・ヴェルフェたかはら那須)が佐川急便SC(現・SAGAWA SHIGA FC)戦で負傷離脱したからだったが、それまで入念に準備を行っていたことで、一度手にしたポジションを他人に譲ることはなかった。
日々のトレーニングを大事にする姿勢は入団当初から変わることがない。常に向上心を持ち続けている。「たくさんある」という足りない部分を補うのは、もちろんトレーニング。
久保田は言う。
「短い時間の中でプレーすることは難しいが、いかに準備ができるか。準備不足で後悔はしたくない。いつ使ってもらってもいいように準備をする」
こつこつとアピールをすれば、結果を出せば、「出場時間は自ずと伸びる」「スタートから起用される」と信じている。そして、「ボランチでプレーしたい」と強く欲してもいる。レギュラーを張る落合と向慎一からポジションを奪う準備も、滞りなくできている。
『循環』
喘ぎながらも勝点3を持ち帰ってきたFC刈谷戦から中2日。「技術、運動量の差が出た」と三菱水島FC・熊代正志監督が語ったように、力量には開きがあり、加えて小細工せずに戦ってくれたことも割り引かなければならないが、栃木SCのボールの循環は格段によくなっていた。
「相手のボランチ、ワイドの選手が(プレッシャーに)来難いところでボールを受けることが大事。食いついてきたらダイレクトでクサビを入れればいい」
拙かったビルドアップ。修正を施すことができたのは、落合正幸のポジショニング、ボールの引き出し方が絶妙だったからだ。最終ラインで味方DFがボールを持つ。スッとポジションを右寄りに移す。相手のプレスの餌食にならない、味方がボールをつけ易いアングルを作り出す。さりげないがしかし、機転の利いた動きがリズムを生んだ。
供給源がボールをくまなく散らせば、攻撃が一定のポジションに偏る弊害は生じない。前節、際立ったアンバランス、右偏重。三菱水島戦では是正されていた。ポゼッションが可能になり、両サイドにボールが振り分けられ、チーム戦術であるボールを奪ったら即座にトップへ預ける作業も滑らかに行われていた。「使い分け」「バランスが上手く取れていた」(柱谷幸一監督)ことが、5―0の圧勝として結実した。
組み立て役を担った落合。前半38分、ピンポイントの大きなサイドチェンジを佐藤悠介に通す(シュートはGK正面)。残念ながらアシストは記録できなかったが、2試合連続ゴールよりも正確なキックからの決定的なパスは強烈なインパクトを残した。展開力、そして高い守備力。攻守に卒がない。
大勝にも本人は浮かれた様子を見せない。前線からのフォアチェックが機能していたことから比較的楽にボールを奪えた。連動してうまく罠にはめることが出来た一方で、ドリブルでかわされたシーンもあった。奪い方がよければ、いい攻撃を仕掛けられることが分かっている。だからこそ、「潰しに行くところと、行かないところをはっきりさせたい」と、メリハリをつけることの重要性を口にした。
2ゴールはいずれもセットプレーから。「流れの中でゴールに絡みたい」との欲も窺わせるが、期待されている守備面できっちり仕事をこなすことが自己の存在価値を高めることを忘れてはいない。
ゴールに目が眩むことなど、ない。
「ここ3試合、オチは攻守に安定している。アンカー気味のポジションを取っているが、あそこが安定するとゲームも安定してくる」
柱谷監督は落合をそう評する。
刈谷戦の後半、パワープレーに移行した際、ボランチは2枚から1枚に削られた。ワンボランチを務めたのは落合。高さを利して蹴り込まれるボールを弾き返し、球際の強さを発揮してカウンターの芽を摘んだ。勝機を手繰れた一因として、前半はボロボロだった中盤が持ち直したことが挙げられる。落合の踏ん張りが、自身のプロ初ゴールと勝点3に結び付いた。指揮官は賛辞を惜しまなかった。
舵取り役がハンドル操作を誤らなければ、航路から外れることはない。
2位浮上!!@栃木SC通信
2008年11月 4日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対ガイナーレ鳥取戦@栃木SC通信
2008年10月29日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
連勝がマイナス要素、つまり重圧とはならず、プラスに作用した。ここまで勝点を取りこぼすことなく、着実に3つずつ重ねてきた甲斐があった。
「0―0で進んでもチャンスはある。(気持ちを)切らさないで、失点をしないようにしよう」
落合正幸が明かしてくれたのは、スコアレスで迎えたハーフタイムに選手達が確認したことだった。一度、苦しみを、FC刈谷戦(1―0)で味わっているからこそ、辛抱強く、ゴールを割られなければ、勝機は必ず巡ってくると思えてくる。勝ち続けていなければ浮かんでこない発想である。消耗戦を勝ち切った経験が、ポジティブな思考を保持したまま残りの45分間を戦い抜き、勝点3を得る材料となった。
「アウェーは相手がどこであれ厳しい。コンディションを整えて臨んでくる。厳しいゲームの中でもバランスをとり、チャンスを掴み取っていく」(柱谷幸一監督)
そのためには、準備してきた戦術、独自のスタイル、方向性を信じて90分間ゲームを運ぶこともまた、重要である。内容はともかく結果が付いてきていることは小さくなかった。芽生えた自信は勝利と無関係ではないからである。
1週間で3試合の強行日程。その3つをものにした栃木SCは、ガイナーレ鳥取との「J2準加盟」クラブ同士の潰し合いに挑んだ。布陣はGK小針清允、DFは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹と並び、ボランチに落合と向慎一、左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに小林成光と4人が中盤を形成し、石舘靖樹と松田正俊が2トップを組んだ。
「J2準加盟」のブランドを手にするも、昨季は14位に甘んじた鳥取。元日本代表の小村徳男をはじめ、栃木SCに負けず劣らずメンバーを大量補強した。その数、15人。率いるのは昨季途中にコーチから監督へと昇格したヴィタヤ・ラオハクル監督。目玉補強の小村は怪我のため欠場した。
株式会社SC鳥取、塚野真樹社長の願いも空しく、鳥取は雨、それも日増しに強くなる。ホーム開幕戦から本拠地で3試合続けて雨にたたられる。その影響もあり3066、2156と観客動員数は減少傾向にあり、ついには1363人にまで落ち込んだ。J昇格を懸けた決戦にしては些か寂しい人の入りとなってしまった。とりぎんバードスタジアムはサッカー専用の立派なスタジアムであるものの、栃木県グリーンスタジアムと同様にメインスタンドには申し訳程度にしか屋根がくっ付いていない。客足を鈍らせた一因であることは想像に難くない。雨風を凌げる場所の確保は、プロビンチャにとって急務であることを身につまされた。
さて、栃木SCである。佐藤、石舘がミドルレンジからシュートを放つ。立ち上がりとしては悪くなかったが、徐々に鳥取が圧を強める。DFがスリッピーなピッチに足を取られた間に、掻っ攫った小澤竜己からのパスを秋田英義がシュート。間一髪でGK小針が横っ飛びで阻止するも、リズムを持っていかれる。中盤の構成力で勝った鳥取は、底からアドゥール(タイ出身)と吉野智行がゲームをコントロール。ピッチを幅広く利し、トップからバイタルエリアに下りて来た秋田も上手くボールを引き出しては起点となった。安易なミスは圧倒的に鳥取の方が多かったが、セカンドボールを懸命に拾ったことで攻勢に立つ。推進力は衰えなかった。
石舘、小林、岡田で右サイドを崩し、マイナスのクロスから向がミドルを打つが枠外へ。好機はこの一本だけだった栃木SC。松田と石舘にボールが収まらなかったこと、ゴール前でパスを受けてもシュートを狙わなかったこと。柱谷監督は拙攻の原因として、その2点を挙げた。トップがボールを持てないから中盤が攻撃に加われない。射程圏内に入ってもゴールへの意識が乏しいから脅威と成り得ない。カウンターを繰り出してもフィニッシュで終われなかった。このチームのひとつの脆さが顔を覗かせた。
前半終了間際、秋田のポストプレーから小澤が右足を振り抜く。またしてもGK小針の好守で難を逃れる。失点こそ喫しなかったが、守ってはコンパクトに、攻撃に打って出るとワイドに。使い分けができていた鳥取に終始、圧倒された前半戦だった。
後半も劣勢の時間帯が続く。4分に小井手翔太のミドルをGK小針が弾いたところに小澤が詰める。至近距離のシュートを小針が再三のセーブで耐える。絶好機を防ぎ味方の反撃を待つが、好機すら作り出せない。逆に21分。秋田がDFを引き付け、小澤が際どいシュートを飛ばした(枠を反れる)。前半の終盤をなぞるような危険なシーンだった。
栃木SCがプレスを掛ける。逃げるように蹴ったボールがトップに入ってしまい、シュートにまで至る。
「意図的ではないにしても(放り込んだ)ボールが収まるので、ワシ(鷲田)、ナベ(川鍋)がフリック(ボールを少しかすらせて後ろに送る技術)を狙う。ボランチが挟み、スクリーンしてやれば攻め手はなかった」(柱谷監督)
鳥取の対処法は明確だった。しかし、頭で理解していても実行に移せるかは、また別の話である。単純だがセカンドボールを取り切れなかったことが、流れを失った要因だった。
刻々と時計の針は動きを止めず、終焉へと向かう。ドロー、勝点1でも御の字の状況を、しかし交代選手が変える。川鍋のクリアボールを途中出場の横山聡が右サイドでキープし、スイッチするようにドリブルで途中交代の高安亮介が突っかけ、FKを獲得。キッカー佐藤が供給した低いボールに両軍が群がり大混戦に。ごちゃごちゃしたPボックス内の攻防を制したのは落合の右足だった。3戦連発弾は、いずれもFKの流れの中からの泥臭いゴール。
「値千金じゃないです。オウンゴール。触っただけです。混戦に強い?運があるだけです。次は他の人の前にこぼれてきますよ」
殊勲者は照れ臭そうに話す。「全部、自然に入っているから押し込むな」。チームメイトに茶化された。
耐え抜いた末にもぎ取った貴重なゴール。これをこの日、大忙しのGK小針が鳥取の猛攻を受けながらも、終ぞゴールを与えることなく守り切った。開幕からの連勝を4に伸ばした。
「こっちの意図したことを交代した選手がやってくれると、もう一度バランスを取り直せ、リズムを作れる」と柱谷監督。高安はカードを1枚もらっていた岡田の守備面の負担を軽減させながらも、ワンプレーで持ち味を発揮して間接的にゴールに絡んだ。横山と稲葉久人はFWとしての結果は出せなかったが、勝機を手繰るため必死にボールを追っ掛け回した。
薄氷を踏む勝利ながら力のある鳥取から勝点3を手中に収められたことは大きかった、と柱谷監督は振り返る。キャンプから取り組んできたことが間違いではなかったと再認識でき、戦術の理解度が上がり、ベースを崩さすに済むからだ。もちろん、修正すべき点は攻守に多々あるのだが。
JFL後期第4節 ガイナーレ鳥取0―1栃木SC 観衆1363人 @とりぎんバードスタジアム
〈ガイナーレ鳥取〉GK井上敦史、尾崎瑛一郎、戸田賢良、小原一展、吉瀬広志、MF小井手翔太(→ハメド)、吉野智行、アドゥール(→釜田桂吾)、実信憲明、FW秋田英義、小澤竜己(→大多和卓)
〈栃木SC〉交代:松田(→横山聡)、小林(→高安)、石舘(→稲葉)
『チームにプラスになる仕事をしたい』
柱谷幸一監督は対ガイナーレ鳥取戦の勝因のひとつとして、先ず「流れ」を挙げた。
「刈谷戦のゲームみたいに皆が粘りに粘って、高安(亮介)が突破してFKをもらい、落合(正幸)が決める。そういう流れができている」
食ってやろう。栃木SCに対して敵愾心を剥き出しに襲い掛かってくる相手からゴールを、勝点を奪うことは容易い作業ではない。力量差を埋める要素は、アウェーには山のようにある。自ずとゲーム展開は難しくなる。イニシアチブを握り、アグレッシブに攻め立て、優位にゲームを押し進められる回数は、それほど多くはない。
ならば、対戦相手を勢い付かせることなど、もってのほかである。勝率を上げるためには、勝点を必ず持ち帰るには、先にゴールを与えてはいけない。先手を奪われ、追い付き、追い越すことが、アウェーで如何に困難を伴うのか。柱谷監督は経験則から分かっている。先程のコメントを補足する。
「忘れてはいけないのが小針(清允)のプレー。何本もいいセーブで助けてくれたので、こういう(勝ち)ゲームに持ってこられた」
前後半の90分を鳥取に支配された。栃木SCは特長を発揮することすら許されなかった。押し込められたのだから当然シュートを浴び、決定的なシーンを作られもした。過酷な状況下で仕事量が増えるのは守備陣である。とりわけ最後の砦となるGKは重労働を課せられる。片手では足りないほどの窮地を、しかし小針は飄々と防いだ。失点を喫しても文句が言えないシーンは、数えただけで7本(前半4、44分。後半4分×2、21分、43分、ロスタイム)もあった。時には弾き、時には微かに指先に触れるだけでコースを変えるなど、豊富な選択肢を駆使してゴールを死守した。もはや卓越した技術と俊敏な反応は、栃木SCには不可欠である。これまで消化してきた3試合でも、失点を相当数減らすことに貢献している。ビッグセーブが勝機を手繰っていることに疑いの余地はない。
「Pボックス外からのシュートならば入らない。見て分かる通り、抜けているから心配していない」
辛口で鳴るキャプテン佐藤悠介も、そのセービングに絶大なる信頼を寄せている。
「たまたまついていた。うまくボールに対処できた。コンスタントに今までやってきたことを表現できている」
「チームとしての結果。個人の力による結果ではない。各々が最低限の仕事をしているから結果が出ている」
肯定しない。前者は、神懸り的なセーブでしたね?という問いに対して、後者は、4連勝の立役者ですね?と水を向けられた際の答えである。
少しは悦に入ってもいいものだが、小針は結果が残せていることを、勝ち続けられている原因を「チームの高い意識」と捉えている。ベンチ入りメンバー、遠征に帯同できないメンバー、スカウティングを行っているスタッフなど、チームに携わっている者が高次元で自分の仕事をこなせれば、結果が出ると考えている。
「目立たない方が、僕としても楽だし、それにこしたことはない」
GKの誰しもが持ち合わせる理論を展開しながら続ける。
「でも、そういうことは逆に少ない」
窮地を救うために、優勝、J2昇格を果たすために、栃木SCに移籍してきたとの思いは強い。
「自分としてはチームのプラスになる仕事をしたい。それが多少なりともできている。持続していきたい」
リーグ戦を制覇するには、守備の安定が最優先事項になる。無失点に抑えれば負けることはない。最低でも1は手にできる。今季の栃木SCのテーマは確実に勝点を積んでいくことである。
「小針を中心に粘り強く守れているのは大きい」(柱谷監督)
一方で、小針に対する依存度が高いことは懸念材料でもある。4試合で失点は僅かに1だが、「堅守」「堅牢」などと賞賛できる内容でないことは動かし難い事実である。あまりにもシュートを打たせ過ぎている。チームとして連動した守備が出来ているとは言い難い。
「決して内容がいいわけではないので、どこかで躓くことが出てくる。その時に立て直しが出来るように、勝っているうちに修正して乗り切りたい」
守護神がしっかりと現状を把握し、危機感を持っていることは心強い。最後尾からの冷静な視点で問題点を指摘しながら改善を図り、鉄壁の守備組織と誇れるように。完成形へとより近付けたい。
TDK SC戦@栃木SC通信
2008年10月26日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-0。
後半:0-0。
ファイナルスコア:0-0。
順位:3位(勝点54)◆首位:HondaFC(勝点63)
攻めきれない。
※お疲れ様でした。諸事情によりレポート&コラムのアップは明日になります。申し訳ありません。む~~ん。
プレーバック:対TDK SC戦@栃木SC通信
2008年10月25日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
リーグ戦5試合目、スコアをタイに戻されたのは初めての経験だった。これまでの4試合で喫した失点は僅かに1。それも3―0と勝敗が決した状況と時間帯で与えたものであり、大勢に影響を及ぼすことはなかった。
後半15分、オウンゴールにより1点を失う。石舘靖樹の脳裏には、こんなことが浮かんだという。
「やばいな。ついに、この時が来たか」
連勝が4で止まる。勝点2を喪失するかもしれない。負の感情が芽生えたものの、佐藤悠介の一言が萎えそうな気持ちを奮い立たせた。
「点を取るチャンスは必ずある」
我に返った石舘。労を厭わずにボールを追っ掛け回した。点を取ること以外でFWに求められる仕事を律儀なまでにこなす。
「前からガンガン行かないと。プレスは掛からない」
その姿勢と思いは結実する。同点とされてから3分後、PKを誘った。懸命のフォアチェックが勝機を手繰る。シュート数は数えるほどだったが、諦めず、愚直に、試合開始から行っていたフォアチェックを怠らなかったことで勝点3に貢献できた。
連勝が途切れることはなく、首位から陥落することもなかった。
栃木SCはガイナーレ鳥取との「J2準加盟」クラブ同士による雨中決戦を辛くも制す。勝利を得るも始終ストレスの溜まる展開だっただけに、ホームではアグレッシブにゴールを狙いたいところ。布陣はGK小針清允、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、中盤は落合正幸と向慎一のダブルボランチ、左ワイドに佐藤、右ワイドに小林成光が配され、2トップに起用されたのは出場停止明けの上野優作と石舘。
松田正俊(現・栃木SC)、小林宏之(現・大分トリニータ)と攻守の核が抜けたTDKも、フォーメーションは4―4―2。
出足が鈍い。ホーム、アウェーにかかわらず開幕から改善されていない点である。相手の出方を窺っているのか。佐藤に問うた。
「様子見で前掛かりに来た相手に対して守れていれば問題ないが、うちにはそんな余裕はない」
「ホームで最初の5分、10分。相手に圧力を掛ける」。チーム内での約束事である。遵守されていなかった。旺盛に、前線からボールにアプローチすることは出来ていたが、DFラインが追随してこなかった。ギャップが生じる。相手の2トップ、ワイドにバイタルエリアへと容易に侵入される。左ワイドの池田昌広には危険な香りのするボールを供給された。
不安定な立ち上がりも、先手を取ったのは栃木SCだった。向がドリブルで持ち上がり、上野とのワンツーから裏に抜けようとしたところを倒される。獲得したFK、もちろんキッカーは佐藤。自信のある位置、Pボックスのすぐ外側から左足を振り抜き、ネットを揺らした。「止まっているボールを蹴るから簡単でしょ、とは言い辛いが・・・・・・」。笑いを誘った。
先制するが、しかしスローインから隙を突かれて池田に良質なクロスを上げられ、クサビをさばかれては背後を取られ、FKからニアサイドに飛び込まれるなど、ゴールを脅かされる。斎藤、岡田の両サイドバックが内に絞り、カバーしたことで事なきを得るも、準備不足が不必要な汗をかかせた。佐藤は言う。「1点を取ってから変に落ち着いてしまった。1、2点取る。畳み掛ける気持ちが必要」。栃木SCは向が中・長距離からシュートを放つが、クロスバーとGK小野聡人の好守に阻まれる。追加点とはいかなかった。
「ブロックを作り、連動した守備をしよう」
ハーフタイムに柱谷幸一監督が指示を出すも、後半早々に危機を招く。左サイドをあっさりと崩され、木下真吾にゴールを割られそうになる。ここは間一髪で鷲田がスライディングで難を逃れた。
拙い入り方だったが、4―4―2の綺麗なラインを構築したことで、幾分か落ち着きを取り戻す。高い位置でボールを奪えるようになり、ショートカウンターが効果的に決まり始める。ようやく、攻撃のカタチが見出せるようになったところで自滅した。左クロスを川鍋が滑りながらクリアに入ったボールは自陣ゴールへと吸い込まれる。試合を振り出しに戻された。
不用意な失点に流れが傾くかに思われた。だが、すぐさま取り返す。右の小林からふわりとしたボールがPボックス内へ送り込まれる。ゴールラインを割りそうなボールに食らいついたのは石舘。必死のチェイスが奏功する。相手ともつれるように倒れ込む。些かシミュレーション気味だったが、主審はPKを宣告した。これをきっちり佐藤が沈め、TDKを突き放した。
その後は効率のいいカウンターと途中交代した高安亮介のサイドアタックを軸に攻め立て、終盤にGK小針が処理の難しいボールを弾き出し、2―1で逃げ切りに成功した。
「個人の能力が高く、力のあるチーム。一番、警戒していたセットプレー2本でやられた」と、TDK・佐々木寿生監督は振り返った。対する柱谷監督は「悠介のFK、セットプレーはうちの大きな武器。優作の高さとキープ力、ダテのスピード、悠介の左足と攻撃面で武器があるので、苦しいゲームでも辛抱すれば必ず点を取れるカタチが作れる」と、接戦をものにできた要因を述べた。
僅差のゲーム、雌雄を決したのは強烈な個の力を有しているか否か、だった。
「ゲーム内容を上げて、点を取れるようにしたい」
会見に臨んだ柱谷監督。5連勝にも歯切れは悪かった。結果に内容が伴わない事態に焦燥感がうっすらと滲んだ。
JFL前期第5節 栃木SC2―1TDK SC 観衆4865人 @栃木県グリーンスタジアム
〈栃木SC〉交代:小林(→高安亮介)、石舘(→横山聡)、佐藤(→久保田勲)
〈TDK SC〉GK小野聡人、DF高橋臣徳、岩瀬浩介、千野俊樹、朝比奈伸、MF池田昌広(→藤原昭)、高林佑樹、成田卓也、佐藤和旗(→加賀潤)、FW松田英樹、木下真吾(→三浦俊輔)
『アンカーとしても守れるように』
2トップの高さ、速さ、連動性。栃木SCの強味を生かすには、周囲のサポートは不可欠である。とりわけ2列目がトップにあてたボールを拾えると、一気にゴールへの推進力は増す。
だからこそ、メンバーの選抜基準は明確である。最後尾でボールをポゼッションするよりも、前に前にボールを運ぶことで、それぞれの身上を存分に出せる選手がスタメンに名を連ねている。
「どんどん前に出て行こう。今まで後ろ向きのプレーが多かったので。アグレッシブに前へ」
攻撃面での優位性を発揮するために。果敢に中盤の底から、繰り返し飛び出したのは向慎一だった。「これまで持ち味を出し切れていなかったが、いい部分が出た」と向。向の特長とは。柱谷幸一監督の言葉を借りれば、「2トップの後ろで動ける」「読みの鋭さ」「素早いサポート」ということになる。前線の上野優作、石舘靖樹と連動しながらプレスを掛け、意欲的にセカンドボールを確保するために奔走した。ボールにも人にも粘り強く、食らい付いた。ボール狩りを行い、カウンターの芽を摘んだ。防護壁となる。ただし、前掛かりのプレーは、DFラインの押し上げが図れなかったことで、バイタルエリアを空けてしまう弊害をも生じさせてしまう。若干、前への意識が強すぎたのかもしれない。
しかし、ゴールを意識したプレーは、先制弾となる佐藤悠介のFKの足掛かりとなった。ハーフライン付近でボールを持つ。迷うことなく前方に開けたスペースへドリブルで猛突進。その勢いに気圧されたのか、相手はファウルで止めざるを得なかった。自ら得たFKだけに、「本当は蹴りたかった」と本音がポロリ。結局は佐藤に譲ることになるが、壁に対してフェイントを数回入れることでプレッシャーを掛け続け、集中力を殺いだ。隠れた好プレーである。
「他の中盤の選手は(ゴールを)取っている。交代出場の(久保田)勲さんも。自分も狙っている」
ゴールが全てではない。頭ではわかっている。「FKで貢献できた」ことに満足もしていた。ところが、自然と向の体はゴールを欲し、反応した。前半36分、GKがクリアし損ねたボールから躊躇いなく右足を振った。小林成光がフリーだと知ったのは後のことだった。視野は一点のみを捉えていた。抑えの利いたロングシュートは無人のゴールへ向かうも、クロスバーに嫌われてしまう。44分にも矢のようなミドルを放ったが、今度はGKに阻まれてしまった。
「惜しかった。感触は良かっただけに、決めたかった」
唇を噛んだ。
役割が変わる。落合正幸が後半、前に出たことで後ろに控えた。アンカーを担うことに。どちらかといえば向が前に構え、落合が後ろからフォローする縦関係の方が、チームとしての機能性は高い。長所を前面に押し出すには「黙っていても味方がカバーしてくれる」ぶんだけ前に行った方がいい。だが、「現状に満足したくない」向は言う。
「意識して飛び込み過ぎないように。アンカーとして守れるようになれば、オチさんが出て行ける。プレーの幅が広がる」
前後を固定することなく臨機応変にポジションを入れ替えることができるならば、個人としてもチームとしても引き出しが多くなる。そのためには、「シンはアンカーとして判断力、守備力を上げなければならない」と柱谷監督は補足点を指摘した。
常々、柱谷監督は「シンのところが安定すれば、チームは更に安定する」と話す。期待感は小さくない。例えば、3―0で前半45分を終えた対三菱水島FC戦(5―0で勝利)。低調なパフォーマンスと目に映った向にカミナリを落とし、敢えて交代させずに90分間使い続けた。若い選手のプレーに波があることは織り込み済みである。指導し、修正を施すことで成長することも知っているからこそ、フル出場させた。三菱水島戦、残りの45分間、指揮官から一定の評価を受ける動きをした。
一足飛びにプレー内容が向上しているわけではないが、着実に進歩は遂げている。攻守のバランスを保ちつつ、自分の色を反映させられるように。もがき苦しみながらひとつずつ階段を上がっていく。
nami@栃木SC通信
2008年10月21日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
新しい波に押し返される。行くぞ!!@栃木SC通信
2008年10月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対ニューウェーブ北九州戦@栃木SC通信
2008年10月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
高安亮介の自己分析結果は、こうだ。
「調子に乗るタイプではない」
だからだろうか。2戦連続してゴールを決めても、こう言うのである。
「まぐれの1点も1点ですからね」
悦に入ることはない。しきりに謙遜するのは、大学時代(国際武道)の監督の教えが染み込んでいるからだ。「点を取っても喜んでいる場合ではない」と。感情を露にしない高安であるが、充足感と確かな手応えを得ていたことが窺えた。質問に応える顔は精悍さを一段と増し、サッカーで飯を食っていく覚悟が色濃くなったからである。
「あれだけで終わってはいけない」
前節のゴールに匹敵、あるいは相当するプレーを次の試合でも持続させることの必要性を説いていた高安。きっちりと結果を残した。
「ゴールというカタチでしたが、積み重ねができたのはいいこと」
これまではサイドに張り付く嫌いがあり、必然と縦方向への動きが多かった。が、自らシュートを打ち切る、という新境地を切り開いたことは小さくなかった。サイドチェンジのボールが入る。「相手が縦を切り過ぎている。中に入って、相手の出方を見よう」。内側へ働いた意識が結局はDFを弾き飛ばし、勢いそのままに「ゴールが視界に入ったから思いっ切りシュート」に繋がり、ゴールネットを揺らすことになったのだから。
「打たなければいけない」、「次にチャンスが来たら打つ」。芽生えたゴールへの意欲が、どこか燻っていた高安を完全に覚醒させた。
硬かった高安の表情はほぐれ、控え目だった言葉が熱を帯びる。
「コースを狙っても難しいですよ。気持ちと思い切りの良さが大切です」
躊躇うことなく右足を振り抜けた。そのことにこそ価値がある。
アグレッシブなプレースタイルに比べ、ゴール後のパフォーマンスは控え目である。同僚でありライバルの深澤幸次は、ゴールを陥れるやいなや、一目散にヤクルトの置物に飛びついた。その話題を振ると高安の闘志に火が付いた。
「ホームで目の前にヤクルトがあったら行きますよ」
笑いを誘った。アマチュア感覚が抜けきれていなかったと痛感したパフォーマンスでも、今後は魅せることを約束。手にした自信は一層、深まった。
柱谷幸一監督はミーティングで選手達に伝えた。「アウェーで勝たないと連勝できない。波に乗れない。(勝てないという)悪い雰囲気を払拭しよう」。ホーム8戦全勝の輝きが、アウェーで2勝2敗2分けと分の悪さを際立たせる。内弁慶と揶揄されないうちに是が非でも勝利し、勝ち越したい。ピッチに散った11人はGK小針清允、DFは左から斎藤雅也、鷲田雅一、田村仁崇、岡田佑樹、中盤はボランチに落合正幸と鴨志田、左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに高安の構成、上野優作と石舘靖樹が2トップに配された。累積警告によりCBの川鍋良祐が出場停止。代役に指名されたのは、チーム最年少20歳の「末っ子」田村だった。山崎透、照井篤の起用も考えたが、HondaFC戦で45分ながら鷲田とコンビを組んだことが、先発起用の決定打となった。
与那城ジョージ監督と藤吉信次をセットで獲得し、昨季ニューウェーブ北九州(以下、ニューウェーブ)は激戦の九州リーグで初優勝。駒を進めた全国地域リーグ決勝では土壇場でJFL昇格を果たした。「J2準加盟」申請も通り、福岡第2のJクラブ誕生へ向けて躍進を続けている。初参戦ながら高位置につけている一因は、△○○△△○とホーム無敗が挙げられる。「J2準加盟」ダービー、ユニフォームの基調が黄色であることからイエローダービーと銘打つより、「内弁慶」決戦と括った方がどこか収まりがいい。
栃木SCは今週、取り組んできたトレーニングの成果、ボールを繋いでビルドアップを図ることが出来なかった。荒れたピッチ、とりわけピッチ中央の痛みは激しく、ボールを回せばリスクを背負うことは明白。必然的にボールをトップに預けるサッカーを選ばざるを得なかった。それはニューウェーブも同様であり、互いにトップへロングボールを蹴り合うシーンが目に付いた。
序盤から奪ったボールを前線に供給し、セカンドボールを拾い2次、3次攻撃を滑らかに繰り返したのは、ニューウェーブだった。宮川大輔と中嶋雄大の2トップに佐野裕哉が絡んだ流動的な前3枚の動きが、多少強引さはあったものの推進力を生み出す。イニシアチブを握り、栃木SC陣内で試合を押し進める。
立ち上がりに躓いた栃木SC。23分にGK小針が目測を誤り佐野にかわされる。留守になったゴールへシュートを打たれそうになるも、斎藤のカバーリングで難を逃れる。するとその流れから蹴り込んだボールを石舘が必死にチェイス。「相手のバックパスを読んでいた」。DFがGK水原大樹に戻したボールを掻っ攫う。一旦シュートは阻まれるも、冷静にルーズボールをコントロールし、スライディングで流し込む。一度の好機をゴールに結んだ。
形勢を逆転させるには格好の材料であるゴールを奪うも、ピリッとしない。4分後に試合を振り出しに戻される。Pボックス内で粘られ、最後は宮川に左足でゴールを許してしまう。石舘と上野の2トップにボールが収まらなかった栃木SCは攻め手を欠くが、比較的芝の状態が良好だったサイドから侵略し、逆転弾を叩き出す。鴨志田からのサイドチェンジのボールを受けた高安はマーカーを揺さぶり、応対に戸惑う相手を尻目に右足を一閃。30分、豪快なシュートが突き刺さる。スタンドで観戦、数チームを渡り歩く流浪のストライカー藤吉も、「凄い」と唸ったほど強烈な一撃だった。
今度こそ悪しき流れを断ち、自分達のリズムで試合を運びたかったが、ニューウェーブのホーム力に飲み込まれた。前半終了間際に宮川ともつれながら倒れた岡田が決定機阻止の判定でPKを宣告される。これで岡田は次節出場停止。佐野が左へ沈めるも、蹴る前にPボックス内に味方が入ったとして蹴り直し。しかし、冷静さを失わなかった佐野は右を突いて同点に。
「得点後に失点。ゲームを作れる強いチームは、ああいうカタチで失点しない」
リードを保ちきれなかったことに柱谷監督は嘆き節。
予想外の点の取り合い、シーソーゲームとなった試合は、後半開始直後に帰趨が決する。右サイドからのスローインを上野がゴールに背を向けた状態で背後へ送る。ニアサイドに詰めていた石舘が左足を伸ばして押し込んだ。「後半、立ち上がりの失点が響いた。痛かった」とは与那城監督。
殊勲のゴールを挙げた石舘だが接触したことで左膝を痛める。負傷退場。横山聡が急遽投入される。アクシデントが重なる。ゴールの足掛かりとなるスローインを勝ち取った高安の鼻血が止まらない。すぐさま向慎一がピッチに送り出された。予想外の事態による選手交代など慌しさはあったが、ハーフタイムに守備の修正を施したことが奏功。ようやく望むような展開に持ち込んだことで、ニューウェーブを黙らせた。
ビハインドの状況。打つ手は限られていた。20分を残した時点で早々とパワープレーを敢行。193cmの大型DFドグラス等、空中戦に長ける選手を次ぎ込んだ。だが、栃木SCも田村、鷲田、落合が競り合いを尽く制したことで、窮地を招くことはなかった。相手のやり方が明確になったことで、守り易くなったことは間違いない。ニューウェーブは力勝負に出る時間が些か早く、采配が裏目に出た。前に人数を割いたことで攻撃力が殺がれ、脅威は薄まった。
ロスタイムに山崎を守備固めで入れ、念には念を入れた栃木SCが3―2で苦しい試合をものにする。ニューウェーブのホーム不敗記録を止めると同時に、リーグ通算100勝を達し、アウェーでは3月末のガイナーレ鳥取戦以来の勝利を飾った。
首位のHondaFCが引き分けたことで順位が引っ繰り返る。2位だった栃木SCが首位に躍り出た。
「この試合の前では他力だった。他会場の結果を気にせず、あと2試合は集中できる。首位で折り返したい」
今季初めて順位を意識するコメントを口にした柱谷監督。残り2試合を連勝すれば首位を譲ることなく、自力で天皇杯シード権を取得できる。勝点を3つずつ着実に積み重ね、首位でのターンとそのご褒美を狙う。
JFL前期第15節 ニューウェーブ北九州2―3栃木SC 観衆956人 @北九州市立本城陸上競技場
〈ニューウェーブ北九州〉GK水原大樹、DF永野諒(→岩倉一弥)、ドグラス(→加藤雅裕)、冨士祐樹、佐藤真也、MF桑原裕義、日高智樹、森本惟人(→古賀宗樹)、佐野裕哉、FW宮川大輔、中嶋雄大
〈栃木SC〉交代:石舘(→横山)、高安(向)、佐藤(→山崎)
『うちのチームは強くない』
JFLで戦うことの過酷さを柱谷幸一監督は改めて実感した。ニューウェーブ北九州戦(以下、ニューウェーブ)に限って言えば、劣悪なピッチコンディションが挙げられる。未整備の、普段とは異なる環境に順応することの難しさ。契約を結ぶ際、選手にはスタジアムとジャッジの厳しさを説明したが、整えられた状況でプレーしてきたことで、こびりついた感覚は容易に剥がれないのだろう。不慣れな部分がプレーに及ぼす影響は少なからずあり、アウェーで好成績を収められない要素のひとつになっている。指揮官は感じている。精神的な物足りなさを。
立ち上がりに脆弱さが顔を出した。
複数の事情が重なり集中力が保てない状態で試合に入ってしまう。神経が研ぎ澄まされていないから対応力は自然と落ちる。初先発、センターバック(以下、CB)に配された田村仁崇は述懐する。
「前半、最初の10分間で早く修正できればよかった」
序盤からPボックスにボールを集中させたニューウェーブの攻撃に後手を踏み続けた。石舘靖樹が先制点を奪っても、すぐさま追い付かれた。高安亮介のゴールで突き放しても、再び取り返された。自分達のペースで試合を運ぶことができず、ズルズルと劣勢の時間帯を引き摺ってしまったことが一因だろう。
「うちのCBが弱かった。情けない」(柱谷監督)
相手が2トップに素早くボールを入れ、DFが跳ね返したルーズボールから再度、攻撃を仕掛けてくることは分かりきっていた。だが、最終ラインが下がり気味だったことで蹴り込まれてきたボールをボランチラインよりも前へクリアできず、ボランチも前掛かりになっていたことでセカンドボールを拾えずに拾われた。反発力の乏しさとバイタルエリアの締めの甘さが波状攻撃を許してしまう。
「もうちょっと前に厳しく行けた。インターセプトやヘディングなど。ラインが下がったことで中途半端なクリアばかりだった」
田村の口を衝いて出るのは反省の弁ばかり。
ニューウェーブがポゼッションを放棄し、ロングボールを放り込み、圧力を掛けてくることは予想外だったという。しかし、置かれている状況は同じ。栃木SCもトレーニングを積んだポゼッションが困難だと判断し、作戦を切り替えたのだから、相手の手の内もある程度は読めたはず。前半45分が乱打戦になってしまったのは相手の出方を読み切り、適応する力が欠けていたからに他ならない。少し予想の範囲を超えただけで浮き足立つようでは心許ない。
「後ろがもたない」
そう見て取った柱谷監督。ハーフタイムに埋めきれなかったバイタルエリアへ落合正幸を残し、アンカー気味に構えるように伝える。更に落合が競った後にCBの2枚がカバーリングに入れるポジションを取ること、CBが競りに行ったらサイドバックがフォローに回り、落合がセカンドボールを拾うことも付け加えた。
結果的に守備組織の再構築は成功した。セカンドボールを先に奪い取ったことでニューウェーブは打つ手がなくなり、急激に失速した。シュート数は数えるほど、好機は皆無だった。
後半は守備の修正が図れ、勢いを断ち切るに至る。が、それは指示を仰いでのことだった。自分達で試合を構築する力の低さを如実に物語る。一方で、ポジティブに捉えれば水漏れ箇所をしっかりと修繕し、無失点に抑え込めたとも言える。
自発的に問題を解決できる力が備わっていないところが、「うちのチームは強くない」という佐藤悠介の発言に繋がるのだろう。相手が何を狙っているのかをいち早く察知し、対処していかなければ、思い通りに試合を展開できない。力強さは滲み出てこないし、恐ろしさを植え付けられないのは、言わずもがなである。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年10月16日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
公式に採用されなかった写真。腕を磨きます。
風邪を引いた斎藤雅也の代役として出場した、前期の対流通経済大学戦以来の登場となった入江利和。
いろいろといじりたいがコメントを取り逃したのでコラムを書けず。
猛省です。
「ニア、ニア!」
佐藤悠介からの注文通り、鋭利なクロスを上げ続けた。
気持ちを前面に押し出すタイプの山崎透と向慎一。
佐藤悠介はバックラインからの山崎の声が効果的だったと話した。
CKから良質なボールを供給した向は、キックの質の高さで流れをぐぐっと手繰った。
「この大会(天皇杯)のボールは蹴り易いです」とのこと。
4回戦のジュビロ磐田戦では、後半ロスタイムに外したFKを直接蹴り込んでくれるかもしれない。
昨季の対戦時との印象を問われたロアッソ熊本の池谷友良監督は、「パワーがあった。アグレッシブにやってきた。ドン引きかと思っていたが、最終ラインを高く保ち、いい守備からカウンターを打ってきた。サイドチェンジやクロスが徹底されていた。いいチームになってきている」と話した。加えて、「昨年まで自分たちと同じステージで一緒にやってきたチーム。(昇格の)プレッシャーの中で戦っていると思う。是非ともいいライバルとして来シーズンは戦えることを楽しみにしている」とエールを送った。対戦後にはいつも激励してれくる。好漢である。
柱谷幸一監督から「赤井は1対1がチームで一番強い」と評された赤井秀行。これまではサイドバックでの起用が主だったが、ロアッソ戦では3バックの右を務めた。ファーストミーティングでセンターも出来るとは聞いていたが、J2得点ランキング2位の高橋泰を完封するほどのパフォーマンスを披露するとは予想だにしなかった。
「たまにマークを外しましたが、(自分のプレーが)出来ました。連勝できるように頑張ります」と赤井は笑顔で話した。
PK戦前、思いっきり蹴ってこいとのアドバイスが効いたのか、全員が成功。
緊迫感のあるPK合戦だった。
5-3で勝ち。
やや後味悪し
SAGAWA SHIGA FC戦後のどよんとした表情から一転、笑顔、笑顔、笑顔。
待望久しいスーパーサブ@栃木SC通信
2008年10月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
左、右、左、右、右@栃木SC通信
2008年10月14日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対ロアッソ熊本戦@栃木SC通信
2008年10月11日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが入れ替わっているために参考にならない可能性大。
場所は足利市。天気は雨。ぬかるんだピッチ。相手はロッソ熊本。ちょうど1年前、1―3と大敗を喫した時と全く同じ状況が揃った。汚辱を注ぐために待ち焦がれた対戦。リベンジを果たし、1ヶ月近く白星のないホーム試合で勝利を収め、上位に肉薄したいところ。
アウェーの横河武蔵野FC戦から中2日と強行日程が組まれたゴールデンウイーク3連戦の最終日。「準加盟クラブ」同士、ライバル対決のスタメンに選ばれたのはGK原裕晃、4バックは左から高野修栄、山崎透、谷池洋平、北出勉、中盤はボランチに山田智也と堀田利明、右に小林成光、左に高秀賢史、センターFW山下芳輝の下に横山聡が配された。前節、温存された小林成光と山下が先発復帰した。
1年でのJ2昇格プランが頓挫したロッソ熊本(ロッソ)。新に元日本代表DF上村健一、JFLで実績のあるFW北川佳男(元アローズ北陸)、小林陽介(元横河武蔵野FC)などを補強し、戦力に厚みを持たせた。不退転の決意、本気度が伺える。ジェフリザーブズ、ガイナーレ鳥取に足元をすくわれ2連敗したが、その後は3連勝と持ち直して栃木SC戦に挑んできた。フォーメーションは中盤をボックス型にした4―4―2。2トップは現JFLトップスコアラー(9ゴール)の高橋泰と小林陽介を組ませた。“栃木SCキラー”北川はベンチスタートだった。
栃木SCが0―1と惜敗したFC岐阜戦に遥々、自ら足を運んでスカウティングを行っていたロッソ・池谷監督(本稿著者の隣席で細かいメモを取っていた)。「狙い所は分かっていた。そこを封じていいところを出せた」と視察した甲斐があったことを口にした。
池谷監督が留意した点は「左が速くワイドに張り出していた。ボランチからの展開」だった。立ち上がりから左の高秀を自陣に釘付けにしようと、ロッソは右から圧力を掛けてきた。高秀を消去する作戦に打って出る。この先制攻撃は成功した。「相手は縦を切ってきた。スピードを殺しに。常にマークが2枚ついていた。背後に弱いと聞いていたが、背後を突けなかった。警戒されていた」と高秀。一旦は圧が弱まるもボールが入ると対面の市村篤司が適度な距離感で応対してきたことで、ドリブル突破からのセンタリング、CKを獲得するなど本来の役割を全くさせてもらえなかった。
また、「相手がイニシアチブを持っていた。積極的なDFができなかった」とは堀田。山田と縦の関係を築き喜名哲裕と小森田友明のダブルボランチをチェックするはずが、逆に掴まってしまう。「相手にコントロールされていた感じ」と掌の上で踊らされているような感覚を味わい、「前を向いて仕事ができなかった」と厳しいプレスの餌食となる。ボールを持たされてしまう。
高秀と堀田。マークすべき選手をしっかりと抑え込んだロッソ。昨季の対戦でも3―5―2から4―4―2に布陣をいじったことが奏効したように、今回もスカウティング能力に長けていることを証明した。
「相手のプレッシャーが早く起点を作らせてもらえなかった」と高橋監督が言う通り、サイドの高秀は進路を塞がれ、供給源の堀田が潰されたことで「GKとDFの間に早いボールを出そう。両サイドを突こうとしたがボールが出なかった」。そのため有効な攻撃が繰り出せなかった。
出鼻を挫いたロッソはロングボールとテンポのいいパス回しを織り交ぜながら攻撃を組み立てた。「跳ね返しても跳ね返しても、ボールが跳ね返って来た。セカンドボールを拾えずにラインが上げられなかった」(谷池)。上手くスペースへとボールを蹴り込んできたロッソの戦術にはまる。明らかに今までの相手とボールの質が異なっていた。ボランチはDFラインに吸収され、セカンドボールを先に取られてはミドルレンジからシュートを浴び続けた。熊谷雅彦のミドルを皮切りに西森正明、小森田が枠内を捕らえる正確なシュートを打ち込んできた。GK原のファインセーブで難を逃れるも、緩いバイタルエリアを我が物とされてしまう。
激しいプレッシャーにさらされ、ビルドアップもままならず、ボールの収め所が見出せなかった栃木SC。高秀のパスから横山聡が飛び出すも上村のスライディングブロックに阻止され、ルーズボールを高野が上げるが中の山下はヘディングシュートを打ちきれなかった。前半、唯一の好機を逃す。
出し手と受け手のイメージが共有されることなく、パスを出しては相手のボランチラインで引っ掛かるシーンが多発し、高秀一辺倒の単調な攻撃には余裕の対応をされてしまう。山下のポストプレイなどを挟み、ワンクッション入れていればマークのズレも生じたのだろうが、工夫が足りなかった。
優勢のロッソも序盤のミドル以外、好機を作り出せなかったが熊谷のスルーパスから西森が抜け出しシュートするもふかす。最初の45分間はスコアレスで終える。
雨脚が強まった後半。秒殺される。DFの間に走り込んだ高橋に熊谷が浮き球のパスを届ける。帝京高校の同級生である山崎が先に体を入れるが、突っつかれボールを掻っ攫われる。勢いそのままに強奪したボールを強シュート。ゴールネットを揺らした。開始1分もしないうちの失点。「集中力不足だった」。キャプテン北出は臍を噛んだ。
先制点を手にしたことで勢い付いたロッソはスピードが増す。簡単にボールをさばいてはサイドに運び精度の高い、危険なクロスを上げてきた。熊谷、小林陽介が決定的なシュートをするが、高野が必死のDFで食い止める。西森の良質なセットプレイのボールから小森田、矢野大輔にヘディングをあわされ、喜名にミドルシュートで脅かされもしたが、守備陣が踏ん張り追加点を許さなかった。
失点を1に留めていた守備陣の奮闘にゴールで応えたかった攻撃陣だが、「苦し紛れのパスが多くて、グラウンドコンディションが悪かったこともあるがボールが繋げなかった。DFがロングボールに強いことは分かっていたが対抗してしまった」と横山聡が振り返ったように、攻撃は前半から改善の兆しすら垣間見られなかった。
それでも、山田を下げ、西川吉英が投入されると、僅かながら活気付く。小林成光の右クロスからセンターで高秀が、CKの流れの中から再び小林成光が入れたクロスを山崎がヘディングシュート。だが、高秀のシュートはGK小林弘記の正面を突き、山崎は頭を振り過ぎたことで枠内に飛ばせなかった。同点機を逸する。
「中盤の優位性をもてていた」(池谷監督)ロッソは出足が鈍い栃木SCのプレスを飄々とかわしては、2トップにボールを預けた。全体的に噛み合いの悪い流れを変えようと小林成光を引っ込め茅島史彦を送り出すが、さしたる効果はなかった。ロッソペースに変化はなく、左から西森が供給したクロスを小林陽介にヘディングで綺麗に流し込まれる。リードを広げられて終戦。
FC岐阜戦に続き、ロッソ熊本との「準加盟クラブ」対決をホームで落とした。それも、自分達のサッカーをさせてもらえずに。試合後、感情を滅多に表に出さない堀田が、人目をはばかることなくペットボトルを床に投げつけた。それだけ、この一戦に懸けていたのだろう。物にあたるのは褒められたことではないが、気持ちは十分に理解できた。
「悔しいし、残念。(昨季)ホーム、足利でロッソに負けているので悔しい思いでいっぱい」と俯き加減で高橋監督は話し、「DFもいいし、中盤もいい、前の2トップもいい。バランスも強さもあり、昨年のロッソより1枚も2枚もパワーアップしていた。完敗でしょう。やられてしまった」と素直に力負けを認めた。
これまで積み重ねてきたものを、屈辱的な敗戦を喫していたロッソにぶつけるはずが、またしても返り討ちにあってしまった。勝ち点3と確かな手応えを持ち帰られた。谷池は言った。「攻守になにもなかった」。深い悲しみと、現状のままでは優勝することが困難であるという現実は残されたが。
JFL前期第10節 栃木SC0―2ロッソ熊本 @足利市総合運動公園陸上競技場 観衆3016人
〈ロッソ熊本〉GK小林弘記、DF上村健一、有村光史、市村篤司、矢野大輔、MF喜名哲裕、小森田友明、熊谷雅彦、西森正明(→山口武士)、FW高橋泰、小林陽介(→吉井孝輔)
『同じことの繰り返し』
勝因を問われたロッソ熊本・池谷友良監督は、躊躇うことなく答えた。
「単純だが気持ちだと思います。強い気持ちでファイトしてくれた」
勝ち点3をライバルから得られた要因は、個々人のスキルでも、ぬかるんだピッチコンディションを考慮しての戦略でも、栃木SCのストロングポイントを消せたことでもなかった。強調したのはシンプルだが引き出すことが非常に困難な、それでいて発揮された時にはあらゆるものを凌駕する強烈な力を兼ね備える「気持ち」だった。
「気持ち」で勝ったことで「1対1の局面で自分達にボールが転がり」「一歩早く、一歩長く」足を出すことができた。戦う姿勢を前面に押し出したことで勝機をたぐった。
翻って敗軍の将・高橋高監督。
「相手の方が気迫と集中力があった」
技術、組織力などでロッソが上回ったことは事実であるが、昨季のホーム(足利市)での対戦と同様に「気持ち」で屈してしまったことが大きな敗因であることも、また真実である。
「競り合いで勝てなかった。相手の方が強くて大きかった。セカンドボールも拾われた。イニシアチブを握れなかった。攻守のバランスがよかった」
空中戦で後手に回る。セカンドボールを奪われてしまう。それでは、自分達のサッカー――ボールポゼッションを高め、サイドから切り崩すこと――が出来るはずもない。
「気持ちで負けない。メンタル面の重要性を選手に話したい」
3日前に勝利した横河武蔵野FC戦では、ハイボールを難なく処理し、セカンドボールをボランチが拾ってはボールを散らした。ロッソと蹴って来るボールの質こそ違ったが、横河のロングボール戦術に対抗できたのは、選手間で話し合い練り上げたゲームプランが実行に移せたこと以上に、受身になるのではなく最初から向かって行くメンタル面の強さがあったからこそ。スタミナ配分など考えることなく、ガンガン前線から走り回ったこと、惜しみないプレスを掛けられたことが小さくなかった。不恰好でも、愚直に勝利を求める。なりふり構わない栃木SCの原点が、そこにはあった。大切なこと、忘れていけないことを再確認した。しかし、前の試合の収穫を次の試合に活かせなかった。継続性に乏しい。克服されていない課題である。
「切れたら駄目だと言っていたのに切れてしまった。同じ事を繰り返してしまった」
先制点を振り返っての堀田利明の弁である。高橋泰に叩き込まれたゴールは、後半がキックオフしてから1分と経っていなかった。後半開始前に栃木SC側のゴールネットが急遽、補修された。数分の中断を挟んで試合再開。絶対に切らしては、集中力を欠いてはいけないところで、耐え切れずに失点を喫した。一瞬の隙を突かれた。思い起こせば、昨季1―2と逆転弾を食らってから、すぐさま3点目を追加されたのはキックオフしてから間もなくだった。堀田が「繰り返してしまった」と激しく後悔し、憤ったのはそんな過去があったからだった。
「もっと戦う姿勢を出さないと」
直前に起こったことを消化しきれていなかった堀田は絞り出すように、蚊の泣くような声で話した。1―3と蹂躙された昨季の試合後も似たコメントを堀田は残している。
彼我の実力差は歴然としていた。初めて土をつけられたFC岐阜なんかよりも。だが、だからといって負けるとは限らない。隔たりは容易には埋まらないかもしれないが、埋める努力はできた。戦う「気持ち」で。
2年連続して同じ相手に、同じ場所で、同じ様な負け方をする。これほどの屈辱があるだろうか。個人の能力、組織力で劣っても、気持ちだけは引けを取らない。そんな栃木SCをサポーターは愛し、支えてきたのではないだろうか。スマートに勝つよりも、泥臭く。一敗地に塗れようとも、心に響く試合をすべきである。
1年の時を経ても変わらなかった結果と気持ち。このことを真摯に受け止め「這い上がるのみ」(キャプテン北出勉)。いつまでも高い授業料を払ってばかりはいられない。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年10月 8日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
後半7分、相手の決定機を阻止した際に痛めた左足の状態が気懸かりである。
GK小針清允不在の状況は、考えたくもない。
セカンドGKの武田博行も万全のコンディションを作っているだろうが。
途中交代の向慎一は一定のインパクトを残した。
中盤の核である落合正幸が2試合出場停止となるだけに、先発の座を取り戻す絶好機。
タイ遠征で得たもの、感じたものをピッチで存分に表現してもらいたい。
柱谷幸一監督の向への評価は高かった。
闘志なきものは去れ。
柱谷監督は、積極性に欠ける選手を外すことを公言した。
「積極的にやれない選手は代える。これまで(先発で)出ていた選手でもプレーできなければ代える」
悪循環から脱するには、大胆な選手起用を行ってもいいのかもしれない。
と思う一方で、あまり動き過ぎると、さらに事態が悪化するのではないかとの懸念もある。
どんな手を、策を講じるのだろうか。
※集合写真のリクエストを頂いたので、今後はアップしていきたいと考えてます。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年10月 6日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
ボクを産み、育ててくれた蔵の街で開催された栃木SCイベント。
簡単に写真で振り返ってます。
時間のある方は、どうぞこらちから(http://blog.livedoor.jp/hehe0821/)召し上がれ?
プレーバック:対SAGAWA SHIGA FC戦@栃木SC通信
2008年10月 3日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
「意識はしていない」
刺激的な言葉は時としてマイナスに作用する。自己制御を欠き、審判に侮辱的な言葉を吐く。愚行が招いた3試合出場停止のペナルティ。明けた復帰初戦も普段と変わらぬ気構えで臨んだ、と佐藤悠介は言うが、実際には相当いれこんでいた。ウォーミングアップの段階から溢れんばかりに気迫は漲り、近寄り難い雰囲気を醸し出す。ひとり黙々と短いダッシュを繰り返した。自己証明の場でもあった開幕戦に負けず劣らず、自らを奮い立たせる。
犯した罪は消えない。背徳行為によりチームとサポーターへ多大なる迷惑をかけた。報いるには謝罪の言葉を並べることも大切であるが、フットボーラーである以上、やるべきことは、ただひとつ。ピッチで勝利に直結する仕事を果たす。失地回復にはボールを介し、思いの丈を語る方法が最も得策である。
佐藤は理解していた。そして、やってのける。先制点と決勝点は佐藤の左足から演出された。伸し掛かる重圧をものの見事に撥ね退け、蓋を開けてみれば主役の座に身を置いていた。目に見えるカタチで深謝をすませ、地に堕ちかけた信頼を取り戻した。
「ボクは、約束は破らない」
そう豪語する佐藤。勝点3、ホーム8連勝を引き寄せるパフォーマンスは圧巻であり、償いには十分すぎるほどだった。逆境で発揮される底力には感服するしかない。
「左足の精度の高さは点に繋がる可能性が高い、と改めて感じた」
柱谷幸一監督の佐藤評である。ダイレクトに影響力の大きさを口にしないことが、逆に指揮官とキャプテンの絆の深さを感じさせた。
アウェーでの連敗を2で止めるも、同じ「J2準加盟クラブ」のカターレ富山からは勝利を獲得できず。拾ったに等しい勝点1の価値を高めるには、昨季の覇者であるSAGAWA SHIGA FC(以下、佐川滋賀)に勝ち切ることが求められた。スタメンはGK小針清允、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹が並び、ダブルボランチは落合正幸と鴨志田誉が組み、左ワイドに佐藤、右ワイドに高安亮介を据え、松田正俊と石舘靖樹が2トップに指名された。
王者は中位に甘んじる。原因は明白である。個人昇格した御給匠(横浜FC)、堀健人(水戸ホーリーホック)、嶋田正吾(FC岐阜)の穴を埋めきれないからである。トリオが叩き出したゴール数は57。決め手を欠き、勝点を伸ばせないのも致し方ない。
開始早々に鴨志田が失ったボールからカウンターを食らう。事なきを得るも、出鼻を挫かれ、佐川滋賀が手綱を握る。ポゼッションで優位に立たれ、4バックの両端のスペースを執拗に突かれる。大沢朋也、榎本周平、中村元が形成する左サイドのトライアングルは、栃木SCを大いに苦しめた。大沢の浮かせたパスから放った榎本のシュートはゴール前を横断。肝を冷やされる。
個の力量不足を連動性で補った佐川滋賀に押し込められたことで、栃木SCはトップにロングボールを蹴り込むしか手立てがなかった。「FWにつけるパスを増やしたかった」(鴨志田)が、思うに任せない。ボールが前に収まらないから中盤はサポートへ入れず、セカンドボール争奪戦でも後手に回った。
しかし、先にゴールを割ったのは栃木SCだった。GK小針からのキックを石舘が懸命に確保。左の佐藤へ叩き、サイドチェンジのボールを右へ送る。受け取った高安は胸でトラップしてからマーカーを振り切り、ゴールへ流し込んだ。高安の今季初ゴールを契機に畳み掛けたかったが、中盤の支配力で劣り、リズムを掌握できない。オーバーラップから斎藤、直接FKから佐藤、斎藤のクロスから高安がゴールに迫るなど好機をこしらえるも、形勢は逆転できなかった。
悪しき流れを断ち切るために後半の頭に上野優作を投入。起点の構築を図り、攻勢に転じる策を打つも、競り合いで負傷した落合が退場したことでバランスを崩す。急遽、ピッチに送り出された久保田勲と鴨志田の噛み合わせが悪く、安易なミスからフィニッシュへと持ち込まれる。バイタルエリアの緩さに乗じて1トップの竹谷英之が存在感を増すと、失点の気配は濃厚となり、ついに振り出しに戻される。34分、竹谷のポストプレーを利し、中村が供給したチップキックからのパスを交代出場の米倉将文がボレーシュート。あっさりと中央から失点を喫する。
佐川滋賀の勢いは止まず。クロスの処理にあたった岡田があわやオウンゴールの危機を迎える。辛うじて難を逃れ、ロスタイムにCKを獲得。「前半からいいボールを蹴っていた。絶対に来ると信じていた。どんぴしゃり」。佐藤の正確なキックを頭で合わせたのは上野だった。劇的な決勝弾が突き刺さり、王者を葬り去った。「うちの失点パターン」と敵将・田中信孝監督。2戦続けてセットプレーから被弾しての敗北に肩を落とした。
「結果的に点を取ったがJのチームならば1―1、或いは逆転されていたかもしれない」
値千金のゴールを決めても上野の表情は険しかった。例えば1―0で逃げ切れるような、「しっかりしたゲームをして勝ちたい」との思いは強く、劣勢に回った後半の時間帯を課題に挙げた。「(久保田)勲も頑張っていたが、アンカーの位置で跳ね返す力が足りなかった」と、落合が退いた後の進め方に佐藤も修正の余地があると話した。「真ん中でのポゼッション力が不足した」とは柱谷監督。久保田と鴨志田が落合にはない特長を生かして中盤を構成していれば、安定した試合運びが出来たと考えている。
佐藤は言う。
「強いチームではない」
そう感じるのは苦境に立たされた際、相手をいなす老獪さ、すなわちゲームマネジメント能力が備わっていない等々、物足りない要素があるからだろう。優勝に値するチームになるためには、数多の壁を打破しなければならない。
JFL後期第14節 栃木SC2―1SAGAWA SHIGA FC 観衆3453人 @栃木県グリーンスタジアム
〈栃木SC〉交代:松田(→上野)、落合(→久保田)、石舘(→横山聡)
〈SAGAWA SHIGA FC〉GK真子秀徳、DF榎本周平、冨山卓也、影山貴志、高橋延仁、MF中払伸吾(→吉村修平)、小幡正、大沢朋也(→根本知治)、中村元、田谷高浩(→米倉将文)、FW竹谷英之
『ネガティブな感情との訣別』
季、柱谷幸一監督に才能を見出され、徐々に出場時間を増やし、ついには憧憬の対象である只木章広(現・ヴェルフェたかはら那須)からポジションを奪い去る。オフには幼き頃からの夢のひとつ、プロ契約を勝ち取りもした。様々なものを貪るように欲する思いは、アグレッシブなプレースタイルからひしひしと伝わってきた。その残像が鮮明に記憶されているからだろうか。殻を脱しきれない、足踏みをしているような停滞感が今季の開幕時から拭い去れなかったのは。対戦相手から要注意人物にリストアップされ、警戒をされているにしても。
高安亮介は思い悩んでいるのではないか。サッカーを心の底から楽しめていないのではないか。そんな疑問がむくむくと頭をもたげた。
「やらされている。プレーが受身になり、周りに合わせていた」
果敢に持ち味であるスピードを生かし、タッチライン沿いを駆け上がり、クロスを供給するも正確さに欠けた。技術的な問題もあるが、精神面が及ぼす影響は小さくなかったという。心に巣食うある思いが躍動感を損なわせ、決定的な仕事を果たすことを阻んだ。高安は偽らざる心情を吐露した。
「(小林)成光さんがいないから、自分が使われているんじゃないか」
右ワイドの位置を争うライバルは、開幕から好調をキープ。独特の、緩急をつけたドリブルは攻撃に絶妙なアクセントを加えた。アシストにゴールをマークするなど結果を残しもした。その小林が悪質なタックルを受け、戦線離脱することになる。故障した箇所のリハビリを終え、入れ替わるように先発起用されたのが高安だった。
サバイバルを勝ち抜いたわけではない。「代役」、「穴埋め」。そんな言葉が頭にこびりつき離れず、何時しか呪詛となり体を縛り付け、本来の特長を殺いでしまった。ライバル意識は足かせとしかならなかった。
「自分のいいプレーができなかったのは、そこに繋がっている」
競争原理はマイナスに働いた。ゴリゴリ対面のマーカーにドリブルを仕掛けるアタッカーが、ネガティブな感情を抱いてプレーしていては、結果がついてくるはずがない。
そこで、自己改革を断行した。対抗意識を燃やすことに神経を割くのではなく、己を見詰め直した。行き着いた思いは、シンプルなものだった。
「やってやろう」
心の中で起こった僅かな気持ちの変化が、プレーにも現れた。ポジティブに現状を、物事を捉えられるようになったことで脱皮が図れた。これまでシュートを打つ機会が巡ってきてもパス、或いはクロスを選択してきた。だが、前向きになったことが奏功し、優先順位の低かったシュートを打ち切れた。アシスト役が一転、フィニッシャーに変貌したのは前半19分のことだった。佐藤悠介からサイドチェンジのボールが届けられる。トラップでマーカーを外し、躊躇うことなく右足を振った。「気持ちを行動に移した」ことで、JFL初ゴールを2年目にして手にする。
「自分が決めてやると思わなければボールが出てこない」
痛感したのは挑んでいく姿勢の重要性だった。
後ろ向きの感情と決別する突破口となったゴールが、高安に自信を芽生えさせた。前半終了間際には左クロスからヘディングシュートを繰り出す。後半に入ると縦方向へのドリブルに、内側へ切れ込んでいく動きが加わる。カットインから左足でシュートを放ち、ゴールを脅かしもした。シュート3本は佐藤と並びチーム最多タイ。
「縦だけではなく中へ入ってシュート、ワンツー。スルーパスが出せるようになれば、レベルの高いプレーが出来る」
柱谷監督はプレーの幅が拡がる動きを見せた高安の成長を見て取った。圧倒的なスピードに付け加えられたゴールへの強い意識。引き出しが増えたことで、今まで以上に対峙するDFは対応に窮することになるだろう。危険度はより一層、高まった。
「何かを言われてやるよりも、自分の意思でやることが大切」
時間を要したがメンタル面の課題を克服できた。新たな武器を獲得もした。しかし、飢餓感を失わない。
一皮剥けた高安は決意を語る。
「ハシラさんのファーストチョイスになりたい」
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年9月29日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対大宮アルディージャ戦の残りです。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年9月28日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
クロス、オーバーラップの質は、いつもながらに高い。
キックの種類も間近で見ると豊富なことが判明。
新システムでは絞り込み、カバーリングを求められることにもなりそうだが、昨日の対ジェフリザーブズ戦では難なくこなしていたので、心配なし。
プレイスキックの精度が懸念される。
対大宮アルディージャ戦のようにセカンドボールを拾ってから、ミドルを打ち込める位置まで上がれるようになることを、柱谷監督は求めている。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年9月27日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
TM:対ジェフリザーブズ戦@栃木SC通信
2008年9月27日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
スタメン:小針、岡田、鷲田、照井、斎藤、落合、佐藤、稲葉、小林、上野、横山
一本目:0―0。序盤に聡が流血で退場。救急車で運ばれる。
二本目:0-0。攻撃が…
※お疲れ様でした。ちょいと焼けたので冷ましてからレポートに取り掛かります。聡の怪我が心配だ。口を切り、脳震盪らしいが・・・。詳細は公式にアップされるでしょう。
TM:対大宮アルディージャ戦@栃木SC通信
2008年9月21日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
スタメン:GK小針、DF岡田、照井、鷲田、斎藤、MF落合、佐藤、小林、稲葉、FW上野、横山
一本目:0-1。
二本目(メンバー総入れ替え):0-1。
※雨の志木から帰宅。小休止後にレポートアップします。お疲れ様でした。
「楽しむことで上達する」@栃木SC通信
2008年9月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
永井健太と天皇杯@栃木SC通信
2008年9月13日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
第88回天皇杯全日本サッカー選手権が開幕。
1回戦としては初のナイトゲームに臨んだ金沢県代表のツエーゲン金沢は、昨年に引き続き今年もジャイアントキリングを達した。
食した相手は昨季のJFL王者、滋賀県代表のSAGAWA SHIGA FC。ビハインドの展開、形勢を逆転させるゴールを決めたのは、延長の末に逆転勝利を収める原動力となったのは、昨季まで栃木SCに所属していた永井健太だった。
永井の一発で勢いづいたツエーゲンは劣勢を跳ね除け、乱打戦を4-3で制した(ちなみに、山田智也もスタートから出場)。
「栃木SC以外で正直、燃えられるチームはないっすよ」
昨季の最終戦でそう話し、その時点で進路が白紙だった永井は紆余曲折を得て金沢に辿り着いた。
東京ヴェルディを蹴散らし、清水エスパルスとの壮絶な殴り合いを演じた末に破れた一昨年の天皇杯。永井は衝撃的なゴールを決め、全国にその名を轟かせた。昨季の対アビスパ福岡戦でもゴールこそならなかったが、近くはない福岡まで駆け付けたサポーターの期待に応える重戦車ドリブルで一定のカタルシスをもたらした。
どうやら、永井と天皇杯は馬が合うらしい。
2回戦では先のリーグ戦で栃木SCが屈したカターレ富山(9/21@加古川)と激突する。天皇杯男にリベンジの思いを託すのは、些か我が儘な望みだろうか。
金沢以外でも波乱は起こり、ガイナーレ鳥取(鳥取県)とTDK SC(秋田県)のJFL勢が、カマタマーレ讃岐(香川県)と大阪体育大学(大学枠)に敗戦。
訂正
2008年9月12日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
先日の対カターレ富山戦のマッチデーコラムにおきまして、Honda FCを誤ってHonnda FCと表記しましたが、正しくはHonda FCです。お詫び申し上げます。
先程、指摘されるまで全く気が付きませんでした。
猛省です。
申し訳ありませんでした。
初歩的なミスを犯した己が恨めしい。
自己嫌悪。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年9月10日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
近頃の少年は侮れない。
正確に的を射抜きまくっていた。
スキルは高い。
※【追記】オフィシャルの写真撮影のために協力して頂いたボランティアの方々、ありがとうございました。
いい香り(かほり)がしたけど食う暇がなかった。
残念。
やっと出場機会が巡ってきた照井厚。
凡ミスもなく、無難なプレーを披露。
ゴールにも絡んだ。
ストロングポイントである高さを活かしもした。
「メンタルもプレーも安定していた」
柱谷幸一監督も納得のプレーだったようだ。
しかし、照井本人は「早い時間帯に失点することでリズムが作れない。先ずは0に抑えなければならない」と、2失点を反省していた。
雷雨による中断期間中、カターレ富山の選手は体を動かし、栃木SCの選手は座っていた。
そのことに関して「気持ちで負けていたのでは」と問うと、悔しさを滲ませて落合正幸はこう答えた。
「そう言われても仕方がない。結果が出てしまったのでなにも否定することはない」
向慎一は言う。
「トレーニングの成果が出せないのは選手の責任」
試合開始からポゼッション、連動したプレー、コンビネーションのいずれもが思うようにいかなかった。
確認してきたことが全くピッチで表現されなかった。
「自分たちのやりたいこと、サポートやパスを繰り返せば出来ると後半の頭には分かった。自信を持ってやっていれば・・・」
未勝利の呪縛が本来の持ち味を消した。
迷うな、考えるな、本能のままに。
行けば、わかるさ。
右サイド、岡田佑樹からワールドクラスのサイドチェンジのボールが届く。
ドリブルでカットインしたまではよかったが、シュートが打てる状況で斎藤雅也が選択したのはパス。
アタッキングサードに入ったら果敢に打たないと。
活路は見い出せない。
5点は防いだGK小針清允。
ファインセーブも報われない。
辛いところだろう。
禊2
選手会長・山崎透は、「団結」を訴えた。
驟雨の中で。
楚輪博監督は「『なんとか勝てたね』が率直な感想」と会見の冒頭で話したものの、前期との違いを、栃木SCの印象を訊ねると「変わらない」と述べた。
つまり、長いフィードの対策を立てれば、崩されないとの自信があったのだ。
うまい選手は少ない、だからこそ「手を繋いで頑張るチーム」と自らが率いるチームを評しもした。
また、「走ることで、ミスをミスではなく見せる」ことも選手に求めている。
富山にあって栃木SCに決定的に欠落している要素は貪欲さ、である。
対カターレ富山戦@栃木SC通信
2008年9月 7日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-1。
後半:1―1。
ファイナルスコア:1-2。
得点者:横山聡(栃木SC)、朝日大輔、長谷川満(カターレ富山)
順位:2位(勝点52)◆首位:HondaFC(勝点54)
一矢報いるのが精一杯。
泥沼の3連敗。
※お疲れ様でした。マッチデーコラム読んで頂きありがとうございます。3連敗はさすがに参った。気持ちを入れ直してからレポート&コラムに取り掛かります。う~ん・・・。
プレーバック:対カターレ富山戦@栃木SC通信
2008年9月 6日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
記憶を辿ってみる。プロ生活を振り返ってみても出場停止、警告を受けた回数は数えるほどだという上野優作。
後半17分、イエローカードを提示される。
「僕自身、気を付ける。(カードを)もらわないように注意したい」
自省しながらも一方で、JFL2年目でも容易には拭い去れない審判の笛に対する違和感。「気を付けていても、もらってしまう」。パートナーを組む松田正俊も同様に戸惑いを隠せないという。昨年からカテゴリーをJFLに移すが、体に染み込んだJでの感覚は抜け切れていないそうだ。
大学リーグとの差異を感じたのは、ルーキーの斎藤雅也である。プレシーズンマッチで退場を宣告された。早々と「JFLの笛」の洗礼を受けた。今季、チーム全体として、基準の定まらないにジャッジに悩まされ、苛立っている感は否めない。これまで当然のように流されてきたプレーでファウルを取られ、自らのリズムを狂わされ、挙句の果てにカードまで頂戴してしまう。フラストレーションが溜まり、食い下がってしまうのも無理はないが、不要な抗議などで出場機会を失ってしまっては元も子もない。闘志は対戦相手に向けるべきである。
対カターレ富山(以下、カターレ)戦でも出場停止にリーチがかかっていた深澤幸次が、Pボックス内でドリブルを仕掛けたまではいいが、明らかに審判を欺く行為でシミュレーションを取られた。次節の出場が不可能となる。その他にも累積警告3枚で黄色信号が岡田佑樹、川鍋良祐、落合正幸と欠くことの出来ない選手に点滅している。向慎一の謹慎が今節解け、次戦は佐藤悠介と石舘靖樹が戻ってくるが、交代で主力がピッチ外へと追い遣られる事態は回避しなければならない。
「結局、最後に積もり積もって自分達の首を絞めることになる。注意しないと。チーム全体として意識していかなければならない」
上野は警鐘を鳴らす。
佐藤の3試合出場停止中に副産物として鴨志田誉の台頭、石舘が左ワイドで使える目処が立つなど底上げが図れた。1勝1敗1分けの五分と成績もまずまずである。しかし、タラレバになるが、例えば佐藤が継続的に出場していたならば勝点を4ではなく5もしくは6に伸ばせ、更に言えば9獲得できていたかもしれない。そう考えると今後の栃木SCにとって、怪我以上にファウルトラブルが順位の浮沈を左右する要素となるかもしれない。再度、フェアプレー精神の徹底を監督と選手には求めたい。
虎の子の1点を守り切りHonndaFCを退けた栃木SC。富山に乗り込み対ガイナーレ鳥取戦に続き、カターレとの「J2準加盟ダービー」に臨んだ。陣容はGK小針清允、DFは左から斎藤、鷲田雅一、川鍋、岡田、中盤はダブルボランチを落合と鴨志田が組み、左ワイドに向、右ワイドに高安亮介が配され、上野と松田が2トップに据えられた。
富山に拠点を置くアローズ北陸とYKK APの統合が発表されたのは、昨年9月のことだった。青天の霹靂とは、まさにこのことだろう。県サッカー協会主導で成された合併。スムーズに準加盟の権利を勝ち取り、初代監督にはYKKを率いていた楚輪博氏が就いた。昨季、優勝をさらった佐川急便東京と大阪の連合チーム(旧・佐川急便SC)に匹敵する戦力を有し優勝候補に挙がるも、ここまで12戦して5勝4敗3分けと中位に甘んじているのが現状である。メンバーを固定したのは栃木SC戦が今季初といったところに、「融合」を掲げるチームの模索と苦悩が透けて見える。
基本的な戦術に大差はなかった。2トップを軸にサイドから攻撃を繰り出す。前半の序盤、栃木SCは右の高安にボールを集める。カターレは長谷川満をターゲットにしながら松下和磨を背後に走らせた。拮抗した展開ながら幾分か優位に立っていた栃木SCであるが、左ワイドで初先発の向が機能不全に陥り、上野と松田へのボールの収まりが次第に悪くなるとペースが乱れる。長谷川がミドルを飛ばした30分あたりからカターレが流れを掴んだ。ボールを繋ぐ、または蹴る。使い分けの巧さで勝り、立て続けにゴールを脅かした。渡辺誠はCKのリバウンドから、松下は西野誠のロークロスからのヒールシュートに加えて、ロスタイムに朝日大輔のスルーパスから裏を突いた。シュートミスに救われ、ゴールライン上での上野のクリアにGK小針の捨て身のブロック。窮地を脱した栃木SCは、鴨志田のシュート1本に抑え込まれる。
0―0で迎えた後半。蓋をされていたサイドでの攻防で高安がイニシアチブを握れるようになる。次々と敵陣でFKを得るが、好機に結び付けられない。逆にハイボールから長谷川がフリックし、途中交代の石田英之に決定的なシュートを浴びた。が、GK小針が横っ飛びで弾き出す。難を逃れると深澤と横山聡を送り出して形勢を逆転しにかかる。だが、「流れは悪くなかった」と言うものの、「ポゼッションしていれば、落ち着いてゲームを運べたかもしれない。前へ急いでしまった」と高安。縦方向へばかりボールを動かしたことで、変化に乏しかった。尽く前線へ供給したボールを跳ね返される。29分には石田のバックヘッドから肝を冷やされる。驚異的な反応でGK小針がかき出すも、スタンドの大歓声に背中を押されたカターレの攻勢は続く。ゴール前で石田は危険な香りを漂わせた。
終盤に差し掛かると互いに中盤が間延びし、撃ち合いの様相が色濃くなる。圧を強めてきた相手の反動を利用してカウンターを打ち込みたかったが、しかし機会が巡ってくるも栃木SCは連携を欠いたことで自ら潰してしまう。勝点3を狙って送り込まれた稲葉久人は勝負所を見誤った。ゴールネットは揺れず。スコアレスでタイムアップとなった。
「アウェーの成績が悪いので流れを変えようと。立ち上がりは悪くなかったが、その勢いのまま点を取って攻め切る力強さが足りなかった」(上野)
アウェーでの連敗は2で止まるも、記録したシュート数はたったの3本。勝点1を分け合ったというより、辛くも手に入れたと表現する方が適切だろう。守備陣は奮闘するも、攻撃陣は沈黙したままだった。組し易い相手ではなかったが、お粗末なゲーム。それでも、柱谷幸一監督は前向きだ。
「失点0は大きい。悠介が戻ってくるので守備が安定していれば、攻撃面でパワーが出せる」
次節の相手は昨季の王者・SAGAWA SHIGA FCである。勝利をもぎ取り、拾った勝点1の価値を高めたい。 そして、勝ち切れなかった鬱憤を晴らすように果敢な、高揚感を得られるようなサッカーを披露して欲しい。
JFL第13節 カターレ富山0―0栃木SC 観衆2548人 @富山県総合運動公園陸上競技場
〈カターレ富山〉GK中川雄二、DF中田洋平、金明輝、濱野勇気、西野誠、MF野崎良、渡辺誠、上園和明、朝日大輔、FW長谷川満(→永冨裕也)、松下和磨(→石田英之)
〈栃木SC〉交代:向(→深澤)、上野(→横山)、高安(→稲葉)
『単調と執着の狭間で』
攻撃回数はカターレ富山(以下、カターレ)と比べても劣っていたわけではなかった。右ワイドの高安亮介を起点にサイドアタックを仕掛けられていた。好機を演出できるカタチに持ち込めていたことは事実であるが、攻め切れたとの印象が希薄であるのは、やはりシュートで攻撃を完結させられなかったからだろう。柱谷幸一監督は「クロス、ラストパス、シュートの正確性とパワー不足」を原因に挙げた。攻撃を結べなかったことは小さくなかった。
多少アバウトなボールからでもフィニッシュにまで至ってしまう。これまで質量の隔たりとは無関係に対戦相手から与えられた脅威は、ゴールを強く意識した姿勢があったからに他ならない。翻って栃木SCにはシュートを打ち切れないことから怖さ、迫力、圧迫感が感じ取れなかった。ゴールを目指す意欲が著しく欠落していた。
こんなシーンがあった。深澤幸次の右クロスをファーサイドで待ち受けていたのは稲葉久人。ゴールを得るための選択肢はたんまりとあった。ダイレクトでヘディングシュートを放つ。一旦、胸でトラップしてから縦に突っかけて自らシュート、あるいはゴールライン深くまでえぐってからのセンタリング。Pボックス内ではエゴイスチックに振舞ってもいい。FWならば。稲葉が出した答えは、内側に位置していた松田正俊へのパスだった。間違いとは言い切れない。松田のシュートが決まっていれば賢明な判断と解釈されたことだろう。しかし、松田はもたついたことでシュートのタイミングを逸し、DFに阻止されてしまった。勝負しなかったことが裏目に出た一例である。
「ゴール前で消極的に映るシーンがあった」と振り返る向慎一は、「シュートが少なかった。もっとミドルを狙っていれば」と唇を噛んだ。鴨志田誉も同じような思いを抱いていた。「ボクやシン(向)がミドルを狙い、FWは多少強引にでも打つ必要がある」。そうすれば、シュート3本という不甲斐ない数字は残らず、勝点3を得られたかもしれないとの思いは強い。綺麗に打ってゴールを決めてやろう。そんな気持ちが大胆さとアグレッシブさを殺いだ。
キャプテンマークを巻いた落合正幸は言う。
「チャンスメイクで終わっている。シュートで終わっていない。スリッピーなグラウンドコンディションだからこそ、遠目からでも打てば何かが起こるかもしれない」
言葉は熱を帯び、鋭くなる。
「局面で『ボールを持っている選手がやってやる。イニシアチブを握ってやる』と思わないと。アタッキングエリアで遠慮していても仕方がない」
クロスを上げ切る。シュートを打ち切る。「やり切る」ことが出来なかったがために、焦燥感は次第に強まり、安易な方法に逃げてしまった。悪癖が露呈する。「狙ったわけではなく、苦し紛れに蹴り込んでしまう」(鴨志田)攻撃面の課題が。
「ツインタワーへ放り込まれた際のトレーニングをした」
そう話したのは、カターレのDFリーダー濱野勇気。2トップに照準を定め、前へとボールを入れてくることは想定済みだった。CBを組んだ金明輝と共に上野と松田に制空権を譲らなかった。栃木SCにとって前線へのボールの収まり具合が、好不調のバロメーターとなる。ストロングポイントを潰されてしまっては、思うようにサッカーを展開することは難しい。対策を練られた相手に対し、分かりきった攻撃を仕掛けることは無益であり、足枷としかならない。手詰まりと勝点の喪失は親密である。
一本調子と執着は紙一重の関係であるが、勝機が見出せないと判断したならば、状況に応じて別の手を打つべきだった。「真ん中に、バイタルエリアにワンクッションあればよかった。(2トップが)ラインの前で起点を作れていれば」と上野は悔い、「ボールを繋げていれば違う展開になっていた。カウンターや分厚い攻撃ができた」と、鴨志田はボールを走らせるべきだったと反省の弁。「闇雲に蹴り込んでいるから、FWにいいカタチでボールが渡らず、シュートが打てない」と続けた。
「繋いでボールを運んでから、DFラインをFWが押し込んで下げる。クロスを入れて、セカンドボールを拾っていく」
単調に前へボールを預けるだけではなく、ポゼッションしながら横方向の動きを取り入れ守備網を崩すパターンを柱谷監督は描いていた。が、ピッチに立った選手達は実行に移せなかった。トレーニング不足なのか、それとも着手できていないのか。
開幕から漂う攻撃面の閉塞感は、バリエーションの乏しさに起因している。ロングボールを放り込んでいくことを薄め、パスを回しながら打開を図っていく方向性を濃くすることが必要な時期に差し掛かっているのではないだろうか。スカウティングが成され、2順目ともなれば対戦相手も手の内を読んでくるだけに。
確たる型は存在する。それを変形、派生させる準備は整っているのだから、そろそろ次の段階へと強化を推進して行くべきである。引き出しを増やせないようでは、袋小路を彷徨いかねない。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年9月 4日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
ポロリもあったが、一番こえを出していた。
GKには不可欠な要素である。
ボール奪取能力は圧巻だった。
J2のセカンドでは相手にならない強さを発揮。
ここ数試合は右サイドに顔を出すことが多く、左偏重の改善に努めている。
トレーニングマッチでゴールを量産している坂本勇一。
現時点でのコンディションは、松田正俊よりも上だと柱谷監督の目には映っている。
足利での初ゴールに期待が高まる。
声は出ていたのだが・・・。
買い忘れーの@ワンコインベッターの呟き番外編
2008年8月27日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
日々の雑事?に忙殺され、ウイークデイのtotoを買い忘れた。
痛恨だね。
まあ、おそらく札幌対G大阪戦を外していたので今回も空振りだったろうけどね。
岡山が勝ち(JFLの話ね)、勝点が5に詰まった。
スリリングな展開になってきた。
でも、勝点1でもリードしてテッペンに立っているわけで今後、負けなければ現在の地位を譲ることはないので、慌てず騒がず(ちょっとは喧しいほうがいいと思うが・・・)残りの試合を大事に戦いましょう。
TMがあったとは露知らず。
困ったもんだ。
上田桃子の怪我が心配だ。
爪が剥がれる。
イメージしただけでも痛みが走る。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年8月21日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレス席は柱が邪魔で見え難い。
しかし、臨場感はグリスタに勝るとも劣らない。
ナイターの都田も悪くない。
来年からは来られないけれど。
聡は言った。
「同じ過ちを繰り返さない」
前半早々の失点。
MIO戦の反省が活かされていなかった。
一敗地に塗れたが、Honda戦のラスト15分を忘れてはいけない。
あの時間帯のメンタルタフネスにこそ活路があるのだから。
こっからだぞ。
楽しみと苦しみを味わい、最後に歓喜に浴するのは。
前半からレフリーは石舘靖樹に対して好印象を抱いていなかった。
度々、注意を受けていた。
それでも、1枚目も2枚目も警告には値しないものだったのではないだろうか。
球際で激しくいかなければHondaには勝てないのだから。
熱い。
Hondaの歓喜。栃木SCの悲劇。
ロスタイムの執念とセットプレーの強みは、前監督の高橋高氏が指摘していた。
その通りに展開でやられてしまった。
「前期も後期もHonda戦がポイントだった」
昨季、最終節。
グリスタの階段でばったり会った高橋氏は、そう言っていた。
「門番」の恐ろしさを改めて思い知らされた一戦だった。
この表情が大一番の全てを物語っている。
「それぞれ目指すサッカーがある。どのサッカーがいいとは一概には言えない」
柱谷監督は、そう前置きした上で「勝ちを持ってこられなかったと言うことは、今日はHondaが強かった」と話した。
しっかり、3週間でキャンプからのおさらいをして欲しい。
対HondaFC戦@栃木SC通信
2008年8月17日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:1-0。早々に先制を許す。その後は劣勢の展開。
後半:1-1。
ファイナルスコア:2-1。
得点者:新田純也、牧野泰直(HondaFC)、佐藤悠介(栃木SC)
順位:首位(勝点52)◆2位:HondaFC(勝点51)
ロスタイムに逆転弾。
【短評】
極端に強いわけではなかった。HONDAのプレスは。ただ栃木SCは少し戸惑った。それを断ち切れなかった。45分間ひきずってしまう。前半5分にFKから先制したHONDAはペースを掴み、パス主体のサッカーを貫徹した。不甲斐ない栃木SCは、手綱に触ることすら許されなかった。初先発の稲葉久人と石館靖樹はゲームに参加できなかった。それだけボールが入らなかったのだ。
後半は序盤から前に出る栃木SCだが、石館が退場を命じられる。ビハインドに数的不利が加わり、精彩を欠く。しかし、前線の稲葉のひたむきさが事態を次第に改善させた。その稲葉とのパス交換から、ドリブルで突っ掛けた岡田佑樹がPKをゲット。これを佐藤がきっちり沈める。同点にしたことでサポーターも選手もヒートアップ。ようやく流れを引き寄せる。ロスタイム4分は栃木SCに味方するかに思われたが、劇的な一撃を打ち込んだのはHONDAだった。
守り切れずに決勝点を献上してしまった。久保田勲は「あれが実力。あそこがうちの弱い部分」と唇を噛んだ。天王山に敗れた栃木SC。首位は変わらずも、今季初の連敗を喫した。
※自宅に戻れないため詳細レポート&コラムは明日アップします。お疲れ様でした。こんな夜に浜松に居るなんて…
プレーバック:対HondaFC戦@栃木SC通信
2008年8月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
柱谷幸一監督の指示は至ってシンプルだった。
「動け」
出場停止が解けない佐藤悠介に代わり、左ワイドに配されたのは石舘靖樹。元々はワイドでプレーさせることを考えていたが、佐藤の獲得に成功、シーズン前に負った怪我による出遅れが重なり、開幕から負担の少ないFWでの起用が続いた。2ゴールの結果を残すが、ここ数試合は鳴りを潜めていた。佐藤を欠き、松田正俊のコンディションが上向いたことで、「ここはひとつ使ってみるチャンス」と先発のお鉢が回ってきた。
感覚を重んじる石舘には、一言で事足りた。小難しい説明など不要。
「サイドに張ってばかりいないで中央、右、ボランチの位置まで下がる。とにかく動こう、と」
指揮官の言葉を石舘は、そう解釈した。上下左右に、骨惜しみなく動き回った。持ち場に囚われず、状況に応じた適切なポジションを取る。そのことが結果的に貴重な決勝弾として実を結んだ。カウンターが発動する際、石舘はゴールを狙える位置に構えていた。
「周りが読めないプレー。あいつの良さが出た。あいつらしいゴールだった」
愛弟子のアグレッシブで予測不能なプレーに、柱谷監督は珍しく相好を崩し、手放しで褒めちぎった。
「主導権を握られた。石舘選手に居られたことで運動量を強いられた」
HondaFC(以下、ホンダ)石橋眞和監督は、ストロングポイントのひとつである右サイドバックの堀切良輔を途中で下げた一因に、石舘の存在を挙げた。球際に加えて、空中戦でも絶対的な強さを発揮。サイドでの綱引きを制したことで、少しずつ堀切のスタミナを削り取り、ピッチ外へと追い遣った。昨季の対戦時、1ゴール1アシストと煮え湯を飲まされた相手を封じ込める。ゴールと同等、或いはそれ以上の価値を有する仕事を果たした。スタートからの起用に応え、勝率をグンと上げた。
前節、横河武蔵野FCとの決戦に敗れた栃木SC。連敗を回避するために若干メンバーを入れ替え、強豪のホンダ戦に挑んだ。スタメンはGK小針清允、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、中盤はダブルボランチに落合正幸と初先発の鴨志田誉、左ワイドに石舘、右ワイドに高安亮介、上野優作と松田が2トップを組んだ。
開幕戦の躓きなどに動じない。じわじわと勝点を積み重ね、当然のように上位へ顔を出してきたホンダ。4―3―3の布陣をしいた。
右から入ったボールを鈴木弘大がシュート。枠を反れるが開始1分と満たない時間に肝を冷やされる。5分にも再び鈴木にシュートを浴びる。この窮地を抜群の反射神経でGK小針が凌ぐと、サイドチェンジを利し、栃木SCは次第にサイドから圧力を強める。7分、石舘の左クロスから上野が右足を伸ばしてダイレクトで合わせた。
対するホンダは序盤から多用したショートパスでの打開を繰り返す。そこへドリブルからのシュートも織り交ぜ、果敢にゴールへと襲い掛かった。カットインから牧野泰直、CKのセカンドボールから増田勝文、ドリブル突破から堀切に鈴木と、数多の好機をこしらえる。枠内にきっちり飛ばすも、GK小針が立ちはだかった。尽く弾き出されてしまう。
ホンダのアタッキングサッカーに困惑するも、後手を踏んでいたわけではない栃木SCは、好守を連発したGK小針を起点にゴールに迫る。16分、自陣ゴール前からのFKを石舘が頭ですらし、反応した上野がスライディングシュート。GK中村元の伸ばした手先を通過し、ゴールへ吸い込まれるも判定はノーゴール(オフサイドか)。38分にGK小針から鴨志田と渡り、石舘が胸トラップから反転シュートも吹かしてしまう。逸機するものの攻守の切り替えは速く、ゴールへの道筋は明確に描かれていた。
後半頭に川鍋アウト。田村仁崇がDFラインに入る。「ボールへのアプローチ後、しっかり選手に付こう」とハーフタイムに確認した栃木SC。些かルーズだった人への寄せが強まる。素早いプレスで細かなパスを寸断。トップへのボールも遮断した。落合と鴨志田がバイタルエリアをしっかり閉め、「最初は焦った」という田村も落ち着き払ったプレーで攻撃を跳ね返した。
「ポゼッションしてくるが前に人数がかかっているぶん、全体のバランスがよくない」と読んでいた柱谷監督。ホンダの弱点をえぐった。カウンターから攻め入られ新田純也に絶好のクロスが供給される。しかし、新田が空振りすると逆にカウンターを打ち返す。前線に残っていた石舘はボールを受けると、そのままドリブルで持ち込み左足を一振り。豪快に突き刺した。「前半、外していたので、相当嬉しかった」と満面の笑みを浮かべた。後半14分、先手を得る。
流動性を失ったホンダは、栃木SCが構築した守備ブロックを前に手詰まりに陥る。攻め手が見出せない。それでも、粘っこさが身上だけあり、ロスタイムに右クロスから途中交代の早坂良太がヘディングシュートを放つ。が、ボールをとらえきれなかった。
スコアは動かず。1―0で逃げ切り、連敗は免れた。上に位置したホンダを一蹴し、ファジアーノ岡山が足踏みしたことで、4位から2位に浮上した。
佐藤不在で勝点3を獲得できたことは殊の外、大きかった。
「出られない選手が普段出ている選手以上のパフォーマンスをした。次に繋がる」
柱谷監督は鴨志田、石舘の他に高安と田村が期待に違わぬプレーをしてくれたことでボトムアップが図れた、と手応えを感じていた。主力が抜けたことでチームが揺らぐようでは、ゲームのクオリティが落ちるようでは、リーグ制覇は望めない。
求められるのはチーム戦術を理解し、遂行できる力の他に、個人として何をもたらすことができるのか、ということである。ホンダ戦で言えば、石舘は佐藤では難しい状況からゴールを決め、鴨志田は向慎一以上の活動量を見せ付けた。単に穴を埋めるという発想ではなく、他人が持っていない要素、特性でどれだけ勝負できるのかが重要である。個々の特長がチームに付け加えられれば、自ずと厚みは増していく。
JFL前期第12節 栃木SC1―0HonndaFC 観衆4786人 @栃木県グリーンスタジアム
〈栃木SC〉交代:川鍋(→田村)、高安(深澤幸次)、石舘(→久保田勲)
〈HonndaFC〉GK中村元、DF堀切良輔(→桶田龍)、安部裕之、石井雅之、牧野泰直、MF糸数昌太、柴田潤一郎、増田勝文(→吉村和鉱)、FW鵜飼宏長(→早坂良太)、新田純也、鈴木弘大
『いつも通りのプレーをすれば通用する』
気負いは全く感じ取れなかった。ボランチに要求される仕事、例えばボールを奪う、パスを散らす、相手の攻撃を遅らせるなど、基本的な役割を卒なくこなしていたからである。それも高次元で。
浮き足立つことなく、試合にすんなりと入り込んでいるように見えた。ちょっとやそっとのことでは揺らぎそうもない外見に、ベテランが醸し出すような雰囲気を身に纏っていることが、そう感じさせるのかもしれない。妙な安心感さえ抱かせた。
が、実際の胸の内は異なったようだ。本人の言葉を借りれば、「最初は緊張した」と言う。無理もない。リーグが開幕してから11試合、1度もピッチに立つことはなかったのだから。巡ってきた出場機会、それも初先発がリーグ屈指の実力を有するHonndaFC(以下、ホンダ)戦、しかも連敗が許されない状況では、萎縮しない方がおかしい。
鴨志田誉は計り知れないプレッシャーに晒されながら、キックオフの笛を、プロデビュー戦を迎えた。
先発を言い渡されたのは、土曜日のセットプレーのトレーニング中だった。「ビックリした」ものの、「何時も通りのプレーをすれば通用する」と言い聞かせ、「何時も通り、何時も通り」と何度も心の中で反芻しては、昂ぶる気持ちを抑えた。
今季2敗目を喫した対横河武蔵野FC(以下、横河)戦(0―1)を省み、柱谷幸一監督は落合正幸のパートナーを久保田勲から鴨志田へとチェンジした。その意図を、こう語る。
「久保田とオチを並べるとポジションが後ろになる。攻撃に人数を割けない。鴨志田は前へ出られるし、ボールに絡める。運動量が多い」
好機をほとんどこしらえられなかった前節。同じ轍は踏めない。前線にボールを入れることで強味が発揮される、栃木SCの戦術によりマッチした人材を選出したことが窺える。
大抜擢された鴨志田。自身の持ち味は「運動量。判断を速くして、素早くパスを繋ぐこと」。
前半35分、マイボールになるや否や、一目散に3列目からゴール前へと駆け上がった。その様は爽快感たっぷり。機を見た大胆不敵な攻撃参加は、ゴール前の人手不足を解消した。また、トップに近い位置でプレーし、セカンドボールを拾うことをも心掛けた。横河戦で感じた物足りなさ。果敢に仕掛けることで補足した。繰り返された上下動。支えたのは、豊富な運動量だった。
ボールを受けるアングル作りの巧さも生きる。スムーズに味方からボールを引き出した。託されたボールを時に丁寧に、時にリスクを冒してさばいた。「ホンダも切り替えが速いから負けないようにした」と、瞬時に使えるスペースを見出し、パスを供給。カウンターのスイッチとなる。前半38分にはGK小針清允からのフィードを受けると、前方に走り出していた石舘靖樹に正確なパスを送り届け、決定機を演出した。FKからのクイックリスタートでは高安亮介のドリブル突破を導いた。
高い守備能力も際立った。ショートパスを繋ぐ意識の高いホンダの攻撃に戸惑うも、徐々に順応すると粘着力のある守備でボールを掻っ攫った。攻撃の芽を摘み取った。
「ボゼッションは落ち着いていた。運動量も多く、守備にも入れた。非常にいい出来だった」
柱谷監督はパフォーマンスに目を細めた。
「カモが頑張ってくれたことが周りに伝わり、チームとして結果が残せたと思う」
最後尾からプレーを見詰めていたGK小針は、鴨志田の攻守における貢献度の高さを勝因のひとつに挙げた。続けて「ルーキーで初先発、思い出に残る大事な一戦。勝点3をプレゼントしたかった。それが出来て嬉しい」と、我がことのように喜んだ。
昨夏、催された大学生を対象にしたセレクション。唯一、潜り抜けたのが鴨志田だった。自ら切り開いたプロへの道。しかし、いきなり壁にぶち当たる。中核を成す落合の隣席に座ったのは、同期入団の向慎一だった。職人肌の守備と光る攻撃センスを披露したトレーニングマッチ。アピールも空しく、ベンチにも入れない日々が続いた。欠けている部分を修正しながら、ようやくベンチにまで漕ぎ着けたが、その2試合はいずれも敗戦。直接、関与したわけではないが、「責任を感じていた」。だからこそ、ホンダ戦の勝利が堪らなく嬉しかった。
「コーチからチャンスは絶対にくる、と言われていた。トレーニングを真面目にやれば(出番は)巡ってくる。準備をした甲斐がありました」
笑顔が弾けた。
今後は久保田、向との熾烈なポジション争いが待ち受けている。「競争は大事ですから」。さらりと言い切る鴨志田。スタンドからピッチを眺める、辛く侘しい状況に逆戻りする気はさらさらない。出るからには最初から。やや出遅れたぶんだけ、その思いは人一倍強い。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年8月11日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
それぞれに感じるところがあったと思う。
明るいねえ。
いいムードを作っている。
リフティング大会?
皆、足元は巧いわ。
最後までコーチとロングフィードのトレーニングを積んでいた。
サッカー小僧度が分かる。
鍛えられていたGK飯田健巳。
ゴール正面のキャッチを課される。
弾くと叱責。
うずくまってしまうほどハードなトレーニングだった。
阪倉コーチが先頭を走り、コーチ陣もランニングでスタミナをつけていた。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年8月11日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
元気そうでなにより。
待ってるぞ。
ドリブルが好きなんだろうなあ。
【ショート・ショート・ショート】
試合中、葛藤していた。
サイドにいるべきか、それとも中に入るべきか。
岡田佑樹は決断した。
右サイドにいても「ボールに触れない」。だから、内側に絞り、「セカンドボールを拾う」と。体は動いていた。だが、肝心のセカンドボールが拾えず、サイドにボールが収まらなかったことで「相手にあわせてしまった」。つまり、蹴り合いに応じてしまったのである。それにより、持ち味が出せたとは言い難い。
「もっと落ち着いてボールを回せていれば・・・。サイドからチャンスを作れず、いいクロスを上げられなかった」
唇を噛んだ。
終盤にパワープレーを仕掛けた栃木SCであるが、中に人が集中し過ぎたたことでPボックス内は渋滞した。混雑を避ける道もあった。中央をこじ開けることが難儀な作業であると理解していた。一工夫、必要だと感じた。しかし、どうしても消えなかった。「外にいるとボールに触れない」との思いが。
結局、2度目の対戦でも完封された。
「こっちのサッカーがやりたかった」
岡田は敗戦を、そう振り返った。
オフェンスリーダーの上野優作が不在だからこそ、この2人がやってくれないとチームは波に乗れない。
横山聡は次節に向けて決意を語った。
「ドローでOKではなく、アウェーで勝点3を取りに行く」
ゲーム内容は向上するも、敗れ去った。
「一瞬の隙を見せるとJFLでも失点する。(90分間)フルに集中しなければならない」
集中の糸を切らしてはいけないことを強調した。
数々の苦境を救ってきた佐藤悠介のFKも決まらない。
悪循環に陥っている象徴である。
潜入@県総
2008年8月11日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対横河武蔵野FC戦@栃木SC通信
2008年8月 9日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-0。
後半:0-1。
ファイナルスコア:0-1。
得点者:加藤正樹(横河武蔵野FC)
順位:首位(勝点52)◆2位:HondaFC(勝点48)
序盤に失点。守りきられる。
※お疲れ様でした。ついに負けてしまいました。気分を切り換えてレポート&コラムに取り掛かります。溜息が止まりません。
プレーバック:対横河武蔵野FC戦@栃木SC通信
2008年8月 8日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
敗軍の将は言葉を並べるも悲しいかな、虚勢を張っているようにしか映らなかった。
「ゲーム内容は全く問題ない。決定機は数多くあった。そこを決めきれず、ワンチャンスを決められてしまい負けた。悲観する内容ではない」
攻守において「悪いところは何もない」とも言い切った。果たして、真意なのだろうか。懐疑的にならざるを得ない。
前半、サイドから攻め入り、Pボックス付近までボールを運べていたのは事実である。思い描いていた攻撃のカタチが作れていた。ただし、そこからのクロス、ラストパス、シュートの精度は低かった。相手にとって脅威でなければ、上手く対応されていたならば、例え崩す回数が多かったとしても意味はない。
サイド攻撃の軸となった高安亮介は言う。
「クロスを上げるも決定機になっていない。何もしていないと同じこと」
冷や汗をかかせることができなかったのだから、好機をこしらえられたとは言い難い。ゴールの気配が漂うプレーは皆無に等しかった。やはり、柱谷幸一監督のコメントは、強がりとしか受け取れない。
「後半の(残り)15分、20分はやりづらい印象を受けました。時間が少なくなるに連れて高さ、スピードにてこずった。それまで怖さはなかったです」
横河武蔵野FC(以下、横河)・依田博樹監督の総括である。こちらの方が的を射ており、正確に試合を分析している。つまり、ビハインドを背負い、スクランブル態勢に入るまでの時間帯、栃木SCの攻撃は迫力に乏しかったのである。「チャンスらしいチャンスはなかった」。横山聡も認めている。
千載一遇の好機を決めきれたか、否か。雌雄を決した一因ではあるが、要因ではないことは確かである。敗因はそれほど単純なものではなかった。
上位決戦を前に暗雲が垂れ込める。チーム最多の7ゴールをマーク、精神的支柱でもある佐藤悠介が3試合の出場停止を科される。審判への度重なる侮辱的行為が自らの首を絞めた。フェアプレーを重んじるチームにあり、許され難い大罪を犯してしまう。開幕から定位置を確保していた向慎一も欠いた栃木SCは、核となる選手不在の状況をどう乗り切るか。試練の時を迎えた。陣容はGK小針清允、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、ダブルボランチに落合正幸と久保田勲、左ワイドに深澤幸次、右ワイドには故障明けの高安、2トップには上野優作と横山聡と好調な二人が据えられた。
10試合を消化して失点は僅かに7とリーグ最小を誇る横河は、無敗でリーグ2位に付ける。勝点差1で追う3位の栃木SCは直接対決を制し、当面のライバルを上回り引き離す機会を逃すわけにはいかない。
奪ったボールを素早くトップへ入れる。試合開始前から落ちていた雨。スリッピーなコンディションを考慮した、互いの試合の進め方に差異はなかった。栃木SCは上野と横山聡へのボールの収まりが幾分か勝ったことで優位に立つ。ポゼッションを徐々に高め、右ワイドの高安を生かして圧を掛けた。これに対し横河はブロックを構築して跳ね返しては、セカンドボールを拾ってから鋭利なカウンターを繰り出した。高安と岡田の右からの攻略は効果的だったものの、クロスの質に乏しく26分に横山聡が放ったヘディングシュートは枠を外れた。
「シンプルにPボックスの横を突いていこう」
依田監督の策がはまった。39分、カウンターから左サイドに起点を設け、折り返したボールを中央から林俊介が豪快に叩き込んだ。帰陣するもゴール側に寄ってしまった栃木SCは、走り込んできた林を捕まえきれなかった。枚数が足りていただけに、サイドのポケットに侵入され、警戒していたカタチから失点を喫したことを川鍋は悔いた。
「長いボールを蹴る時間が早かった。前半のようにしっかり繋いでサイドからチャンスメイクする。失点したことでバタついた。長いボール、長いボールと単調になった」
後半をそう振り返ったのは落合。高安も同調し、ボールが頭を越えることが多々あったことで、スピードと突破力を生かせなかった。サイドからの侵略が困難となる。パスを回しながら、ロングボールを織り交ぜる発想を失う。
拙攻を重ね、活路を見出せない栃木SCは、横山聡と深澤に代えて石舘靖樹と松田正俊を投入。てこ入れを図る。早速、FKから松田が競り落としたボールを川鍋がボレーシュート、石舘が左からカットインして右足でシュートを打つ。立て続けにゴールに迫るも、勢いは持続しなかった。パタリと止む。逆に林にあわやのループシュートを浴びてしまう。クロスバーに救われ難を逃れると、稲葉久人を送り込む。前に攻撃的な選手を揃えるが、戻りの早い横河にカウンターの芽を摘まれ、中央を固められたことで手詰まりに陥った。35分、稲葉がGK金子芳裕に詰め寄る。慌ててクリアしたボールから松田がゴールを狙うも、GK正面に飛んでしまう。同点機を逸する。万事休す。
その後、リスクを負ってパワープレーに移行するも、サイドに叩いたボールが供給されるまでに時間を要し、横河もDFを4枚から5枚に増やしたことで水泡に帰す。依田監督は高さ対策を十分に練っていたことに加えて、2年間も勝てなかったことが高いモチベーションに繋がり一体感が生じ、例年はゴールデンウイーク中も通常通り夜に行われるトレーニングを昼に変更したことが奏功したと話した。
アウェー2連敗。連続ゴールは10試合でストップ。縮めるはずの勝点は4に拡がってしまった。「脱・佐藤」は成し得なかった。
「自分自身を見詰め直す。誰かに『こうして欲しい』と思うよりも、何が出来るのかをしっかり自分で考える」(落合)
次戦は門番・ホンダFCとの大一番が控えている。個々が強い危機感を持って臨まなければ、再び涙を呑むことは必至。佐藤と向が抜けたことに動じるのではなく、ポジションを奪う絶好機と捉えるポジティブで野心に満ちた思いをピッチで表現しなければらならない。
気持ちで負けることは栃木SCに在籍している以上、免除されない。
JFL前期第11節 横河武蔵野FC0―1栃木SC 観衆883人 @武蔵野市立武蔵野陸上競技場
〈横河武蔵野FC〉GK金子芳裕、DF金守貴紀、小山大樹、石川清司、MF林俊介、太田康介、安藤利典、池上寿之(→岡正道)、FW高橋周大(→立花由貴)、金子剛(→加藤正樹)
〈栃木SC〉横山聡(→松田)、深澤(→石舘)、高安(→稲葉)
『試金石』
佐藤悠介がピッチに立つことを許されなかった。後悔の行き着く先は結局、そこしかない。改めてその存在感、影響力の絶大さを痛感すると同時に、本人は3試合もチームを留守にすることになった軽率な行動を猛省しなければならないだろう。柱谷幸一監督が最も嫌うカタチでゲームから離れることは、キャプテンとして褒められた行いではないのだから。
実力が伯仲したチーム同士の対戦は、スコアが容易に動かない。予想されるのは僅差の展開。それだけに1点が持つ意味、重みは計り知れないものがあった。「先制点を取れたことが非常に大きかった」と横河武蔵野FCの依田博樹監督が振り返れば、「しっかり守る相手に先制点を取られると苦しい」と、横山聡は先手を奪われたことが小さくなかったと語った。
均衡を破るには絶対的な武器が物を言う。それが栃木SCにとっては、佐藤である。これまで競ったゲームを制してこられたのは守備陣の踏ん張りもあったが、セットプレー、もっと言えば佐藤の左足が要所で輝きを放ってきたからに他ならない。いずれも1―0で勝利した対FC刈谷戦然り、対ガイナーレ鳥取戦然り。だが、裏を返せば、佐藤の技術に依存してきたからこそ難局を乗り越えられたとも言える。辛勝に終わった対MIOびわこ草津戦後(4―3)、決勝ゴールとなるFKを突き刺した佐藤は警鐘を鳴らしている。
「いつもボクのセットプレーが出るわけではない」
突出した個へ頼ることが失速の原因になることを暗に示唆している。だからこそ、「0で抑えること。1―0で勝つこと」の重要性を説いた。無失点に封じることにプライオリティを置くべきだと。
佐藤不在の歪は随所で見受けられた。
先ずはCK。都合9本も獲得することになるが、高安亮介と久保田勲の両プレイスキッカーは質の高いボールを供給できなかった。「アバウトなボールでは(ゴールをこじ開けることは)難しい」「ボールの精度が悪い」と柱谷監督は嘆き節。昨季まで欠落していた技術、パワー、精度を全て兼ね備えているのが佐藤である。久保田の左足も悪くないが、パフォーマンス同様に波があり、比較対象にするのはあまりにも酷である。
苦境を打破できる、ゴールを取り切る力を持ち合わせていない。リードを許してしまったことで、焦燥に駆られたことは想像に難くない。前半はトップにボールを預ける、ポゼッションしながらサイドを生かす攻撃の使い分けが臨機応変に出来ていたが、失点を喫してからリズムは崩れた。後半は一辺倒になる。待ち構えている相手に対してロングボールを蹴り込むだけ。変化に乏しく、攻撃にタメがなかった。起点を生み出せなかったことで、逸る気持ちを抑えきれず、無闇にボールを譲り渡す羽目になる。彩を加えられる佐藤がピッチに居ない弊害が、流れの中でもくっきりと現れていた。
劣勢に回る。抱えきれない恐怖感と不安を互いに共有しあえれば、破綻を来たす確率はグッと下がる。そのためには、単純だが声を掛け合うことが求められる。佐藤が叫ぶ姿は、もう馴染みになっている。声がかすれているのは、風邪のせいだけではないだろう。前節、押し込められて耐え忍ぶ時間帯、佐藤は落合正幸が声を出して引っ張ってくれたことに感謝していた。サイドの自分が見られる範囲は限られる。浮き足立ってしまいそうな時、バイタルエリアを守るダブルボランチとCB2人にイニシアチブをとって欲しいと考えている。重圧を反発力に変換できる稀有な才能を有していても、許容範囲は必ずある。佐藤が見えない部分を他の選手が補えるようになることが理想であり、それが可能となれば個々の責任感と挽回する力は高まる。負担を軽減するためにも、要求に応えなければならないだろう。
対ホンダFC、カターレ富山戦と佐藤の欠場は続く。強豪との2戦は正念場であり、今後のリーグ戦を見据えた試金石となる。
「ここは乗り越えなければならない。乗り越えられれば選手層は厚くなる。チーム力がつく」(柱谷監督)
佐藤が出場せずとも勝利を、勝点を1でも得る。その自信が波及することで、チーム力は飛躍的に向上するに違いない。そのためには、一人ひとりがこれまで以上にハードワークをしなければならない。殻を破り、成長するには、図抜けた個からの脱却が絶対不可欠である。残り3分の1で決定的な仕事が出来るスペシャルな存在を生かす手もあるが、それでは結局のところ現状と一緒である。
佐藤を生かすシステムではなく、佐藤も生きるシステムへと改良を進めなければならない。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年8月 7日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
ピッチに立てば何かやってくれるのが石舘靖樹。期待感を抱かせてくれる貴重なアタッカーに成長した。
毎試合、パフォーマンスは悪くないだけに結果が欲しい。
すり抜けて放ったシュートは惜しかった。
横河戦はFWのファーストチョイス上野優作が出場停止。
松田正俊にとっては、またとない機会が巡って来た。
京都時代には、ここ一番での勝負強さで存在感を示していただけに、大黒柱不在の穴を埋めてもらいたい。
そろそろ覚醒してもらわないと。
HondaFC戦に照準を合わせているならば話は別だが・・・。
前半は相手の起点が左サイドだっただけに苦戦を強いられた。
赤井秀行の身上である1対1で屈するシーンもあった。
岡田とのコンビもまだまだ改善の余地はある。
後半は豊富なスタミナを活かして上下動を繰り返した。
何度も何度もタッチライン沿いを疾駆。
初アシストのコメントを取り逃したのは痛かった。
高安亮介が肉離れで戦線離脱。
小林成光が配されると思われた右ワイドには岡田佑樹が指名された。
いろいろと思うところがあるだろう。
その思いを今後のリーグ戦でぶつけて欲しい。
のらりくらり。
独特のリズムからのドリブルと正確なクロスは、このチームから欠けると困る。
2戦連続ドロー。
ここがチャンス。
試合後、向慎一と少し話をしたが腐ることなく、前向きだった。
自分の修正点も理解しているようだし、後は定位置を奪い返すだけ。
その作業は容易ではないが、チャンスを与えられたら逃すな。
後半序盤にGKと接触して負った怪我(打撲?)が気がかりだ。
試合後の取材はNGだった。
足の痛みのため話すことさえままならなかったからだ。
しかし、それでも痛みをこらえて25分近くプレーしてしまう岡田佑樹のメンタリティには恐れ入る。
全く足かせとはならなかったのだから。
MIO戦は右ワイドで先発。
前半は攻撃に比重を置いたこともあり、赤井とのコンビはいまいち。
フィットしていたとは言い難かったが、後半にはしっかりと修正した。
赤井とのつるべの動きでサイドを制圧。
横山のゴールに繋がった落合のクイックリスタートに反応できるのは、アラートな状態を保てているからだろう。
横河、Hondaとの連戦には不可欠な人材。
患部の治療に専念しながらコンディションを整えてもらいたい。
ブログの写真は個人的にお気に入り。
あれはこの試合を全て物語っているようで・・・胸に来るものがある。
失点が止まらないDF陣。
入れ替えを問うてみたが、指揮官は否定した。
ノーチャンスではないが、先発起用されている選手を超えるパフォーマンスをしなければピッチには立てない、と述べた。
人を代えずに、やり方を変えて対処する腹積もりなのだろう。
勝点3が取れた試合@栃木SC通信
2008年8月 6日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
短評:対MIOびわこ草津@栃木SC通信
2008年8月 3日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:2-1。立て続けに失点。終盤に聡が一点返す。
後半:0-1。早々に上野がゴールもドロー。数的優位を活かせない。
ファイナルスコア:2-2。
ゴール:横山聡、上野優作(栃木SC)、安部雄二郎、大江勇詞(MIOびわこ草津)
順位:首位(勝点52)◆2位:HondaFC(勝点48)
右SBで先発した赤井秀行のクロスから上野優作がボレー。栃木SCは先制パンチを打ち込むが、ものともしないMIOびわこ草津(以下、ミーオ)は左サイドから果敢に攻め立てる。9、12分にはカウンターが炸裂。2度の好機をゴールとして結実させた。中盤の攻防では後手を踏むも、サイドでは岡田佑樹を中心に攻勢であり、アタッキングサードまで至るが、栃木SCは決め手に欠いた。苦しい展開も43分、岡田の右クロスを横山聡がプッシュ。
反撃の狼煙をあげ、後半早々には赤井のクロスから上野がボレーを叩き込む。試合を振り出しに戻し、ミーオのスタミナが落ち、さらに退場者を出した事も重なり栃木SCの時間帯がしばらく続く。しかし、攻守の噛み合わせが悪く、逆転とはならなかった。
「2点を追い掛ける状況は容易ではない」
柱谷幸一監督と選手は、そう口を揃えた。沖縄を想起させる暑さに、2点ビハインドを序盤に背負っては、どうしたって勝率は高くはならない。2戦続けて勝ち点2を喪失した。
※諸事情により詳細レポート&コラム更新は遅れそうです。申し訳ありません。お疲れ様でした。
プレーバック:対MIOびわこ草津戦@栃木SC通信
2008年8月 2日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
2試合続けての4ゴール。意識的に取り組み始めた攻撃的なスタイルが、前傾姿勢が結果として実を結んでいる。「前節から前掛かりに行こうと。その効果が出ている」。柱谷幸一監督は攻撃面に関して手応えを口にする一方で、満ち足りない思いをストレートに表現した。
「4点を取ったことは評価してもいいが、ルーズなゲームは好きではない」
苦言を呈したのはゲーム展開だった。先制パンチを食らうも4発を打ち返し、相手に致命傷を負わせる。雌雄は大方、決したかに思われたが、1点を返されると途端に浮き足立つ。退場者を出すと更に錯乱し、もう1点を献上してしまう。リードはみるみる縮まる。4―3で逃げ切ることは出来たが、安定感を欠いた「粗雑なゲーム」となってしまった。
沈着冷静に試合を押し進められなかった要素はふんだんにあった。刺すような強い日差し、過密日程、大勝した後のゲーム、など。しかし、柱谷監督が感じ取った不甲斐なさの原因は、先に挙げたことに起因する気の緩みではなく、「研ぎ澄まされた神経」、つまりアラートな(機敏な。警戒心の強い)状態を保持できなかったことにある。
「(相手が)ボールを持っている時に足が揃っている。いつでも動ける状態にない。足が速い、遅いではなく、メンタル的な部分の問題」
喫した3失点、全てに該当するのが準備不足である。危機感、張り詰めた緊張感を身に纏いプレーしていれば、対応は困難ではなかった、と考えている。「難しいが」と前置きし、上野優作も「90分、戦い続ける」ことの重要性を説き、それが欠如していると指摘した。レベルが上がれば一瞬、集中力が途切れた所を付け狙われる。判断力以前に状況把握能力を養わなければ、強靭な精神力を身に付けなれば、チーム力はアップせず、次のステージへと進めない。勝者になるためには、様々な要素が求められる。
栃木SCは連敗を逃れ、4―0とジェフリザーブズを退けた。余勢を駆ってホームで2連勝を飾りたいところ。2トップに上野と横山聡、左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに深澤幸次、中盤の底に落合正幸と向慎一、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、GK小針清允の布陣。
JFL初参戦のMIOびわこ草津(以下、ミーオ)。昇格の立役者である戸塚哲也前監督(現・FC町田ゼルビア)に代わり平岡直起氏が就任。「人とボールが動くサッカー」を標榜し、中位に位置している。フォーメーションは4―4―2。
「最初の15分はロングボール主体に」(平岡監督)。ミーオの思惑にはまる。右サイド裏のスペースへ抜け出た幸山聡太がグラウンダーのクロスを供給。これを川鍋がクリアに戸惑う間に背後からアランに突っつかれ、ゴールを許す。前半1分の出来事だった。
「試合に入り込む前の失点。リセットできる」
先手を奪われるも佐藤の言葉通り、4分にGK田中剛の正面を突くも深澤が放ったダイビングヘッドを口火に反撃開始。右サイドの岡田を軸に攻め立てる。その岡田が獲得したCKから同点弾が生まれる。倒れ込みながら上野が頭で合わせてネットを揺らす。ミスをした川鍋のニアサイドにDFを釣る動きは効果的だった。失いかけた自信を隠れた好プレーで取り戻し、タイトなマークで尽く2トップを潰した。
両チームともコンパクトに、スペースを突き合うも、試合を振り出しに戻した栃木SCに流れは傾く。トップに引っ張られるように、2列目、3列目の選手が次々とゴール前に顔を出す。リスクを冒したことが奏功し、逆転弾が生まれる。佐藤のスルーパスに向が飛び出しシュート。GKの好守に阻止されるも、弾かれたボールは横山聡の元へと転がり、左足で冷静に沈める。ゴール後のお約束、進化したゴリダンスの余韻が冷めやらぬ内に、3点目が決まる。FKから鷲田がゴール前に放り込んだボールを上野が頭に当てると、ボールは目測を誤ったGKを越えて無人のゴールへと吸い込まれた。
前半終了間際、冨田晋矢にクロスバー直撃のFKでゴールを脅かされたものの、お返しとばかりに後半8分、佐藤が左足一閃。Pボックス外、やや右よりの位置からFKを直接突き刺した。怒涛の4連続ゴールで勝点3は確約されたはずだったが、FKからゴール前の混戦を浦島貴大に制されると雲行きが怪しくなる。向が“不可解な”一発レッドで追い出された5分後、今度はCKを完璧に石澤典明に叩き込まれる。差は僅かに1点。
「自分達で(ゲームを)難しくした」
落合正幸は堅守速攻のゲームプランが積極性を殺ぎ、それゆえにゴールへの推進力が失われ手綱を明け渡した、と話した。数的不利に陥るも中盤とDFラインが綺麗な2ラインを形成し、守り切る策は崩壊した。途中交代の石舘靖樹がスピードに突進力と前線で奮闘するも、攻撃的なカードを切ったミーオの圧は退場者を出しても弱まらない。ポゼッションで凌駕され、押し込められる。タイムアップまでに3度も決定機を作られた。だが、絶体絶命の危機をGK小針の俊敏な反応と、内林広高のシュート精度の低さに救われる。辛うじて勝利を手にした幕切れに後味の悪さだけが残った。
「勝ててよかった。それだけ。JFLで優勝するなど口に出来ない」
口を衝いて出るのは反省の弁ばかりだった。柱谷監督は横川武蔵野FCとの上位決戦を前に、「反省し、『強いチームとはどういうチームか』を考えたい」と、限られた時間の中で選手と膝を突き合わせて話し合う必要性を訴えた。
「手堅く守り少ないチャンスを決める。もう一度、自分達の形を取り戻す」
横山聡は原点を見詰め直すべきだと、既にひとつの答えを提示している。
3日後、どのような解答が出されるのだろうか。
JFL前期第10節 栃木SC4―3MIOびわこ草津 @栃木県グリーンスタジアム 観衆4317人
〈栃木SC〉交代:上野(→石舘)、横山聡(→久保田勲)、佐藤(→田村仁崇)
〈MIOびわこ草津〉GK田中剛、DF浦島貴大(→木島徹也)、田尾知己、石沢典明、大瀧直也、MF金東秀、若林令緒、冨田晋矢、壽建志(→内林広高)、FW幸山聡太(→山本正男)、アラン
『積み重ね』
初黒星を喫した流通経済大学戦(1―2)、腰が引けたプレーの反省を生かしたのが、ジェフリザーブズ(以下、ジェフ)戦だった。攻撃力の向上を図るために、2トップに絡む動き、タッチ数の少ないプレー、サポート意識を入念に確認したことで連動性が生じた。アグレッシブにゴールへ向かった結果として、4ゴールを奪うことになる。浮き彫りになった課題に対して、意欲的に取り組んだトレーニングがゴールラッシュに繋がった。勝点3の喪失を無駄にしなかった。
真摯に、集中してトレーニングに臨んだことが、成果として表れたことに柱谷幸一監督は頬を緩めた。他方で、釘も刺していた。
「それだけ(攻撃に重きを置くこと)をやるとドリブル、1対1の対応が出来なくなる。上手くトレーニングを組まなければならない」
攻守がアンバランスに、いずれか一方に偏ることがないように、比重を考える。さじ加減は慎重を要する作業であることを強調した。
憂慮した事態が起こる。中2日でのMIOびわこ草津(以下、ミーオ)戦。前節からの攻撃的な姿勢は失われず、だからこそ2試合続けて4ゴールを得ることができた。だが、今季ワーストとなる3ゴールを与えることにもなる。
上野優作は言う。
「修正した結果が出ている。トレーニングがそのままゲームに反映されている」
これまでは守備に軸足を置いていたことから、攻撃における迫力不足は否めなかった。一転して攻撃に人数を割いたことでダイナミズムを手にし、好機もたくさんこしらえることが可能となったが、引き換えに背後が手薄になるリスクを背負うことにもなった。意識が攻撃に傾斜したがために、守備への配慮は希薄となる。流通経済戦の失点は2つともセットプレーから許したもの。ミーオ戦の3つの内2つはFK、CKとセットプレーからまたしても取られたものだった。ジェフ戦は危機を招くも無失点に抑え込んだ。継続性を発揮しなければならない状況での大量失点は痛恨だった。
「少し出来ない所を修正するとよくなるが、違う所ができなくなる。積み上げていかないとチームは強くならない」(柱谷監督)
水漏れ箇所を見つけ、早急に修理する。その場所は一時的に塞がるも、しばらくすると再び同じ場所から水が滴り落ちてしまう。同じことを繰り返していてはチームとしての成長は望めない。段階的にステップを踏んでいくことは困難を極める。頭打ちになるのは時間の問題である。積み重ねてきたブロックを自ら崩すことほど無益なことはない。
柱谷監督は自身がトレーニングメニューを熟慮する必要性を感じながら、選手たちにも要望する。
「技術は落ちないし、損なわれない。(今まで出来ていたことが)上手く出来ないのは意識が入っていないから。もっと精神的にタフになって欲しい」
元々、出来ていたこと、例えば守備に関する約束事がゼロに戻ってしまうのは、技術面に起因するのではなく、精神面が脆弱だから。
「自分達で出来ることはやらなければならない」と痛感しているのは、キャプテンの佐藤悠介。ベンチからの指示が届かない場合も出てくる。戦うのは、状況に応じたプレーを選択するのは、ピッチに立っている選手たちである。言われたことだけできる。それでは、幅が広がらないし、応用が利かない。個人としての先も見えてしまう。
求められるのは自主性、自発的な行動である。改善された攻撃面が象徴的なように、アクションを自ら起こしていかなければならない。活路は己で見出すしかない。
流通経済戦での消極性を教材に攻撃の微調整を施せた経験があることは幸いである。ミーオ戦で3失点と高い授業料を払ったことで守備面の調整を行えるはずだから。横河武蔵野FC戦から続く昨季の上位陣との潰し合いを前にウミがでたことをポジティブに捉えたい。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年7月30日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
オフィシャルの仕事に追われて細部までリサーチできず。
トラックはサッカー観戦に不向きであることくらいしか分からなかったかな?
プレスルームはメチャクチャ広かった。
囲み取材の場所は空調が利かなかったため、監督も取材陣も汗だくだった。
ジェフはショーパスを放棄した。
ならば深澤幸次、稲葉久人、石舘靖樹でボールの供給源にプレスを執拗に掛けても面白かった。
スカウティングの段階でロングボールを蹴ってくることは分かっていたのだから。
蹴り合いに弱いのならば、弾き返す力が劣っているならば、蹴らせないのもひとつの手だろう。
「ジェフも蘇我に移っちまったからねえ」
でも、学生が昔と異なり最寄の五井駅から臨海競技場まで歩かなくなったことで、大打撃には至っていないとか。
軟弱な学生を非難する一方で、助かってもいるようだ。
臨海はジェフの過去の遺産のような印象を抱いた。
久々のマッチアップ。
五分に渡り合えたが、状況が状況だっただけに楽しくなかった。
失点シーンは映像を見返したが、岡田佑樹ひとりの責任ではない。
Pボックス内、1対2の数的不利の応対は、カンナバーロでも容易ではないだろう。
同点弾はチーム全体のミスだったと改めて思う。
岡田本人は攻撃に関して課題を口にしていたが、アグレッシブにサイドを疾駆していた。
ことに後半は。
佐藤悠介のゴラッソゴールの起点も岡田のフィードからだった。
全体的なパフォーマンスは悪くなっただけに、失点に絡んでしまったポジションにいたのはアンラッキーとしかいいようがない。
でも、俯くなよ、振り向くなよ。
キミは美しい。
強い気持ちを持って戦わなければならない@栃木SC通信
2008年7月29日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対ジェフリザーブズ戦@栃木SC通信
2008年7月28日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-1。
後半:1-0。
ファイナルスコア:1-1。
得点者:佐藤悠介(栃木SC)、堀川恭平(ジェフリザーブズ)
セットプレーから同点にされドロー。
順位:首位(勝点51)◆2位:HondaFC(勝点47)
※乗り継ぎ乗り継ぎでたった今、帰宅しました。レポートは夜中にアップしたいと思いますが、コラムは・・・ちょっと遅れそうです。申し訳ありません。お疲れ様でした。
プレーバック:対ジェフリザーブズ戦@栃木SC通信
2008年7月26日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
試合序盤、悪質なファールにより小林成光は左膝を痛める。ピッチに戻ることは困難なほどの状態だった。柱谷幸一監督の頭の中には選択肢が2つ用意されていた。ひとつはボランチの向慎一を右ワイドに回し、代わりに久保田勲を投入する。もうひとつは小林のポジションへ、そのまま深澤幸次を入れる。指揮官が選んだのは後者だった。中盤の守備が安定したいたことが、攻撃的な深澤を送り出す決め手となった。結果として、この交代が奏功する。
「深澤選手が交代で入ってから嫌だな、と。中盤とDFラインの間でセカンドボールを拾われ、流れを持っていかれてしまった。両チームを通じて一番のストロングポイントになっていた」
ジェフリザーブズ・越後和男監督は賛辞を惜しまなかった。敵将から最大級の褒め言葉をもらった深澤。突然のアクシデントにより巡ってきた機会にも動じる様子はなく、すんなりと試合に溶け込めた。交代の時間帯がアップからそれほど経っておらず体が温まっていたこと、「もしかしたら行くかも」と心の準備が出来ていたことが小さくなかった。
「中でプレーしろ。守備の時だけ右に戻ればいいから」と柱谷監督から指示を受けた深澤は、ボールに噛み付いた。果敢な姿勢が推進力を働かせることに拍車を掛ける。「FWの近くでプレーすればゴールを取れる。それを意識しました」。緻密なスカウティングが実を結んだ。追加点となるゴールを叩き込む。「狙い通り?そうですね」。深澤は照れ笑いを浮かべた。
怪我の功名。傷を負った小林には気の毒だが、深澤は相手にとって厄介な存在となり、勝利に一役買う。この日のテーマであった「アグレッシブさ」を見事に体現した。
敗戦の傷跡は残った。週明け、重い空気が漂ったという。しかし、日が経つに連れて、徐々にモチベーションは回復し、集中したトレーニングを積むことができ、気持ちの切り替えが図れた。攻撃面では連動性、決めきる力。守備面ではセットプレーへの対応。浮き彫りになった課題が明確だったからこそ、次のゲームへ向けて整理ができ、万全の準備が行えた。連敗は避けたい栃木SCの布陣は、GK小針清允、DFは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、ダブルボランチに向と落合正幸、左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに小林の中盤、2トップは上野優作と横山聡でスタートした。
苦杯を舐めた流通経済大学に負けず劣らず、ジェフのスタメンも平均年齢が低かった。10代の選手が4人も名を連ね、控えの金井涼太に至っては15歳。2戦続けて若さに押し切られるわけにはいかない。
開始3分、ジェフのFKを跳ね返すとカウンターが発動する。向から横山聡へとスムーズにボールが渡った。これを足掛かりに、栃木SCは前傾姿勢をとる。2トップは背後から上手くボールを誘引し、向は積極的な攻撃参加を繰り返す。クロスに対するPボックス内の人数も揃っていた。リスクを背負うことを覚悟して前に出た。
小林が足を痛めて早々に退場するも大勢に影響はなく、14分に岡田の右クロスから横山聡がダイビングヘッドを突き刺す。ついに、待望のゴリダンスを披露する時がやってきた。陽気な一面を見せた一方で、横山聡は焦りやプレッシャーを感じたことを吐露した。「ラストチャンスという思いがあった」。悲壮感が今季初ゴールを引き寄せた。
前節、不足していたゴールへの意識が先制点を呼び込んだ。守備陣も反省を生かす。ラインを高めに保ち、全体を圧縮する。「クサビを潰せた。足元のボールを跳ね返せたことで、自分達のリズムに持っていけた」とは川鍋。ショートパスを軸にしたジェフに思うような攻撃をさせなかった。窮地はカットインから朴宗眞にシュートを打たれたシーンのみ。
先手を取り、一息ついた栃木SCだが、上野と横山聡がゴールに襲い掛かり、40分に追加点を奪う。佐藤のクサビを受けた上野がスルーパスを通す。反応したのは深澤。GK瀧本雄太を交わし、無人のゴールへ流し込んだ。その後、向のロングシュートが枠を捕らえるも、GKとクロスバーに阻まれる。決定的な3点目を得られなかったが、イニシアチブを握り続けたまま45分を折り返す。
後半頭から圧を強めるジェフに対し、耐え凌ぐ時間帯が続く。高田健吾のロングシュート、乾達朗の至近距離からのシュートに肝を冷やされるも、GK小針が決死のセーブで難を逃れた。
「決めるべきところで決めきれなかった」
越後監督は2つの絶好機を逸したことに触れ、決まっていれば状況は変わっていたかもしれない、と嘆いた。
打ち止めのジェフと交代するように、今度は栃木SCが攻勢に回る。佐藤のシュートをお膳立てし、自らはジャンピングボレーを放つなど向の機動力は落ちなかった。対流通経済戦、不本意な途中交代がプラスに作用した。リードを保持していても守りに入らなかった栃木SCは、39分に再び岡田と横山聡のコンビでゴールネットを揺らし、CKを川鍋が頭でねじ込みゴールショーを締め括った。個々に芽生えた危機感が望外の4ゴールを生み出し、勝点3を掴み取った。
「1敗した後の1勝は大きいが、34分の1に過ぎない。何も達成していない。次が大事」
結果に内容が初めて伴った今季のベストゲームにも、落合は安堵することはなかった。むしろ、経験則から快勝後の次のゲームは「だらける」可能性があることを指摘し、気を引き締めて臨むべきだと説いた。
慢心や驕りが入り込む余地はない。
JFL前期第9節 栃木SC4―0ジェフリザーブズ 観衆4102人 @栃木県総合運動公園陸上競技場
〈栃木SC〉小林(→深澤)、上野(→松田正俊)佐藤(→久保田勲)
〈ジェフリザーブズ〉GK瀧本雄太、DF山中誠晃、田中淳也、川上典洋、鳥養祐矢、MF宇野勇気、高田健吾、蓮沼剛、乾達朗、FW朴宗眞、熊谷智哉
『重心』
でんと構える。中盤の底に。DFラインの前に。
重心がぶれることなく、バランスを保てていれば、望むような展開に持ち込むことは困難ではない。落合正幸の復帰によりチーム全体のパフォーマンスは向上し、多少のリスクは覚悟の上でゴールを目指すことが可能となった。
自分の持ち場を離れても、穴埋めをしてくれるはず。後ろに落合が控えていてくれることから生じる安心感は、少々臆病になっていた攻撃陣の背中を押した。上野優作と横山聡の2トップは意欲的にゴールを狙い、佐藤悠介と向慎一、そして深澤幸次は盛んに上下動を繰り返し、FWにより近い位置でプレーすることができた。都合4つのゴールが誕生することになるが、その背景には機転を利かせ、引き立て役に徹した落合が居たことを忘れてはならない。影響力は甚大である。
「チーム全体が安定しましたね。落ち着いて試合を運べていた。(ボールを)跳ね返すだけではなく、シン(向慎一)のよさも引き出した。周りが活きる。オチは必要な選手」
落合の存在感の大きさを、柱谷幸一監督はそう口にした。
対流通経済大学戦、1―2の敗戦の一因に挙がったのが、落合の不在だった。対ソニー仙台FC戦で負った右足の痛みは癒えることなく、欠場を余儀なくされた。
「中盤のDFの力強さが足りなかった」(柱谷監督)
フレッシュな選手の勢いを止める術を、経験の浅い向と久保田勲のダブルボランチは持ち合わせていなかった。良好な関係を築けず、DFラインとの連携も覚束なかったことで、バイタルエリアを起点に攻撃を組み立てられてしまう。前線から中盤へ下りて来たFWを捕まえて潰すのはボランチなのか、それともCBなのか。問題は解決しないままタイムアップを迎えた。
「試合に出るからには怪我を言い訳にはしたくない。(チームメートに)失礼のないように強い気持ちで臨んだ」
万全のコンディションではなかったかもしれない。しかし、ピッチに立つ以上は責任感を持ち、故障を抱えていても与えられた役割はこなす。パスコースを消す。打ち込まれたクサビをさばかれないようにCBと呼吸を合わせながら挟み込む。空中戦で引けを取らない。強くボールを跳ね返す。基本的な仕事を落合は卒なくこなした。
「高さがあり、守備的なので凄く楽ですね。DFだけでは対応しきれないところを、前で潰してくれる」
縦の関係にある川鍋良祐は、落合が目の前に居てくれることで守り易い、と証言している。
球際では絶対に負けない。局面での強さと狡猾さも際立った。
こんなシーンがあった。左サイドからのクロスをGK小針清允が弾いた。ルーズボールに群がる両チームの選手達。逸早くボールを確保し、体を入れることで相手をブロック。ファールを誘ったのが落合だった。2次攻撃の芽を摘んだ。「ボールを隠す」プレーは秀逸である。後半、劣勢に陥った際も、相手の勢いを殺ぎ、形勢を変えるべく、意図的にファールをもらっては時間を稼いだ。 人目を引くことはない。だが、地味に映るプレーの積み重ねが、ゆっくりと手綱を引いているのである。身を粉にして職務を全うする献身的な姿勢は尊く、個性的な選手が共存するチームには不可欠である。
その存在価値は小針、佐藤に匹敵する。柱谷監督が「チームの背骨」と位置付けたことも頷ける。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年7月22日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
むちゃくちゃ上手かった。
ペイントが。
やはり女子だ。
グッズにペインティングにかち氷。
フル装備ですな。
キングサイズには「KING」の文字くらいは入れて欲しかった。
遊び心がないと。
ベンチ裏に掲げられた2本のフラッグ。
メッセージに応える選手は頼もしい。
「松田ゴールだ」
誰もが願っていること。
前線は上野優作が、中盤は佐藤悠介がイニシアチブを取っているだけに、DFリーダーの鷲田雅一にもラインを統率してもらいたい。
もっと出来るはずだ。
機を見て駆け上がり、ゴール前まで顔を出したが、岡田佑樹の最終的な選択はスルーパスだった。
もっと果敢に打ってもいい。
前期の対FC刈谷戦では左足からカノン砲を放っているのだから、ミドルの精度もクロス同様に高いはず。
スペースを見つけドリブルで持ち上がり、前方にゴールが見えたら打つべし、打つべし。
どうしても目が行ってしまうのは守備。
流経戦も安定感抜群だった。
終盤、フレッシュな相手選手との追いかけっこでも負けなかった。
帰陣し、クリアしたプレーには拍手喝采ですよ。
「持ち味はスタミナです」
豪語するだけのことはある。
2試合連続マッチアップは叶わず。
どうもタイミングが合わないんだ。
なんとかしないと・・・。
この日も前回のホーム戦同様、試合前に廊下でばったり。
「この前も会ってアシストしたから今日もいけるでしょう」と話したら、「はい。任せてください。やりますよ」と向慎一。
その言葉通り、横山聡の同点弾をCKからアシストした。
頼もしい後輩です。
新たなジンクス誕生か。
ボールを奪って前に出て行く力は圧巻。
引っ掛けてはカウンターを発動させていた。
決勝点の起点は落合正幸だった。
サポーターと周囲への感謝を常に忘れない好漢である。
若手の中では群を抜くプロ意識の高さを持つ石舘靖樹。
やる時はやる男。
人気の高さは外見だけではない。
メインスタンドも色んな意味で盛り上がってたね。
首位が負けるとカッコ悪いでしょ?@栃木SC通信
2008年7月21日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対流通経済大学戦@栃木SC通信
2008年7月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対流通経済大学戦@栃木SC通信
2008年7月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
勝負の分水嶺は、後半の立ち上がり10分間だった。
「かなりチャンスを作れていた。あそこの時間帯で決め切れていれば・・・・・・。今日(のポイント)はあそこでしょうね」(柱谷幸一監督)
厳しいマークに晒されていた佐藤悠介だが、一時的にプレスが緩むと、起点となり好機を演出した。後半2分、小林成光にラストパスを通したのを契機に、スペースへ飛び出した石舘靖樹へ立て続けに良質なパスを供給する。サイドチェンジのボールを受けた9分、スルーパスに反応した10分、石舘はゴールへ迫る。しかし、2度の決定機をゴールに結び付けることは叶わなかった。右サイドから切れ込んで放ったシュートはクロスバーに嫌われ、フリーで打ったシュートは僅かに枠を反れる。
絶好機を逸してから間もなく、あっさりとゴールを割られた。先手を取られたのは今季初。策を講じるも、困惑した状態では明確な解答を導き出せるはずがない。傷口を広げ、敗北を味わうことに。1点が重く圧し掛かった。
辛勝も勝点を取りこぼした次の試合を、きっちり勝利で飾った栃木SC。コンディション不良の斎藤雅也、足首を捻挫している落合正幸が外れたスタメンには、若干の変更があった。GK小針清允、4バックは左から入江利和、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、ダブルボランチに久保田勲と向慎一、左ワイドに佐藤、右ワイドに小林を配し、上野優作と石舘が2トップを形成した。
華奢な選手が並ぶ。11人の平均年齢は18.9歳。流通経済大学は入学したての1年生を主体にメンバーを組んできた。
素早く人とボールにアプローチを掛けたのは流通経済。前線から骨惜しみせず、追っ掛け回した。学生特有の若さを前面に押し出す。これを個人技で栃木SCはいなし、パスを繋ぎながら攻撃を組み立てるも、徐々に失速する。徹底的に佐藤を潰されたことが響いた。2トップに入れたボールをサポートに回った向が拾い、岡田と小林は右サイドを活性化させるも、決定打を繰り出せない。それどころかボールの循環は滞り、トップにボールを預けるだけの単調な攻撃に陥ってしまう。拙攻を重ねる。
流通経済は向と久保田、更にはDFラインとのギクシャクした関係性を見抜く。バイタルエリアを利し、ゴールが視野に入れば積極的にシュートを打ち込んだ。冷やりとさせられるシーンが幾つかあったが、入江のカバーリングなどで難を逃れる。攻め手に乏しい栃木SCは小林がドリブルからフィニュシュに至るも、GK増田卓也に簡単に弾かれてしまう。極端に悪い内容ではなかったが、局面における争いで優位に立てなかったことで、流れを掴みきれなかった。
消化不良の45分を終えて迎えた後半。鳴り潜めていた佐藤を軸に攻め立てる。小林、向、石舘がゴールを脅かすも、巡ってきた得点機を生かせなかった。すると11分、ロングスローが抜けてきたところを沢口泉がボレーシュート。ゴールはあまりにも呆気なく決まる。「勿体ない失点の仕方をするとゲームの流れが掴めなくなる」と柱谷監督。横山聡、深澤幸次を投入。中盤をダイヤモンド型にシフトし、反撃態勢を整えるも、メッセージは上手く伝わらなかった。意思統一が図れない間に、追加点を奪われる。FKをダイレクトで山村和也に合わされる。「1、2点とも先に相手に触られてしまった。足が動いていなかった。最初の段階で跳ね返せていない」と川鍋は失点を振り返り、唇を噛んだ。
2点のビハインドを負った栃木SCは松田正俊を送り込み、3トップにしてパワープレーに切り替える。狙ったとおり松田が競り、上野が丁寧に落としたボールを岡田が蹴り込むが、至近距離にもかかわらずシュートは大きく枠を越えていった。ロスタイムにカウンターから岡田のパスに抜け出した横山がシュート。一旦はGKに防がれるも詰めていた小林が押し込んで1点を返すも、焼け石に水だった。流通経済は1点を失うが、鋭利なカウンターとポゼッションでしたたかに試合を運び、逃げ切った。実績と経験値で勝る選手を擁する栃木SCは手玉に取られた。土をつけられ、勝点1すら拾えず、首位から転がり落ちた。
リスクを背負って戦った残り15分。「1点を返せたことは次に繋がる」と柱谷監督は話す一方で、アンバランスだったにしてもカウンターを浴び過ぎた試合の進め方に対して不満を漏らした。
「大観衆ならば指示は届かない。自分達で判断しなければならない」
再び同様の展開になった時、拙さが露見しないよう猛省し、修正を施す必要性を強く訴えた。指示を仰ぐのではなく、個々人が状況に応じて適切な判断をする。欠落している能力を身に付けなければならない。指揮官は、そう考えている。
JFL前期第8節 流通経済大学2―1栃木SC 観衆1073人 @カシマサッカースタジアム
〈流通経済大学〉GK増田卓也、DF増田智宏、吉渓亘、山村和也、比嘉祐介、MF細貝竜太、関戸健二(→小島聖矢)、中里崇宏、村瀬勇太、FW沢口泉(→名雪遼平)、木内将智
〈栃木SC〉石舘(→横山聡)、向(→深澤)、佐藤(→松田)
『脱・佐藤悠介』
流通経済大学は心血を注いだ。佐藤悠介をピッチから消し去ることに。自由を奪うことに。
対面の右ワイド細貝竜太が高位置に構えることで、佐藤を釘付けにし、守備に回る機会を増やすと同時に、攻撃に加わる回数を減らした。ボールが渡った際には、必ずワイド、ボランチ、サイドバックのいずれか一人が執拗に体を寄せることで、容易に前を振り向かせなかった。タッチラインを有効利用しながら、数的優位を作り出すことにも長けていた。鼻息が聞こえるほど相手に密着された佐藤は、常にゴールに背を向けてプレーせざるを得なくなり、バックパスに逃げるシーンが目に付く。タイトなマークに苛立ちは募り、自己制御が利かなくなった。ボールを持ち過ぎる悪癖も窺えた。
ストロングポイントを抑え込まれたことで栃木SCの攻撃力は殺がれた。右サイドは小林成光と岡田佑樹のコンビネーションから打開を図れていたが、左サイドは完全に行き詰った。初先発のボランチ久保田勲、初出場の左サイドバック入江利和との呼吸のズレも、少なからず佐藤のプレーに影響を及ぼす。良好な関係を築いていた斎藤雅也、落合正幸を共に欠いたことは小さくなかった。攻撃が一本調子になってしまったのは、佐藤のキープ力を生かしきれなかったことが一因だろう。
「左は悠介が下がり気味でゲームを作るだけ。攻撃力が足りなかった」
柱谷幸一監督は周囲のサポート意識が薄かったことを指摘した。その上で佐藤にも注文を付けた。
「ロングボール、展開のパスばかりだった。ボックスの近くで、前で、攻撃的にプレーして欲しい。うちの強味なので」
佐藤が存在感を示せたのは、後半序盤の僅かな時間帯だけだった。決定的なパスを供給するなど好機をこしらえるも、思い通りのプレーをさせてもらえなかった時間の方が圧倒的に長かった。流通経済の思惑にはまってしまう。
起点を潰された時、もっと言えば佐藤を封じられた時、いかにして攻撃を組み立てるか。栃木SCは究極の課題を突きつけられた。上野優作と向慎一は表現こそ異なるが、「リスクを負ってゴールに突き進むアグレッシブさ」をひとつの解決策として挙げた。失点を恐れるあまり、プレーが無難になっていた部分があったと感じている。個々がゴールを強く意識する姿勢こそが先ず求められる。
ここ数試合、開幕から負荷を掛けて来たことで心身両面の疲労が顕著な佐藤。今後は警告の累積、或いは怪我による戦線離脱も十分に考えられる。支柱を失った際、どう対処するのか。対応力を試されたのが、佐藤が交代で退いてからの15分間だった。後ろを削り前に人数を割き、遮二無二ゴールを目指した結果として1ゴールを得る。しかし、空転した印象は否めなかった。
「悠介が外れる。悠介の力が及ばない所で、自分達でコントロールが出来ない。ワシ(鷲田雅一)、ナベ(川鍋良祐)、勲はゲームをコントロール出来ていなかった」(柱谷監督)
誰がイニシアチブを取って試合を展開するのか。曖昧模糊としたまま、時間だけが刻々と過ぎていった。それゆえに、前のめりにもかかわらず迫力が、力強さが伝わってこなかった。相手に脅威を与えられなかったのは言わずもがな。
これまで勝点を積み立ててきたことで看過してきた絶対的な個への依存。一敗地に塗れたことで露見した。昨季の上位陣は流通経済以上に佐藤の機能を停止させる策を練り、実行に移してくることが予想される。相手の想像を遥に凌ぐプレーをしてくれれば問題はないのだが、好不調の波はつきものである。易々と事は運ばないだろう。
核の状態次第でチームが揺らぐようでは心許ない。特定の個人に頼らずとも、勝点3を掴めるチームへと変貌を遂げなければならない。現状のままでは先行きは、暗い。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年7月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
鹿島スタよりも観易いユアスタ。
熱気ムンムン。
だが、四方に屋根があるためか、湿気と気温が外と比べて高かったように感じた。
蒸し暑かった。
昨年の吐く息が白かった頃とは大違い。
観衆は半々。
ピッチの選手同様に応援も熱かった。
久々にアウェーを感じられた。
こちらは100試合達成の村田純平選手。
おめでとうございます。
決勝点を叩き込むまでは腰に手を当てるなど相当へばっていたが、ここ一番での勝負強さを発揮された。
ハーフタイム。
トイレでばったり。
視線だけで挨拶をかわす。
試合後には「きもてぃ~」とG.G.佐藤のお株を奪うマイクパフォーマンス。
MOMの活躍。
1点目のロングフィードは谷池洋平だったことをダイジェスト映像で確認。
2点目CKからの自身のゴールには意地が感じられた。
競り合ったのは鷲田雅一だった。
ハートが伝わる名DFだ。
今季、ソニー仙台FCの失点数が少ないのは谷池の加入によるところが小さくない。
アルテ高崎戦後の佐藤悠介同様「何もない」と言い残しスタジアムを後にした。
結果に怒り心頭。
その悔しさを流通経済大学戦にぶつけて欲しい。
防波堤の落合正幸が踏ん張りきれずにカウンターを食うシーンが終盤には見られた。
疲弊していたことで足が出なかった。
「きつかったっす」と落合。
こちらが消耗しては勝機は手繰れない。
Pボックス外から2発もぶち込まれる。
屈辱的だったことだろう。
1点目は相手の大瀧義史を褒めるべきだが、3点目はDFが寄せてコースを切れていればセーブできたかもしれない。
ローアングル。
いろんな角度からの写真に挑戦。
上野優作、佐藤悠介、石舘靖樹と連動し、最後は高安が決めたゴールはサイドからの完璧な崩しだった。
あれだけのスピードある攻撃を繰り出されたらDFはたまらないだろう。
今後も連係を図り、連動したプレーからのゴールが見たい。
決定的な仕事をしたかった@栃木SC通信
2008年7月14日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対ソニー仙台FC戦@栃木SC通信
2008年7月12日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:2-1。
後半:1-1。
ファイナルスコア:3-2。
上野のボレーで同点も、突き放され敗戦。
得点者:高安亮介、上野優作(栃木SC)、大瀧義史、谷池洋平、村田純平(ソニー仙台FC)
順位:首位(勝点47)◆2位:HondaFC
※お疲れ様でした。小休止後にレポート&コラムをアップします。仙台があそこまで暑いとは・・・。予想外でした。
プレーバック:対ソニー仙台FC戦@栃木SC通信
2008年7月11日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
アウェーで勝点1を得る。最善ではなくとも次善の結果。考えようによっては悪くない。ただし、問題なのは、勝点1の中身である。リードを許した状態で追い付いたならば、ドローに持ち込めたならば、連勝が断たれたとしても、流れが極端に変わることはない。他方、逆の展開。つまり、追い付かれる、しかも土壇場、ラストワンプレーだったとしたら、精神的なダメージは少なからず残る。捉え方もまた、違ったものとなる。
前期第6節、対佐川印刷SC戦、栃木SCは試合終了寸前の時間帯に勝点2を取り逃した。試合後、柱谷幸一監督をはじめ、選手達が口をそろえたのが「次のゲームの重要性」である。勝利を掴めなかった次のゲームを如何に戦うか。焦点はその一点に絞られた。
状況は恐ろしいほどに類似する。1点のリード、数的有利、図らずも前節と全く同じ舞台が整えられた。試練はいきなり、襲ってきた。守り切れるか、或いは再び同点とされてしまうのか。意識はマイナス方向に作用し、悪夢が脳裏を駆け巡ってもおかしくはない場面でも、川鍋良祐は「やられるイメージはなかった」と言う。パニックになることはなかった。猶予として与えられた今週1週間、眼前の試合だけに集中したトレーニングを積めた手応えが自信となり、支えとなったからだ。気合を入れてトレーニングに臨んだ選手の姿勢が勝点3として結実した、と柱谷監督も述べていた。
連勝が5で途切れ、首位を明け渡した栃木SCだが、継続中であるホームでの連勝を途絶えさせるわけにはいかない。今季初開催となった足利市で狙うは、勝点3のみ。スタメンは2トップに上野優作と石舘靖樹、中盤は左ワイドに佐藤悠介、右ワイドに小林成光、落合正幸と向慎一がダブルボランチを組み、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋、岡田佑樹、ゴールマウスを守るのは小針清允。
JFLトップスコアラー、9ゴールを叩き出している大久保剛志を累積警告により欠いたソニー仙台FCも、4―4―2を採用した。
立ち上がり、川鍋とGK小針の連携ミスに冷や汗をかくも、前半4分にGK小針→小林→落合→小林とボールが滑らかに繋がり、カウンターが炸裂。エンジンが掛かり始めた矢先だった。中盤の底からゴール前に顔を出し、好機に絡んだ落合がアクシデントに見舞われる。右足首を痛め、負傷退場。代わりに久保田勲が入る。慎重さが要求される序盤に攻守の要を失い、更にピッチコンディションも芳しくない。落合の代役である久保田は、違和感なく試合に溶け込むが、リスクを背負わないことにプライオリティを置いた。
攻撃面ではポゼッションを放棄し、前にボールを預けるカタチを選択した。落合が抜けたことでバランスが保たれていない、と読んだ向は周囲と話し合い、「できるだけ失点しないように」気を配った。本音では前からアグレッシブにプレスを掛けたかったが、ラインが付いて来なかったことで、無理をして潰しに行くことは避けた。徐々に安定感を取り戻した守備陣。トップがサイドに流れる間に、2列目がフォローに回る仙台の攻撃に対処する。窮地は21分、大瀧義史のアーリークロスを前田和之に頭で合わされたシーンだけだった。押し気味に試合を運ぶ栃木SCだが、こちらも決定機は1度きり。岡田と小林で破った右サイドからのロークロスを上野がボレーシュート。DFに触れたことで枠を反れるも、良質なサイドアタックからフィニッシュに持ち込めた。
後半の頭、高野和隆、前田にゴールを脅かされる。拙い入りも、上野のポストプレーから向がミドルを放ち、松田正俊が投入されると、ターゲットが増え、流れを引き戻す。仙台が3トップにシフトしてから程無く、栃木SCはゴールをこじ開けた。右から岡田がゴール前に供給したロブをGK金子進と松田が競り、ルーズになったボールに反応したのは上野。前半に逸機したことで、「今日も(シュートが)入らないのかな」と思ったそうだが、泥臭くねじ込んだ。待望の今季初ゴールをマーク。その後、松田も斎藤の絶妙なクロスからゴールを窺うものの、ヘディングシュートはGK正面に飛んでしまった。
自陣での不要なファールで相手に譲ったFKから立て続けに危機を招く。だが、GK小針、斎藤の身を挺した守備とサイドネットに救われる。前節同様の嫌な雰囲気に陥りそうなところでガラリと時局を好転させたのが、今季初めてピッチに立った深澤幸次だった。ガツガツと攻守でボールに絡んでは、短時間で存在感を示し、仙台の勢いを殺ぐことに成功した。
先例を繰り返さない。試合を振り出しに戻され、勝点2を引かれることはなかった。
「もし、内容が悪く試合を落とすと、流れが悪くなる。勝点3を取れたことは非常によかった」と柱谷監督は勝利の味を噛み締め、続けて「ゲームコントロールができて勝てたことは大きい。嫌な思いを吹っ切れた。勝ち切れたことで同じような展開になっても自信をもってやれる」と話した。
「真価が問われる」と銘打ち、自らにプレッシャーを掛けた一戦。内容は乏しかったかもしれないが、とにかく勝利できたことは、今後を考えれば小さくない。前回の反省を踏まえ、僅差のゲームをものにしたことでチーム力は養われ、一回り成長することができた。勝点マイナス2という「高い授業料」を払ったことは、無駄骨とならなかった。
勝点3を獲得したことで、再び首位に立った。
JFL前期第7節 栃木SC1―0ソニー仙台FC 観衆4073人 @足利市総合運動公園陸上競技場
〈栃木SC〉交代:落合(→久保田)、石舘(→松田)、佐藤(→深澤)
〈ソニー仙台FC〉GK金子進、DF元木数馬、谷池洋平、木村孝次、天羽良輔、MF今田傑、千葉雅人、花渕修平(→石原慎也)、大瀧義史(→大谷哲也)、FW前田和之(→麻生耕平)、高野和隆
『今も昔も、そしてこれからも』
足取りが重い。歩くシーンが目に付く。疲労は色濃い。ボールタッチ数は激減していた。後半の半ばから佐藤悠介には疲弊の跡が如実に窺えた。前節の対佐川印刷SC戦、へばっていることを察知しながらも、交代のタイミングを誤った。これが裏目に出る。佐藤は振り切られ、同点弾を打ち込まれる結果を招いてしまった。「攻撃面でうちにとって大きな武器」と柱谷幸一監督が全幅の信頼を寄せていたことが仇となる。途中で引っ込めていれば、勝点を分け合うことはなかったかもしれない。
1点のアドバンテージ、11対10、シチュエーションは、ほぼ一緒。同じ失敗は許されない。幾つかの選択肢があった中で、指揮官が切った最後のカードは深澤幸次だった。佐藤に代わり後半34分、今季初の公式戦出場を果たす。試合を閉める役割、“クローザー”として本来は同期であり、ライバルでもある高安亮介が送り出されるのだが、肉離れを起こしたことにより、お鉢が回ってきた。この機会を生かさない手はない。
残り時間10分少々、課せられた任務は2つ。先ずキープ力を生かし、前線でボールを保持しながらチャンスを作り出すこと。もうひとつは、斎藤雅也の守備面の負担を軽減するためにサポートを行うこと。
ピッチに登場する際、状況は思わしくなかった。しかし、劣悪なピッチコンディションに、下半身が安定している、馬力のある深澤は打って付けの人材だった。足元の緩さなど、ものともしない。旺盛にボールを追っ掛け回す。ポジションに捕らわれることなく、我武者羅に食らい付いた。前線で、タッチライン沿いで、自陣ゴール前で。ピッチの至る所に顔を出した。開幕から6試合、ベンチに入ることすら叶わなかった。その鬱積した思いをぶつけるように。
「高安が出ている時、幸次にはいろんな思いがあったはず」
柱谷監督が心情を代弁した。
後半38分にはPボックス内でドリブル勝負。引っ掛けられて倒されるも、残念ながら笛は鳴らなかった。PK獲得には至らず。それでも、獰猛に、貪欲に。持ち味を見せ付けられた。深澤の活動量が増したことで、一時的に押し込められていた展開が良化した。
「重馬場には効く。よくはまった」(柱谷監督)
激しくボールにチャレンジする姿勢に、観衆は何時しか胸を打たれ、魅了されていた。深澤の一挙手一投足に拍手が送られる。些か仰々しくなってしまうが、上野優作の先制点が決まった時を凌ぐ熱がスタジアムには充満し、興奮の坩堝と化した。タイムアップに向け、音量を増した手拍子。タクトを振ったのは、間違いなく深澤だった。
メンバーが大幅に入れ替わろうとも、栃木SCを見守り続けてきたふぁんが好むのは、気持ちを前面に押し出し、立ち向かっていくプレーをする選手である。
それは今も昔も、そしてこれからも未来永劫、不変であり続けるだろう。
前半は石舘靖樹、後半は松田正俊とコンビを組んだ上野優作。特長のひとつである、「フレキシブルさ」が生かされた。互いのプレーが被ることはなかった。
前半は裏へ抜け出るスピードを有する石舘の持ち味を引き出すためにクサビを受けるなど献身的なプレーを心掛けた。「ボールが収まり始め、背後をケアーされたことで石舘が飛び出せるスペースがない」と読んだ柱谷幸一監督。松田を送り出す。上野が担っていた仕事を引き継いだ松田は中央にどっしりと構えた。今度は上野がサイドに流れるなどタイミングのいい動き出しからリズムを作る。決勝ゴールは松田が潰れ、上野が押し込んで獲得した。明確な役割分担が奏功し、勝点3として実を結んだ。
上野はトレーニングマッチから松田との関係性に好感触を得ていた。空中戦に長ける両者が並び立っても攻撃は停滞することなかった。単調にはならず、むしろ活性化された。前線にひとつ、選択肢が増えた。
『結果的に狙い通りだった』
サイドバックの守備が緩い。ソニー仙台FCの左サイドは狙い目だった。
留守にしがちなスペースへ右ワイド小林成光は再三、侵入を繰り返す。右サイドバックの岡田佑樹も加勢し、サイドの綱引きでイニシアチブを握り、突破口となった。前半、唯一の好機を演出したのも、ゴールへと繋がるロビングが供給されたのも、右サイドからだった。岡田へとボールを叩いた向慎一は言う。
「成光さん、岡さんのところでチャンスができていた。ハーフタイムに『ルーズだよ』と話し、空いていたので『突いていこう』と確認した。結果的に狙い通りだった」
執拗にウイークポイントを攻め立てたことで勝機を手繰った。
『要らないものを無くす』
完封勝利は連続失点が2試合で止まったことをも意味した。
「CB2人のコミュニケーションが取れていて、非常に集中していた」
柱谷監督は守備に関して合格点を与えた。
「前半はバタバタしたところが何本かあったが、後半はしっかりと修正できた」
川鍋良祐も手応えを口にする。その一方で、「終盤にサイドでのファールが多い。相手に得点機会を与えないために、要らないファールは減らさなければならない」と反省点を挙げた。これには柱谷監督も同意見で、「ファールが多く、FKを与えてしまい危ないシーンがあった」と修正すべきポイントとして指摘した。
後半33、36分とソニー仙台に肝を冷やされたのは、いずれもFKからだった。また、前節の対佐川印刷SC戦ではファールを重ね、結果的にFKから放り込まれたボールが同点弾の切っ掛けになっていた。自陣ゴール前でのファールは出来る限り減らす必要がある。特に小差の展開、残り時間が僅かの状況では。そして、抗議などによる無駄なイエローカードも。結局は自らの首を絞めることになるのだから。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年7月 8日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
こんなパネルがあるとは。
試合前の風景を公式HPにアップする作業を始めてから知った。
それにしてもGK小針清允を選ぶとは渋い。
【追記】
ご協力ありがとうございました。公式HPの写真に使ってもらえずに申し訳ありませんでした。ボクの腕が足りなかった。
ホーム10連勝だもんね。
数年前までホーム、グリスタでは勝てなかったことが嘘のようだ。
アップ前の握手写真はアングルが難しい。
この日も20枚くらい撮って、辛うじて使えるのがこの1枚だけ。
勉強が必要ですね。
岡田佑樹からコメントを取れたが(いつもいつの間にかバスに消えているので捕まえるのが大変なのです)、久々に言葉をかわしたことで爽やかな雰囲気に飲み込まれて聞きたいことの半分も聞けなかった。
取材者としては情けない。
どうもあの独特の雰囲気に呑まれちゃうんだ。
PK獲得に至ったスローイン時の心境を聞き逃すとはライター失格だね。
凹んだわ。
次回のマッチアップでは互角に渡り合いたい?
この日は頭ではなく足で2ゴール。
しかも2点目はテクニカルなバイシクル。
アルビレックス新潟以来のゴールだったという。
上野優作はPKを決めて安堵の表情を浮かべた。
試合前、二言、三言ことばをかわす機会があった。
「今日は出たらやりますよ」
そう誓った向慎一。
有言実行。
左クロスから上野優作のゴールをお膳立てした。
頼もしい大学の後輩です。
後半ロスタイムにFKに合わせるも、「気負い過ぎて前に入りすぎました」と片野寛理。
膝に当たったシュートは枠外へ。
一発狙っていたそうだがゴールはマークできなかった。
前期の対戦時とは異なり「栃木は整理ができたいた」と敗因を述べ、「ゴール裏は凄いことになっていた」とサポーターの存在もゴールラッシュの一因だったと感じていたようだ。
取材ではなく見学@栃木SC通信
2008年7月 7日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
自分のやろうとしているサッカーができた@栃木SC通信
2008年7月 7日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対佐川印刷SC戦@栃木SC通信
2008年7月 4日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
悔恨の情に駆られないはずはない。ひとつのゲームの終わりが、次の戦いのスタートを意味するにしても。気持ちを切り替える作業が他人と比べて早くとも。どうしたって、連勝が5で止まり、勝点を2つ喪失したダメージは残る。それも勝利に手を掛けていた試合終了目前に失ったのだから、ショックは小さくない。采配に関する柱谷幸一監督のニュアンスは、言葉を吐き出す毎に変化した。「全部勝ったら面白くない」。そうは言うものの、未練が透けて見えた。
後半ロスタイム直前、自陣Pボックス内における競り合いで左サイドバックの斎藤雅也が倒れる。今週、斎藤は打撲により別メニューで調整をしていた。足に不安を抱えながらピッチに立っていたことになる。残されたカードは1枚。痛んだ斎藤を下げ、赤井秀行を投入する。時間帯、戦況を考えても理に適ったカードの切り方だった。が、無常にも赤井が入ったサイドから同点弾を浴びてしまう。突破を許したのはフレッシュな赤井ではなく、疲労が見て取れた佐藤悠介だった。
実は斎藤のコンディションと同様に気掛かりだったのが佐藤の状態だった。久保田勲を左ワイドに。選択肢として頭にはあったが、佐藤は全12ゴール中9ゴールに絡んでいる。また、状況は2―1とリードしており、相手は1人少なかった。有利な条件が判断を躊躇わせたのかもしれない。途中で引っ込める決断は容易ではなかった。だが、代えるタイミングを逸したことが追い付かれる一因となってしまう。
「悠介のところに勲を入れる。それ以外に選択肢はなかった」
佐藤のポジションに赤井を据えることで守備的になることを恐れた。一方で、こうも言っている。
「(佐藤が)振り切られたことを考えると、勲で対応していれば・・・・・・、赤井でもよかったのかもしれない」
選択肢を狭めることなく、柔軟な発想を持っていれば、失点は防げたかもしれない。その思いは強い。
難局を守備陣が耐え凌ぎ、数少ない好機を尽くゴールへ結び付け、アウェー2戦2勝。勝点3を得てきた必勝パターンは崩壊した。
昨季、4位以内。つまり、成績面におけるJ2昇格の条件が消滅したのが、後期第15節の佐川印刷SC戦の敗戦(1―2)だった。過去3年間の対戦成績も1勝3敗2分けと分が悪い。メンバーを大幅に入れ替えたことで苦手意識も払拭したかったのだが、思うに任せない。栃木SCの布陣はGK小針清允、4バックは左から斎藤、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、落合正幸と向慎一がダブルボランチを組み、左ワイドに佐藤、右ワイドに小林成光、上野優作と石舘靖樹の2トップで臨んだ。
前節、初勝利を挙げた佐川印刷。昨季まで栃木SCに在籍していた片野寛理が4―4―2の右サイドバックで先発した。
全体をコンパクトにすることを心掛ける。中盤とDFラインの乖離を是正した栃木SC。前の試合の反省を生かす。やや蹴り合いに応じてしまった嫌いはあるものの、アウェーならばリスクを軽減すべきであり、戦い方としては間違っていなかった。背後に2トップを走らせてきた佐川印刷の攻撃にも動じない。ただし、守備に安定感はあったが、引き気味に構えたことで攻撃を犠牲にした。陣形を崩せず。互いに決め手を欠き、拮抗した展開が続く。
小林、石舘がPボックス内に侵入するなど、時折、期待感を抱かせるが決定機は演出できなかった。閉塞感が漂う中、石舘が倒されPKを獲得。これを佐藤が冷静に突き刺し、先制する。前節の対TDK SC戦と符合するゴールシーンだった。
「前半は慌てていた。ボールを回せるから高い位置で勝負できる」(片野)
ハーフタイムに微調整を施した佐川印刷。後半3分、試合を振り出しに戻す。野澤健一の右クロスをGK小針が弾くも、詰めていた町中大輔が押し込んだ。岡田の決死のカバーリングは実らなかった。
立ち上がり早々に失点を喫するも、すぐに突き放した。小林と向で右サイドを攻略。ファーサイドで上がってきたクロスを待ち構えていたのは佐藤だった。左足のダイレクトボレーはネットを激しく揺らした。佐藤がボレーを放ったのは2度目だった。後半1分、石舘のクロスを叩いていた。惜しくも枠を反れたが、感覚は掴んでいた。「逆サイドがフリーになる場面が多く、見えていた」とはアシストした向。綻びを突いた。
2点を取られても萎えない佐川印刷はバランスを度外視し、前傾姿勢を貫く。圧を掛けてきた。その攻撃を弾き返し、カウンターからリードを広げる。青写真は出来上がっていた。GK小針が好守を連発。クロスバーの助けを借りて危機を脱する。栃木SCには運も味方した。
ところが、である。前に厚みをもたらし、闘志を露にした佐川印刷の勢いは衰えを知らなかった。町中が2枚目のイエローカードで退場しても。じわりじわりと押し込められ劣性に回る。自陣に釘付けにされ、ロスタイムに被弾した。猪狩佑貴がゴールラインぎりぎりから上げた右クロスを、途中出場の大坪博和がダイビングヘッド。ラストワンプレーで勝点3は1に成り下がる。堪えきれなかった。
「2―1で攻め手が見つからない。守り切れたらいいな」(上野)
防戦一方でも攻撃的な姿勢を保持し続けていれば、反撃の機を伺う素振りでも見せてさえいれば、結果はまた違っていたかもしれない。粘りが持ち味のチームが精神的に守りに入ってしまっては、その強味が滲み出ないのは道理。闘争心で凌駕されるようでは、勝機は手繰れない。
連勝の重圧を問われるときっぱり否定した柱谷監督。しかし、「硬くなって勝ちたい気持ちが強過ぎた。それがゲーム内容に影響していた」と認め、自身もリーグ戦で必須の守備力を磨くためにとはいえ、「守備に対するトレーニング、指示が多かった」と反省の弁。
「もう少し伸び伸びと。攻撃的に。前向きに。攻撃力を発揮できるようにしたい」
勝点2の遺失を「攻撃的なサッカーをやれるいい機会」とポジティブに捉え、転機にしようと目論んでいる。逃がした魚は大きいが、転んでもただで起きるつもりは毛頭ない。
JFL前期第6節 佐川印刷SC2―2栃木SC 観衆359人 @京都府山城総合運動公園太陽が丘陸上競技場
〈佐川印刷SC〉GK川本良二、DF遊佐仁、松岡真吾、金井龍生、片野寛理、MF野澤健一、村尾雅人、東純一郎(→大坪博和)、猪狩佑貴、FW中井義樹(→奈良崎千喜)、町中大輔
〈栃木SC〉交代:小林(→高安亮介)、石舘(→横山聡)、斎藤(→赤井)
『危機感を希薄にさせた安心感』
ロングボールの雨霰。絶え間なく降り注ぐ。ホームゲームで1点のビハインドを背負う。当然ながら佐川印刷SCは常套手段であるパワープレーを仕掛けてきた。何度、跳ね返してもPボックスをターゲットにボールが蹴り込まれて来る。これを上手い具合にいなし切れなかった。数的優位にもかかわらず後手に回り、圧倒される。
「一人退場してから逆に『一人少ないんじゃないか』と感じるくらい、最後は押し込まれた」
川鍋良祐はそんな感覚を覚えた。
「いいカタチで押し込まれ、結果的に最悪のカタチになってしまった。少しずつでもラインを押し上げてゲームを作らないと苦しい」 (川鍋)
逃げ切る態勢は整えられ、プランも出来上がっていた。ダブルボランチの1枚、落合正幸を4バックの前に配置。強固なブロックを構築し、猛攻を弾き返す。相手が前線に人数を割いてきたぶんだけ後ろは薄くなり、カウンターは発動し易い、はずだった。
が、佐川印刷のシンプルな攻撃は予想以上の効力を発揮した。矢継ぎ早に繰り返されたことで、何時の間にかスタミナは削り取られていた。一人ひとりの運動量は低下し、ゴールを意識した動きは乏しくなる。推進力が働かない。DFラインは下がりきったまま。放り込まれてくるボールをクリアする。そのことだけで手一杯になってしまう。前掛かりを逆手に取る堅守速攻のプランは脆くも崩れ、好機すら作り出せない始末。
それでも、我慢の時間帯を抜け出せた。一時的に佐川印刷の攻撃はトーンダウンする。流れを変える機会を与えられるも、栃木SCには力が残っていなかった。形勢を逆転できない。
耐えに耐えて漕ぎ着けたロスタイム。最後のワンプレー、痛恨の一撃を食らう。スコアを2―2に戻された。向慎一は述懐する。
「ここのところキープして試合が終わることが多かった。ロスタイムにこのまま終われるという雰囲気がなかったといえば、嘘になる」
落合が付け加える。
「10人になってから安心しきってしまった。一人ひとりの活動量が不足し、『ここでやらなければ』と思えなかった」
危機感が希薄になり、芽生えてはいけない安心感が劇的なゴールの呼び水となってしまった。
「あと、ワンプレーでしたねぇ」。大きな溜め息をつき、上野優作は続ける。「押し込まれたら、押し込まれたなりのゲーム運びがある」。それは例えばバランスを取りながら機を窺う、例えば奪ったボールを長い時間キープする、例えば相手陣内で試合を進める。つまり、ポゼッションを高めていれば相手に付け入る隙を与えることはなく、攻撃される回数を減らすことも可能だった。しかし、マイボールを大事にせず、単純に蹴り返すことで相手に譲り渡してしまい、嵩に掛かって攻め込まれた。結果的に自分で自分の首を絞めてしまう。絶対優位を勝点3として結実させられなかった。
「失点の原因はひとつではない」と柱谷幸一監督は考えている。例え話を引き合いに出し、語る。
「例えば危険な地域では、鍵がひとつでは足りない。3つかけておく。1つ、2つ外れても3つ目で止める。あの時間帯、あの地域でプレーさせたこと、クロスへの対応。どこかひとつでも鍵がかかっていれば破られることはなかった」
突き詰めればリスクマネジメントが拙かったということになる。刻一刻と変化していく事態への対応力が不十分だった。そして、11対10のメリットが、守り切れるだろうと心に隙を生み出し、何時しかデメリットへと摩り替わっていた。
危殆に瀕しているような心構えは、試合終了の笛が鳴り響くまで、常に持ち続けなければならない。同様のケースに直面した際、2度と足をすくわれないために。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年7月 3日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
準加盟を得られるスタジアムではなかった。
選手控え室はビニールシートで覆われただけ。
スタンドは比較的見易い部類に入るが、権利を得るには苦労しそうだ。
市陸、県陸は目にしていないので分からないが。
試合結果は、こんな感じ。
酷暑にもかかわらず、踊っていた人、中に入っていた人、お疲れ様でした。
こちらも、ゆるきゃら。
ご機嫌斜めだったのか、愛想が悪かった。
ポストプレーは今更、形容詞をつけるまでもなく素晴らしい。
昨季と比べて今季はシュートを狙う回数が増えていた印象。
ゴールへの意欲は高まり、脅威となっていた。
今季の対戦は終了したのでエールを送ります。
頑張れ、山下芳輝。
移籍先でも山下の人気は高い。
ちゅらさん。
暑さをものともせずボールを追った。
ミドルシュートに身を投げ出してのヘディングシュートとゴールへの意欲は、猛暑でも衰えず。
ガツガツ行く姿勢は尊い。
斎藤雅也の負傷により急遽、スタメンに抜擢された赤井秀行。
最後まで気持ちを切らすことなくファイトした。
試合終盤、フィフティ・フィフティのボールを競った際、ショルダーチャージで相手を吹っ飛ばす。
気迫も十分だった。
オーバーラップは控えるようにとの指示が出ていたが、前半にドリブルで持ち上がりFKを獲得した。
前半は山下、後半はデュド・ミヌングと厄介な相手とマッチアップ。
川鍋良祐とマークを受け渡しながら上手く守った。
ミヌングに裏を突かれ、ヘディングシュートを放たれた後半38分。
ボールは無人のゴールへと向かうも岡田佑樹はしっかりカバーに入っていた。
仮に枠内にシュートが飛んでいたとしても(僅かに反れた)、楽々とクリアしていただろう。
CBのカバーリングに入るようにとの指示を忠実に守ったワンシーンだった。
攻撃参加は数えるほどだったが、ライン際でボールを奪い去り、相手を抜ききらずにクロスを上げた時には唸ってしまった。
しかも、中の石舘の頭に合わせもした。
高いスキルを誇示した。
沖縄でも熱かった。
全然、問題ない@栃木SC通信
2008年7月 1日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対FC琉球戦@栃木SC通信
2008年6月28日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
腹の底から野太い声で『県民の歌』を高らかに歌い上げる。ゴール裏に陣取ったサポーターを中心にした声がスタジアムに響き渡れば、それは少なくない栃木県民にとってサッカーの幕開けを意味する。
3月16日。第10回日本フットボールリーグ(JFL)開幕。栃木SCと柱谷幸一監督のJFL初制覇、その先にある「J2昇格」へ向けた再チャレンジも同時に始まった。
「今年はタダ券を配ってないからねえ。最低でも5000人は入ってくれれば……」
新井賢太郎社長の表情は渋い。開門前、入場ゲートに長蛇の列は出来ていなかった。昨季の開幕戦は1万人以上を動員したが、その時の勢いと活気に乏しい。客足の鈍さが耳に届いていたのかもしれない。 あるいは、目の当たりにしたのかも。
11時10分、開門。滑らかに入場が行われる。淡かったメインスタンドの黄色は徐々に濃度を増すも、津波のように人が押し寄せた昨季を体験したものからすれば、物足りなく、寂しくもあった。
最終的に6338人が足を運んだことになる開幕戦。昨季と比べると半減したことになる。配布された無料チケット5万枚が有する破壊力を思い知る。一方で、リピーターを増やし、アップダウンが少なくなることこそ、安定した収入に繋がると、新井社長と柱谷監督は観客動員に対して同じ見解を示している。昨季を上回る入場者数を記録できなかったことへの悔しさがないといったら嘘になるが、負け惜しみを言っているわけでもない。瞬間的に大人数を集めるよりも、継続的な動員を。今季の、先を見据えたクラブとしてのスタンスが感じ取れる。
コンスタントにスタジアムに足を向けてもらうためには、魅力的で強いチームであることが、諸条件の中で優先される項目であることは言をまたない。
「勝ちたい。勝って勢いに乗りたい」
オフシーズンから入念な下準備を行ってきた柱谷監督が幸先のよいスタートを切るために、白星を強く欲する気持ちが滲む。
栃木SCの陣容はGK小針清允、4バックは左から斎藤雅也、鷲田雅一、川鍋良祐、岡田佑樹、中盤は底に落合正幸と向慎一、左に佐藤悠介、右に小林成光が配され、上野優作と松田正俊が2トップを組んだ。
元日本代表フィリップ・トゥルシエ氏が総監督に就任し、カズこと三浦和良の親類も入団するなどニュースバリューが一気に高まったFC琉球とは、3季連続して開幕戦で顔を合わせることとなった。身内の不幸によりトゥルシエ氏は緊急帰国するも、昨季までグリーンスタジアムで喝采を浴びていた山下芳輝がスタメンに名を連ねる。敵役として戻ってきた。フォーメーションはトゥルシエ仕込の3―5―2。
「10分、15分、地に足が着いていないプレーが多かった」(柱谷監督)
心地よくブーイングを浴びる山下に起点を設けられてしまう。オープニングシュートは山下のポストプレーから白尾秀人が放ったもの。その後もあっさりと背後を取られる、サイドを攻略されるなど、連続してシュートを打たれてしまう。バイタルエリアを利した琉球の攻撃に躊躇いや迷いはなかった。
足に鉛を付けたように栃木SCの動きは重かった。「今日は硬くなるから。自分自身にプレッシャーをかけた部分があるかもしれない」と上野は低調なパフォーマンスを分析した。アップから立ち上がりの拙さが予想される兆しはあったものの、修正を施すまでに多大な時間を要するとは思いもしなかった。佐藤が下がり気味にポジションを取りながら、試合を落ち着けようとするも思うに任せなかった。 叫びながらプレスの掛け方に関して「メリハリをつけるように」と指示を出すも、調整が図れない。
19分、山下のスルーパスから白尾に決定的なシュートを、そのリバウンドを出し手の山下が再びシュート。絶体絶命の窮地をGK小針が救うも、「先に1点を取られたら、どっちに転ぶか分からないゲーム内容だった」と佐藤が振り返る通り、このゲームの大きな山場だった。凌ぎ切ったことは小さくなかった。
ピッチを幅広く使い、ポゼッションしながら緩急をつけて攻め入るのもひとつの手だったが、栃木SCは自分達の優位性を生かした。それは上野と松田の高さである。敢えてロングボールを多用した。そこには、パスを繋いで食い付かれ、カウンターを浴びるリスクを回避したいとの思惑、トップにボールをあててからセカンドボールを拾う方が選手個々の特性を生かせるとの公算があったからだ。目論み通り、先制点を得る。小林のアーリークロスを上野が胸で落とし、佐藤が間髪入れずに左足一閃。ゴールネットを揺さぶったのは26分のことだった。
向は言う。
「先制点が大きかった。いいカタチで取れたし、取ったのが精神的支柱である悠介さんだったので盛り上がった。スタンドも僕等も。いくぞ、という感じになれた」
ゴールにより栃木SCはようやく覚醒する。ボランチを横並びから縦関係に変えたことで守備を安定させ、プレスの掛かりが格段に向上し、球際での激しさが見られるようになる。カウンターも効率よく打てるようになり、松田がボレーシュート(GKライス・エンポリに弾かれる)、鷲田がCKからクロスバー直撃のヘディングシュートでゴールを脅かした。
前半の終盤に持ち直した栃木SCたったが、ハーフタイムを挟むと、またしても消極的になってしまう。受けるに回るシーンが目に付いた。相手のシュート精度が低かったから助かったものの、フィニッシュで攻撃を終わらせてしまったことは反省すべき点だろう。
「ゲームがイーブンな内容の時は決定力のある選手がいたチームが有利、勝ちを持って来られる、とつくづく感じました」
イニシアチブを掴みきれないゲームを決定付けたのは、補強により手に入れた松田と佐藤だった。決定力とは個の力と置換できるだろう。不足していたものを補った甲斐があったと柱谷監督は再認識させられた。
一旦、CKは弾き返されるも佐藤が左から供給したクロスを松田が頭で沈めて2点目を獲得。さらに途中投入の横山聡がドリブル突破からもぎ取ったFKを佐藤が直接、蹴り込んで勝負あり。佐藤は豪語した。「あの距離(Pボックスのすぐ外)から僕に蹴らせたら、だいたい入る」。
リードを広げ、相手のセンターバックのエメ・ラヴィが退場したことで数的優位に立った栃木SCだが、ピリッとしない。GK小針の好守、斎藤の懸命のカバーリングで難を逃れるも、41分に不要な失点を喫した。ドリブルを仕掛けてきた澤口雅彦を止めきれず。突っかけられて最後は高松健太郎にプッシュされてしまう。3―1で開幕戦を勝利で飾るも、後味は悪かった。
琉球に退場者を出してからゴールを重ねられなかったこと、無駄な失点を許したことを反省材料に挙げながらも、柱谷監督は「開幕戦を勝てたことでチームとして目指している方向が間違っていないと思えるのが大きい」と、勝点3の意義を語り、内容が伴ってくれば自信を深めていける1勝、と付け加えた。
木曜日にはFC刈谷戦、中2日で三菱水島FC戦を控える栃木SC。週明けのコンディションにもよるが、「今日出ていない選手もいいパフォーマンスをしている。フレッシュな選手を使ってみてもいい」と、柱谷監督はローテーションを用いることを暗に示唆した。怪我を負っている選手には無理をさせないつもりだ。
JFL前期第1節 栃木SC3―1FC琉球 @栃木県グリーンスタジアム 観衆6338人
〈栃木SC〉交代:上野(→横山)、松田(→石舘靖樹)、向(→久保田勲)
〈FC琉球〉GKライス・エンポリ、DF三好拓児、エメ・ラヴィ、久保篤史(→栗田泰次郎)、澤口雅彦、當間正人(→納谷伊織)、高松健太郎、杉山洋一郎、林田光佑、FW山下芳輝、白尾秀人(→白井博幸)
『でかい口、叩いて出した結果』
畳み掛けるように、言葉を並べていく。ストレートな物言いは誤解を数多く生み、同時にサポーターの心を鷲掴みにしてきたことが容易に想像できる。
2ゴール1アシスト。チームの全ゴールに佐藤悠介は絡んだ。手垢の付いた表現になることを許してもらえるならば、役者が違う、ということに尽きる。
「開幕戦をホームで勝てたことが一番」とは言ったが、キャプテンとしてチームを勝利に導くことが出来た、などとは口にしない。優等生発言を控える代わり、「とにかく自分の中で大事なゲームだった」と言い切った。
代表クラスの選手でもガチガチに緊張する「特別な思いがある」開幕戦。プロ生活13年目を迎える佐藤も例外ではなかった。ウォーミングアップから体に違和感を抱いた。経験があるとはいえ、纏わり付く独特の緊張感から逃れることは不可避。「僕自身、硬かった」と偽らざる本音を吐露しつつ、それでも向慎一、斎藤雅也、川鍋良祐らの若手には「思いっ切りやれ」とアドヴァイスをした。特別な試合に襲ってくる恐怖は己で乗り越えるより他に手はないからだ。壁を打破してこそプレーヤーとして一段、高みに行ける。実体験に裏打ちされた言葉には重みがあり、実行に移してしまうのだから、キャプテンシーとカリスマ性はより増していく。
「栃木SCに来た経緯もあり、いろんな思いがある。いろんな人達に『なんでJFLなんだ』と言われた。ここに来たことが間違いじゃなかったと証明したかった」
佐藤はチームの勝利と同等、いやそれ以上に自己証明をしなければならなかった。新入団記者会見では、最もプレッシャーを感じていると述べ、一方で期待感もあると話している。下した決断が、栃木SCに入団したことが、正しかったと周囲に思わせるには結果を残すしかない。それもスタートから、目に見えるカタチの。「とにかく自分が結果を出して勝ちたかった」。強い決意を胸に、試合に臨んだ。
前半の半ばまで思うように試合をコントロールできない、ナーバスな時間帯が続いた。ストレスの溜まる状況を、しかし佐藤の左足が一変させる。「蹴った瞬間に入った」と確信したボレーシュートは綺麗にゴールへ吸い込まれた。歓喜の輪の中心には佐藤がいた。チーム2点目となるお膳立てをした後は、一転してクールに振舞う。自信を持って蹴りこんだFKはゴールに突き刺さり、雌雄を決した。今度は感情を露に。恍惚の瞬間をサポーターと共有した。
敵将、ジャン・ポール・ラビエ監督は「経験」の有無を敗因に挙げ、「栃木の左の方がプッシュが効いていた」と付け加えた。印象に残った選手の具体名こそ伏せたが、佐藤を指していることは想像に難くない。
「自分でいろんな人に証明しないといけなかったので、貪欲に結果が出せた。初めて僕のプレーを見てくれた人は、佐藤悠介のプレーがよく分かったと思う。皆さんにでかい口を叩いて結果を出せてよかった」
よどみなく続ける。
「自分の代理人やサッカー関係者が見に来ていた。『このチームに来てよかったね』と話してもらえた。凄く大事なゲームで点をとれたのは非常に誇れる」
押し潰されそうな負荷を自らにかし、跳ね除け、存在価値を認めさせた。強靭なメンタルを兼備したプロフェッショナルである。
「プロ化して、責任を背負ってやっている。キャプテンとして先頭に立ち責任を持ってやっていきたい」
サッカーで碌を食む自覚と覚悟がひしひしと伝わってくる。
柱谷幸一監督がリーダーに指名したことが頷ける、非の打ち所がないパフォーマンスを披露した。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年6月25日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
PK失敗も、それ以上に難易度の高いミドルを叩き込み、結局は3ゴール全てに絡んだ。
「何もない」
憮然とした表情で会場を去る。
これまで尖った選手が少なかった栃木SCに佐藤悠介の強烈な個性は必要不可欠。
やんちゃ坊主を上手く使いこなす。
指揮官の手腕の見せ所である。
今季も前期は3ゴール(昨季は2ゴール)と鳴りを潜めた横山聡。
ゴール以外での貢献度は高かったが、望まれるのはやはり可視的なもの。
後期の山場で、こちらも不発の松田正俊とともに前線をリードして欲しい。
前半4分、鷲田雅一の背後へのボールに鋭く反応。DFラインの裏を突いた鴨志田誉。シュートは惜しくも枠を外れるが、チームとして狙っていたカタチから好機を作り出す。ゴールへの意欲は日々、高まっているようだ。
ゴールを奪えるようになるも、高安の自己評価は常に厳しい。
ストイックな姿勢がポテンシャルを引き出すことは明白。
アルテ高崎戦ではサイドでの勝負が目立ったが、ファジアーノ岡山戦では内側に入り込んでのヘディングシュートも果敢に狙っていた。
引き出しは確実に増えている。
つまり、相手の警戒レベルは上がっているといえる。
ファイトできる選手。
落合正幸不在の中盤は想像できない。
プレーに波がなく、指揮官の信頼も厚い。
重馬場に強いのは深澤幸次だけではない。
勝利にも笑顔なし。
ここ数試合の失点数が気になる。
後期開幕戦は完封勝利でスタートしたい。
プレーバック:1年の時を経て@栃木SC通信
2008年6月24日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※会見は2007年6月24日に行われました。
・柱谷監督就任会見
「先程、事務所の方で契約書にサインをしてきました。7月1日から正式に栃木SCの監督に就任することになりました。オファーを頂いた社長、会社に感謝したい。栃木の現状は厳しい。簡単な仕事ではないが今シーズン終了後に4位以内に入り、J2へ上がれるように頑張りたい」
――オファーを受けた時の感想。厳しい状況で就任を引き受けた決め手は
「監督としてのスタートは山形からでした。山形はJ2の中でもJ1を狙えるクラブ規模ではなかったが、3年間仕事をさせて頂いた。その後、京都の監督に就任しJ2のチームだったが年間予算が充実していて2年目にはJ1へ昇格できた。昨年は力不足で勝てなかったが、自分のキャリアの中でJ2、J1と上がってきたので栃木からのオファーを頂いた時には悩みました。J2、J1のクラブで指揮を執りたいとの気持ちがありました。社長、3人のフロントの方に大宮まで来て頂き熱心に誘ってもらい、『J2へ上がりたい。力を貸して頂きたい』という言葉に強く胸を打たれた。開幕戦で1万人以上のサポーターを集め、常時3、4千人のサポーターがスタジアムに集まる。スタジアムもサッカー専用スタジアムで魅力的なクラブ。意外と栃木には将来性があると思いました。イタリアにはプロビンチャという小さな町のクラブだが熱心なサポーターがいて、小さいがサッカー専用スタジアムがあり、2週に1回のホームゲームで皆がサッカーを楽しんでいる。その土壌が栃木にはある。それが是非この仕事をやってみたいという決め手になりました」
――現状の栃木SCをどのように分析し、どんなサッカーを目指していこうと考えているのか
「実際に生で見たのは1試合(対流通経済大学戦)、それ以外はDVDで数試合見ました。チーム戦術はそれほど悪くない。ただ、1対1の場面で勝てていない、走れていない。フィジカルベースが相手よりも劣っている。戦う意志があってもフィジカルがついていかずに勝ち切れていない。もうひとつ、プロの選手とアマチュア選手が混在しているクラブなので、そこをもう少し整理していかなければならない。今後は昼のトレーニングを多くして、トレーニング内容も1対1の戦いで勝つ、勝ち切れないといけない。走れないと勝てませんから、そこを上げていく」
――コーチングスタッフ、選手の新たな補強は
「シーズン途中で私自身はフリーの身なので来ることができましたが、Jリーグはシーズン真っ盛りでどの選手もコーチも契約期間中。その人を連れてくることは簡単なことではない。自分達のやれること、持っている力で最大限にやりたい」
――得点力を上げるには
「トレーニングでしっかりコンディションを上げていくことです」
――監督のサッカー理念は
「3つあります。結果を絶対に残す。勝負事なので勝たないと認めてもらえない。目の前のゲームに勝つ。もうひとつは、内容にもこだわる。相手にしっかりプレッシャーを掛けて、ボールを奪い、素早く攻める。3つ目はフェアプレイ。フェアに勝つことに価値がある。汚いファウル、フェアでないプレイで勝ったとしてもサポーターに認めてもらえない、地元に愛されない。3つが同時に達成され、いいチームになる。調べてもらえれば分かるが、山形、京都と過去にボクが率いてきたチームはイエローカード、ファウルが少ない。非常にフェアなチームだった」
――目標の4位以内になるために今、何が必要か
「プロとアマが混在しているので、よりプロに近いカタチにしていくことが大切。J2で戦うクラブ体制にしていかなければならない。今年の苦戦は昨年と比べて大きく力が落ちているわけではなく、他チーム(のレベル)が上がっている。(ロッソ)熊本、(FC)岐阜にしてもプロ選手を入れ、昼にトレーニングをして、『絶対に上がらなければ』という気持ちで戦っている。佐川(急便SC)、ホンダ(FC)も企業チームだが午前にトレーニングし、午後に揃ってトレーニングをしている。どこのチームもいい環境でいいモチベーションでやれている。そこが今の差となって表れている。その部分を埋めていかないと勝てない。サポーターがたくさんいることが、このクラブの僕等の力になる。ユース組織、女子チームもあり、組織を構築すれば素晴らしい、ビッグクラブではないが地域に愛されるクラブになる可能性がある。そのためには今年4位以内に入り、Jへ行かなければ、そういう流れにはならない。結局、大事なのは4位以内よりも目の前のゲーム、もっといえば目の前のトレーニングを100%やること。4位以内ということも大事だが、目の前にあることを100%やることを選手に訴えていきたい」
――FC琉球戦までの1週間で何に着手するのか
「1週間で選手を見極めたい。契約は7月1日からだが6月30日にJの解説が入っているので、6月中の仕事はしっかり責任を持ってやる。火曜日のトレーニングから私が全部仕切ってしっかりやる。先ずはコンディションを上げる。トレーニングの中で選手を見極め、どういうやり方が栃木にあっているのか見ていきたい。山下(芳輝)、上野(優作)、横山(聡)と前線には経験、得点力、潜在能力のある選手がいるので彼等を活かせるようにしたい。1試合、1試合を全力でやっていく。目の前のゲームを勝っていく。そこに集中していきたい。4位以内のチームが全勝すれば我々は追い付けない。でも、自分達が全勝することが大切。今いる選手に頑張ってもらう。全部、代えるわけにはいかないので。シーズン途中の補強は難しいが、難しいから諦めるのではなく可能性があれば探っていきたい。現状では難しいが」
――アマチュア選手、仕事がある人達の管理は
「練習環境が色々あり難しいが、基本は昼間のトレーニング。必要ならば午前と午後の2部練習もやる。夜しか来られない選手、アマチュア選手もトレーニングに入れて、昼のトレーニングと同じ内容で彼等にもしっかりやってもらう。あくまでも昼のトレーニングがベース。例えば、夕方に練習したい。16~8人しかいない。イメージとしてはユースや、宇都宮の高校生、国体少年に参加できるならば参加してもらい紅白戦をやりたい。ユース、高校生、国体少年が同じトレーニングをやることで強く、上手くなる。13時キックオフなのに夜(トレーニングを)やるのはおかしい。キックオフ時間にあわせたトレーニングをしたい。昼に出られない選手もいい状態ならばゲーム、遠征メンバーに入ってもらう。いい選手には当然、力になってもらう」
――高橋監督はなんらかのカタチで残ると思ったのですが(新井賢太郎社長が答える)
「高橋高は22年間、自己犠牲の生活を強いられてきた。これ以上、彼に自己犠牲を強いるのは残酷極まりない。自分の人生設計、楽しみを持つようにお願いした。『自分の人生設計を作ってくれ』と伝えた。さっぱりした表情で辞めてもらった。22年間、自己を犠牲にしてきた高橋高には本当に感謝している。これからは自分の時間を持つことが大切だと考え、チームから切り離した。(国士舘大学の先輩後輩である高橋前監督と柱谷新監督は言葉を交わしていない)」
――地域密着が上手くいっているチームは。それを成すのに必要な要素は
「2000年にスペインのアスレティック・ビルバオを訪れました。バスク地方にあり、100年のリーガ・エスパニョーラの歴史でバルセロナ、レアル・マドリードとともに2部に落ちていない。バスク人しかクラブに入れない、プレイできない。サポーターに聞いたところ、その理念を曲げてまで勝ちたくないと言っていた。自分達で選手を育てていく練習環境や施設をもっている。メインスポンサーをつけず、ソシオ組織で会費を募る。そういう理念を持っているクラブは素晴らしいと感じました。栃木は関東にあるクラブ。ジュニア、ジュニアユースにはいい選手がいるが、ユース年代の環境が悪く県外へ出て行ってしまう。ユース年代の練習環境を整え、いい指導者がいれば、栃木がJでプレイし目標があれば県外へ逃げない。一緒にトレーニングをすることもできるし、ユース年代でもトップでプレイするのは全く不可能ではない。高校卒業時に戦力にもなってもらえる。そのような環境作りをやることがいいクラブの条件だと思っています。栃木県は周囲の市町村のバックアップ体制も充実している。いいクラブになる素材がある。山形での3年間でクラブハウス、人工芝を作ってもらい、移籍関係をスムーズにさせるなど組織作りをやってきました。4位以内もクラブ作りもやっていく。10年でも20年でも、このクラブでやりたい。そのためには先ず4位以内に入らないと次の契約をして頂けないので、監督としての仕事で結果を残すことに集中してやっていきたい」
――ファン、サポーターにメッセージを
「とにかくサポートして頂きたい。苦しい、辛い時期を一緒に乗り越えることが、その先の喜びに繋がる。こういう時こそサポーター、県民と4位以内、J2入りを目指したい。こういう時期を支えるのが本当のサポーターだと思っています。多くの支援をもらいたい」
<柱谷幸一>
1961年生まれ。京都市出身。京都商業高校(現・京都学園高校)、国士舘大学を経て、日産自動車(現・横浜Fマリノス)―浦和レッズ―柏レイソルでFWとして活躍。元日本代表。監督としてモンテディオ山形、京都パープルサンガ(現・京都サンガFC)を指揮した。2005年には京都でJ2優勝、J1へ昇格させた。
独走してJ2へ行きたい@栃木SC通信
2008年6月24日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対アルテ高崎@栃木SC通信
2008年6月22日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:2-1。
後半:0-2。
ファイナルスコア:2-3。
オウンゴール、佐藤で勝利。首位ターン。
順位:首位(勝点41)◆2位:HondaFC(勝点36)
得点者:高安亮介、オウンゴール、佐藤悠介(栃木SC)、今井雅貴、阿久澤剛(アルテ高崎)
※お疲れ様です。前期が終わりました。ここまで走り続けてきた疲労が出てますが、レポート&コラムは順次アップします。
プレーバック:対アルテ高崎戦(PSM)@栃木SC通信
2008年6月21日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
1週間後に控えた開幕戦を迎えるにあたり、悔いを残さないように。総仕上げとなるアルテ高崎とのプレシーズンマッチは、集合時間、食事、ミーティングなど、当日と全く同じタイムスケジュールが組まれ、「今日が開幕戦くらいの気持ち」(GK小針清允)で選手達は試合に臨んだ。サポーターも本番に備える。今年から陣取るゴール裏からリハーサルを行った。
来週には間に合うとのことだが、大事をとってコンディションが万全ではない佐藤悠介、鷲田雅一、松田正俊の主力3選手はベンチからも外れた。栃木SCの陣容は上野優作と石舘靖樹の2トップ、中盤は左に深澤幸次、右に小林成光、底には落合正幸と向慎一が入り、DFラインは左から斎藤雅也、山崎透、川鍋良祐、岡田佑樹と並び、ゴールマウスには小針が立った。
高崎も4―4―2を選択。
序盤からポゼッションで勝ったのは栃木SCだったが、「自分は硬かった。いけるかな、と思ったが・・・」と向が言うように、全体的に体が重い。「後ろで動かして前へ入れたかった。前線と中盤の連動がなく、ボールを前へ入れられない」(柱谷幸一監督)展開が繰り返される。アンカー(舵取り役)の落合がDFラインからボールを受け、ルックアップしても前が動き出していなかった。ボールを散らすことは出来たが、ゴール方向への勝負パスは少なかった。複数人が絡んだプレーは数えるほどだった。
前線にボールが収まらないのだからサイドが活性化されるはずがない。両サイドバックは上がるタイミングを見出せなかった。タメを構築できる佐藤の不在も響く。その佐藤とコンビネーションを磨いてきた斎藤は言う。「悠介さん、鷲さんと一緒にやっていたので、正直合わせるのに時間が掛かった」。柱谷監督曰く「ぎくしゃくした」左サイドは、いつものように起点と成り得ない。それでも、向のパスに抜け出た小林の左クロスを石舘がヘディングで合わせたあたりから、カタチを崩してでも前に出る姿勢が垣間見られるようになる。34、36分には上野が連続してゴールに襲い掛かる。相手の好守に阻まれるも「コンディションは一番よかった」と上野。逸機したことには苦笑したものの、1ヶ月前のキャンプでは歩くことすら困難だったのだから驚異的な回復ぶり。果敢にゴールを狙い、ベテラン健在をアピールした。
プロ契約選手の大量解雇により「マイナスからのスタート」(渡辺克之監督)を切った高崎。昨季の低調なサッカーからの脱皮段階にある。会見ではネガティブな発言が目立つも、それほど悲観することはないのではないか。環境と待遇に恵まれていないとはいえ。
前半ゴールを奪えなかった栃木SC。後半に入ると僅かながらサッカーの質が向上するも、上野、石舘の2トップが巡ってきた絶好機を決めきれない。ボールが動くようになり、リズムも好転するなどしたが、その矢先に斎藤が2枚目の警告でピッチ外へと追い出されてしまう。幾分か動揺したのか、ミスから窮地を招く。これを耐え凌ぐと入江利和を投入し、4バックを維持。4―4―1の2ラインを敷き、コンパクトフィールドを保ち高崎の攻撃を封じては、反撃の時を待った。スルーパスに反応した川勾に冷や汗をかかされるも、GK小針の好判断で危機を回避すると、ロスタイムに交代出場の久保田勲がFKを右上段へ直接突き刺し、さらに落合のフォアチェックを足掛かりに最後は石舘が追加点を奪い去った。90分、苦しんだことが嘘のように、あまりにもあっさりと2度、ゴールネットが揺れた。
「退場者を出すのはよくないが、リーグ戦ではこういうゲームもある。勝点1、チャンスがあれば3を取るのが勝点を積み上げることになる。内容はよくないが、シーズン前にはいい経験ができた」
数的不利、スコアレスで推移した試合。ドローで勝点1を拾うことも覚悟したが、4バックのブロックで攻撃を跳ね返し、機を伺う策がはまり、勝利をものに出来たことに柱谷監督は一定の評価を与えた。表現こそ異なるが選手たちも一様に「開幕前にいいシミュレーションができた」と口にしていた。
リハーサルは終わった。いよいよ本番である。来週は開幕戦の相手、FC琉球を想定したトレーニングを入れ、勝点3を手にする確率を上げるための戦術を練り上げる。
指揮官は欲した。
「勝ちたい。なんとか勝って勢いに乗っていきたい」
プレシーズンマッチ 栃木SC2―0アルテ高崎 @栃木県グリーンスタジアム
〈アルテ高崎〉GK岡田大、DF小柴翔太、西村陽毅、山田裕也、杉山琢也、MF今井政貴、里見仁義、川勾邦明、白山貴俊(→ファブリシオ)、FW田中靖大(→田中翔太)、久保田圭一(→チアゴ)
〈栃木SC〉交代:向(→久保田)、小林(→高安亮介)、上野(→入江)
『JFLの笛』
試合後、挨拶に向かうチームメートを尻目に、ひとりコンクリートの壁に背を預ける。ベンチコートを羽織った斎藤雅也は俯いたままだった。顔色は優れない。ロスタイムに2ゴールを挙げて勝利したにもかかわらず、である。
落ち込むのも無理はない。先発しながら最後までピッチに立っていられなかったのだから。
後半22分、退場。
パフォーマンスに起因するものならばまだ救いはあるが、イエローカード2枚を提示されてのピッチ追放は、さすがに堪える。
「JFLの基準は難しい。大学時代にはとられなかった(ファール)が、とられた」
4年間で体に刷り込まれた感覚を他のカテゴリーに持ち込むと痛い目を見る。
同じく大卒新人の向慎一も判定基準に違和感を抱いている。序盤にカードをもらってしまった。ボディコンタクトが不可欠なボランチにとっては、致命的である。1枚カードを持っていることで、「持ち味を出し切れなかった」。厳しくいけば再びカードを出される。早々に追い出されるわけにはいかない。数的不利に陥ることを避けるために萎縮してしまった。意欲的に人とボールにチャレンジできない。際どいプレーに腰が引ける。それが硬さに繋がり、停滞していた前半の攻撃を活性化させられなかった一因でもあった。
「中盤でボールを取れた。カードをもらったシーンも、もう一歩、出足が早ければ・・・。中盤でボールを取ってチャンスを作れたはず」
向は唇を噛んだ。
リーグ戦と同様のシチュエーションで辛酸を舐めた。しかし、“JFLの笛”を肌で感じられたことは、2人にとって小さくなかったようだ。「退場したことでチームに迷惑をかけたが、これだけやったらファールになる、との線引きができた。開幕前にわかったのはよかった」と斎藤が言えば、「今日、硬さを経験したことで、次は絶対に(硬くなら)ない。思いっ切りやれる」と向もポジティブだった。
JFLの判定は独特であり、誰しもが受ける洗礼でもある。許容範囲を探るのは容易ではない。昨季、途中加入した上野優作も戸惑いを隠せなかったという。立て続けにカードを頂戴してしまった。判定に慣れるには多少の痛みを伴うのかもしれない。
だが、チームコンセプトとして「フェアネス」を掲げている柱谷幸一監督は、当然ながら不快感を露にした。
「ミーティングで選手にはイエロー(カード)をもらわないように、と言っているだけに残念。反省を求めたい。退場者を出すと厳しい、と(改めて)いえるいいゲームだった」
不要なファールは極力減らさなければならない。昨年、アウェーのアローズ北陸戦(0―1)を落としてしまったのは、退場者を出したからだと考えている。また、地元の人々に愛され、プロビンチャとしての地位を確たるものにするには公明正大である必要性を常日頃から訴えてもいる。
負傷離脱は止むを得ないが、累積警告や一発レッドにより大一番にベストメンバーを組めないような事態は回避したいし、しなければならない。定まらない笛に苛立ちをおぼえるのではなく、笑ってやり過ごせるように。郷に入れば郷に従えではないが、これまでの皮膚感覚を一度捨て去り、属するリーグに適応させなければならない。
プレーバック:対アルテ高崎戦(後期)@栃木SC通信
2008年6月20日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
実行委員が告げる。白線が消えたことによりキックオフ時間が10分遅れることを。台風20号の影響である。空が号泣。急ピッチで作業を行うスタッフなどお構いなし。雨脚は弱まるどころか、一層激しさを増した。幸いにも田んぼ化は免れたが、ピッチコンディションは劣悪だった。
雨と“重馬場”と栃木SC。この組み合わせは芳しくない。2年連続してロッソ熊本との雨中足利決戦を落としていることが、脳裏にこびり付き離れないからだろう。長良川でFC岐阜に完勝(2―0)、遡ればザスパ草津を相手に0―3から3点を僅かな時間で一気に返した試合もあったが、叩きつけるような雨ではなく靄がかかる程度の霧雨だった。マイナスイメージが先行してしまう大雨に、ダントツの最下位・アルテ高崎(28試合を消化していまだ勝ち点6)が相手では負けられないという重圧は自ずと強くなり、試合は難しいものとなった。
5―0と大勝した前節の三菱水島FC戦から入れ替わったのは、累積警告により出場停止となったDF山崎透だけだった。サッカーのセオリー――勝ったチームはいじらない――に則った布陣はGK原裕晃、DFに左から石川裕之、谷池洋平、横山寛真、高野修栄、中盤はダブルボランチに米田兼一郎と久保田勲、左ワイドに小林成光、右ワイドに高安亮介が入り、横山聡と上野優作が2トップに配された。山崎の代役である横山寛真は国体予選と本選を除けば、本職のセンターバックでは初先発となった。
「後期はチーム力が逆転しているかもしれない」。前期(4-0で敗戦)の対戦時にそう言い残したピポ監督が突然退任し、アルテ高崎は栃木SC戦から渡辺克之新体制で再スタートを切った。
「(高野)修栄のCKが決まっていれば大量点の流れが掴めた」
柱谷幸一監督が振り返ったのは前半3分の出来事。高安が獲得したCKを久保田が蹴り、高野がニアサイドでヘディングシュート。絶妙のボールとシュートだったが、ポストに嫌われてしまう。三菱水島戦では開始早々のゴールが趨勢を決したといっても過言ではないほど大きなウェイトを占めた。それだけに、逸機したことでリズムに乗り切れなかった。
「ロングボールが多いので、セカンドボールを意識して拾えていればいいゲームになった。ルーズボールを取られていては、好機は作れない」(米田)
平均年齢23.3歳と若いチームはボールへの寄せが速かった。荒削りな部分も垣間見られたが、旺盛な運動量と球際の激しさを武器にイニシアチブを渡さない。高須洋平がゲームを作り、手数をかけずに小川雄司と田中靖大(この人、栃木SCのセレクションを受けた)の2トップがゴールに迫る。シンプルで無駄がなかった。攻守におけるパフォーマンスは最下位に沈んでいるチームであることを忘れさせるほどだった。
CKから小柴翔太が放ったヘディングは決定的だったが、枠を反れる。肝を冷された栃木SCは、横山聡と上野へクサビを打ち込むが、サポートが遅く次の展開に持ち込めなかった。左は小林と石川にFWが絡んでコンビネーションで、右は高安が単独突破を図るが、サイドからの攻撃も好機には結び付かなかった。ロビングをゴール前で上野が胸で落とし、横山聡が左足を振るもGK岡田大が好守を披露。またしてもゴールは得られなかった。
サイドチェンジから左の小林がカットイン。シュートはサイドネットへ。後半立ち上がりのシュートは枠外だったが、揺さ振り空いたスペースを有効利用する狙いは、ハーフタイムの指示通りだった。高安に代わり深澤幸次が投入されると活力が増し、チームとしやりたいこと、やるべきことが実行に移せるようになる。右に回った小林はクロッサー、左の深澤はドリブルを活かす突貫小僧と化したことで攻め手が見出せるようになった。
サイドから圧をかけることで閉塞感は打破される。少しずつ流れを引き寄せた。CKからフリーだった米田のダイビングヘッドは再びGKに阻止され、交代出場の小原昇のワントラップボレーはクロスバーを叩くも、3枚目の交代カード山下芳輝がついにゴールをこじ開ける。高野の右クロスはGKに弾かれるが「吸い込まれるようにボールがきて、リラックスして打てた」打点の高いボレーシュートはネットを揺すった。目の醒めるような一発にアウェイをホーム化したサポーターは沸き、ベンチも総立ちとなった。
サポーターを煽りに煽った山下。小林のバックヘッドスルーパスから抜け出し、GKをかわしたまではいいがシュートを打ちきれず。追加点をもたらすには至らなかった。が、警戒していた相手セットプレイを跳ね返し、1―0と僅差ながらも2連勝を飾った。
3試合連続ゴールを逃した(そのことを問うと本人は苦笑いを浮かべた)ものの、無失点に封じた谷池は言う。
「『スリッピーでもカバーして粘ろう』と4人で互いに声を出し、集中して守れた。大勝後の試合は難しいが、1―0で勝てたことは大きい。耐えて決めて勝つのは強いチームになるためには必要。こういう試合をものにするのは大切」
柱谷監督も同様のコメントを残している。
「最下位のチームに勝てると思ったかもしれないが、サッカーはそんなに簡単ではない。苦しいゲームを勝ち切ることで勝ち点3を掴み、チームにとっては自信になる。こういうゲームを勝つことがリーグ戦では必要不可欠」
圧勝後の辛勝。落差の大きな2試合で手にした勝ち点6からはチームの成長具合が窺える。順位が下のチームであろうともタフに戦えるようになった。メンタル面の脆弱さは薄れつつある。残り5戦5勝。昇格は依然として厳しいが、怒涛の7連勝で今季を締め括れる状態にまでチームは持ち直した。期待は膨らむ。あくまでも連勝に対してだが。
JFL後期第12節 アルテ高崎0―1栃木SC 観衆562人 @高崎市浜川競技場
〈アルテ高崎〉GK岡田大、DF石川貢、小柴翔太、山本朝陽、山田裕也、MF杉山琢也(→チアゴ)、濱岡寛、今井雅貴、高須洋平、FW小川雄司(→川勾邦明)、田中靖大(→水野和樹)
〈栃木SC〉交代:高安(→深澤)、上野(→小原)、横山聡(→山下)
『好敵手による触発』
焦燥感はなかった。ただし、山下芳輝には歯痒さがあった。バリエーション豊富なポストプレイは観衆を魅了するに足るものだが、FWというポジションに求められるのは結果。つまり、点を取ること。責務を果たせないことからスタメンを外され途中出場が続く。少ない時間ながら答えを出す機会は与えられていた。が、肝心要のゴールは容易に奪えなかった。チームの勝利に貢献できない。トンネルの出口に辿り着けない。その期間は思いの外、長かった。
柱谷監督は決断を迫られていた。前半を五分五分のスコアレスで折り返した後半。先ず深澤幸次をピッチに送り出す。サイドのてこ入れを図った。停滞した試合は徐々に動きを見せ始める。次は前線の活性化である。タイプの酷似した選手を交代する。その常套手段を敢えて用いなかった。そこには「調子のいい選手を使う」という明確な意図が存在した。上野優作に代わり登場したのは、今週のトレーニングでパフォーマンスが上向きだった小原昇。通常ならば山下を選択するはずが、この日は異なった。フレッシュな選手が攻撃をリードする。手元に残されたカードはあと一枚。ようやく起点を設けられたサイドをさらに強化するか、それとも前の選手を入れ替えるか。「最後は永井(健太)か山下で悩んだが、山下を入れた(横山聡アウト)」。結果的にこの采配はズバリ的中することになる。
「だいたいの感覚で。中に入れればなんとかなる、と思っていました」。高野修栄が入れたクロスボールに反応したのは小原だった。身を寄せられたことでGK岡田大はキャッチできなかった。パンチングで難を逃れるも、セカンドボールは山下の元へと向かった。右足から繰り出されたのは、スキルの高さを誇示するかのような華麗かつ豪快なジャンピングボレー。ふかしてしまっても不思議ではないシュートを突き刺した。鮮やかな一撃は攻守を連発、当たっていたGK岡田をしても止めきれなかった。
際立つのはキックの精度。コースを狙い分けたシュートが心地好くネットを揺らす。「確実に決めよう」。1本1本を無駄にしない姿勢、全体練習後の自主練習の成果がようやくカタチとなって現れた。「練習が結果に繋がった。嬉しいし、ホッとした。踏ん張ってくれたDFの頑張りに応えられた」。山下は胸を撫で下ろした。安堵するのも無理はない。前期13節の対ホンダFC戦以来、ゴールから遠ざかっていたのだから。16試合ぶりに恍惚の瞬間を味わう。
「力が抜けてリラックスして打てた。ゴールが入る時は、そんな感じですね」。ゴールの感触を思い出しながら、しかし冷静沈着に語る山下。
――前節の横山聡選手のスーパーゴールが刺激になったのでは
そう水を向けると熱のこもった言葉が返って来た。
「聡には負けられない。ライバルですから。『ライバルがやったからオレもやる』。そういう雰囲気がチームをよくする」
前の試合で待望の初ゴールをマークした深澤も、躊躇いなくシュートを打てた理由としてライバル高安亮介の存在を挙げていた。聡が高難度のボレーを決めたならばオレも。触発され闘志に火がつき山下は決勝点を叩き出せた。ハイレベルな生存競争は好循環を生み出している。
試合後サポーターに挨拶をすませると、山下をチームメイトが取り囲んだ。ゴールを決めたアフリカ人選手が披露するような歓喜の集団ダンスが始まった。飛び跳ねながら手を打つ。輪の中心にいた山下は戸惑うも空気を読み参加したが、機を見計らったように周囲は踊りを止めた。独り取り残される。お茶目なチームメイトの悪戯に山下は笑みを浮かべていた。
「久しぶりに笑顔が出た。ダンスには加わらないといけない。ああいう雰囲気はチームがひとつになっている証拠。残り試合も同じ雰囲気でやれれば、昇格する可能性も有り得る」
小原の加入とゴールが横山聡に危機感を植え付け、横山聡の活躍が山下のモチベーションを上げた。次は上野の番である。セットプレイ時の守備、前線からのフォアチェックと献身的な働きは特筆に価するが、2トップの一角として出場している以上「なにもできなくても点を取れれば解決する」(柱谷監督)FWの仕事をも果たさなければならない。好調なFW陣の波に乗らない手はない。
プレーバック:対アルテ高崎戦@栃木SC通信
2008年6月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
受付で頂いた資料に目を通す。「各チームとの通算対戦成績」という項目があった。驚くことに栃木SCはアルテ高崎(前身のFCホリコシ時代を含む)と6度対戦して、まだ1勝しかしていなかった(1勝3敗2分け)。昨季も2戦して1敗1分けと未勝利。負け越していたのである。近年、ゴタゴタが相次いだアルテ高崎。プロ契約選手が次々とチームを去り、監督交代も激しく組織が弱体化した印象が強いことから、これほどまでに分が悪いとは思ってもみなかった。「選手は相性の悪さにこだわっていなかった」といいつつも、「相手も、うちも(メンバーが)変わっている。今年は違うぞ」と高橋監督はミーティングで言い聞かせた。
連勝しているロッソ熊本、FC岐阜に遅れを取るわけには行かない3位の栃木SC。過去の対戦成績を今季で五分に戻すべく、先ずは2勝目を、そして勝ち点3の獲得を目指した。スタメンはGK原裕晃、4バックは左から高野修栄、谷池洋平、照井篤、北出勉、ダブルボランチに堀田利明と山田智也、左に石川裕之、右に小林成光、センターFW山下芳輝の下にシャドーとして吉田賢太郎を配した。フォーメーションはお馴染みの4―5―1だった。遠征組としてアウェーでの勝利に多大なる貢献をした吉田賢太郎と山田智也。ホーム、グリーンスタジアム今季初登場となった。
大量にメンバーが入れ替わったアルテ高崎は、中盤をダイヤモンド型にした4―4―2を選択した。
福田富一知事、公約果たす。佐藤栄一宇都宮市長とユニホームに身を包み、不恰好ながらタオルマフラーを広げ(途中まで裏側を掲げていた)、サポーターと一緒に“ようやく”「県民の歌」を歌い上げた。スタジアムで4000人近い観衆と県歌を歌った知事は「県民に馴染みのない県歌を(スタジアムで)歌うことで『県民の歌』を知ってもらいたい。また、全国の各競技場で歌いたいし、聞きたい」と述べた。ご多忙だとは思いますが、知事にもなるべくスタジアムに足を運んで頂き、熱を感じ取ってもらいたい。「岐阜、熊本戦でどんな戦い方をするのか」とクラブに対する関心は高いようなので。
さて、本題に。「ジェフ(リザーブズ)戦で高い授業料を払った」(高橋監督)甲斐があった。吉田賢太郎のオープニングシュートを契機に両サイドから攻め立てる。拙い入り方をした前々節の教訓が活かされた。序盤から優勢に試合を運ぶ。大半の時間をアルテ高崎陣内で過ごした。
しかし、ゴールを脅かせない。攻め崩せない、煮え切らない時間が続いたが、高野が左から入れた低いクロスを中央で小林が合わせ損なうも、なぜか右サイドにいた石川がこぼれ球を押し込んだ。均衡を破った石川曰く「おいしかった」そうだ。確かに、プッシュしただけなのだから、ラッキーだったかもしれないのだが、その場所――ゴールに最も近い位置――にポジションを取っていたことは特筆に価する。変幻自在。神出鬼没。石川の特長が発揮された先制点だった。その後、Pボックス内で吉田賢太郎、小林がシュートするも追加点とはいかなかった。アルテ高崎は防戦一方であり、攻め手をなかなか見出せなかった。前半のシュート数はゼロだった。
畳み掛けられなかったものの、完全に最初の45分間を支配した栃木SC。後半もリズムを明け渡さなかった。堀田の縦パスに対して吉田賢太郎が潰れ、結果的にスルーのようなカタチになり小林の元へとボールが届く。守から攻へと切り替わるだろう思っていたDFの足が止まった隙を突いた小林は、ドリブルから冷静に流し込んでチーム2点目にして、栃木SC移籍後初ゴールを挙げる。
高橋監督は手綱を緩めない。体調不良により出遅れたスーパーサブ永井健太を送り出した。吉田賢太郎、山田智也と同様、今季初めてホームのピッチに立った永井。早速、持ち味である馬力のあるドリブルで突っかける。このドリブルは阻止されるもルーズボールは山下、山田智也を経由して小林に渡る。「イメージはできていたが、気持ちの強さがゴールに結び付いた」。浮き球を右足で合わせた。GK岡田大の頭上を越し、緩い弧を描いたボールはサイドネットに吸い込まれた。絶妙のループシュート。技ありである。
「ようやく、結果が残せた。他の選手が結果を出し、茅島(史彦)と永井が前節、得点に絡んでいたのでプレッシャーを感じていた。ホッとしている。やっと、チームの一員になれた、かな」
フリーでのシュートを決めきれない、クロスバーに嫌われるなど、ゴール前のポジショニングは申し分なくとも運に見放されていた小林だったが、2ゴールに安堵していた。
3点リードで勝利をほぼ手中にした栃木SC。試合から遠ざかり周囲との連係に戸惑いを見せていた吉田賢太郎を下げ、横山聡を投入する。いまだノーゴールの横山聡。「信頼している。点差が開いているから、勝負してこい」と指揮官に発破をかけられた。その言葉に発奮し、「点を取ることに集中した」。永井が突破して供給したクロスにニアサイドで詰めた。小林に続き、こちらも嬉しい移籍後、初ゴールとなった。駄目押しとなる4点を奪ってからも、前半にひとり退場者を出したアルテ高崎に、3枚目の交代カード西川吉英が容赦なく襲いかかる。だが、好機を演出するも山下はシュートを立て続けに外した。計4本のシュートを放ったが、残念ながら山下の日ではなかった。これはFWにはよくあること。悲観的になることはない。「強い相手に点を取ってくれればいいのでは」。高橋監督も特段、山下に関しては心配していなかった。
4―0で試合は終了。完勝だった。「内容は一番良い。10点中8点はあげたい」としながらも高橋監督は自身がDF出身であることから、無失点に封じながらもDF陣には納得がいかなかった。ハーフタイムには雷を落としたそうだ。
減点2としたのは、ファウルで事無きを得たが前半にCKからヘディングでゴールネットを揺らされてしまったこと、拙攻を重ねているうちにカウンターを食らいシュートまで持ち込まれたこと、だった。試合前に「相手のリスタートを凌ぐことをポイント」としていたことから「先にボールに触れるべきだった」のに、それが出来なかったことが不満であったようだ。また、「不用意なファウルからCK、FKを与えてしまった」ことも減点の対象となった。
シュートを2本しか打たせなかったにしては些か厳しい採点となったが、今後の上位チームとの対戦に向けて詰めるべきところは詰めておきたいとの思いから、あえて辛口な評価を下したのだろう。セットプレイからの失点は喫していないが、栃木SCのウイークポイントのひとつであることは動かし難い事実。良質なボールを蹴るキッカーが存在するチームに、失点する可能性が高いセットプレイの機会を許さないように心掛ける。より強固なDF組織の構築を高橋監督は頭の中で思い描いているに違いない。要求が高いことは悪いことではない。理想を更に追求してもらいたい。
JFL前期第5節 栃木SC4―0アルテ高崎 @栃木県グリーンスタジアム 観衆3833人
〈アルテ高崎〉GK岡田大、DF松本三四郎、村木伸二(→磯山和司)、濱岡寛、山田裕也、MF川勾邦明(→石川貢)、白山貴俊、今井雅貴、工藤光俊、FW小川雄司、高橋竜太(→杉山拓也)
『超守備的4バックからの脱皮』
左サイドバック高野修栄、右サイドバック北出勉は、ハーフラインを越えた位置に構えた。そこから高野は石川裕之を、北出は小林成光を追い越し、ゴールライン深くまで侵入した。
試合開始からイニシアチブを握った栃木SCは、両サイドから厚みのある攻撃を繰り出す。1次攻撃だけに留まらず、2次、3次と波状攻撃を行えた。その要因として両サイドバックが敵陣内でプレイする時間が長かったたことが挙げられる。
これまでは高野、谷池洋平、照井篤、北出の4バックだけで最終ラインからボールを運んでいたが、対アルテ高崎戦では山田智也と堀田利明のダブルボランチが交互に組み立てに参加した。ボランチのどちらかが下がることの利点は幾つかある。DFラインへ意識的に入ることで展開力が上がる、スムーズなビルドアップが可能になる、サイドバックを高位置に持っていける、など。そのなかでも、とりわけ高野と北出を攻撃参加させられたことは大きかった。
栃木SCの4バックは、サイドバックが守備に比重を置いていたことから“超守備的4バック”といわれてきた。4枚でスペースを消去することで堅牢な守備ブロックを形成した。失点数は激減した。その一方で、必ず4人が最後尾に残ることから攻撃に割ける人数は自ずと限られもした。紙の上ではサイドバックが存在していたが、実際には4人のストッパーを並べていたといっても過言ではなかった。先ずは“守備ありき”のシステムだったといえる。
しかし、今季は得点力アップを図ることをメインテーマに始動したことから、紅白戦、対外試合で積極的にサイドバックが中盤の選手の外側を回って前に出た。元J選手の個人技だけに依存せず、チーム全体でゴールを奪う、という強い意志が感じられた。
それが、見事に結実したのが先制点のシーンだった。オーバーラップした高野の左クロスからゴールが生まれた。
「トレーニングの成果が出ている。サイドバックの有効利用ができている」
クロスの精度に改善の余地がある、と言いつつも、高橋監督は一定の満足感を得ていた。進むべき方向は間違っていなかった。
最終ラインを4枚からセンターバック谷池と照井にボランチの3枚へと移行。相手2トップに対してひとり余らせるカタチをとることで、数的同数になるリスクを背負わずに、左右のサイドバックを押し出す。攻撃が肉厚となり、サイドバックがオーバーラップし、クロスからゴールへと繋げる。昨季はお目にかかれなかったカタチである。
途中から11対10と数的優位に立ったこと、相手が引いたことで余裕を持ってボール保持できたにしても、サイドアタックが機能した開幕戦の対FC琉球戦より、サイドを効果的に使う攻撃のクオリティは格段に増している。
“超守備的4バック”から脱皮し、両サイドバックがアグレッシブに攻撃に加わる2007年度版の新たな栃木SC像がくっきり見えた、といっても大袈裟ではないだろう。確実に進化している。”攻撃的な4バック”に。
※後期、PSMは明日と明後日にアップします。
フォトグラファーデビュー?@栃木SC通信
2008年6月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
栃木信用金庫さんと今回もお仕事をさせて頂きました。
前回はコラムだけだったのが、第2弾では写真も使ってもらいました。
フォトグラファーとしてもデビュー?
お近くの支店(本店は特設ブースを設置)で広告を手に取って頂けたら幸いです。
宜しくお願いいたします。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年6月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
答えは栃木。
今季最多の7253人が詰め掛けた。
後期に1万人超えを目指す。
準加盟ダービーを盛り上げてくれた。
メディアも相当数、訪れた。
対人プレーに無類の強さ。
ギリギリまで相手の動きを見られるのはスピードに自信があるからだろう。
左サイドバックでの起用も今後は考えられる。
左足が勝負を決めた。
「質の部分でやられた」とはファジアーノ岡山・手塚聡監督。
ホーム力の具現者である。
力水。
点も取るし、笑いもとる。
有言実行のキャプテンは頼もしい。
ピッチに入ればベテランも若手も関係ない@栃木SC通信
2008年6月17日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対ファジアーノ岡山戦@栃木SC通信
2008年6月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-0。
後半:2-1。
ファイナルスコア:2-1。
佐藤、稲葉で勝利。
得点者:佐藤悠介、稲葉久人(栃木SC)、小林康剛(ファジアーノ岡山)
順位:首位(勝点38)◆2位:HondaFC(勝点35)
※お疲れ様でした。前期の9回分、マッチデーを読んで頂きありがとうございました。レポート&コラムに取り掛かります。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年6月11日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
ポスター等は多かったが観衆はちょっぴり寂しかった。
もっと盛り上がっているとばかり思っていたので。
グッズはどこのクラブのものでも欲しくなる。
JFLものは貴重で希少ですからね。
懐が温かければ・・・。
メッセージは書き込めないようだ(開場前に撮影したからかな?)。
栃木SCも昨年は同じようなことをやってたなあ。
小さなことからコツコツと。
こういうことはありがたいよねー、ビギナーには。
取材先で「取材に来ていただきありがとうございます」と言われたのは初めじゃないかな?
運営の方は皆、温かかった。
全体的に少し「熱」が感じられなかったのは、まだ温まっていないからかな。
でも、このクラブにはポテンシャルがあると感じさせたのは、やはりかかわっている人の人柄がいいからだろう。
強くなるよ。
開場して間もない頃の一枚。
キックオフ後に訪れる人も案外、多かった。
メイン中央は埋まってたぞ。
代えが効かない存在。
落合正幸不在のゲームは未勝利。
といっても流通経済大学戦だけなのだけれど。
若手ボランチの奮起が望まれる。
熱い!!
あれだけで終わっては意味がない@栃木SC通信
2008年6月10日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対ニューウェーブ北九州戦@栃木SC通信
2008年6月 9日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:2-2。石舘先制。追いつかれ、高安ゴールで突き放すも、不可解なPKで同点に。点の取り合い。
後半:0-1。
ファイナルスコア:2-3。
後半、開始早々に石舘ゴールで勝利。
順位:首位(勝点35)◆2位:HondaFC(勝点34)
※お疲れ様でした。オオツカ、グロッキーです。疲労度が凄まじい。北九州取材から帰宅してレポート&コラムは難しいようです。申し訳ない。明日、アップしますので。軟弱だ・・・。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年6月 4日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
カターレ富山戦では左瞼に青あざ。
SAGAWA SHIGA FC戦では脳震盪。
DFラインの前で体を張り続ける。
落合正幸の不在は守備力低下を招く。
若手ボランチの奮起が望まれる。
アップから気合入りまくり。
南コーチじゃなくて佐藤悠介が、ね。
持ち味の力強さが見られるようにはなったが、本人も我々も欲しているのはゴール。
大爆発してもいい頃。
勇ましい。
集団のリーダーに相応しい。
劣勢だっただけに、先制弾は価値あり。
思い起こせば昨季の対三菱水島戦でも絶妙なトラップでDFを振り切っている。
本人は謙遜するがトラップも下手ではない。
丁寧な挨拶から人柄が滲み出る。
ファンサービスを怠らないところは、さすがである。
臨機応変にプレーできないといけない@栃木SC通信
2008年6月 3日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対SAGAWA SHIGA FC戦@栃木SC通信
2008年6月 1日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:1-0。
後半:1-1。
ファイナルスコア:2-1。
上野のゴールで勝ち。
得点者:高安亮介、上野優作(栃木SC)、米倉将文(SAGAWA SHIGA FC)
順位:2位(勝点32)◆首位:HondaFC(勝点33)
※マッチデーを読んで頂きありがとうございます。風邪を治すためにレポート&コラムをさくっと仕上げたいと思います。
プレーバック:対SAGAWA SHIGA FC(旧・佐川急便SC)戦@栃木SC通信
2008年5月31日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
試合中に見せる険しい表情はそこにはなかった。堀田利明は満面の笑みを浮かべた。前期第7節、対アローズ北陸戦終了後、JFL新記録となる80試合フルタイム出場記録を樹立(現在も記録更新中)。そのセレモニーが約1ヶ月遅れで執り行われた。プレゼンターの甥っ子は恥ずかしそうに花束を渡し、受け取った堀田の顔は自然とほころんだ。雨上がり、快晴の空の下、和やかな、温かい空気が試合前のスタジアムを包んだ。
4月8日のアルテ高崎戦以来、栃木SCはホームゲームでの勝ち星から見放されている。栃木市ではアローズとドロー、足利ではFC岐阜、ロッソ熊本に敗れた。久しぶりに戻ってきた県グリーンスタジアム(宇都宮)で勝ちに飢えているサポーター達に白星を届けるべく首位・佐川急便SC戦に挑んだ。
「ホームゲームだし、シュート数が少ないからアグレッシブなサッカーをしようと前に人数を置いた」と4バックから3バックへシフトした意図を説明した高橋高監督。後半途中から使用することはあったものの、スタートから今季初となる3―6―1の布陣はGK原裕晃、3バックに山崎透、谷池洋平、照井篤、ダブルボランチには堀田と種倉寛、左ワイドに片野寛理、右ワイドに小林成光、2シャドーに西川吉英と横山聡が配され、ワントップには山下芳輝が入った。種倉は今季初先発、山崎は通算100試合出場のメモリアルゲームとなった。
昨季、2位の佐川急便東京SC(佐川東京)と3位の佐川急便大阪SC(佐川大阪)が合併し誕生したのが佐川急便SC。得点王を獲得した佐川東京の大久保哲哉は柏レイソルに移籍したものの、その穴を御給匠、嶋田正吾、堀健人の3人がきっちりと埋め、11試合消化時点でのゴール数は29と爆発的な攻撃力を誇り、加えて失点7はリーグ2位タイと攻守両面で安定した数字を残している。ゼロからの立ち上げたに等しいチーム状態ながら見事なまでに融合に成功。トップを快走している。フォーメーションは4―4―2を採用した。
立ち上がり10分は互角の展開。12分に佐川急便はサイドチェンジから中村元が、栃木SCはカウンターから横山聡が共に絶好機を迎えるも、両チームのGKが美技を披露したことでゴールには至らなかった。
「高い位置からプレスを掛け、ボールを奪い、栃木のセカンドボールを拾うように。中盤の運動量は多くなるが走り負けないようにしよう」(中口雅史監督)
栃木SC3バックの面子が昨季と同じだったことから(実際には横山寛真が谷池に変わっていた)佐川急便の戦略に大幅な変更はなかった。長身の御給は堅実なポストプレイを心掛け、その周囲を衛星のように小柄な中村が動き回り、堀と嶋田の両サイドハーフは3バックのウイークポイントである両端のスペースに幾度も侵入した。攻勢に立つとスピード豊かなサイドアタックを繰り出し、次々にクロスを上げる。縦パス一本に飛び出した中村の折り返しを嶋田がフィニッシュに結び付けるなど持ち味を発揮した。
そして、前半22分、バイタルエリアで種倉からボールを掻っ攫うと、すぐさま右にはたき中村のクロスを御給がヘディングで合わせて先制。得意のカタチからあっさりと先手を取った。「失点に結び付いたのは自分のミス。チームに迷惑をかけた」と沈痛な面持ちの種倉。続けて「3―6―1にしたことで中盤の6枚でボールを引き出してサイドチェンジや効果的なパスを送りたかった。(自分達が)引いてもボールを引き出して展開できればよかったが、相手のプレスもあり回らなかった。試合勘が足りず、出場しただけで仕事をしていない。申し訳ない」と口をついて出てくるのは反省の言葉ばかりだった。
負ければ勝ち点が10に広がる正念場の一戦。「職人」の異名をもつ種倉の妙技と経験に懸けた起用だったのだろうが、本人も言っているように“試合慣れ”していなかったことで低調なパフォーマンスに終始した。もちろん高橋監督はある程度の計算が成り立つがゆえに選出したのだろうが、取りこぼせない試合で使うには“今季初スタメン”はリスクが大き過ぎた。閉塞感を打破するどころか、悪循環の一因となってしまうことに。
ダブルボランチが組み立てに加われなかったことで、序盤はワンクッション入れて供給されていた背後へのボールもDFラインから一発狙いの単調なものになってしまう。オフサイドに引っ掛かるも、鋭く裏を突く攻撃は嫌らしかっただけに、ボールを蹴ってしまったことは自らの首を締める行為だった。守備組織を整えた佐川急便に、手の内が分かりきったロングボールが通用するはずがない。中盤は省略され、全く試合を作れない。FKからPボックス内で西川が胸トラップからボレーシュート、堀田が直接ゴールを狙うも相手を慌てさせられなかった。
ハーフタイムに高橋監督は「前半の失点を忘れて前3枚は流動的に、高い位置に起点を作り、フィニッシュに繋げよう」と指示を伝え送り出した。しかし、ピッチをワイドに利用し、クサビを打ち込んでからサイドに起点を設けたのは皮肉にも佐川急便だった。サイドでのイニシアチブを握られたことで、両ワイドの片野と小林は押し込められ、守備に追われた。「サイドバックが縦を切り、サイドハーフがケアにきた。ボランチのフォローが足りなく、DFにボールを戻してしまった」と小林が言えば、片野も「山崎からボールを引き出せず、もう一つ早いタイミングでボールをもらえれば前に行けた。DFにとっては出し難い状態だったかもしれないが、信じて出してもらいたかった。ボールを受けられればなんとかできた」と複雑な心境を吐露した。イメージの共有が図れなかったことで、3―6―1のストロングポイントであるサイドアタックは鳴りを潜めた。
絶えず動きながらボールを受け、中央とサイドの2方向から攻撃を仕掛けた佐川急便は、守り方も巧みだった。局面、局面で数的優位を作り出しては前を向かせることなく、行く手を阻んだ。特に山下への密着マークは徹底していた。ボールを収めさせないように必ず体をへばりつけては自由を奪った。惜しみない前線からのプレスも止むことなく、苦し紛れのロングボールを誘発させた。攻撃面ばかりがクローズアップされるが、守備力も高かった。
起爆剤として高秀賢史(横山聡アウト)、金子剛(小林アウト)、茅島史彦(片野アウト)を投入するが、全体が噛み合っていないことから流れを変えられなかった。逆に途中投入の竹谷英之に2度も右サイドからクロスを入れられ御給、嶋田にゴールを脅かされるなど、3バックはPボックス内での間一髪のクリアを余儀無くされた。ようやく、ロスタイムに茅島のチャンスメイクから金子がゴールに迫るも、ヘディングシュートは枠を捉え損ね、ニアサイドへの低いグラウンダーのボールは触るだけでよかったのだが「軌道を変えようとしたが上手くいかなかった」(金子)。
逸機したことによる大きな溜息をかき消すように終了のホイッスルは吹かれた。前半の先制点がそのまま決勝点になり、佐川急便が逃げ切った。勝ち点3を上乗せし、がっちりと首位をキープした。栃木SCはホーム3連敗。「ホームで負けることは、アウェーで負けることと全然、違う。J昇格へ向けて県全体に水を差してしまった」とゲームキャプテンの西川はうな垂れた。とうとう勝ち点差は二桁の10にまで開いてしまった。絶望的というには早計かもしれないが、優勝するには限りなく困難な状況に追い込まれた。既に脱落したと言っても過言ではないかもしれない。
「どうにもならないという気持ちはなかったが、チャンスを生かせなかった」。試合を振り返っての高橋監督の弁である。確かに蹂躙されたロッソ戦ほどの深い傷跡は残らなかった。精神的なダメージは思ったほどではない。それほど打ちひしがれることもなかったのではないか。それは、「個々よりもチームがバラバラにならずにやれているか、やれていないか。僅かな差かもしれないが、そこが大きい」と片野が話したことに起因しているのではないか。ゴールの匂いは皆無に等しかったが、それでもなんとかなるのではないか、と微かな期待を持てたのは個の力量の優劣が小さかったからだろう。ただし、個で圧倒されなかった代わりに、組織、チームとしての差をまざまざと見せつけられたが。既存の選手と新加入選手を高レベルでミックスさせて今季に臨む、という克服すべき課題は一緒であったが、チームとして体を成していた佐川急便に比べて、栃木SCは熟成具合が目に見えて劣っていた。
「センターFW、ボランチ、30番(久保田勲)といい選手がいるので、後期は嫌な予感がする」。スコアは0―1と僅差ながら内容では完勝した敵将の世辞は、社交辞令以外の何物でもなく、余裕の現れだった。
JFL前期第12節 栃木SC0―1佐川急便SC @栃木県グリーンスタジアム 観衆2449人
〈佐川急便SC〉GK森田耕一郎、DF旗手真也、冨山卓也、影山貴志、高橋延仁、MF堀健人、加納慎二郎、山根伸泉、嶋田正吾、FW中村元(→竹谷英之)、御給匠
『逆行』
首肯はしない。当然である。認めてしまうことで全てが崩壊してしまう恐れがある。指揮官の一言は多大なる影響力を持つ。波及効果は小さくない。いたずらにチームを動揺させてはいけないとの配慮もあるのだろう。
「蹴るサッカーは狙っていない」
ここ最近、高橋監督が会見で用いる常套句である。
意図とメッセージ性に乏しいロングボールを闇雲に蹴ってしまっている現状を肯定することは決してない。
しかし、単調なロングボールを主体としたサッカーに終始していることは、火を見るよりも明らかである。ダイレクトに言葉にはしないが、高橋監督も苦しい胸の内を間接的に打ち明けている。
改善すべき点、やりたいこと、打開策が次々と言語化された。
「シュートを積極的に打っていこうとしたが、もっと高い位置にボールを運ぶ回数が増えないと決定的なシーンを作れない」「サイドの高い所に起点を置き、相手がプレスに来たら裏にシャドーが飛び出すことができればシュートシーンが作れる」「背後とサイドのいずれか一辺倒になるのではなく、相手のライン形成、高さを見極めてやっていく必要がある。前が3枚の時には連動した動きが出ないと高い位置に起点が作れない」
志向しているのはパスを回すことでボールポゼッションを高め、サイドに起点を設けると同時に、センターFW山下芳輝のポストプレイを活かして中央から攻め崩すこと。これは当コラムでもくどいほど書いてきた。やろうとしていることは明確である。指針にブレはない。ところが、「言うは易く行うは難し」ということわざがあるように、頭に思い描いていることを具現することは簡単ではない。高橋監督は自らの理想と突きつけられた現実があまりにもかけ離れてしまっていることにジレンマを抱えている。思うに任せず目指しているサッカーが実現できないことにストレスを感じてもいる。
DFラインからビルドアップし、フィニッシュまで持って行く。これが理想とするカタチのひとつ。「DF3枚とボランチ2枚で高い位置にボールを運んで起点を作りたかった」(高橋監督)。GK原裕晃がキャッチしたボールを蹴ることなく、スローイングで間近の選手にフィードするシーンが好例だろう。低い位置から組み立てを図ろうとしていることが容易に理解できる。
では、現実はどうなのだろうか。遡ること2年前、3―4―3のフォーメーションを敷き若林学(現・大宮アルディージャ)が在籍していた頃のサッカー、いわゆるロングボールを単純に放り込み出たとこ勝負のリアクションサッカーに陥ってしまっている。つまり、前進するどころか逆行してしまっているのである。
「長いボールでいままでは抜けていたが、これからは難しくなる」。完敗したロッソ戦後に谷池洋平は、そう話した。「DFラインから前線へのボールは単調過ぎる」とは佐川急便SC戦後の片野寛理。代表して谷池、片野のコメントを引いたが他の選手も同様の考えを持っていることは想像に難くない。
ロングボールを蹴り込むだけでは厳しい、と。
そもそも、ワントップの山下芳輝は上背があるわけでも、ターゲットマンでもない。空中戦に長けているともいえない。素人目にも一目瞭然である。にもかかわらず、ボールは中盤の選手の頭上を通過していくばかり。勝ち切れない苛立ちから「得点力不足」「決定力不足」を嘆き、「3バックに戻した方が得策だ」、「4バックを継続すべき」などといった声も聞こえてくる。議論は大切だ。が、問題の根源はそれらにあるのではない。今季のチーム立ち上げ時に掲げたアクションサッカーができていないことこそが、足踏みの最大の要因である。
相手が存在するからこそ試合が成立するのがサッカーである。紅白戦でいくら思うような展開できても、実戦では想定外の出来事が起こり得る。その際に面食らうことなくケース・バイ・ケースで最善の選択をしなければならない。だから、一概にロングボールを蹴ることが間違いであるとはいえない場面にも出くわすだろう。それが、その時の最も効果的な攻撃手段であるならば、躊躇うことなく使うべきだ。だが、そうでない場合には、余裕があるにもかかわらずパスを繋ぐことなく蹴ってしまうことは最悪の決断となり、自滅への階段を登る行為に等しくなる。
佐川急便戦では「消極的なサッカーよりも攻撃的なサッカーの方が栃木のサッカーにマッチしている」(高橋監督)との考えから従来の4―5―1ではなく3―6―1にスイッチした。スピーディに、アグレッシブに、いい守備からいい攻撃を仕掛ける。特長である両サイドを活かし、イニシアチブを握りゴールを挙げるはずが、逆に混乱を生み出してしまった。そうなると、切れ味鋭いカウンターも打てるはずがない。
「チームメイト、戦術、システム。どれが悪いのか。正直、分からない」
小林成光は包み隠さずに困惑を口にした。深みにはまっていることが手に取るように分かる。まさに、迷走。
フォーメーションを変更しようと、メンバーを多少いじろうと、劇的な変化どころか、負のスパイラルから抜け出す望みは薄い。微調整ぐらいでは最早、どん底に近い状態を快方に向かわせることは困難だ。
チープな表現になってしまうが、リスクを冒す勇気がひとつのカンフル剤になるのではないか。結果はもちろん重要であるが、今は失われている自信を取り戻すことが先決。どこか他人任せのおとなしいサッカーを続けているようでは先行きは暗い。ビジョンは確立されている。実行に移すには何をすればいいのか、何をすべきなのか。再考する必要がある。そして、ひとり一人がアクションを起こしていかなければ。ピッチ内でも外でも。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年5月28日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
他チームのユニも意外に欲しかったり・・・。
でも、その年、最初にユニを買ったチームがかなり高い確率で優勝するとのジンクスを個人的に持っているので、やはり栃木SCのユニをそろそろ購入しなければと思っているが、遠征費に吸い取られているのが現実。
長良川に比べれば観やすい、かな。
こんな感じの兼用スタジアムが西川田に出来ると思うとゾッとする。
ゴール裏からの眺め。
特異な作りのスタジアムだった。
オーロラビジョンは客いじりが出来る。
望まれる設備ではある。
いずれは、ね。
シザーズを繰り返していた岡田佑樹。
今後、飛び出すかもしれない。
見逃すな!
こんな感じで止めまくり。
何度、助けられたか。
シュートを打つ意識を前面に押し出し、昨季王者に立ち向かおう。
熱い!!
ボランチのミスが多いとゲームが壊れてしまう@栃木SC通信
2008年5月27日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
プレーバック:対カターレ富山戦(YKK AP版)@栃木SC通信
2008年5月24日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
秋田わか杉国体関東予選、後期第8節の対佐川急便SC戦の雷雨延期により、栃木SCは実戦から遠ざかってしまった。そのことに関して柱谷監督は「延期で疲労がとれた。どこに試合(佐川戦)が組み込まれるのかが問題」と、特段、試合間隔については気にしていなかった。
変則的な日程により後回しとなった後期第7節。「引き分けは許されない。トーナメントのような気持ちで臨んだ」(小原昇)対YKK AP(以下、YKK)戦の陣容はGK原裕晃、4バックの並びは左から片野寛理、山崎透、照井篤、高野修栄、中盤はボランチに堀田利明と米田兼一郎、左ワイドに小林成光、右ワイドに只木章広、2トップには上野優作と小原昇が起用された。
前節、横河武蔵野FCを5―1で蹂躙したYKKは、ただいま3位。そのうち2ゴールを挙げたDF濱野勇気は出場停止だったが、朝日大輔、牛鼻健、長谷川満のベテランアタッカー陣は健在。しっかりとスタメンに名を連ねた。
入りの10分は上々。左サイドの小林を軸にサイドから組み立てを図れた。が、Pボックス内のルーズボールを、FW猿田浩得にクロスバー直撃のシュートを浴びたあたりから、リズムに狂いが生じる。引っ掻き回したのは162cmと小柄な猿田だった。
「照井クンと山崎クンの高さをすり抜けたい。うちの高いトップ(長谷川)の間もすり抜けたい。ドリブルも得意なので間を突きたかった」
猿田を先発させた意図をYKK楚輪博監督は、そう語った。バイタルエリアで小刻みに動き、マークが掴み難いポジショニングは絶妙だった。狙い通りの動きからチャンスメイクし、ゴールを脅かしもした。「14、はっきりしろ!!」。堀田の怒声である。捕らえきれず、アクセントをつけられていたことが理解できる。とにかく、元愛媛FCの14番は厄介だった。
攻守が切り替わる。前線に人数を割き、時には最後尾を2人にするリスクを冒す。ゴールを割るには十分な人数が揃うも、アイディアとオフ・ザ・ボールの動きが不足した。サイドにボールが入っても手詰まりに陥る。また、YKKのリトリートが速かったこともあるが、“各駅停車”のビルドアップが拙攻を重ねる原因に。横パス、バックパスが頻発。プレッシャーを受け、守備陣形が整っているところに苦し紛れの放り込み。壁に穴が開くはずもない。あまりにもナイーブなボール回しだった。
栃木SCは只木のクロスから小原が左足、YKKは星出悠のクロスから猿田がヘディング、と互いに好機は作るもゴールネットは揺らせなかった。
只木のクロスを口火に、小原のループシュート、影を潜めていた片野のオーバーラップ、と後半の立ち上がりからアグレッシブになった栃木SC。
「後半はボールが繋げるようになり、4―4―2の優位性が出せた」(栃木SC柱谷幸一監督)
サイドを有効活用し、ゴールを生んだ。高野の右クロスを中央で小原がダイビングヘッド。待ち焦がれたFWのゴールが決まった。それは、柱谷新体制となってから初めてのことであった。
先制点で付いた勢い。そのままの流れで追加点を奪う。またしても小原が。GK中川雄二とDFでもたついた間に只木と上野が襲い掛かる。「自分も行かなければ」と連動した小原に、DFは気が付かなかった。ボールを掻っ攫いGKとの1対1を難なく制し、ゴールに流し込んだ。
「FWが点を取っていない。チームとしてよかったのでは」という一方で、「正直、移籍してきてプレッシャーや責任を感じていた。点を取れたことで自信になり、ホッとした」。心地好い疲労を感じながら、小原は胸を撫で下ろした。責務を全うしたことで。
「2点取ったからよかったんじゃないですか」。柱谷監督は報道陣の笑いを誘ってから、「小原は補強で入り、結果を出したかったと思う。本人も我々にもよかった」と、一転して真剣に評価を口にした。愛弟子の活躍に顔はほころんでいた。
畳み掛けた栃木SC。とりわけ先制後、すぐさま手にした2点目は大きかった。2点のアドバンテージが得られれば、リーグ最少失点のDF陣が耐えきれるからである。猛攻に晒されるも、窮地は一度きり。FKからトリックプレイに引っ掛かりそうになっただけ。ここは、サイドネットに救われる。
ゴールは最良の薬だった。劣っていたモビリティでも引けをとらなくなる。人もボールも活発に動くようになる。前線からのフォアチェックが機能し、全体のプレスの掛かりも格段によくなった。堅守速攻に徹したことで、やりたいサッカーが明確になったことも小さくなかった。
前期の対戦では立て続けに失点、終盤に2点を返して辛くも追い付いた。それをそっくりそのままやり返される雰囲気を醸し出させない安定感があった。柱谷監督は「プレッシャーをかけられても、もう少し上手くかわし、前に来たら裏を使うなどできればよかった」と苦言を呈したが。それでもロスタイム2分をやり過ごし、勝利を収めたことで「3位の相手にホームで2点を取って、勝てたことは大きい」と勝ち点3の意味を述べた。
結果論になるが汚辱に塗れたロッソ熊本戦からの3週間は、栃木SCにとってメンタル面でプラスに作用したようだ。悪夢を払拭するには程よい期間ではなかったのだろうか。
敵将は言った。「前半は五分五分だったが、後半は完敗だった。(小原の1点目には)栃木のサポーター、現在の立場がシュートから感じられた。頭から突っ込んでいく、ダイビングヘッドからは気持ちが伝わってきた。私としては痛いのですが・・・」
続けて「1点取ってから、もの凄い声援だった。(ボクは)Jリーグを経験しているが、Jに近い声援とバックアップがあった。サポーターの迫力には完敗でした」
気迫のこもったプレイと大歓声に脱帽していた。素直に負けを認めるところは、敵将ながら好感が持てる。
さて、もうすぐ夏休みが終わる。それは学生だけではなく、少なからず栃木SCにも影響する。只木、高安亮介、山崎、片野など教員組が昼のトレーニングに参加できる回数が限られてしまうからである。調整を図るにしても限度がある。先の4人は国体メンバーでもある。プライオリティがどちらに置かれるかは判然としない。「こういう時に、お金をもらっているプロが奮起して9月以降、頑張って欲しい」。指揮官は控えに甘んじているプロ選手に檄を飛ばした。
1敗も許されない過酷な状況。乗り切るにはチームとしての総合力が問われる。そこには、メディアもサポーターもフロントも含まれる。突き付けられた現実は厳しいが、まだ昇格に向けての運は僅かながら残されている。例えばそれは今節、守備の要だった濱野が不在だったこと、試合後に御輿のように担ぎ上げられた心強いコールリーダーの復帰などからも伺える。
パッタリと止みそうだった追い風がまた、吹き始めた。
JFL後期第7節 栃木SC2―0YKK AP戦 @栃木県グリーンスタジアム 3633人
〈YKK AP〉GK中川雄二、DF堤健吾、川野毅、小田切道治、MF萩原洪拓(→石黒智久)、星出悠、黄学淳、牛鼻健(→景山健司)、朝日大輔、FW長谷川満、猿田浩得(→大西康平) ◆太字はカターレ富山所属◆
〈栃木SC〉交代:小林(→久保田勲)、只木(→高安)、上野(→山下芳輝)
『間隙を縫う』
YKK陣内に8人による1本のラインが引かれた。
栃木SCのマイボールになる。守から攻へと移行。その作業が非常に遅かった。上野優作と小原昇の2トップに加えて、両ワイドの只木章広と小林成光がゴール前に位置するも、守備ブロックを作らせる時間を与えたことで攻めあぐねた。YKKの4枚は栃木SCの4人に目を光らせていた。迅速な守備網の構築があったにしても、サイドにボールが入ってからが拙かった。そこから先がなかった。ふわりとした逃げのアーリークロスが供給されるも、あっさりと跳ね返された。
相手が3―5―2を採用すること、守備時に3―4―3の陣形を取ること、前からチェイシングしてくることは、事前のスカウティングで分かっていた。だから、今週のトレーニングでは4バックとダブルボランチで、プレスを掻い潜りながらボールを運ぶことを徹底した。
しかし、トレーニングと実戦は異なる。「FWとの距離が遠かった。クサビのパスを入れられず、バックパスをしてしまった」と高野修栄。思うに任せない。最後尾で上手くボールを回しながら、「引かれる前に速く攻めることに優先順位を置いた」攻撃はできなかった。
「ある程度やれた部分もあるが、やれなかった時にカウンターやチャンスを作られた。(ボールを運ぶ)イメージは持っている。相手の陣内に持ち込めもした。ただ、そこから先、チャンスを作れなかった」
ビルドアップに関して柱谷幸一監督は一定の評価をしつつも、攻勢に転じた時に単純にボールを蹴ってしまったことで不満も口にした。「待ち構えている相手にボールを入れても厳しい」。そこで、山崎透などに「繋いで食いついてきたらパスを出す。もっと繋げ」と指示した。後半開始8分に先制、13分に加点と連続ゴールがチームに勢いを付け、流れを変えたことは事実だが、単調なボールが減ったこともリズムを生んだ一因だった。恐れずにボールを相手ゴール方向へ持って行く。縦にパスを入れなければ、脅威とは成り得ない。
閉塞感が漂ってしまったサイドからの崩し。左サイドバックの片野寛理は「パススピードが遅く、互いの距離が近かった」ことを問題点として挙げた。改善するには意思疎通を図り、状況判断力を向上させ、サポート意識を高めることを強調した。2ゴールを叩き出した小原は「前半はチーム自体が悪かったが、FWの動き出しも悪かった。前線は、はっきりした動きが必要。そうすればボールが入る」と反省。そこで後半は「DF2枚がFW2人についていた。ボクが引けばどうなるか。上手くマークをぼかすことができた。引いたことで(小林)マサミツさんが内へ入り、皆もアグレッシブにできた」と、単に前に張り付いているだけではなく流動的に動くことで、全体を活性化させられたことを口にした。
5バック気味に守りを固めた相手を攻略する。容易ではないが、柱谷監督には具体的なビジョンがある。
「例えば(高野)修栄が高い位置でボールを持っても、3―5―2のワイドが対応したり、ボランチが寄せてくる。センターバックがずれてくることもあるが、そのずれた瞬間を上手く使う。修栄がボールを受けた時、只木や小林が斜めに走りボールを受けて起点になる。或いは小林が斜めに走ったところを使わないで、2トップにボールを入れてコンビネーションを駆使する」
ビルドアップ同様に選手間で、サイドからの切り崩しのイメージは共有されている。自分達がどうアクションすれば、相手がどのようなリアクションをしてくるのか。トレーニングでの確認事項には、常にそのことが組み込まれていた。反復することですり込みはできている。ただし、「イメージは掴んでいても、タイミングや技術やキックの精度が不足している」(柱谷監督)ことから、現段階では具現化が難しい状況にある。
4―2―4、時には2―4―4と前に厚みを持たせる。両サイドバックはオーバーラップを果敢に仕掛けることが期待されている。先ずは守備ありきのチームだけに、スロースターターのように映り、前半は力をセーブしているようにも見えるが、多少のリスクは覚悟の上で攻撃態勢を整えてはいる。それでも、ゴールがなかなか奪えないのは個々人の問題。技術と戦術理解度が柱谷監督の求めるレベルに達していない。
だが、指揮官は言う。
「JFLで3―5―2は特殊だったが、準備をしてやりたいことが出せた。いいトレーニングを積んで準備をして試合で出せれば自信になるし、トレーニングに対する集中力も上がる」
当然だが日々のトレーニングでできないことが、試合で発揮されるはずがない。攻撃のカタチは、守備組織を整備するよりも時間を要する。狙い通りにサイドから攻め立てるには、良質なトレーニングと時間が不可欠である。昇格の危機に瀕しているだけに時間的な制約はあるが、そこは学習能力を高めて補完するしかない。
“間隙を縫う”。自分達からアクションを起こし、相手を疲弊させ隙を突いてゴールを陥れる。白旗を揚げさせるくらいの逞しさが求められる。
プレーバック:対カターレ富山戦(アローズ北陸版)@栃木SC通信
2008年5月23日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
一際、大きな拍手が送られた。選手紹介で堀田利明の名がアナウンスされた時に。観衆は知っていた。前節、FC京都1993の藤原敬二の79試合連続フルタイム出場の記録に並び、アローズ北陸戦で90分間ピッチに立ち続ければ、歴史に残る大記録が達成されることを。
心配された雨も降らず、蒸し暑い陽気の中、栃木市総合運動公園陸上競技場には過去最多となる3473人が足を運んだ。堀田の偉業と勝利を祝う舞台は整った。
辛勝したソニー仙台戦から入れ替わったのは吉田賢太郎のみ。代わりに横山聡が先発復帰し、シャドーの位置に収まった。その他のメンバーはGK原裕晃、4バックは左から高野修栄、谷池洋平、照井篤、北出勉、ダブルボランチに堀田、山田智也、左に石川裕之、右に小林成光、センターFWに山下芳輝が起用された。
“栃木SCキラー”北川佳男がロッソ熊本へ移籍するも、愛媛FCのJ2昇格の立役者、永冨裕也を獲得したアローズ北陸。主力メンバーは大幅に変わり、フォーメーションも4―4―2に変更されていた。
栃木SC5勝1分け、アローズ3勝3分けと無敗同士の対決となった一戦。左サイドバックの高野が果敢に前に出る。サイドで優位に立った栃木SCは、左を起点に攻撃を仕掛ける。オーバーラップから高野はシュートを放った。昨季2戦2敗と苦杯を舐めた相手に対して、入りは上々だった。
ところが、15分を過ぎると雲行きが怪しくなり始める。「入りは良かったが、イニシアチブを握られ、アローズのリズムで前半の中盤を支配された」と高橋監督。徐々に効果的だったサイドアタックは鳴りを潜め、対照的にアローズが今度は左サイドを軸に攻め立てた。じわりと圧を強める。ワンツーからPボックスに今井大悟が侵入、谷池と原の連係ミスから山本英之が詰め寄り、渡辺誠はループシュートとゴールに襲いかかる。GK原の好守で事無きを得るも、立て続けに好機を作られてしまった。
相手陣内でボールを奪うも、「ゴール前まで行くが崩すシーンがなかった」と山下が言った通り、横山聡、山田がゴールに迫るシーンもあったが、決定機にはならなかった。ボランチが厳しいマークにあい、ボールを散らせなかったことで拙攻を重ねることに。「相手に合わせてボールを蹴ってしまった。ビルドアップができていれば・・・」と堀田は嘆いた。その堀田。前半ロスタイムに左足に持ち替えてからミドルを打つも、シュートは僅かにクロスバーを越える。記録がかかった試合でのゴール。ドラマティックな展開を望んだ観衆からは大きな溜息が漏れた。
前半の終盤に山本の枠内を捕らえた反転シュートをGK原が弾き出して難を逃れ、後半に立て直しを図りたかった栃木SCであるが、横山聡が2枚目のイエローカードをもらい退場させられてしまう。「0―0で折り返して、後半勝負」(高橋監督)のプランが崩壊。この退場劇で平常心を欠くことに。
浮き足立ってしまい、アローズに押し込められる。「ひとり少ない中で、勝利にどう導くか」。考えた末に高橋監督は茅島史彦、永井健太と攻撃的なカードを切る。更に「違和感なく、信頼してDFを3枚にした」と4バックから3バックへと布陣の移行をもした。リスクを犯して攻撃重視にシフトする。しかし、数的有利のアローズに茅島、永井が使えるスペースを消去されてしまい、戸惑いを見せた3バックが安定感を保てなかったことから流れを変えられなかった。
打った手が効力を発揮しない悪循環。今井、石田のシュートは枠を反れ、命拾いするも、ついに耐えきれずに失点を喫する。CKの流れの中から警戒していた永冨にリバウンドを決められる。「クリアしてこぼれたところでラインが上がっているはずなのに、上がっていなかった。ひとり少ない時点でセットプレイから失点してはいけなかった。意思の疎通が足りなかった」と谷池は臍を噛んだ。
混乱していたところに失点が上乗せされたことで、敗色ムードは一気に高まる。だが、「うちは退場すると負けない。ネガティブにはならなかった」と最後まで諦めていなかった堀田の執念がゴールを引き寄せた。
インターセプトしたボールを山下へと繋ぎ、途中交代の西川がGKのファウルを誘い、PKを得る。これを「最初から狙っていた。思いきり蹴って外れたら仕方がない」と山下が左上段へ突き刺す。開幕戦のPK失敗があっただけに、「プレッシャーはあった」が数々の修羅場を潜り抜けてきただけのことはある。萎縮せずに右足を思いっきり振り抜くあたりは、経験の成せる技であり、ハートが強い証拠でもある。
土壇場での同点弾。スタンドは爆発した。逆転の機運は醸成され、盛り上がりは最高潮に達した。クイックスローから山下のポストプレイを利し、西川がフリーでシュート。決定的だったが、GKの正面を突いてしまう。その瞬間、テクニカルエリアで高橋監督は頭を抱えた。敗色が濃厚だった試合を引き分けに持ち込めたが、あとひと押しが足りなかった。引っくり返せずに、勝ち点2を取り損ない、首位を堅持することはできなかった。
勝利で新記録に華を添えたかった堀田は、懸命に足がつっても走りきった。同点ゴールの起点になりもした。体が悲鳴を上げても、勝利を追及したが、ほんの少し届かなかった。
ロスタイム4分が経過。終了の笛が鳴り響き、80試合フルタイム出場記録は達成された。こみ上げるものがあり、観客席を見た時には「ジーンときた」。肩の荷が下りたことで安堵の表情を浮かべるも、「今年はJに上がることが目標。それに貢献することが大事。ここで感動しないで、J2に上がり感動したい」と“鉄人”はすぐに気持ちを切り替えた。そして、「今日は引き分けてすいません。次のホームでは勝ちます」と勝利を約束した。
JFL前期第7節 栃木SC1―1アローズ北陸 @栃木市総合運動公園陸上競技場 観衆3473人
〈アローズ北陸〉GK藤川康司、DF谷田悠介、橋元圭一郎、柳沢宏太、高向隼人(→西野誠)、MF上園和明、渡辺誠、今井大悟、松下和磨(→小林羊汰)、FW石田英之(→森本悠馬)、永冨裕也 ◆太字はカターレ富山所属選手◆
『我武者羅に』
特別、意識はしていなかったそうだ。「審判はフェアですから」。昨季、後期第11節、ホーム試合の出来事を問われた西川吉英は、さらりと応えた。
カウンターからスピードに乗った西川はドリブルで突進した。Pボックスの内側と外側の境目で倒される。絶好の位置でのファウル。あとはFK、あるいはPKの判断を主審が下すだけかに思われた。が、笛は鳴らない。そのままプレイは続行される。ボールを掻っ攫ったアローズ北陸は反転速攻を繰り出し、小林羊汰が決勝ゴールを叩き出した。
1―1の引き分けを善しとせず、あくまでも勝ち点3を手にするタメに、前に出たところを上手く逆手に取られた。見事な切れ味を見せた相手のカウンターを褒めるべきであるが、もしも、西川のドリブル突破がファウルと認定されていれば、勝利を掴めていた可能性もあった。過去を悔いても仕方がないが、忘れ難いワンシーンだった。
状況は酷似していた。スコアは0―1とリードされていたが、追いつき、追い越そうとする意識は、カウンターに沈んだ昨季の対戦時と変わらなかった。
試合終了間際、インターセプトした堀田利明から、ゴール前の山下芳輝へ縦パスが入る。山下のパスに鋭く反応したのは西川だった。背後へと抜け出す。果敢な飛び出しから窮地を救っていたGK藤川康司も前に出たが、西川の方が勝った。GK藤川はたまらずファウルを犯し、一発退場を宣告される。1年越しで西川はファールの判定を勝ち取った。獲得したPKを山下が豪快に蹴り込み、試合を振り出しに戻す。
「前に出るアグレッシブさがある。球際にも強い。最後にチャンスを作ってくれると信じていた」
ベンチにはエース吉田賢太郎も座っていたが、西川を起用した理由を高橋監督は、そう述べた。采配的中である。
ベンチから声がかかった際には0―0だった。高橋監督の元へと行った時には0―1になっていた。状況は暗転していたが、「なにがなんでもやってやろう」と心に強く誓う。後半28分、小林成光に代わり西川はピッチに立ち、「倒れないで自分でいきたかったが、シュートを打とうという気持ちがPKに繋がった」と決定的な仕事をした。「我武者羅に。自分のストロングポイントが出せた」。ロスタイムに絶好機をフイにし、勝利を収められなかったことから笑顔は見られなかったが、確かな充実感が伺えた。
サッカー人生を懸けてプロ契約を結んだ今季。トレーニングマッチの対鹿島アントラーズ戦、中央大学戦でゴールを決めた。リーグ戦開幕を前に結果を出したが、レギュラーの座を掴むには至らなかった。これまで7試合を消化して先発1、途中交代3とベンチを温める時間が長くなった。確約されていたポジションを失った。
腐ってしまってもおかしくはない。モチベーションを維持することは容易ではない。同ポジションの吉田賢太郎、横山聡は既にゴールを挙げており、焦りがないわけでもない。それでも、出場した試合ではアシストをマークするなど、必ず好機に絡んでいる。限られた時間の中で西川が期待に応えられているのは、「強い気持ちでやることしか考えていない。レギュラーでも控えでも変わらない」という確固たる信念があるからこそ。
ひとつしか用意されていない1.5列目の枠を3人で競い合う、ポジション争いは苛烈を極める。現在の序列を崩すことは容易いことではない。しかし、「チームもボクも1試合、1試合が勝負。機会があればアピールしたい」と西川は決して下を向くことない。むしろ、刺激的な環境で自分がどれだけ成長することができるのか、楽しもうとしているようにさえ映る。
厳しい生存競争に身を晒されたことで、西川はサッカー選手として一皮むけようとしている。吉田賢太郎も横山聡も安閑とはしていられないだろう。逆境を味わったものが、這い上がる折に発揮する力は尋常ではないからだ。
※対YKK AP戦は明日、アップします。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年5月21日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
凄まじいキャプテンシーを発揮。
拾いまくり、潰しまくり。
誰かのせいにしない。
佐藤悠介に負けず劣らず有言実行に感涙。
ど真ん中に居ると心強い。
ドリブル突進が見られるようになってきたことから、かなりコンディションが上がってきているのだろう。
TDK在籍時のパフォーマンスに近付いてきているだけに、爆発の予感が漂う。
上野優作とのセットプレー時の守備は頼もしい。
ほとんど2人で弾き返してるからね。
田村仁崇のふてぶてしさに驚愕。
物怖じしないメンタリティは大きな武器になるだろう。
正確なフィード、好きです。
勝利の立役者は試合後も大忙し。
強気な発言に、こちらが冷や冷や。
でも、頼もしい。
嬉しいの一言@栃木SC通信
2008年5月20日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対HonndaFC戦@栃木SC通信
2008年5月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-0。
後半:1-0。
ファイナルスコア:1-0。
得点者:石館靖樹(栃木SC)
痺れた。
順位:2位(勝点28)◆首位:横河武蔵野FC(勝点29)
※マッチデー読んで頂きありがとうございます。レポート&コラムは小休止後にアップいたします。お疲れ様でした。
プレーバック:対HondaFC戦@栃木SC通信
2008年5月17日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
就任直後、柱谷幸一監督は、こんなことを言っていた。
「中断期間前までになんとかしたい」
国体、天皇杯が挟まれることで1ヶ月近くリーグ戦が休みとなる。JFLのひとつの特色である。それまでに、(就任時)8試合も勝利から見放されていたチームの立て直しを図り、劣悪な練習環境などの整備にも着手することで、戦える集団への改革を推し進めるプランを思い描いた。基礎的な部分の工事を済ませ、上位陣と五分の戦いを演じながら、再開後に対戦する昨シーズンの下位チームから確実に勝ち点3を手に入れられるようにする。最終的には昇格最低ラインである4位に滑り込む算段でいた。ターゲットは4位。目標をより鮮明にすることで足並みを揃えた。
雷雨延期により9月末に組み込まれた佐川急便SC戦を除いたこれまでの戦績は、3勝3敗1分け。ひとつの区切りと見定めていたホンダFCとの一戦は、勝てば勝ち点で並ぶが得失点差で上回り順位は逆転。加えて中断期間と合間の首位・佐川戦を気持ちよく迎えられるか否か、という精神的な要素も絡んだ大事な試合となった。会場は栃木県総合運動公園陸上競技場。公式戦が実施されたのは2003年の対FC京都1993戦以来のことだった。
一戦必勝。左サイドバックのファーストチョイスである片野寛理を累積警告で欠いた栃木SCの陣容はGK原裕晃、DFには左から高野修栄、山崎透、照井篤、横山寛真、中盤の形成はボランチに堀田利明と米田兼一郎、左に小林成光、右に只木章広、上野優作と小原昇が最前線に並んだ。
前年度覇者もフォーメーションは4―4―2。守備の核である安部裕之が不在も、前期の対戦では出場機会のなかったエース新田純也がスタメンに名を連ねた。
左から右へ、右から左へ。サイドチェンジを意識的に織り交ぜながら、右の只木を起点にした栃木SC。序盤の15分、リズムは悪くなかった。戦前から意図した通りサイドから攻められた。それは、ホンダFCにも言えることだった。サイドバックとサイドハーフの連係がスムーズであり、チームとしてサイドの使い方を熟知していることで、劣勢を跳ね除ける。中盤の攻防では一進一退だったが、時が経つに連れてサイドの利し方が抜群であることから優位性を発揮する。そして、必然的にゴールが生まれた。
前半21分、右サイドで柴田潤一郎が切り返し、上げたクロスを新田がヘディングシュート。きっちりとサイドネットに収めた。左利きの柴田が右に配されることは情報として入っていたという。左足を警戒するように、と指示も出ていたが、ケアしきれなかった。「うまく周囲と絡んで突破し易いカタチを作り、起点になれた。特長を発揮してくれた」とホンダFC・石橋眞和監督が高評価すれば、「キープ力、クロス、スピードなど相手のワイドの方が、レベルが高かった」と柱谷監督も絶賛した。
「連動してグループを作らないと厳しい」(只木)
「圧力は感じなかったが、出し手と受け手の動きができなかった」(横山寛)
失点の影響を隠しきれなかったのか中盤の構成力が落ちた栃木SCは、全体の噛み合いが悪くなる。互いのフィーリングにズレが生じた。パスが繋がらない。精密機械のようである米田にもミスが目立った。簡単にボールを失う。手探りの、苦し紛れのパスが通るはずがない。上野のポストプレイは不安定だった。ボールが前で収まらない。単純な放り込みに逃げた。
リズムの乱れをホンダFCは見逃さなかった。今度は左サイドを攻略。クロスのルーズボールを西望実が滑り込みながら突き刺した。
まさかの2失点。自分達のサッカーが展開出来ない。苛立ちが募り始め、生命線であるコレクティブな守備は崩壊した。プレスが緩んだ隙を突かれる。ロングレンジから糸数昌太が振り抜いた左足はゴールネットを揺さ振った。前半だけで今季初となる3点を献上。
「一時的に中盤を厚くして守備を固めることを選択してもよかったかもしれない。1失点で堪えていれば・・・。試合状況を読んでの対応力や修正力を磨かなければならない」
只木は趨勢を決した3失点目を激しく悔いた。
後半の頭に柱谷監督は2枚のカードを切った。一枚目の高安亮介には「縦への突破から躍動感をもたらすこと」を、2枚目の久保田勲には「3バック気味にして高いところでプレイさせる」狙い。この交代は奏効した。3点のアドバンテージがあるホンダFCのプレスが弱まったにしても。期待に違わず高安と久保田が働いたことで活性化される。
イニシアチブを完全に掌握した。そこまではよかったのだが、さすがはホンダFCである。綻びをすぐに修繕する。浅めのライン設定によりスペースを消去した。コンパクトにされたことで高安の勢いは止み、久保田はサイドに張り出すも肝心のボールが届かなかった。久保田、只木、小原がパス交換し、途中出場の山下芳輝が反転シュートを繰り出すも、枠を反れていった。前後半、唯一の決定機をも決められなかった。
せめて1点でも。一矢報いることすら叶わず、にわかに信じ難い大敗を喫した。記録したシュートは僅か2本だけだった。
「(後半ロスタイムの)山崎の退場シーンが今日の試合を象徴していた」
黙考した末に発した柱谷監督の言葉である。常套句である「アラート(用心深く、機敏な)」を多用し、試合を振り返る。言葉を詰まらせながら。
「ボールが遠くにあるのにアラートな状態ではないから反応できない。アバウトな縦へのボールをカバーできない。いい準備ができていればクリアできたはず。守備も、メンタル面もアラートな状態でできなかった。球際でも尽く競り負けてしまった。1対1で激しくいけなかった」
また、「大事な試合で100%の集中力で入れなかった」ことを敗因のひとつとして挙げ、「色々と条件が異なろうとも強いメンタリティを持ち、タフに戦えるようにならなければ」と付け加えた。
小原は言う。
「今日のことを引き摺らない。(大敗の)影響はないが攻撃的になった後半にゴールを取れなかったのは課題だった」
勝利を得られなかったことはもちろんのこと、それ以上に攻勢に転じてから1点も返せなかったことが痛かった。敗れても次の試合に希望を抱かせる材料がなにもなかったことは、今後へ向けて不安をより一層かきたてる。ライバル達が足踏みをしようとも。
吹き始めた追い風が向かい風に変わるほどの完敗。今シーズンのワーストゲームと言っても過言ではない内容と結果だった。人生もサッカーも容易に事は運ばない。
JFL後期第9節 栃木SC0―3ホンダFC @栃木県総合運動公園陸上競技場 観衆5588人
〈ホンダFC〉GK川口剛史、DF堀切良輔、河住一仁、石井雅之、桶田龍、MF柴田潤一郎(→田阪祐治)、西望実、糸数昌太、土屋貴啓(→増田勝文)、FW鈴木弘大、新田純也(→川島大樹)
<栃木SC>交代:高野修栄(→久保田勲)、小林成光(→高安亮介)、堀田利明(→山下芳輝)
『下準備』
事前準備を入念に行う。柱谷新体制となってから際立つ特徴のひとつである。顕著な例としてアウェイでの対FC岐阜戦(2―0)が挙げられるだろう。スカウティングと緻密な戦略が勝機を手繰った。現時点での今季ベストゲームだった。
対戦相手も無策ではない。当然ながら策をろうしてくる。今回はホンダFCの方が一枚上手だった。用意周到な対策が3ゴールを導き出し、浴びたシュートが2本の無失点と完璧な守備を披露するに至った。栃木SCにとっては手痛い、今季最低の試合となってしまった。成す術なし。手も足も出なかった。
ホンダFC・石橋眞和監督は攻守において2つのテーマを掲げ、今週のトレーニングに臨んだという。1つは「カウンターから失点するケースが多いことからボランチとサイドバックの仕事の修正」。もう1つは「攻撃面でシンプルにスペースでボールを受けること」。
攻撃に比重を置きがちだったボランチには、アンカー(舵取り)の役割がこなせる西望実と糸数昌太を配し、バランスを保つことを心掛けた。「中盤でイニシアチブを取られた。トップに入った後のセカンドボールを取られてしまった」と只木章広。守備ブロックを作り、DFとボランチが上手く挟み込んだ。それにより、「2トップを抑えないと後手に回る。あそこにボールを入れるのを先ずは抑え、次の展開を防ぐ」(石橋監督)ことが可能となった。
コレクティブな守備をされたことで、上野優作と小原昇の2トップは消去された。共に放ったシュート数は0。対峙した石井雅之と河住一仁の両センターバックは屈強であり、なおかつバイタルエリアに注意を払われたことで思うようにボールを引き出せなかった。トップにボールを預ける。基本的な作業を阻止された。思惑にはまる。
右サイドバック堀切良輔のオーバーラップが、どれほどの威力を持っているのか。アウェイの都田で嫌というほど思い知らされた記憶が蘇る。ゴールラインを割ろうかというギリギリのボールからクロスを上げ、ピタリと味方に合わせた時には思わず唸ってしまった。しかし、アグレッシブなだけに、持ち場を留守にしがちになる悪癖も。それは、左サイドバック桶田龍にも当てはまる。そこで、功罪入り混じる攻撃参加に、「徹底したつるべの動き」を求めた。立ち上がりは栃木SCに分があったサイドの攻防も、気が付けば何時の間にかホンダFCが制していた。ダイナミックさを逆手に取れたのは、僅かな時間だけだった。
柱谷監督は「2対1で崩せずに物足りなかった。両ワイドの選手が大胆に、恐がらないで自信を持って高い位置で勝負して欲しかった」と嘆いた。サイドバックとサイドハーフのコンビネーションでは、明らかに見劣りした。小林成光と高野修栄、只木と横山寛真の意思疎通が不十分だったにしても、キーポイントだったサイドの綱引きで負けてはいけなかった。3失点中2点がサイドを破られてから。数字が雄弁に物語っている。
リードを得てからホンダFCは堅守速攻に切り替える。なるほど、パスはアバウトであり、栃木SCの守り方も拙かったが、常にフリーになれるポジションを取っていたことは動かし難い事実。カウンターから何度か冷やりとさせられた。スペースを突く。ゴールを取られる前後でも、狙い通りの攻撃を許していた。
ホンダFC戦への下準備としては、栃木SCも栃木トヨタカップ決勝で出場したFW全員がゴールを決め、高安亮介、久保田勲、横山寛を試すなどシミュレーションはできていた。チーム状態は上向きであり、感触は悪くなかった。情報も手に入れ、抜かりもなかった。それでも、勝ち点3を掴めないということは、「相手が強くなってきているので、伸ばさなくてはならない部分がある」(只木)ということだろう。
良質なトレーニングを入れ、情報戦で勝り、試合でもイメージを実践できる力が必要とされてくる。個でも組織でも。
プレーバック:対HondaFC戦@栃木SC通信
2008年5月16日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
いよいよ、か。期待は大きく膨れ上がった。前期第6節終了時、栃木SCは単独首位に立った。といっても、たった6試合を消化したに過ぎないのだが。にもかかわらず、今年はホンダに、分が悪い都田で勝てるのではないか。我々メディアも、一部のサポーターもそんな思いを抱いたのではないだろうか。悲願であった都田での勝利をJFLの卒業証書にしてJ2へ。淡い夢を抱いていた頃が懐かしい。あれから月日は流れ、栃木SCの情勢は暗転した。ホームで屈辱の3連敗。軽口を叩けるような状態に今はない。
首位・佐川急便SCとの差を縮めるどころか引き離され、組織としての成熟度の違いを見せ付けられた前節。爆発的な攻撃力を秘めた3―6―1は不発に終わった。迎えたアウェー、都田での対ホンダFC戦。「3と4の併用を考えている」と明言した高橋監督がチョイスしたのは4―5―1だった。一体、サイドアタックを特長とする佐川急便相手に敷いた3バックは、なんだったのか。あの敗戦は今後に意味をもたらすのか。試合前に疑問がむくむくと湧き上がった。
さて、栃木SCの陣容はGK原裕晃、4バックには左から高野修栄、山崎透、谷池洋平、北出勉、ボランチに堀田利明と小林成光、左に石川裕之、右に久保田勲、ワントップ山下芳輝の下には佐野智洋が据えられた。小林のボランチ、久保田のサイド起用は今季初の試みであり、加えて佐野も初先発の大抜擢。初めて尽くしだった。メンバーとポジションをいじることで、詰まっている循環を良好にしたい、との意図がひしひしと伝わってきた。
5勝4敗3分け。ホンダFCに大異変。誰もが目を疑う成績である。昨季の覇者は喘いでいた。新参者のFC岐阜を除けば、落とした勝ち点は全て下位チームばかりだった。特にホームゲームでは5戦して1勝しか挙げていない。また、対栃木SC戦で昨季2ゴール(ホームとアウェー)の2006年度JFL最優秀選手である新田純也はベンチスタート。中核を成していたDF向島満、FW鈴木滋は一戦を退いた。どん底の栃木SC、過去4敗2分けと大きく負け越しているが、ひょっとしたら。5月に入りめっきり萎んだ“期待という名の風船”を、少しばかり膨らますことが許される数字と要素があった。
開始4分、山下と石川が空けたスペースへと高野が飛び出した。オーバーラップからグラウンダーのボールを入れる。ファーサイドの久保田が詰めるもDFにブロックされた。フィニッシュに至らなかったが、アグレッシブな仕掛けだった。
高野の果敢な攻撃参加を契機に流れを掴みたかったが、ビルドアップのボールを狙われる。前線からのホンダのプレスは凄まじく、とりわけDFからボランチにボールが入るやいなや食い付いて来た。「ボランチの高めの位置」の小林は「中盤でパスを繋いでポゼッションを高める」目論みで起用されたが「即席だった」ことで餌食となる。低い位置から不要なドリブルをしては囲まれ、ボールを失い続けた。業を煮やした高橋監督からは「シンプルに(展開しろ)」との指示がDFとボランチに飛んだ。
執拗なチェイシングでリズムを生み出したホンダのカウンターが炸裂する。左サイドを駆け上がった桶田龍のクロスを増田勝文が合わせる。が、ここは間一髪で山崎がスライディングブロックで凌いだ。
攻撃では栃木SCの右サイド奥のスペースへサイドチェンジのボールを送る。守備では先ずボランチからのボール狩り。仕事がはっきりしていたホンダにイニシアチブが渡るのは必然であった。人もボールも活発に動き、右サイドバック堀切良輔は頻繁に前線へ顔を出した。柴田潤一郎は高い位置で堀田からボールを掻っ攫い鈴木弘大に繋ぎ決定機を演出した。GK原のファインセーブに阻止されるも、チーム戦術が遂行された象徴的なシーンだった。
面白いようにボールを回され、球際では競り負けていた栃木SCは堀田、石川、高野の3人で左サイドを攻略するも折り返しが弱く好機にならない。川島啓吾に攻撃の芽を摘まれ、中盤を支配されては劣勢に立たされる。それでも、山下の背中に目がついているのではないか、と思わせる芸術的ヒールパスに佐野が反応し、左からのセンタリングに石川が飛び込んだ。「とりあえず『決めないと』というより『打たないと』が先に来て、慌てた」と言うように、シュートは枠を外れる。「無理に当ててコントロールできなかった。枠に飛んでいれば、また違っていた」と絶好機を逃した石川は振り返った。
逸機し、またしてもゴール前でのミスから鈴木に枠内シュートを浴びるもGK原がキャッチ。逆にカウンターから久保田の右クロスを佐野がお手本のような叩きつけるヘディングシュートを放つがGK中村元が横っ飛び、CKの流れの中から北出もヘディングシュートするが浮かしてしまう。ゴールは割れなかったが、盛り返して45分を終える。
風上に立った後半。前半の余勢を駆って栃木SCは右からカットインした小林のミドルシュートを口火に、5本のシュートを打つ。試合前、コンセプトとして定めた「攻守における切り替えの速さ」を実行に移せたことが連続シュートの要因であった。
風下のホンダは浮き足立つことなく、ロングボールで背後を突く攻撃にスイッチしつつも、前からの圧は緩めなかった。堀田からボールを取ると柴田のスルーパスから鈴木、カウンターから鈴木が立て続けにゴールを脅かした。
若干、旗色は悪くなるも、立ち上がりの勢いは残っていた。トレーニングマッチの対筑波大学戦(8―0)でヒントを得た高橋監督は「FWもできるなと思った。迷いなく佐野と交代させた」と永井健太を主戦場のサイドではなく、シャドーに配した。「やり難い部分はあった」とは言うものの守備の負担が軽減された永井。持ち味である攻撃的な面が発揮される。「ゴールキックの時にわざと逆に位置していよう」と山下と打ち合わせし、「左から右へと大きく動くとフリーになれる」とのアドバイスを活かした。
久保田からパスを受けると右サイドを疾駆。ふわりとした「自分でもびっくりした」絶妙のクロスをファーサイドの石川に届ける。これを「ニアサイドで潰れようとしたが永井の顔が上がっていなくて、山下さんがニアで潰れてくれたのでファーへ逃げた。ボール、マーカー、GKが見えた」と石川は滞空時間の長いジャンプからヘディングシュートを突き刺した。先手を取る。永井が右へ流れたのは偶然ではなかった。裏打ちされた証拠があったのだ。
均衡が破れたことで試合は動く。軽い守備などで精彩を欠いた急造ボランチ小林を引っ込め茅島史彦を投入。この交代で左に茅島、石川が右に、久保田がボランチへ移動した。ホンダも増田と鵜飼宏長に代えて吉村和紘と川島大樹が入った。
吉村が左サイドをえぐり鋭いボールを供給すれば、永井も対抗して右サイドを突破してシュート、と互いのサイドは火花を散らした。活性化したサイドからゴールを得たのはホンダだった。前半とは打って変わりオーバーラップを控えていたのか、栃木SC陣内に侵入することのなかった堀切が突如、川島啓吾の裏へのパスに弾かれたように飛び出す。猛ダッシュでゴールラインギリギリのボールに追いつき、そのまま上げたクロスを川島大樹が頭で合わせて1―1とする。ラインを割ると踏んでいた栃木SCのマークは甘くなっていた。
同点とされるも、すぐさま突き放す。左サイド茅島からのグラウンダーのクロスを、永井がソフトタッチで落とし、山下がサイドネットに落ちついて蹴り込んだ。「ターンしてシュート」も選択肢とあった永井だが、より確実な山下にボールを譲ったことが奏効した。
失点直後にゴールが決まり、波に乗ったまま押し切りたかったところだが、ホンダの底力を見せ付けられることに。北出のサイドを何度も攻め立てられる。両足が攣っていた石川が下がり、フレッシュな片野寛理という手を打つも状況は改善されなかった。吉村を抑えきれない。猛攻にさらされ、青息吐息の栃木SCだったが、なんとか追加点を与えずにロスタイムまで漕ぎつけた。
だが、再三再四サイドを崩されていた吉村のCKから、走り込んできた堀切にゴールネットを揺らされてしまう。細心の注意を払っていたCKからマークのズレを突かれ、土壇場で振り出しに戻されてしまう。
「サイドを深いところまで何度もえぐられた。サイドハーフを代えても1対2と数的優位を作られ、背後を回られてはクロスを上げられた。あそこまで深い位置に入られ、使われるのは問題。リードしたら5分、10分、15分、残されていても相手にやられないようにしないと」
谷池は失点に至る前段階が拙かったことを指摘し、失点に関しては「自分のマークでなくともなんとかできなかったのか。周りに声をかけるとか。なんで最後にやられたのか・・・」と言葉を詰まらせた。
これまでも苦しめられてきた脅威の粘りにより都田での歴史的初勝利、そして勝ち点3は泡と消えた。上位3チームがいずれも勝利したことで勝ち点は、それぞれ2ずつ開いた。昇格ラインの4位に浮上したものの、他力で上がってしまったと表現する方が適切だろう。
「すいません」
高橋監督の第一声は謝罪の言葉だった。
「残念。JFLで上位を狙うならば(ドローは)よかった。我々は違う。J2準加盟クラブであり、Jへ行ける条件が揃っているのに勝負に勝てなかった。選手は一生懸命やってくれた。ボクの力が足りない」
振り絞るように喋るのが精一杯。
「本当にすいません。期待に沿えずに」
囲み取材の最後も勝ち点2を喪失したことを詫びた。土をつけられたFC岐阜、ロッソ熊本、佐川急便SC戦の試合後よりも、声のトーンは沈んでいた。それだけ、受けたショックが大きかったことが伺えた。
「ちょっと今日は切り替えられないです」
次に向けて気持ちを切り替えて、と取材陣に声を掛けられた谷池だが、首を縦に振ることなくロッカーへと引き上げていった。
JFL前期第13節 ホンダFC2―2栃木SC @ホンダ都田サッカー場 観衆728人
〈ホンダFC〉GK中村元、DF堀切良輔、安部裕之、石井雅之、桶田龍、MF川島啓吾(→土屋貴啓)、柴田潤一郎、糸数昌太、増田勝文(→吉村和紘)、FW鵜飼宏長(→川島大樹)、鈴木弘大
『勝ちパターンでも勝ち切れない』
ピッチに座り込んだ。両手で顔を覆いながら。ぴくりとも動かない。いや、動けなかったのだろう。俯いた表情からは悲壮感が漂っていた。目が腫れているようにも見えた。一旦、ロッカールームに引き上げ、再びクールダウンのためにピッチへと戻ってきても、高野修栄は同じ様に背中を丸め、胡座をかきながら数分前の出来事を思い起こしては後悔し、自責し、猛省していた。そこへチームメイトがひとり、またひとりと歩み寄る。高野を中心に輪ができた。ようやく、少し顔を上げてストレッチを行った。
昨季、天皇杯4回戦、対清水エスパルス戦(4―6の敗戦)を境に、栃木SCは残りのリーグ戦6試合を4勝2分けと無敗で締めた。その原動力となったのは、堅守を売りにした4バックだけではない。清水戦でブレークしその名を県民だけではなく全国に知らしめた永井健太であり、茅島史彦であった。彼等2人は“スーパーサブ”と呼ばれている。
以前、エース吉田賢太郎は、こんなことを話していた。
「途中交代は難しい。試合の流れがあるから。スーパーサブは特別な存在だと思う。重要な役割を担っている。状況が毎回違うのでスタメンよりも難しい」
先発が確約されていた昨季とは異なり、熾烈な競争下に身を置いている今季は途中出場も経験した吉田賢太郎。一発で形勢を逆転させるプレイをすることがいかに困難であるかを実感し、特異な人種に対して尊敬の念を抱きもした。
後半21分、永井イン。「紅白戦でもやっていなかった」1.5列目に配される。ポジションは不慣れでも、ボールに触ってしまえば、問題ない。何時の間にか右サイドに現れたと思ったら(この動きには裏付けがあるのだが後ほど)、先制点に結び付くクロスを供給して1アシスト。同点とされてから1分と経たない内に今度は山下芳輝直伝のポストプレイから、師匠・山下のゴールをお膳立てした。2アシスト目をマークした。Pボックス内の永井へロークロスを入れたのは、後半28分に送り出された左サイドの茅島だった。
試合を動かせること、変化をつけられることをものの見事に証明した。
永井のスピードと突進力、茅島の切れ味とテクニックを利してゴールを奪い、そのままリードを守り抜き、逃げ切ってしまう。昨季の終盤戦に構築された“勝ちパターン”である。
完璧にはまった。選手達は久方ぶりの勝利を体全体で表現し、遠路遥々、浜松まで駆けつけたサポーターと喜びを分かち合うはずだった。
ところが、である。「最後まで諦めないと警戒していたが、お家芸であるCKから取られた。悔しい」と唇を噛んだ高橋監督。ロスタイム、ホンダにCKから2―2の振り出しに戻されてしまう。勝ち点3は掌からするりと零れ落ちた。
勝ち切ることができなかった。喫した2失点に絡んだのは高野の対面の選手。ホンダの右サイドバック堀切良輔だった。1ゴール1アシスト。悔やんでも悔やみきれない。高野ひとりに非があるわけではないが責任を感じ、崩れ落ちるようにへたり込むのも無理はない。
一度は勝機を掴んだが、最終的に逸してしまった。“勝ちパターン”に持ち込んだはずだったのに。1分に満たないような、僅かな時間を堪えきれなかった。
結果がでない原因をDFリーダー谷池洋平は自己分析した。
「10試合以上やっているなかで『栃木のサッカーはこうだ』というものがない」。言い回しを替えて「土台に積み重ねがない。それがこういう結果(5月3日、対横河武蔵野FC戦での勝利から遠ざかっている)に繋がっている」とも言った。言葉が熱を帯びる。「勝ち切るサッカーとはどんなものなのか、と聞かれても・・・。カウンター主体なのか、ボールポゼッションを高めながら攻めるのか、守り切り勝つのか。見ている人にも説明が難しい。スタイルが確立していない」。
なるほど、勝利を呼び込めるカタチから2ゴールし、手が届きそうなところまでは持って行った。しかし、それを今季のメンバーが、チームが作り上げたものであるのか、ないのか。些細なところかもしれないが、その辺の意識が微妙に最後の最後で勝ち点3と1とを分けたのではないだろうか。突き詰めれば自分達のサッカーに自信を持ってやれているのか、いないのか、という一点に集約されるのだろうが。
「自分達のサッカーができれば負けない」とキャプテン北出勉は言う。では、自分達のサッカー、栃木SCが観衆をある程度まで魅了し、尚且つ結果までもが伴うサッカーとは。それは、例えば「相手に走り負けない」「気持ちで凌駕する」ということなのだろう。不可欠な要素である。忘れてはならない。
だが、再び谷池。「走る。頑張るのは当然。それ以外の連係など何が問題なのかを突き詰めないと」。開幕からの序盤戦は相手が相手だっただけに顕在化しなかったが、実力が拮抗、或いは優る相手と対戦したことで一気にボロが出た。
栃木SCのサッカーとは。やりたいことは明確である。理想もある。でも、見えない。見えてこないのが悲しいかな現状である。
※後期の回顧録は明日、アップします。
「山下さんがポストプレイをすることは、はっきりしていたので走った」
4-5-1の1.5列目に配された佐野智洋は真骨頂である豊富な運動量を武器に奔走した。中盤に下がってはボールを引き出し、山下芳輝が担うはずのポストプレイをこなしもした。サイドで詰まった味方のフォローにも駆けつけた。「ホンダの守備は切り替えが速い」と相手の特徴を熟知していたことで、負けまいとスピード勝負に打って出た。前半30分には中央から左サイドのスペースへ流れ決定的な折り返しのボールを石川裕之に届け、37分にはチームコンセプトである「攻から守。守から攻。切り替えの速さ」(高橋監督)を具現するカウンターから久保田勲の右クロスを頭で叩きつけた。惜しくもシュートはGKの好守に防がれるも、持ち味は発揮されていた。公式記録ではシュート1本となっているが、実際には後半も2本放っている。永井健太と交代するまでに打った3本は石川と並びチームトップだった。また、自陣の深いところまで戻って攻撃を阻止するなど守備でも貢献。「いい流れではない中で使ってくれた。『やってやる』との思いが強かった」。気持ちが、闘志が湧き出ていた。
那須スポーツパークでの今季初の紅白戦に佐野の姿はなかった。スタートから出遅れた。シーズン前に引いた風邪の影響は後々まで尾を引くことに。トレーニングマッチで実戦感覚を取り戻すことすらできなかった。昨季までエースナンバー9を背負い、ピッチに立ち続けた男はベンチ入りすら果たせない日々を過ごす。スタンドからの観戦が続いた。その間、チームはゴールデンウイーク突入と同時に不振に陥る。勝機に見放された。そこへ来て突然の先発起用。高橋監督曰く「筑波大学戦から体がキレていた。山下、横山聡とタイプが異なる。後ろへ抜けるタイミング、シュートを打つタイミングなど」を買っての今季初先発だった。面食らったのは栃木SC取材陣だけではなかった。主催のホンダFC側も予想だにしていない事態に戸惑ったのだろう。ゴール裏の先発メンバーが並ぶボードに“佐野”だけが手書きだった。色々な意味で”サプライズ”だった。
「(前半の)ヘディングとチャンスを生かせなかったことは反省点。点を取って勝ちたかった」と悔しさを滲ませた一方、「押し切られた部分もあったが上から見ていたよりもいいサッカーができた。ボールが繋がり、攻撃のカタチが作れた」と手応えを口にした。
個人としてもチームとしても結果を出すことは叶わなかったが、ファイティングスピリットを前面に押し出したプレイは胸を打ち、特長である“泥臭さ”はチームの起爆剤となっていた。献身的な姿勢に対する評価は揺らがない。山下とのコンビも良好であり、違和感は全くなかった。スマートなプレイをする傾向にあったところへ打ち込まれた佐野というクサビ。それは高橋監督からのメッセージだったのかもしれない。忘却の彼方に葬り去られそうになっていたものを思い出させるための。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年5月13日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
穴を感じさせないように戦わなければならない@栃木SC通信
2008年5月12日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対横河武蔵野FC戦@栃木SC通信
2008年5月10日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:1-0。
後半:0-0。
ファイナルスコア:1-0。
得点者:林俊介(横河武蔵野FC)
暫定順位:3位(勝点25)◆暫定首位:横河武蔵野FC(勝点29)
いいところなく終了。
※ドッと疲れました。レポート&コラムはマイペースでアップしていきます。お疲れ様でした。
プレーバックおまけ:TM対横河武蔵野FC戦@栃木SC通信
2008年5月 9日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
開幕を待ちきれないサポーターがスタジアムに集った。その数、およそ450人。2、3年前の状況を知るものには信じ難い数字である。ホーム、アウェーを問わずに駆け付けるサポーター数人が寒さに耐えながら、来るべきシーズンに思いを巡らせて静かに選手の様子をチェックする。それが、これまでシーズン前の当たり前の光景だったからである。“異常”なまでの観衆の数からは、栃木SCの認知度が高まり(サッカー熱の高い足利という土地柄も影響しているのだろうが)、注目度がより一層増したことが伺え、加えて「今年こそJへ」という期待感も伝わってきた。千葉キャンプで3試合、昨日はJ1の横浜Fマリノスとトレーニングマッチ(TM)を行ったが、全てがアウェーゲームだった。つまり、対横河武蔵野FC戦が今年初めての地元でのTMであり、新チームのお披露目となった。「たくさん見に来てくれたのでゴールを見せたかったが、残念だった」と柱谷幸一監督。ゴールを奪っての勝利を早速、届けたかったが、思うに任せなかった。
前日からほぼ総入れ替えの栃木SCは、サテライトの選手が大半を占めた。スタメンはGK武田博行、4バックは左から入江利和、山崎透、川鍋良祐、赤井秀行、中盤はボランチに久保田勲と鴨志田誉、左ワイドに深澤幸次、右に高安亮介が配され、稲葉久人と坂本勇一が2トップで起用された。交代は以下の通り。武田→柴崎邦博(後半13分)、稲葉→石舘靖樹(同)、高安→小林成光、深澤→佐藤悠介、鴨志田→向慎一(後半32分)。
「多少ピッチが緩く、風も強かったので中盤でつけるパス、奪ってからの最初のパスでミスが起き、2トップに(ボールが)収まらなかった」(柱谷監督)
核と目されている選手はベンチに控えた。相手はJFLに属する横河。アピールするには十分な時間と機会を与えられた。しかし、好機をものにできなかった。立ち上がりに何度か素早い攻守の切り替えからゴールに迫るも、次第にトーンダウンしてしまう。選手間の距離が遠いためにボールが繋がらない。前線でボールを収められないから飛び出しやサポートに行けない。ボランチからの配球も少なかった。リズムが乱れた原因である。「ボールをつけてもらってからさばくことが全然できていない。できるように徹底しないと」。久保田は組み立てを図れなかったことを悔やみ、「自分の準備不足です。イメージは出来ていても、頭が追い付かない」と反省ばかりが口をついた。横河のひとつの特長であるロングボール攻撃には一度、冷や汗をかかされてから川鍋を中心に修正ができたものの、守から攻へと移行する際に中盤で何度も引っかかる攻撃面の微修正はきかなかった。効果的だったカウンターも鳴りを潜め、時間と手間が掛かってしまう。DFラインからトップにロングフィードが入り、右の高安がドリブルで仕掛け、上げたクロスをファーサイドで稲葉が頭で合わせた絶好機も、GKに阻止されてしまった。
アタッキングサードにボールを運べているのに勝負しないで逃げてしまう。ボールは中盤から最終ラインまで下がり、結局は苦し紛れのロングボールを蹴っては拾われてばかり。その繰り返しに不満を抱いた柱谷監督からハーフタイムに指示が出る。
「アタッキングサードに入ったらクロスを上げ、トップにつけてから3列目が入っていく。ゴールに直結するプレーをしないと点は取れない。思いっきりボールを入れて行こう」
相手のDFラインに張り付いていた2トップが機転を利かせた動きをするようになり、全体の運動量が上がるとボールの循環も改善された。2度も招いてしまった窮地を辛うて脱し、FWとして石舘が投入されてからは前にボールが入り始める。起点が構築されたことで流れを手繰った。その石舘が好機を演出する。右から出したパスを中央の深澤がスルーし、後方から走り込んだ鴨志田が左からシュートを放つ。DFを完全に釣った連動したカタチからのフィニッシュだったが、間一髪でカバーされ逸機してしまう。その後もショートCKから深澤とパス交換した久保田が突っかけ、Pボックスに侵入。フリーで右足を振り抜くが精度を欠いた。枠を大きく外れる。前後半90分でゴールネットを揺らすことは叶わなかった。
「勝ちたかった。90分のチャンスをもらえたのでアピールできれば・・・」
消化不良に終わった試合をそう振り返った深澤。歯がゆさはスタメンに名を連ねた選手全員に共通する思いだろう。
スコアレスの結果よりも個々のプレーに対してフラストレーションを感じながら、柱谷監督は90分近く選手がプレーできたこと、状態の悪いピッチでプレーできたことの2点を収穫とした。前線に怪我人が多いことで攻撃面のトレーニングを積めない点はマイナスだが、守備は計算が立ち、日程も順調にこなせていることから現段階では「イメージ通り」と語った。
トレーニングマッチ 栃木SC0(0-0、0-0)横河武蔵野FC @足利市
<横河武蔵野FC>GK金子芳裕、DF小山大樹、瀬田達弘(→熊谷寛)、大澤雄樹(→西口広海)、片山育男、MF太田康介、中島健太、遠藤真仁(→常盤亮介)、野木健司(→柳沢晶)、FW長沼圭一(→岡正道)、高橋周大
『俯瞰』
横浜Fマリノス、横河武蔵野FCとの連戦で、栃木SCが記録したゴール数は0だった。松田正俊など攻撃的なポジションの負傷者が相次ぎ、駒数が不足。必然的に守備に軸足を置いたトレーニングを行わざるを得なかった。その点を考慮すれば、ゴールを割ることができなかったのは致し方のない部分がある。3人目の動き、サイドバックとの絡みなど相手を困惑させ、攻め落とすコンビネーションは不十分であり、セットプレーの確認もしていない。ゴールを奪うための道筋がしっかりと描かれておらず、整備されていないのが現状である。それでも、柔軟な発想を持ち、「優位性」を生かせていれば活路を見出すことができた、と柱谷幸一監督は考えている。
横浜は3-5-2の布陣を敷いた。栃木SCは4-4-2。優勢に試合を押し進めるには、いくつかポイントが存在する。
「3-5-2の相手ではサイドバックが起点になり易い」(柱谷監督)
相手のサイドは1枚、こちらはワイドとサイドバックの2枚。自ずと数的優位が出来上がっている。使わない手はない。堅守を誇る横浜。中央からの攻略は難儀な作業である。それならば、サイドに起点を設ければいい。数少ないながらも左サイドを担った斉藤雅也と佐藤悠介は好機を生み出せた。一方で右の赤井秀行と小林成光は機能不全に陥った。比較的プレッシャーを受けずにボールを持てるはずの赤井。味方にマークが付いているにもかかわらず、回ってきたボールをすぐさま前方に出していた。誘き出してからパスを入れる。ドリブルで持ち上がって注意を引き付け、味方のマークを剥がしてからボールをつける。選択肢はたくさん用意されていたが、前へ前へと気持ちばかりがはやる。思考は停止し、相手に対処が容易なプレーに終始してしまった。せめぎ合いの中で「優位性」を発揮するはずのポジションが、逆に付け狙われ、ウイークポイントに成り下がってしまった。
4-4-2でがっちり組み合った横河戦。2トップがボールを収められれば、ワイドを利したサイドアタック、3列目からの追い越しが可能となったのだが、先発起用された稲葉久人と坂本勇一の2トップは前に張り付いてしまったことで、ボールの循環を詰まらせた。拙攻を繰り返した要因である。幾分か後半は改善されたものの、せっかく高さと速さに長ける2枚を配したのに、その「優位性」を損なわせてしまった。
「いい物を持っているが(自分の武器の)使い方(が理解できいない)。FWはボールを持っている味方、自分、パートナーと相手の関係を見てから動かなければならない。2人はボールを持っている味方と自分しか見えていない。FWですから結果的にゴールを取れていないのだから、評価として〇ではない」
柱谷監督はバッサリと切り捨てた。平面でのイメージしか持てていないから、俯瞰して刻々と変化する状況を把握できていない。自分がどこで受けたいのか。そればかりに固執するのではく、味方の動きを敏感に察知し、対峙するマーカーのポジション移動までにも気を配り、小刻みに位置取りを修正していく。コンパクトな現代サッカーでは個で局面を打開できる選手は数えるほど。いかに周囲と連動してシュート機会を作り出せるかが肝である。
経験と実績で勝る上野優作と松田が戦列に復帰してくれば、出場機会は激減する坂本と稲葉。生き残るために与えられたチャンスは多くはない。「ここ2、3試合が勝負だからな」と柱谷監督には言われている。重圧に蝕まれたのか、結果を求めるあまり、裏を付くことばかりに目がいってしまった。例えば一人が高い位置に張り出してDFラインを下げることで味方にバイタルエリアを提供する。例えば中盤に下りてきてマーカーを引っ張り出してくればギャップを生み出せる。横並びの関係ではなく、上下の縦関係を築けるように動けていれば、相手のラインを崩すことは不可能ではなかったはず。現に途中交代した石舘靖樹は柔軟にポジションを変化させることで、停滞していた流れを一気に好転させた。ポテンシャルに疑いはないが、基本的な部分の底上げが成されなければ横山聡、松田、上野を追い越せない。柱谷監督は稲葉、坂本の才能を伸ばし、戦力として使えるようにするために、録画したビデオを教材に広い視野を確保できるイメージを植え付け、トレーニングを課していく心積もりでいる。
横浜戦ではサイド、横河戦では2トップを上手く活用できなかったことが、無得点に繋がった。結果と内容に気を揉んでしまわないといえば嘘になる。しかし、開幕まで1ヶ月を切った時期に完璧にチームが仕上がっているよりは、顕在化した課題をひとつずつクリアしていく方が照準を合わせるには適している。まだ、騒ぎ立てるには時期尚早。じっくりとチームが出来上がる過程を静観したい。どんなシチュエーション、相手であろうとも「優位性」を保持できる逞しさを兼備できるようになることを願いながら。
『追試』
心中穏やかなはずがない。
横浜Fマリノスとのトレーニングマッチ。右サイドバックとして90分フル出場するはずが、赤井秀行は前半45分で引っ込められてしまう。周囲との良好な関係性を築けなかったことで、持ち場を荒らされ、全ての失点に絡んでしまった。交代出場したのは右ワイドが本職である高安亮介。その高安は身上であるスピードを生かしてタッチライン沿いを疾駆、守備では1対1の強さを発揮してアピールに成功する。柱谷幸一監督に「最大の収穫」と言わしめたほどの出来だった。
プライドは傷ついた。赤井は胸中を吐露する。「ショックでした」。
2試合続けての低調なパフォーマンスは許されない。高安に取って代わられる事態は回避しなければならない。柱谷監督から追試を言い渡された赤井。スタートから右サイドバックとして対横河武蔵野FC戦に臨んだ。
「前半はワイドと連携が図れず、今ひとつ。後半はできた」
前半13分。思い切って前に出るもクロスを供給するには至らない。その後、ビルドアップがスムーズにいかなかったこと、2トップにボールが入らなかったことで、オーバーラップを仕掛けるタイミングを見出せなかった。ただ、苦渋を舐めさせられた横浜戦とは打って変わり、レベルの違いこそあれ守備は安定していた。
「守備からしっかり入る。先ずは目の前の相手にやられない。マリノスは3-5-2のワイドが中途半端で捕まえ難かった。(横河は)4-4-2でのマッチアップだったので、整理して入れていた」(柱谷監督)
拙さが露呈した守備に関しては合格点をもらえた。破綻をきたすことはなく、一安心といったところだろうか。
しっかりと持ち場を守ることにプライオリティを置いた。それ以外にも試合前、心に決めていたことがあった。
「(横浜戦では)攻撃ができなかったので、攻撃の意識を高めた」
守備的と評される赤井だが、本人は攻め上がることも持ち味のひとつであると語る。横浜戦ではボールが回ってきたら兎に角、前にパスを出した。パートナーを組んだ小林成光とプレーで重なる部分があることが一因だそうだ。闇雲にパスを出しているだけでは味気ないし、敵にインターセプトを狙われる確率が高い。なにより、怖さがない。そこで一工夫、加えたという。
「ドリブルを入れたり、トラップしてから前へ(ボールを)入れたり、内側に切れ込んだ」
後半、チームがリズムを掴み始めると、赤井が敵陣に侵入する回数も比例するように増えた。一本調子だった攻撃に彩をもたらす。後半8分、外側から内へとカットイン。大胆にもドリブルでゴール前にまで顔を出した。プレーの選択肢と幅が広がった。
「昨日よりは上がることができたし、ボールにも絡めた」
攻撃でもある程度の手応えを得た。感触は悪くない。しかし、「相手のプレッシャーに慌ててしまう。最後のDFの仕方が悪い」と詰めるべき点もある。
岡田佑樹、高安とのポジション争いは熾烈だが、むしろ大歓迎だという。競い合える環境に身を置くことで自己を磨けるからだ。
「岡田さんも高安さんもスピードがあるが、自分もタイプは似ている。スピードとDFの1対1で負けないようにしたい」
自身の特長を武器に定位置を掴み取る。怪我から岡田が復帰しても、高安が存在感を示そうとも、易々とスタメンの座を譲るきは更々ない。
プレーバック:対横河武蔵野FC戦@栃木SC通信
2008年5月 9日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
岐阜は長良川競技場。米田兼一郎、片野寛理の2ゴールを守り切った栃木SCは、12試合ぶりの勝利を挙げた。と同時にそれは、柱谷新体制となってからの初勝利でもあった。5月3日の対横河武蔵野FC(以下、横河)戦以降、見放されていた勝ち星を手に入れた。
ひとつの勝利が悪しき流れを断ち切った。肩の荷が下りたことで安心感が芽生え、気が緩むのも致し方がないこと。久方ぶりの勝利をじっくりと味わっていたい。その気持ちは痛いほどに理解できるが、いつまでも余韻に浸っているわけにもいかない。戦いは続くのだから。
指揮官はトレーニングで感じ取っていた。「安心したことで強いチームになった気になっていた」と。チームに蔓延していた心の隙を見抜いていたのだ。 そこで、「次の横河戦で勝たないと岐阜戦の勝利は意味がなくなる。絶対に引き分けではいけない。勝たないといけない」とネジを締め直した。すると、選手達の口から「引き分けは負けに等しい」という言葉が聞かれるようになったという。
気持ちの引き締め、入れ替えに成功。アルテ高崎戦以来3ヶ月以上、遠ざかっているホームゲームでの必勝態勢が整った。連勝を狙う栃木SCの陣容はGK原裕晃、DFは片野寛理、山崎透、照井篤、高野修栄、中盤はボランチに堀田利明と米田兼一郎、左に小林成光、右に只木章広、2トップは上野優作と山下芳輝が組んだ。サッカーのセオリーに則る。前節からメンバーをいじらなかった。
後期に入り4戦4勝と負け知らず。ただいま、3位につける横河。好調を維持しているがDF瀬田達弘は出場停止、エース村山浩史も怪我によりサブに回った。攻守の要を欠いた。
「互いにコンパクトにやっていたので動きが少なかった」と、前半を振り返った柱谷監督。4―4―2同士(横河は4―5―1に近かったが)が、正面からがっぷり四つに組んだことで、膠着した時間が続いた。全体が圧縮されたことで、使えるスペースは限られてしまう。
序盤こそここ数試合、入りがスムーズな栃木SCが米田のミドルシュート、山崎がCKからゴールを脅かすが、ゴールは割れない。逸機するとラインを高く設定し、最後尾に4人を残した横河の守備に対して手詰まりに陥る。「目の前で回されていたので恐くなかった」と山崎が言うように守備は強固だったものの、攻撃では精彩を欠いた。
横河は得意とするロングボールに、前線からの素早いチェックを敢行。活路を見出そうとするも、4バックと中盤の4人が形成する栃木SCの2ラインを破れなかった。
横河はカウンターから池上寿之の右クロスをファーサイドで中島健太がダイビングヘッド、栃木SCはFKのこぼれ球から只木がボレーシュートを放つも、両チームとも終盤の好機を生かせなかった。
後半の頭、山下アウト。火曜日に京都サンガFCから合流したばかりの小原昇を投入する。その小原。いきなり度肝を抜くキックオフゴールを狙う。「(上野)優作さんと話をして、GKが前に出ていたので・・・自分の意気込み、自分(の気持ち)を持ち上げるために」打ったと意図を述べた。
残念ながら枠を外れるも、インパクトに残る栃木デビューを飾った小原。「前半、スペースに抜ける人が少なかった。裏に抜ければDFラインは引く。そうすればもう一人のFWがバイタルエリアを使える」と考え、果敢に背後へと飛び出す。動き出しは抜群だったが、肝心のシュートが決まらない。1、16分と絶好機を迎えるが、ゴールネットを揺らせなかった。しかし、フレッシュな小原の、アグレッシブな動きに触発されるようにチームは活性化された。前半は上野をターゲットにしていたが、一転して裏へのボールが増加する。ゴールへの意欲も高まった。
流れを引き寄せたところでゴールを得たかったのだが、自陣での緩慢なミスに加えて、足が止まったことでリズムを明け渡すことに。出足が鋭く、意外なほどにショートパスを繋ぎながら、ピッチを幅広く利した横河の攻撃に後手を踏む。更に「ルーズボールを拾えなかった。FWと中盤の距離が空いてしまった。中盤がDFラインに吸収された」(米田)ことで、状況は悪化した。
劣勢に立たされ、攻め手を見出せなかったが、途中交代の横山聡が猪突猛進。GKへのバックパスに食らいついた。フィニッシュには至らなかったが幾分か流れを呼び込み、GK原も枠内を捕らえたシュートを弾き出す。貪欲な姿勢と、好守がゴールを生んだ。
横山聡の右クロスにファーサイドで只木が詰めようとするも、マーカーの池上も踏ん張る。押し込めなかったボールは再び右サイドへと跳ね返り、ゴールラインを割りかけた。そこへ、突如として現れたのが米田だった。頭でプッシュ。先制点にして、決勝点を叩き出す。米田は2試合連続のゴール。「米田はストライカーっぽくなってきた」。試合後、関係者と談笑していた柱谷監督が本人に聞こえるように話す。それを聞いた米田は、照れ臭そうだった。「後半は盛り返したが、選手交代でいい流れを作られ失点に繋がった」と敵将・依田博樹監督は臍を噛んだ。
三度、巡ってきた好機を小原が逃し、左サイドを崩されてあわや失点のシーンを演出され、先制点の切っ掛けとなった深沢幸次(途中出場)の大流血騒動と、試合が終了するまでは慌しかった。それでも、ロスタイム3分を上手くやり過ごし、栃木SCがやっとこグリーンスタジアムで勝利を掴んだ。
バックスタンド、サポーターの目の前、メインスタンドと3箇所で数珠つなぎとなった選手とスタッフは万歳三唱。喜びを皆で分かち合った。スタンドで振られた内輪や掲げられたタオルマフラーは、打ち上げ花火のように綺麗で、これでもかというほどに黄色かった。
「非常に組織化され、リスク管理ができていることから、難しいゲームになることは予想していた」試合は、柱谷監督の言葉通り困難なものとなったが、接戦をものにしたことは小さくない。 「(横河との勝ち点が勝敗により)11か5か。その違いは大きい」(柱谷監督)からだ。 岐阜、横河と立て続けに上位陣を食した。これで次に控えるトップ2のロッソ熊本、佐川急便SC戦に万全の状態で挑める。
空中戦を尽く制した山崎は力強く語った。
「力のあるチームを抑えたことは自信になる。ゼロにこだわっていきたい。今日みたいな展開に持ち込めれば、勝てる」
JFL後期第5節 栃木SC1―0横河武蔵野FC @グリーンスタジアム 観衆3650人
〈横河武蔵野FC〉GK金子芳裕、DF大澤雄樹、立花由貴(→石川清司)、太田康介、小山大樹、MF中島健太、尹星二、野木健司、池上寿之(→村山浩史)、原島喬、FW大多和卓(→本多剛)
『二面性と柔軟性』
栃木SCは前後半で2つの顔を見せた。
4バックとフラットな中盤の4人が構築した2ラインに、FWが加勢することで守備ブロックをより頑強なものとする。間に入ってくる選手を挟み込み、奪ったボールは2トップの上野優作か山下芳輝の足元へ。懐の深いポストプレイからのリターンパスを足掛りに両サイドから攻め崩す。この前半45分間の試合運びに対して、横河武蔵野FC(以下、横河)・依田博樹監督はこんな印象を述べている。
「ポストプレイ中心のサッカーは(守る側としては)やり易かった。スピーディなサッカーが前半は見られなかった」
栃木SC同様に4バックを敷いた横河も、「先制点を与えないことを大前提に」守備から試合に入った。浅いライン設定、前線からの執拗なチェイシングと、全体をコンパクトにした守備戦術は機能した。攻めあぐねるのも無理はない。また、スピードを武器に攻める駒を揃えたわけではないことから、推進力に欠けるのはある程度、織り込み済みだったとも言える。
決して組し易い相手ではないことを分かっていながら、柱谷監督は不満を感じてもいた。
「2トップが下りたところでボールを取られていた。前にボールが収まらないと2トップの優位性が生かされない。『後半はもっと裏にボールを入れろ』と指示した」
修正を施す。上野と山下をターゲットに攻撃を組み立てることから、DFラインの背後を突くことに方向転換を図る。そのゲームプランを実行するために送り込まれたのが、後半のスタートから登場した小原昇であり、横山聡、深沢幸次の交代選手だった。
「オフ・ザ・ボールの動き方が持ち味」
小原は自身が語る特長を遺憾なく発揮した。代わり端、上野の落としたボールから絶好の得点機を逸しても、気にする素振りなど見せない。例え実らずとも繰り返し繰り返し、旺盛に背後のスペースを伺い、味方からボールを引き出した。
それは、相棒の横山聡も一緒だった。「小原の加入が、いい刺激になっている」と指揮官が話した通り、愚直にボールを追う。「平均的には物足りないが、突破力とシュートは相手を破る武器になる」と評された深沢は、前を向いて仕掛けた。小原の投入で風向きを変え、深沢がドリブルで突っかけ、繋いだボールから横山聡がロークロスを入れたことで、米田兼一郎の決勝ゴールが生まれた。狙った通りのカタチからゴールをこじ開ける。
前半の試合内容ではゴールを奪えない、と読んだ柱谷監督の英断は奏効した。試合の流れと相手の出方を読み切り、柔軟な対応を見せた。2トップをそっくり取り替えるという発想は、これまでにないものだった。修羅場を潜り抜けて来ただけのことはある。
0―1と惜敗した依田監督は言う。
「後半の方が嫌な戦い方をされた。栃木の勢いのあるサッカースタイルはやり難い」
表現こそ違うが開幕戦を戦ったFC琉球の吉沢英生監督も、同じ趣旨のコメントを残している。その他のチームの監督が口にし、警戒するのは大概が“スピード”である。主力と監督が変わっても、すり込まれている栃木SCのイメージとは、やはり縦方向へのスピードであり、アグレッシブさ、走り回ることなのだろう。安定感のあるサッカーよりも対戦相手にとって脅威なのは、スピードに乗った選手が次々と背後を突いてくる攻撃なのだ。
そのあたりのことを踏まえながら、柱谷監督は今後の展望を語った。
「堀田(利明)と只木(章広)がメッチン(米田)とゲームを作る。勝負所で2トップ、ワイドを入れ替えていきたい」
FWのファーストチョイスは上野、ボランチの軸は米田、最終ラインは4枚、2ラインによる堅牢な守備ブロック。失点を許さない手堅いサッカーにプライオリティが置かれることに変わりはない。負けが許されない状況なのだから。だが、思考を停止することはない。横山聡、吉田賢太郎、小原昇のFW陣、深沢幸次、本田洋一郎、金子剛などスピード系の若い選手を絡めることで、サッカーに幅を持たせていく腹積もりでいる。
相手の攻撃を跳ね返しながら機を伺う安定した守備ありきの組織的なサッカーと、リスクを冒しながら果敢にゴールを目指すサッカー。この二面性をケース・バイ・ケースで使い分けられれば、勝ち切れるチームに変貌することは不可能ではない。
僅か5試合の実戦で自分のカラーを打ち出し、結果を出した柱谷監督。改革は加速度的に押し進められている。
プレーバック:対横河武蔵野FC戦@栃木SC通信
2008年5月 8日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
前節、栃木SCはFC岐阜に、横河武蔵野FC(横河)はアローズ北陸に敗れたことで、ともに無敗記録はストップした。1敗同士、昨季前期9節で対戦した両者は、偶然なのか必然なのか、今季も前期9節で激突することになった。
これまでの対戦成績は8勝3敗2分けと栃木SCが圧倒している。
「連敗はできない。勝たないと上位に離される」(高橋監督)一戦。栃木SCは横山聡と吉田賢太郎を初めて組ませた。その他のメンバーはGK原裕晃、4バックは左から高野修栄、谷池洋平、山崎透、北出勉、中盤はダブルボランチに山田智也、堀田利明、左に石川裕之、右に高秀賢史を起用した。センターFWの位置を不動のもとしていた山下芳輝、右サイドの小林成光には休養が与えられた。北出、山田、石川が先発に戻り、山崎は今季初出場初先発となった。
エース小林陽介を筆頭に主力が抜けた横河武蔵野FCであるが、前期8節終了時点で栃木SCと勝ち点17で並びながらも、得失点で1上回り4位につけた。失点3という数字が戦力ダウンをしたと囁かれながらも、上位に顔を出している一因であることが伺える。先のトレーニングマッチでも守備の安定感は抜群であった。
序盤から積極的だったのは栃木SCだった。前から圧を掛ける。DFラインに、ボランチに。横河が得意とするロングボールの出所を潰し、封じ込めた。相手の長所を消し去る。この作戦は奏効した。
しつこいほどに追い立てられたことで横河はリズムを作り出せない。対照的に栃木SCはスピード勝負。「スピードの槍」横山聡、高秀が持ち味を発揮した。高秀が獲得したCKからはゴールを脅かしもした。チームの勢いが背中を後押ししたのか、キャプテン北出が堀田の横パスを受けると右足を一振り。ロングレンジから先制弾を突き刺した。一瞬の出来事に大挙して武蔵野市立武蔵野陸上競技場まで駆けつけた栃木SCサポーターも取材陣も、何が起こったのか把握するのに時間を要した。それだけ、意外性のあるゴールだった。「自分はゴールを決める選手ではない」と言いながら、「相手4バックが上がらないと聞いていた。立ち上がりからアグレッシブに打とう」とは心に決めていた。そんな北出の果敢な姿勢が実を結んだ。ちなみに北出は移籍後、嬉しい初ゴールとなった。
守備では2トップに連動するように周囲もプレスを掛け続け、攻撃では高秀を軸に裏を突く狙いが定まっていた。高野、山崎が危険なエリアでミスを犯した以外、前半はほぼパーフェクトな試合運びをした。惜しむらくはCKのリバウンドを高秀が左足で放った強シュート。ジャストミートしたが枠を外れた。本人も手応えがあったのだろう。悔しさを露にしていた。「あとは決めるだけです」。下を向いてポツリ。
ビハインドを背負っていた横河はスイッチを切り替えて後半に臨んできた。村山浩史が立て続けにゴールに迫った。流れを持って行かれそうになる可能性もあった時間帯、横山聡の追加点が生まれる。「DFは前に強いが裏にスペースが空くと分かっていた。狙い通り」。堀田のスルーパスに抜け出し、GKとの1対1では一旦はシュートを足に当ててしまうも、運良くルーズボールは横山聡の頭上に。ヘディングで難なく押し込んだ。 ゴール後に披露したパフォーマンスは自称“ゴリダンス(ゴリと呼ばれていることから)”。「これからゴールを重ねることで浸透させたい」と満面の笑みを浮かべながら冗談とも本気ともつかないコメントを残した。
リードを広げたことで、横河は意気消沈するかに思われたが、聖地・武蔵野陸上での今季初ゲーム(マッチデイより)は落とせないと、愚直なまでに自分達のスタイル――ロングボール主体の攻撃――を貫き通す。大多和卓がPボックス内でポスト直撃のシュートに反転シュート、瀬田達弘がCKからフリーでヘディングと、好機を作り出しゴールに襲いかかった。肝を冷された栃木SCは高秀が2本シュートを放つが決定力を欠く。
小刻みなステップからのドリブルで存在感を示し、栃木SCにとって最大の脅威であった大多和。後半17分に2枚目のカードをもらいピッチを去る。煩わしかった選手が抜け、数的優位になり、留めを刺したかったところだが、「退場者を出してもモビリティ(機動力)が上がりマークが掴まえ難くなることもある」(吉田賢太郎)と言う通り、一歩も引く気配のない横河に押し込められる。11対10になってから劣勢に回った原因を「やりたいことがちぐはぐだった。蹴ってきたからセカンドボールを拾うのに全体が下がった」と北出は分析した。ゴール前での対応が多くなる。
2点差をつけられても、数的不利になっても、自分達が築き上げてきたサッカーを継続させる。その気迫と執念に気圧された部分があったことは否めない。凄味さえ感じさせた横河。やりきる姿勢には脱帽である。
茅島史彦、西川吉英と交代カードを切り、悪しき流れを好転させ3点目を狙ったが、結局ゴールを割ることは叶わなかった。カウンターの機会が巡ってきてもスピードに乗りきれなかった感のあった吉田賢太郎。スタンドから何度もコールを投げかけられたが「残り20分あたりから両足がつっていた」ことで「サポーターの声援にも苦笑い」でこたえるしかなかったそうだ。期待されたゴールを決められなかったことで「自分でも残念だった」と唇を噛んだ。
「欲を言えば3、4点取れた。つめの甘さが課題」(高橋監督)。それでも、2―0と0に抑え、勝ち点3を確実に手にした。「ひとり一人がもう一回、優勝するには何をしたらいいのか考えた。敗戦から学ばないと。あれ(FC岐阜戦の負け)が『絶対に勝つ』という気持ちに繋がった」と北出。昇格するためには許されない連敗を、勝利への意欲、ひたむきに走り回るという原点に立ち返ることで食い止めた。
JFL前期第9節 横河武蔵野FC0―2栃木SC @武蔵野市立武蔵野陸上競技場 観衆1405人
〈横河武蔵野FC〉GK大石和夫、DF石川清司、瀬田達弘、太田康介、小山大樹(→片山育男)、MF本多剛(→中島健太)、池上寿之、原島喬、野木健司(→長沼圭一)、FW大多和卓、村山浩史
『徹底的に』
意思統一は図られていた。
出場停止明けの横山聡が、先発復帰した吉田賢太郎が、前線から激しくボールを追い回す。執拗にチェックされたことで横河武蔵野FC(横河)は、DFラインからロングボールを供給することが難しくなった。横山聡と吉田賢太郎の2トップは止まらない。苦し紛れにDFがボランチへと繋いだボールへも鋭く反応した。前にボールを運べない横河は、バックパスに横パスと、逃げるシーンが目立った。
「守備は下手ですけど、一生懸命に走ろう。DFラインとFWのラインが間延びしないように、2人で前線から追ってやろう」と吉田賢太郎が話せば、相棒の横山聡も「ロングボールを蹴らせないように、(吉田)賢太郎と自分でプレスをかけられた。コースを限定できた」と、してやったりだった。
相手の配球元を無力にする。その意味は事の外、大きかった。
遡ること約2ヶ月前。栃木SCは千葉合宿の総仕上げとして横河とトレーニングマッチを行った。日立栃木(関東1部リーグ所属)を皮切りに、ジェフ千葉、鹿島のJ1勢との対戦で勝利し、これまでの成果を確認するために同一リーグのチームと一戦交えた。結果(主力組主体)は1―1のドローだったが、内容は目も当てられない、惨憺たるものだった。終始、押し込まれた要因は明らかだった。ロングボール戦術にはまってしまったのだ。背後から次々とロングボールを蹴り込まれ、DFラインは辛うじて跳ね返すもセカンドボールを拾えずに、ズルズルとラインは後退し、面白いように両サイドから崩された。「サッカーになっていないよ」。高橋監督は顔を赤らめて憤慨した。「横河は例年、仕上がりが早い」(高橋監督)とはいえ、シーズン前に苦い経験をした。
全く自分達のサッカーができていない様子を、惨状をベンチから眺めていたのが横山聡だった。ラスト15分の出場に留まった横山聡は、「トレーニングマッチで後ろからロングボールを蹴られて、セカンドを拾われ、イニシアチブを握られたので、キッカーへのプレッシャー」を意識した。その成果は如実に現れた。横河の出鼻を挫き、前半思うようなサッカーをさせなかった。過去の蹉跌を繰り返すことなく、学習能力の高さを証明した。
それは、DF陣とボランチにも当てはまった。
両手を叩き叫ぶ。「セカンド」。ボランチの山田智也は何度も何度も耳にタコができるくらい言って聞かせた。味方にセカンドボールの重要性をすり込んだ。洗脳したと置き換えてもいいほどだ。“あの日”のピッチに山田も立っていた。痛い目にあっていたひとりだった。同じ轍は踏まない。気迫がみなぎっていた。
眼前でクロスから同点となるヘディングシュートを叩き込まれた山崎透は言う。
「ロングボールしかないと言われていたので対応できた。走ってギリギリで跳ね返せた。持ち味である高さを出せた」
右サイドバックとして、対面の選手に四苦八苦した北出勉は語った。
「監督を抜きにして選手達でミーティングを行い、DFラインとボランチでセカンドをいかに拾えるかを話し合った。堀田(利明)さんと山田が(セカンドボールを)拾い、うまく散らしてくれた」
煮え湯を飲まされた選手達は監督から指示されただけではなく、自主的に考え、相手の戦略を予想した上で、見事なまでに対応策を練り上げ、実行に移した。90分を通して無失点という結果を残し、前回は勢いに屈した前半をシュート2本に抑え込みもした。
横山聡と吉田賢太郎の2トップ、北出が入った4バック、山田と堀田のダブルボランチ。いずれも、頭にあったキーワードは「徹底的に」だった。前線は骨惜しみないボールへの寄せ、ボランチはセカンドボールを拾う、守備陣はロングボールを弾き返す。初黒星後の大事な一戦。連敗が許されない状況に追い込まれたことで結束力が生まれ、頑固なまでに自らのゲームプランを最後まで押し通せた。この1勝は単なる1勝では収まらない価値あるものとなった。
※後期の回顧録は明日、アップします。
うちの今の力なのかな、@栃木SC通信
2008年5月 8日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対MIOびわこ草津戦@栃木SC通信
2008年5月 6日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:3-1。
後半:1-2。
ファイナルスコア:4-3。
得点者:上野優作×2、横山聡、佐藤悠介(栃木SC)、アラン、浦島貴大、石澤典明(MIOびわこ草津)
順位:3位(勝点25)◆首位:ファジアーノ岡山(勝点26)
辛うじて勝ち点3。
※マッチデー読んで頂きありがとうございます。レポート&コラムは小休止後にアップします。お疲れ様でした。
フォト・ステーション@栃木SC通信
2008年5月 5日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
景色の異なる右でどれだけアピールできるか。かつ目。
プレーバック:対MIOびわこ草津戦@栃木SC通信
2008年5月 5日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
第87回天皇杯全日本サッカー選手権大会1回戦を免除された栃木SC(栃木県代表)。その1回戦でちょっとしたインパクトを残したのがツエ―ゲン金沢(石川県代表)である。ただいまJFL2位、J2昇格がいよいよ現実味を帯びてきたロッソ熊本(熊本県代表)を延長の末に破った。勢いは止まらず2回戦ではロッソ(現・ロアッソ熊本)と同じくJFL所属のFC刈谷(愛知県代表)をも食した。北信越リーグは海外リーグに照らし合わせれば4部相当。そのチームが3部に当たるJFL勢を立て続けに撃破した。スーパーバイザーを務める宮沢ミシェル氏の知名度が勝っていたツエーゲンだが、若干ながら見方が変わったのではないだろうか。
ジャイアントキリングなる言葉が天皇杯では見受けられるが、それはJチームを下した際に用いられることが多い。「打倒J」。J1、2計30チーム以外の合言葉は同じである。
だが、些か趣の異なるチームもある。今大会のパンフレットには「アマチュアから見た天皇杯」なる特集が設けられている。栃木SC、流通経済大学(大学枠)と共に紹介されているのがFCセントラル中国(島根県代表)。4年連続4回目の出場となるが、過去3回はいずれもJFL勢の前に涙を呑んだ。当面の目標である中国リーグからの脱却、JFL昇格を果たすために「打倒J」ではなく、「打倒JFL」を成し遂げることが悲願となっている。背伸びをすることなく、自分達の現在地を確かめ、JFL越えを達することで、地域リーグ決勝大会に弾みをつける。
チームの色が異なれば、掲げる目標もまた様々。天皇杯の醍醐味であり、特徴でもある。巨大な敵はJチームだけではないのだ。
ロッソが負けたニュースバリューは大きかったが、幾分かは劣るものの近大附属和歌山高校(和歌山県代表)勝利の報も驚きを伴い伝えられた。苦杯を舐めたのは、なんとFCセントラル。思惑通りに事は運ばなかったようだ。
「若いチーム。経験がない。一人ひとりのポテンシャルは高いものがある」
自らが率いるチームをそう分析したのは、三重県代表の四日市大学を退け勝ち上がったFC Mi‐OびわこKusatsu(滋賀県代表)(FC Mi‐O)監督に就任したばかりの戸塚哲也監督(前FC岐阜監督)。勝利を放棄したわけではないが、テーマは「カテゴリーが上の相手と、どのように戦っていくのか」にあった。先発の平均年齢が24歳と低く、右サイドバック浦島貴大は19歳。全員がアマチュアであり、仕事をしながら夜にトレーニングを行っている。昔日の栃木SCと瓜二つ。これからのチームであることが伺える。見据えるのは全社と略される全国社会人サッカー選手権での優勝、そして地域リーグ決勝大会での躍進。前身が廃部となった佐川急便京都のFC Mi‐O(現・MIOびわこ草津)もまた、着実なステップアップを視野に入れ、強化を押し進めている。
対戦相手が長期的なプランを思い描いているとはいえ、一発勝負のトーナメントでは何が起こるか予測不能。
「カテゴリーが下だから受けに回ろうとは思わなかった。自分達のゲームをやろう、と伝えました」
栃木SC柱谷幸一監督は緩みがちな手綱を引き締めた。陣容はGK原裕晃、DFには左から片野寛理、谷池洋平、照井篤、高野修栄、ボランチに堀田利明と米田兼一郎、左に小林成光、右に只木章広が中盤を構成、2トップは上野優作と横山聡が務めた。
「いつもチャンスをもらっているが結果を出せなかった。このチャンスを逃したら後がない」
悲壮な決意で試合に臨んだという胸の内を明かしたのは横山聡。水際に立たされた横山聡は、開始4分にFKからヘディングシュートを突き刺す。先手を取ったことで波に乗った栃木SCは「堅かった。雰囲気に呑まれた」(戸塚監督) FC Mi‐Oを押し込む。2トップが背後を突き、両サイドバックは旺盛な攻撃参加を披露。相手に攻める暇すら与えない。
ワンサイドゲームの様相が濃くなり始めた時だった。照井が最終ラインで信じ難いプレゼントパス。警戒していた冨田晋矢にドリブルからゴールネットを揺らされる。失点直後にも横パスを狙いすまされ、再び冨田にシュートを打たれる。が、GK原の好守とポストで命拾い。
「1―1で慌てる必要はなかったが気持ちの面で落ち込み、ネガティブになってしまった」(堀田)
前半の終盤に只木の惜しいシュートがあったものの、悪い流れは後半まで尾を引いた。ゴールで自信を掴み、緊張感から解放されたFC Mi‐Oがイニシアチブを握る。セカンドボールを拾えず劣勢の栃木SCだったが、深沢幸次の投入で形勢を変えた。上野が頭で落したフィフティ・フィフティのボールを深沢が競り合い、マイボールに。慎重に左から折り返したボールを横山聡が流し込んだ。
しかし、リードするが試合を殺せない。
「奪ったボールを速く攻撃に繋げる。カウンターの機会を逃さないようにしよう」
戸塚監督が志向するサッカーを体現したFC Mi‐Oに、何度も攻め入られゴールを脅かされる。オフサイドの判定に救われ、安部雄二郎のシュートはGKの正面に飛び、ロスタイムに壽健志がドリブルから放ったシュートは僅かに枠を反れていったが、柱谷監督曰く「スリリングな展開」を招いた。勝利を手にし、3回戦に駒を進めるも、心臓に悪い時間帯が続き過ぎた。
「内容は悪くなかった」と口々に監督、選手は語るが、失点を喫した後、追加点を挙げてからの試合運びは拙かった。改善の余地があるのは火を見るよりも明らかである。0―3と粉砕されたホンダFC戦と比すれば、内容は向上したのだろうが、それも限られた時間のみ。首位・佐川急便SCとの大一番を前に不安が募る。
勝ちゲームのコラムを悲観的に締めるのは好ましくないので、最後にアビスパ福岡戦へ向けての柱谷監督の抱負を。
「最初の20分の内容を継続させたい。守って勝つだけではなく、いいポゼッション、いい守備、いい攻撃、ボールが繋がるなど、内容もいいチームと言われるようにしたい。結果だけではなく内容も求めたい」
東京ヴェルディ1969を沈めた感動と興奮を凌駕するのは容易ではない。リアリズムに徹すれば勝率は上がるが、それでは昨年以上の感情の揺さ振りを提供できない。指揮官は分かっている。だからこそ、ある程度のリスクを背負うことを承知で戦う腹積もりでいる。
第87回天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦 栃木SC2―1FC Mi‐OびわこKusatsu @栃木県グリーンスタジアム 観衆1034人
〈FC Mi‐OびわこKusatsu〉GK田中剛、DF根岸誠貴、田尻知己(→波夛野寛)、石澤典明、浦島貴大(→桝田雄太郎)、MF金東秀、劉敏哲(→内林広高)、若林玲緒、壽健志、FW冨田晋矢、安部雄二郎
〈栃木SC〉交代:小林(→深沢)、上野(→山下芳輝)、米田(→久保田勲)
『恐れず、前へ』
木っ端微塵に打ち砕かれたホンダFC戦での記者会見。柱谷幸一監督は敗因を幾つか挙げた。いつもと違うスタジアム、食事の時間、集合場所、暑さなど。些細な事だが、選手が普段とは異なる条件、状況下にアジャストできなかった点を強調。そして、「どんな条件であろうともタフに戦えなければならない」と要求した。
屈辱的な敗戦から2週間が経った。精神的な部分での成長は少しでも見られたのか。否。残念ながらナイーブな一面を晒してしまった。
前半4分に先制するが、34分に凡ミスから失点を許す。幸先よくゴールを得るも、躓いた途端に浮き足立ってしまった。「1―1にされたが時間帯も早く、(押し込んでいた時間と)同じ内容で進められれば勝てると思っていた」柱谷監督の思惑とは逆に、選手は動揺の色を隠せなかった。押し込んでいた時間帯のパフォーマンスを取り戻せない。後手に回る。ハーフタイムに「もう一度、いいゲームをやろう。集中力を高めよう」と送り出したが、FC Mi‐OびわこKusatsu(FC Mi‐O)が積極的に前へ出て来たことで押し込められる。選手交代が奏効し、深沢幸次がゴールに絡む活躍をして勝利するも、「メンタル面を強くしなければ・・・」と指揮官は歯切れが悪かった。
「サッカーはミスが起きる。その後になにができるのか。(攻勢だった状況と)同じ内容でプレイできることが大事。ミスをしても死ぬわけじゃないんだから」
チームにリカバリー能力が欠如していることを指摘した。
さらに、失点の切っ掛けを作った照井篤を引き合いに出し、メンタル面に関して言及した。
「(失点で)テルは自信をなくした。それまでは、中盤に(ボールを)つけたり、いいパスもあり、『テルは上手くなったなぁ』と思っていたが、1本のミスでパスが出せなくなった。恐がってしまった」
責任感が強く、真面目である性格が災いしたようだ。「ボクのようにちゃらんぽらんで『勝てるだろう』と思えない。メンタルの部分で弱さがある」と付け加えた。
脆さはチーム全体に該当する。安定感が売りのスタイルは、大崩はしないが、一方で大爆発も期待できない。FC Mi‐O戸塚哲也監督の言葉を借りれば「やりたいサッカーが想像できる。恐くない。オーソドックス」ということになる。表現こそ違うがホンダFC石橋眞和監督も同様のコメントを残している。打たれたら打ち返す。対戦相手が嫌がる威圧感は損なわれ、逞しさも喪失した。バランス感覚にプライオリティを置いたことで。それが、良くも悪くも今年の栃木SCの特徴である。
3―6―1ではなく、4―4―2だから。一理ある。フォーメーションがメンタルに及ぼす影響は小さくない。4バックから3バックに変更することでスイッチが入った試合もあったのだから。
しかし、根本的な問題は別にあるように思える。控え目に、大人しくなってしまったのは、戦術に縛られてしまっているから、とも言える。
堀田利明は、こんなことを言っている。
「背後を狙えたのはよかったが、ポストプレイのサポートが薄かった。もう少し中の厚みを出し、クロスボールに合わなくてもセカンドボールを拾ったり、プレスをかけて相手に楽にボールを蹴らせないなどできたはず。恐がることなく前へ出てもいい」
バランスを重視するあまり、攻守交代で躊躇いが見受けられるケースがある。ワイドやサイドバックがいい状態でボールを持っても、待ち受けているのが2トップだけ、もしくは多くて3人と数的優位に持ち込めない。精度の高いボールが供給されるならば話は別だが、多くは望めない。となると、人数を割くしかない。リスクを覚悟してでも。
どうしても感じてしまうひ弱さ、メンタル面での脆弱さは、恐れずに前へ出ていくアグレッシブな姿勢が鳴りを潜めてしまっていることが一因なのではないだろうか。柱谷監督が及第点を付けた前半20分までは、グイグイ横山聡が攻撃を引っ張っていた。触発されるように全員が伸び伸びと大胆なサッカーを展開していた。
ミスをしても、必ず挽回してやる。それくらいの揺るぎ無い芯の強さが欲しい。積極的なミスはむしろ柱谷監督も大歓迎なのではないだろうか。腰が引けて逃げのプレイに終始するくらいならば。
攻撃は最大の防御。どんな相手でも向かってこられたら脅威を抱き、後退りをしてしまう。無闇矢鱈に前へ行け、とは言わないが、前方への意識を強めても大怪我はなしない。果敢な守備ができるのだから、攻撃も不可能ではない。
恐れず、前へ。
入っちゃった@栃木SC通信
2008年5月 5日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
総括、意気込み@栃木SC通信
2008年5月 2日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
序盤戦の総括、そしてホームゲーム2試合を含む3連戦に向けた意気込み。現状に関して柱谷幸一監督に話を聞いた。
Q:総括するには消化試合数(8節終了)が少ないですが、これまでリーグ戦を戦っての印象を聞かせてください。
「簡単に勝てる相手はいない。楽なゲームはないと思っていた。実際に対戦してみても、どこと対戦しても難しかった。ここまでは、ある程度メンバーを固定してやってきた。その中でも怪我人が出た時に、(控えの選手が)いいプレーが出来るようにトレーニング、トレーニングマッチを組んできているので準備は出来ている。苦しい状況でも28人全員で乗り切る。次は3連戦なのでメンバー構成を考えたい。こういう時のために28人の選手がいる。3連戦を乗り切りたい」
Q:ここまで攻守における評価をお願いします。
「守備は安定して全員が共通理解を持ってやれている。攻撃はバランスよく相手が守ってきた時には誰かが個の力で打開しないと(ゴールが割れない)。型に嵌ったカタチでは破ることが出来ない。(対流通経済大学戦で)岡田(佑樹)が見せたようなドリブルでの仕掛けが必要。個の力が求められてくる。守備は大崩れすることはない」
Q:松田選手、横山選手には強くゴールを求めると。
「FWだけではなく、ボランチも守備やゲームを作るだけではなく、どちらか一人はFWを追い越す。Pボックス内で、流れの中で点を取る。決定的な仕事をしないと。現代サッカーでは中盤が攻撃的に点を取らなければならない。中盤の選手には点を取ることを求めたい」
プレーバック:対ジェフリザーブズ戦@栃木SC通信
2008年5月 2日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
今季、リーグ戦に国体予選と本選(栃木SCはアマチュアが主体)を含めればジェフリザーブズ(以下、ジェフ)と顔を合わせるのは、今回で4度目である。些か倦んだ気持ちを抱かずにはいられない対戦は、3戦して1勝1敗1分けとイーブン。決着の時、来る。
ウォーミングアップでのことだった。高安亮介のクロスがGK原裕晃の後頭部を直撃。幸い大事には至らなかったが、試合前に一抹の不安を覚えた。
ほろ苦い記憶が甦る。開幕1、2戦を勝利で飾った栃木SCであるが、3節で早くも躓いた。その相手がスタメンの平均年齢が22歳以下のジェフだった。恐れを知らない若さに抗いきれず開始4分に失点。辛くも1―1のドローに持ち込み、その後は3連勝するも、立ち上がりの不安定さは暫く付き纏い、離れようとはしなかった。
およそ関東とは思えない、千葉は東総での決戦。栃木SCの布陣はGK原、4バックには左から石川裕之、山崎透、谷池洋平、片野寛理、中盤の構成はダブルボランチに米田兼一郎と久保田勲、右ワイドに高安、左ワイドに小林成光が配され、ここ数試合でゴール量産中の横山聡と2トップを組んだのは上野優作だった。
ジェフもフォーメーションはオーソドックスな4―4―2を選択した。18歳が2人、スタートから起用された。
山崎をターゲットに良質なボールが供給されたにもかかわらず、CKからの先制機を逸すると、前期の悪夢が再現されそうな展開、つまりジェフの時間帯に突入する。引いてきたFWのマーキングが曖昧だったことで起点を設けられ、自陣での緩慢なミスも手伝い、立て続けに3度もゴールを脅かされる。アップでのアクシデントなど物ともしないGK原の冷静な対応で難を逃れるが、たっぷりと冷や汗をかかされた。FWが両センターバックの間のスペースへと上手く潜り込み、Pボックス手前でのショートパスは工夫が凝らされていた。窮地を脱しても依然としてイニシアチブを渡さないジェフに後手を踏む。
しかし、曇天からシャワーのような雨が降り始めた時だった。雨音は反撃の調べとなる。
「入江(作新学院大学卒)の特長は知っていた。左足からのボールの精度は高い。自分が仕掛ければ入江(利和)は前に出られない。意識的に背後でボールをもらうようにした」
火花散るサイドでの攻防を高安が制する。鋭いフェイントを入れてから縦に抜けた。対面の入江はファウルで止めるしか他に手はなかった。カードが提示される。獲得したFKは好機には繋がらなかったが、形勢を変えるには十分であり、なにより要注意人物を黙らせたことは小さくなかった。
抑止力を働かせ、リズムを生んだ果敢な突破は、横山聡の先制弾の契機となるCKをもたらしもした。久保田が蹴りこんだニアサイドのボールに飛び込み、混戦から捻じ込んだ。好調を維持している泥臭い2試合連続ゴールにより、リードして45分を締め括る。
クロスのクリアをバックパスと判断され、後半の開始早々に間接FKを献上したジェフ。Pボックス内での危機を逃れると、再びスペースを効率よく使い出す。高安のスタミナが切れ始めると見るや、入江がオーバーラップ。攻撃に厚みを加える。更にテンポのいいパスワークで翻弄。栃木SCは劣勢に立たされる。が、フィニッシュには持ち込ませない。ミドルシュートは許しても、決定機は作らせなかった。
「しんどくなったところで聡がゴールを取ってくれたことで助かった」
好守を連発した守護神・原が感謝したのは、後半18分の追加点。左サイド、ゴールラインを割るか割らないか。ギリギリのところから上野がクロスを入れる。ふわりとしたボールを横山聡は難易度の高いバイシクルシュートでネットを揺らした。ど派手なゴールとは対照的に本人は「当てるのが精一杯」と謙遜し、「体の切れは関係ない。結果を出さないと・・・与えられたチャンスをものにするだけです」。常に断崖に身を置いていることが好結果を導き出していることを強調した。
「ホームの2試合と比べるとアグレッシブさはなかったが、バランスはよかった。(相手は)ポゼッションが上手く、3人目の動きをしてきたが、守備に入れた」(柱谷幸一監督)
ビハインドを取り戻すためにジェフは3トップにして圧を強めるが、栃木SCも前節2―0から2―2とされた轍を踏むまいと、引いてブロックを形成。コンパクトに保たれた守備網は破綻することなく、高い集中力を維持し、零封に成功した。勝ち点を伸ばし、上位陣が足踏みしたことで「数字の上での昇格の可能性」は消滅しなかった。
サポーターからの「幸一コール」に「嬉しいですねえ」と相好を崩した柱谷監督は、「おそらく多くの人が来てくれると思っていた。帰り道(での気分)が暗くならないように、明るくなるようにやろう」と決めたミッションを遂行できたことに安堵と喜びを感じていた。ただし、デリケートな問題、続投か否かに話題が及ぶと一転して表情は引き締まった。先週と同様に言葉を慎重に選びながら語った。
「J2かJFLか。決まらないと体制が整えられない。結果が出てから社長と話し合う」と言いながらも、「短期的なもの、3年後、5年後にこうしたい、という細かな部分を詰めていきたい」と続投の意思が固いことを改めて口にした。
来季も柱谷監督が指揮を執る確率は低くない。それは、就任時からノリシロのある大学生を補強、良質なトレーニングを課して鍛えあげるプランを掲げたことに対して、フロントが活発かつ迅速な動きで応えていることが裏付けている。柱谷体制の継続決定は、中長期的な展望での強化が推し進められることを意味する。
JFL後期第14節 ジェフリザーブズ0―2栃木SC 観衆304人 @千葉県総合スポーツセンター東総運動場
〈ジェフリザーブズ〉GK瀧本雄太、DF松本憲、宇野勇気、高田健吾、入江利和(→竹田忠嗣)、MF小沼純矢、野沢健一(→野沢和良)、鳥養祐也、蓮沼剛(→金沢亮)、FW河野将吾、堀川恭平
〈栃木SC〉交代:高安(→只木章広)、小林(→深澤幸次)、上野(→山下芳輝)
『早急な綻びの修繕は近い未来への期待』
相手に長くボールを持たれ、アプローチが遅れたことで焦りが生まれてしまう。横パス、オフサイドトラップのミスから危機を招き、かかなくてもいい汗をかく。無理に飛び込んではかわされ背後を取られた。共通するのは判断の悪さ、である。細かな部分に改善の余地を残すも、「全体のバランスはよかった。前からプレッシャーを掛ける、引いてブロックを作り守る。使い分けができていた」と、柱谷幸一監督が及第点を与えたのは修正能力だった。
前節の後期第13節、対ガイナーレ鳥取(以下、鳥取)戦は前半に手にした2点のリードを死守できず、追い付かれ手痛いドローに終わった。勝ち点2の喪失により、今季に終止符が打たれた。アドバンテージを有しながらも、逃げ切れなかった要因として共通理解が図られていなかったことが挙げられる。前線と中盤、最終ラインには意識のズレがあった。3点目を取りに行くのか、それとも守りに入るのか。チームとしてのゲームプランは漠然としていた。戸惑いを隠せない、手探りの状態では勝ち点3を掴めるはずがなかった。ゲーム運びの稚拙さが浮き彫りとなる。
前半42分、後半17分と横山聡が連続ゴール。2―0とジェフリザーブズ(以下、ジェフ)を突き放した。奇しくも状況は先週と酷似する。問題は残された時間の進め方である。再び蹉跌を来たすのか。それとも――
「点を取りに行くよりも、取られないように。しっかり守ろうと(確認した)」(久保田勲)
意思の統一は、なされていた。全体を圧縮し、網を張り巡らせる。DFラインと中盤が2本のラインを構築し、FWもやや引いた位置から守備を開始した。2トップの一角である上野優作に至っては自陣の深いところまで戻り、相手を追っ掛け回した。強固な守備ブロックは崩壊することなく、最後までその強度とバランスを保持し続けた。
犯してしまったミスをいかに早い段階で取り返すことができるか。繰り返し同じ過ちを起こさないリカバリー能力が問われたが、選手たちは無失点に抑え込んだことで答えを出したといえる。好機すら許さずに耐え凌いだことは、特筆に価する。
「(先週のことに関して)週明け、ミーティングでも話し合った。そういう状況(2点リードした後)でも考えてやれていた。相手がシステムを変更してきても、自分たちで対応できていた。その力は大事」(柱谷監督)
少し時間を遡る。前期の対戦時、ジェフリザーブズ(以下、ジェフ)につけられた傷の治癒には思いの外、時間を要した。ハイプレッシャーをいなしきれずに早々と失ったゴールは、栃木SCを臆病にさせる。立ち上がりの拙さを克服する作業は容易ではなかった。暫く尾を引くこととなる。
献身的な姿勢を貫いた上野優作は言う。
「2点リードを追い付かれた前回の反省が生かされていた。前に行くのか、後ろに引くのか。はっきりできた。トレーニングの成果が出せたと思う」
常々、柱谷監督が口にする「しっかりと目の前の試合に向けてトレーニングを入れ、100%の準備をする」ことで、鳥取戦の宿題を無事に消化することができた。柱谷体制となってからの長所が試合に反映された。
一戦必勝の思いは強まり、だからこそメンタルは高いレベルで安定し、フィジカルは幾分か不足するも、ケース・バイ・ケースでのチーム、個人の対応力は痛みを伴った経験を経たことで向上した。攻守における「もう少し」の部分は、実戦を通じて次第に埋まりつつある。冒頭に記したディテールを詰め、継続的に振り幅の少ないパフォーマンスを持続できれば、上位を狙える強いチームへと変貌を遂げられるに違いない。
課題を先々まで持ち越すことなく、すぐに克服できたことは大きな収穫だった。早急な綻びの修繕は、近い未来への期待を膨らませるに足るものだった。
プレーバック:対ジェフリザーブズ戦@栃木SC通信
2008年5月 1日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わっているために参考にならない可能性大
否が応でも気になる。ホーム第2戦目の観客動員数のことである。1万2539人を呑み込んだ開幕戦。どれだけの人が再び、栃木SCの試合を観戦するためにスタジアムまで足を運んでくれるのか。昨季は6153人が前期3節のホーム試合で1613人と約4分の1に減少した。
朝から雨が降り注ぐ悪天候に加えて、日程が詰まっていたために「女性、高校生以下無料」のイベント告知は遅れた。幸運にも雨は上がる。メインスタンドはそれなりに埋まったが、バックスタンドとゴール裏の人影はまばらだった。場内アナウンスによれば観衆は2648人。先週の約5分の1になった。J昇格規定のひとつである「3000人」には届かなかった。無料チケットの絶大なるパワー、人を集めることは容易ではない、ということを改めて痛感させられた。
アウェーの対FC刈谷戦。山田智也と吉田賢太郎のゴールで2―0と勝ち点3を持ち帰って来た。3連勝を狙い臨んだジェフリザーブズ(ジェフ)戦。並びはGK原裕晃、4バックに左から高野修栄、谷池洋平、照井篤、北出勉、ボランチに堀田利明と久保田勲、左に石川裕之、右に小林成光、シャドーに横山聡、ワントップに山下芳輝の4―5―1。開幕戦とスタメン11人は変わらず。遠征組をミックスさせることはなかった。
スメタンの平均年齢が22歳以下と若いジェフは、中盤をボックス型にしたオーソドックスな4―4―2だった。
「入りの10分が悪かった」。小林が振り返ったように栃木SCは防戦一方だった。宇野勇気のミドルシュートを皮切りに、ジェフに攻めたてられる。「左サイドを積極的に使うのがうちのスタイル」という越後監督の言葉通り、蓮沼剛と入江利和のコンビでサイドの主導権を握る。前掛かりに来られたことで栃木SCは全体が引いてしまう。ジェフはタッチ数の少ないパスで組み立てを図る。バイタルエリアを使用し、ボランチがクサビを打ち込み、ワンクッション挟んでからサイドに展開。両サイドからクロスを上げた。
栃木SCはこの攻撃に耐えきれなかった。破綻する。入江が入れたアーリークロスから蓮沼にダイビングヘッドを突き刺された。「地元だから期するところがあり、いい仕事をした」(越後監督)と称賛された入江(作新大卒)。昨シーズンの開幕前、栃木SCの練習生としてテストマッチに出場していた。思わぬところで恩返しをされてしまった。
失点後に立て直したかった栃木SCだが、ジェフの勢いをいなしきれず、しばらく手を焼くことに。特にアシストを記録した入江から供給される高精度のクロスに苦しめられる。
「起点になれるところがなかった」と堀田がいうように、両サイドと山下にボールが収まらなかった。攻撃のカタチを見出せない。それでも、セットプレイから照井が枠をかすめる惜しいヘディングシュート、小林もヘディングシュートにボレーシュート、とゴールに迫る。照井のボール処理ミスを堀川恭平に突かれそうになるも、GK原が粘着力のある守備でカバーした。難を逃れ、横山聡に立て続けに好機が訪れるも、ジェフのGK瀧本雄太が魅せる。18歳は好守を披露し、ゴールを割らせなかった。
0―1とリードされて迎えた後半。カウンターから横山聡、山下がゴールに襲い掛かるも、ネットは揺らせなかった。しかし、「堀田のボールが良かったからリスタートから取れる予感はした」と高橋監督。CKから照井が基本に忠実な叩きつけるヘディングシュートで試合を振り出しに戻す。照井は栃木SCに移籍後、嬉しい初ゴールとなった。「空中戦で勝負できればと思っていたが、逆にやられてしまった」。敵将は悔しさを滲ませていた。
同点ゴールで波に乗った。久保田の直接FK、相手ゴールキックミスから山下がドリブルシュート、堀田が抑えの効いたミドルシュートを放つ。が、クロスバーに嫌われる、シュート角度が厳しかった、パンチングされてしまうなど、ゴールは遠かった。サイド攻略からゴールを陥れるために吉見康之を途中投入するも機能しなかった。思惑通りに事は運ばない。ジェフの足が止まり、自分達の時間帯に持ち込んだものの、あとひと押しが足りなかった。スコアを1―1から動かせず痛恨のドロー。勝ち点2を取り逃がした。
JFL前期3節 栃木SC1―1ジェフリザーブズ @グリスタ 観衆2648人
〈ジェフリーザーブズ〉GK瀧本雄太、DF野沢健一、川上典洋、竹田忠嗣、入江利和、MF小沼純矢、宇野勇気、河野太郎(→野沢和良)、蓮沼剛、FW堀川恭平(→鳥養祐矢)、渡邉健雄
『最初の10分と吉見と厚み』
開始間もなく相手にオープニングシュートを許したまでは開幕戦と同じ。しかし、そこからの展開が異なった。
FC琉球戦では左サイドの石川裕之と高野修栄、右サイドの小林成光と北出勉の両サイドを軸にアグレッシブに仕掛けた。サイドアタックを繰り返し、優勢に試合を運ぶ。そのままの良い流れの中で先制点を奪い、反撃を跳ね返し、逃げ切った。
立ち上がりから前に出られたこと、山下芳輝のポストプレイに固執せずにサイドを有効利用できたこと。果敢な姿勢と柔軟な発想が勝機をたぐりよせた。
一方、ジェフリザーブズ(ジェフ)戦。左サイドに起点を設けられ勢いに飲み込まれてしまう。圧力に抗いきれず、2試合連続無失点記録が途絶える。キックオフの笛が吹かれてから僅か4分の出来事だった。
「入りの10分。相手が猛烈な勢いで攻め込んできた。それに対応できなかった。20分くらいイニシアチブを握られてしまった」(高橋監督)
DFラインとボランチが押し下げられたことで、いいように中盤でボールを回され、サイドチェンジも織り交ぜられた。圧倒的な劣勢に立たされる。「(地域を挽回するために)高い位置にボールを蹴り込んだり、(タッチラインに)ボールを切ったりする」(堀田)メリハリが必要だったが、守から攻への切り替え時に中途半端な場面が目に付いた。繋ぐのか、それともクリアするのか。曖昧だった。
先手を取る。本来は栃木SCがすべきことをジェフにやられてしまった前半の10分間だった。「流れが悪いと全員が感じ取れていれば・・・」。堀田は唇を噛んだ。
時間を少し巻き戻したい。横河武蔵野FCとのテストマッチ。結果は1―1のドローだったのだが、内容では完敗だった。ロングボールを多用され、サイドからの侵略を許し、DFラインはゴール前に釘付けにされた。状況はジェフ戦と似ている。「相手のやり方に気づくようにすべきだった」。キャプテンの北出は“対応力”の乏しさを反省材料に挙げていた。表現こそ違うが要旨は堀田と一緒である。
シーズン前に得た教訓をリーグ戦で活かさなければならなかったのだが、思うに任せなかった。自分達のリズムではない時間帯をいかにして乗り切るのか。試合の中での修正能力を磨かなければならない。
「交代カードを切るのは難しかった。山下、横山(聡)は体力が落ちているわけではなかった。吉見(康之)を投入して勝ちきるつもりだった」。手元に2枚も残さていた交代カードをなぜ切らなかったのか。問われた高橋監督の応えだ。
1点ビハインドの後半16分。石川アウト、吉見イン。直後、セットプレイから同点弾が生まれた。形勢は引っくり返る。栃木SCの上げ潮ムード。都合3度もジェフゴールを脅かした。一気に押しきれる、逆転弾が決まる空気は醸成されていた。だが、観衆が沸いたのはロスタイムに獲得したCKのシーンだけだった。手綱を手元へと引き寄せたはいいが、ラスト20分、好機を作り出せなかった。
追加点を取れなかった一因は、吉見を使い切れなかったことにある。「山下にクサビを入れてからサイドにはたけば吉見が生きる。1対1の勝負ができる環境を整えなければ」と堀田。開幕戦でも途中から登場した吉見であるが、爆発的なスピード、強烈なパンチ力のあるシュートを披露する機会には恵まれなかった。吉見の持ち味が引き出されるのに絶対不可欠なスペースを構築する共通意識が、チームに浸透していないからだ。手っ取り早いのは右サイドに相手を寄せて、吉見の主戦場である左サイドのスペースを空けてからサイドチェンジすることだが、これすらも満足にできていないのが実状である。吉見と他の選手の考えをすり合わせなければならない。でなければ、せっかくのジョーカーが宝の持ち腐れとなる。
また、「山下と横山(聡)に任せればゴールを取れると思っている。(人数をかけて)ゴール前に迫れれば良かった」と高橋監督は悔やんだ。同様の意見を山下も述べていた。つまり、全体が押し上げ、単発で攻撃を終わらせることなく、波状攻撃を行うことが大切である、ということだ。シュートは2桁16本も打っているのに1点しか奪えなかったのは、攻撃に厚みがなかったからでもある。
ジョーカーの効果を最大限に発揮させ、能力のある前線の2人だけに依存することなく個々人のゴールへの意識を高めなければ「勝ちきれない試合。負けに等しいドロー」は減らない。
最初の入り方、留めの刺し方を再考することが求められる。
※後期の回顧録は明日、アップします。
「アグレッシブさが足りない」@栃木SC通信
2008年4月29日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対流通経済大学戦@栃木SC通信
2008年4月27日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-0。
後半:2-1。
ファイナルスコア:2-1。
得点者:沢口泉、山村和也(流通経済大学)、小林成光(栃木SC)
順位:3位(勝点19)◆首位:横河武蔵野FC(勝点22)
ロスタイムに小林も届かず。
※レポート&コラムは順次アップします。ご迷惑をお掛けいたします。
プレーバック:対流通経済大学戦@栃木SC通信
2008年4月26日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているために参考にならない可能性大
来季も栃木SCに残りプレイできるか、否か。既存のプロ選手の契約に関する最終結果は来週の金曜日、30日に文章で通達される。
「一人ひとりどうなるのか。みんな嫌な雰囲気を感じていると思う」
指揮官は敏感に現場の空気を感じ取っている。現役時代に選手として、引退後に監督として契約更新を体験しているだけに、気持ちの揺れが手に取るように分かるのだろう。それでも、決断は下さなければならない。監督業で最も酷な仕事のひとつかもしれない。
正式な契約を交わしていないにしても来季の続投が決まった柱谷幸一監督は、「12月と1月は大切。来年どういう成績になるのか。この時期に6、70%は決まる」と豪語する。来るべき勝負の年へ向けての下ごしらえ、編成が最優先事項であることを強調した。残す選手、切る選手、補強する選手と、頭の中に構想は既に出来上がっている。あとは細部を詰めるだけである。
晩秋の11月、取り分け契約問題でナイーブになる下旬を「ブルーになる(気分が滅入る)」と表現したのは横山聡。直近の試合ではゴールを荒稼ぎしている。FWとしての結果を残している、いま一番たよりになる選手でも不安は募る。「結果が出ているのでアピールになれば・・・」と話す声に力はない。
「栃木に来た時に、栃木で(選手生活が)終わってもいいと思った。1年、1年のつもりで後悔しないように。悔いは残したくはない」
決意を新たにJからJFLに舞台を移して挑んだシーズンは、スタートから思うようにゴールが生まれなかった。「前半戦、点を取れなかったことが心残り」と振り返るとおり、マークしたのは僅かに2点だけ。「2年連続の0円提示。この時期は嫌だ」という思いは、纏わり付いて離れない。
複雑な思いを抱えながらも、プロである以上は残されたリーグ戦を全力で戦い抜かなければならない。監督と選手にとっては、優勝や昇格が懸かった試合とは異なる、難しさと繊細さを伴うラスト2試合となることが予想される。
アウェイ、龍ヶ崎に乗り込んだ栃木SCの陣容はGK原裕晃、4バックは左から石川裕之、山崎透、谷池洋平、片野寛理が並び、久保田勲と米田兼一郎がダブルボランチ、左ワイドに深澤幸次、右ワイドに小林成光が配され、上野優作と横山聡が2トップを組んだ。
大学リーグ最終節を控えている流通経済大学(以下、流通経済)は、大きな背番号の選手が大半を占めた。当然ながら前期ファインセーブを連発した、北京五輪日本代表のGK林彰洋も控えにすら入っていなかった。
ライバルである高安亮介の負傷により先発のお鉢が回ってきた深澤の左サイドを軸に、トップの上野と横山聡にクサビを打ち込む。外と内から攻めようとするが、攻守の切り替えが遅く、好機が演出できない。次第に流通経済のプレスが厳しくなると、意図のないボールを蹴ってしまう。センターバックに高さに長ける選手を据えた流通経済の思惑に陥る。セカンドボールを拾えず、リズムを掌握できないまま時間だけが経過する。
Pボックス内への侵入を防ぎ、事なきを得たのも束の間だった。続くCKから走り込んできた長身DF飯田真輝に豪快なヘディングシュートを突き刺される。「警戒していたセットプレイ」(片野)から失点してしまう。
前半45分を米田は「失点以外は悪くなった」という一方で、拙攻を重ねていたように映った原因として「シュートまで行っていなかった」ことを挙げた。打つには打ったが脅威を与えるほどではなかった。
ハーフタイムの最初の5分、ロッカールームに入らず選手の様子を伺っていた柱谷監督。その後、かなりきつい言葉を選手に投げつけた。
「前半、悪いゲームをしていないのに、なんでCKからポコンと取られて(気持ちが)落ちるんだ。こんなことを何回もするな」
打てば響く。後半開始4分、久保田の左クロスから上野が競ったこぼれ球を山崎がダイレクトボレー。すぐさま試合を振り出しに戻した。
ゴールをこじ開けたことで、ようやく攻撃がカタチとなる。フィニッシュまで持ち込めるようになった。そして、立て続けにゴールに襲い掛かり、ミスに付け込み加点する。相手がクリアし損なったボールを米田が小林へと繋ぎ、最後は横山聡が反転シュートを叩き込んだ。「後ろを向いていたのでいけるかな」。GK清水慶記が打って来ないだろうとの読みを逆手に取った頭脳的なゴールだった。
逃げ切りを図りたかったが、すぐに武藤雄樹に2―2に戻される。シーソーゲームは、互いにサイドを利してゴールに迫る展開が増える。栃木SCは負傷退場の上野に代わった山下芳輝がサイドに流れては起点を構築、流通経済は旺盛な運動量と前半から厄介だった左ワイドの加来謙一が主体。
点の取り合いに終止符を打ったのは、「むこうの流れで点を取れたのは大きい」と語った山下だった。流通経済のカウンターを食らっては耐え凌ぐ時間帯が続くも、片野の右クロスが左へ抜け、横山聡が縦へ突っかけ入れたクロスはルーズになり中央の山下の足元へ。「こぼれくるとは思わなかったが、あのポジションにいたのはいいこと」。冷静に押し込んで雌雄を決した。
後半にめまぐるしい動きをみせた試合は、栃木SCの逆転勝利で幕を閉じた。
「技術、戦術が足りないというよりも、メンタル的な強さが、このチームには欠けているのを改めて感じた」(柱谷監督)
チームに巣食うメンタル面の脆弱さが、再び顔を出した。指示を仰がないと集中力が途切れ途切れになってしまう。叱咤されないと目が覚めない。カミナリを落とされてから吹っ切れたのか、格段に動きがよくなった後半の3ゴールが何よりの証拠である。
決定的に欠如していることを無理に求めることはしない。技量、戦術が未熟ならば基礎からやり直す必要があるが、問題が補えることが可能な“気持ちの部分”であることに柱谷監督は憤怒したのだ。
「(自分たちのプレイを)やりきって勝てなければ、力が足りないと認めればいい」
点差が開こうとも、怖がらずに自分たちのプレイを100%やり遂げる。要求はシンプルである。しかし、思うに任せない。この課題の克服は来季に持ち越されそうである。
JFL後期第16節 流通経済大学2―3栃木SC 観衆815人 @龍ヶ崎市立陸上競技場たつのこフィールド
〈流通経済大学〉GK清水慶記、DF沢口雅彦、飯田真輝、加藤広樹、石川大徳(→田村健之輔)、MF細貝竜太、佐藤高志(→藤田貴史)、保崎淳、加来謙一、FW沢口泉(→山下訓広)、武藤雄樹
〈栃木SC〉交代:上野(→山下)、深澤(只木章広)、横山聡(→小原昇)
『責任感と重圧で養うメンタル』
現有戦力を柱谷幸一監督は、こんな風に分析している。
「Jで駄目と言われて落ちてきた選手。元からの選手は最後のセレクションで引っかかった、大学時代はレギュラーではなかった。自分に自信がない状態でうちに入って来ている。自分のプレイが確立していないので、ちょっと駄目な時に弱い部分が出てしまう」
例えば0―1、1―1の状況から同点、あるいは逆転することは困難を極める。拮抗した試合を勝ちに結び付けられないのだ。苦境に立たされると個々人の中に潜む弱気の虫に抗うことができなくなってしまう。前節の対佐川印刷SC戦では1点のリードを守り切れずに、引っくり返されて敗北を喫した。脆さが露呈してしまう。
対流通経済大学戦も然り。「よくもないが、普通のレベル」で推移していた試合は、先手を取られてことにより、ゲーム内容が一変してしまった。急激に落ち込んでしまった気持ちの立て直しが容易に図れない。ハーフタイムを挟み、自分達で気持ちを入れ替えたというよりは、「プロなのだから、サッカーで飯を食っていくならば、1点を取られたくらいでゲーム内容を変えるようなプレイをしていては駄目だ」(柱谷監督)と、発破を掛けられたことで尻に火が付き、今季初となる逆転勝利を収めた。喝を入れられたことで撃ち合いを制することができた。リーグ戦33試合を消化して劣勢を跳ね返せたのは、たった1試合のみ。勝負弱さと、無失点に封じ込めなければ勝機を見出せないことが分かる。
ビハインドを背負うことで急降下してしまうメンタル。それを養うために責任を持たせ、敢えて重圧を掛けることで荒療治を行った。手荒い処置を施されたのは、右サイドバックを務めた片野寛理だった。
序盤からオーバーラップを仕掛けようとするも、ポゼッションが覚束ないことから無謀なトライとなってしまう。留守にしたスペースを逆に対面のドリブラー加来謙一に使われる。胸の透く攻撃参加と正確なキックが持ち味だが、依然として守備面での不安定さは拭えない。サイドの攻防で後手を踏むことに。CKからの失点にも絡んでしまう。秋田での対TDK SC戦では、ミスを連発するなど低調なパフォーマンスが目に付き、途中で引っ込められた。試合後、名指しで批判されもした。怪我の影響もあったが、その後の出場機会は激減する。「プロ意識が感じられない」選手の代表格として位置づけられてしまった。
柱谷監督は何回も突破を許したことで、左サイドバックの石川裕之を右に回すことも考えたという。だが、敢えてスイッチすることなく、交代もさせずに、今回は最後までプレイさせた。片野のために、そしてチームのために。目先の1勝を犠牲にするリスクを背負うことで、来季に向けてメンタルを鍛え上げるリターンを狙ったのだ。片野には「負けたらお前の責任だからな」と、他の選手には「片野のために点を取って来い」と負荷を掛けた。谷池洋平とダブルマークに行くも、あっさりとかわされ決定機を作られてしまうなど、片野の守備には危なっかしさが散見された。持ち場を相手優位に進められる展開が続く。失点に繋がらなかったことで「なんとか持ち堪えて良かった」(柱谷監督)というのが正当な評価だろう。詰めるべき余地は大いにある。
押し込められ、守備での鬱積したストレスをぶつけるように、片野は山下芳輝の決勝点の足掛かりとなるクロスを供給した。プラスマイナスゼロにはならないが、やられっ放しではなかった。「アマチュアは調子がいい、悪いでよかった部分があった」と話す片野。不得手な守備で苦しみ、指揮官から多大なる重圧を受け、それでも下を向くことなく戦い続けたことで、抜け切れなかったアマチュア体質が、甘えが幾分かは改善されたのではないだろうか。
「マンツーマンで負けたら、そいつの責任にしないと強くはならない」(柱谷監督)
窮地に追い込むことで、そこから這い上がる力を蓄え、自信を植え付けさせる。明確な意図の下に実行された実戦でのメンタルトレーニングは一定の成果を得た。
しかし、勝者のメンタリティを手にするまでには至っていない。これを如何に兼備させるのか。続投が決まった指揮官の手腕が問われる。
プレーバック:対流通経済大学戦@栃木SC通信
2008年4月25日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているため参考にならない可能性大
試合前日の金曜日、衝撃のニュースが流れた。突然の現役引退表明。吉見康之がスパイクを壁に掛ける決心をしたのは今週の初め、月曜日だった。爆発的なスピードと破壊力抜群のシュートを生み出した足が悲鳴を上げた。完治した右膝とは逆の左足前十字靱帯損傷がピッチを去る要因となった。
粛々と引退セレモニーが執り行われる。ユニホームを脱ぎ、ネクタイを締めた姿も様になっていた。端正な顔立ちが映える。高橋監督から花束を受け取った吉見。サポーターへ向けての挨拶では言葉を詰まらせた。「吉見、ありがとう」。スタンドからは温かい感謝の言葉が贈られた。「これからも戦う気持ち、ひとつになる意味で」と考えていたことを行動に移す。アップを終えてロッカールームに引き上げて来るチームメイト一人ひとりに吉見は声を掛けた。それは、現役生活との別れの儀式のようであり、新たな人生を歩むための決意を表しているようでもあった。
三菱水島FCに0―1と惜敗したことで、今季のアウェー無敗記録が途絶えた栃木SC。吉見の引退と上野優作のホームデビューを白星で飾りたい一戦の相手は流通経済大学(以下、流通経済)だった。陣容はGK原裕晃、4バックには左から高野修栄、遠藤雄二、谷池洋平、横山寛真、中盤はボランチに堀田利明と小林成光、左に茅島史彦、右に西川吉英、上野優作の相棒には横山聡が指名され2トップを組んだ。
関東大学リーグとの日程がバッティングすることでベストメンバーを組むことが困難だった流通経済だが、大学日本選抜に選出された5人を除き「現時点でのベストメンバーを組んだ」(中野雄二監督)。ゴールマウスを守るのは日本代表候補にも選ばれた林彰洋。フォーメーションはオーソドックスな4―4―2だった。
「前回(三菱水島戦)よりもよかった。ボクの高さを周囲が意識し、サポートが早かった」(上野優作)
GK原からのゴールキックを競り落とすと横山聡が鋭く反応し、ゴールを脅かした。小林とは敵陣で上手くパスコースを切り2人でフィニッシュまで持っていった。横山聡はGK林の飛び出しに屈し、小林は決定的なシュートを外すが、序盤からイニシアチブを握れたのは「うちになかった高さ。前線でターゲットになり、基点を作る」(高橋監督)仕事を上野優作がこなしたからに他ならない。
すんなりとリズムを掴んだ栃木SCだが、攻撃力を買われ左右に配された茅島と西川、ボランチというよりもトップ下に近い位置を取った小林が攻撃に比重を置き過ぎたことでバランスが崩れた。「堀田がバランスを取ることで小林を前に前に押し出す」試みは一定の成果を挙げはしたものの、「小林は中盤でボールを持ててもシンプルにさばいて、高い位置で個人技を生かす。ミドルゾーンでシンプルにプレイし、前線で上野(優作)、横山(聡)と絡んでゴールを取る」ことが高橋監督の狙いだったが、思うように事は運ばなかった。アンバランスになり、中盤は堀田ひとりの実質“ワンボランチ”となってしまう。前線は肉厚になったが、中盤は薄くなってしまった。供給源が限られたことでボールの循環は悪くなり、ロングボールに依存してしまう。相手のプレッシャーが甘かったにもかかわらず。
パスのタイミングがひとつズレ、攻め入ってもラストパスの精度に乏しく、互いの距離が開き始め、全体がぶつ切りになった。淡白な攻撃ばかりを繰り返す。単発だったがマイボールを背後へと蹴ってきた流通経済の方が、動きはダイナミックだった。
ゴールの匂いなど皆無に等しかったが、スルーパスに抜け出した横山聡がマイナスのクロスを入れ、走り込んだ茅島がダイレクトシュート。惜しくもGK林に弾き出されるが、続くCKからファーサイドで空中戦を制した上野優作のヘディングシュートのこぼれ球を小林がプッシュして先手を取る。先制してからも流れは栃木SCにあり、西川がPボックス内で強シュート、素早いリスタートから最後は横山聡が詰めるもゴールは割れなかった。「2点目が遠かった」。試合後に上野優作は振り返った。
流通経済は拙い立ち上がりの流れを引き摺ったまま試合を進めてしまう。宇佐美潤がゴールに迫ったシーンしか見せ場はなかった。
ハーフタイムに中野監督から「暑い中でも若いのだから運動量で負けるな。FWにクサビを丁寧に入れよう」と2点の指示を受けた流通経済。後半に入ると活動量が増し、目指しているパスサッカーが可能となり、右サイドの西弘則は切れ味の鋭いドリブルから存在感を際立たせた。
学生特有の豊富なスタミナに押し切られた栃木SCは、中盤をひとりで切り盛りしていた堀田がDFラインに吸収されると、バイタルエリアはスカスカになり、セカンドボールを取れなくなる。それでも、カウンターから小林がCKを獲得。中央で上野優作がドンピシャリのヘディングシュートを放つがGK正面を突いてしまう。逸機する。突き放せない。
辛くも難を逃れた流通経済はクイックリスタートから西がドリブルで突進。上野優作を振り切り、狭いニアサイドをぶち抜いた。一瞬の隙を突き、個人技から試合を振り出しに戻す。「高い選手に集中してしまい、8番(西)の個人技にやられた」と高橋監督は臍を噛んだ。「控え目だったがシュートにいくなど意図したプレイをしてくれた」と中野監督は称賛した。
30℃を超える猛暑。時間が経過するとともに体力が削り取られていく。目に見えて運動量は低下し、プレスが掛からないことから中盤のスペースは使い放題に。足が鈍ることのない流通経済の攻守の切り替えに手を焼く。幾度となくカウンターを浴びては冷や汗をかかされた。CKから好機を迎えるもGK林に大器の片鱗を見せつけられゴールネットは揺らせない。逆に対応に窮していた高野が西を捕まえきれずにクロスバーを直撃するあわやのシュートを放たれてしまう。
当初の予定通り茅島と西川アウト、石川裕之と高秀賢史が投入されるが流れは変わらない。3枚目の交代カード吉田賢太郎はドリブルから打開を図り、ラストパスを上野優作に届けるがシュートは打ち切れなかった。ロスタイムにはFKから遠藤がダイビングヘッドを繰り出すも、またしてもGK林の守備範囲に飛んでしまった。
運に見放された感もあったが「決定機をGKが2、3本防いでドローになった」と中野監督が褒め称えた通り、安定感のあるセービングに2点目を阻止された。一方でこんな見方もできる。GKの好守があったにしても、この試合は敢えてこれまで使うことを避けて来たが“決定力不足”に泣いたとも。数多くの絶好機を作り出したことが動かぬ証拠だ。
得点機をものにすることができずに1―1のドローに終わった。暗い、暗いトンネルの出口には辿り着けなかった。どん底から這い上がれない。勝ち切れない。窮状において大切なことは、と問われた上野優作は答えた。
「練習が必要。練習です。練習をもう少し大事にしたい」
特効薬などない。日々の積み重ねがものをいう。練習でできないことが試合で発揮されるはずがない。練習から自己を極限まで追い込む。自己研磨なしに喉から手が出るほど欲しいものを手に入れることはできない。もっともな意見である。
JFL前期第16節 栃木SC1―1流通経済大学 @栃木県グリーンスタジアム 観衆2528人
〈流通経済大学〉GK林彰洋、DF赤井秀行、染谷悠太、加藤広樹、宮崎智彦、MF西弘則、三門雄大、千明聖典(→金久保順)、宇佐美潤(→徐錫元)、FW田村洋平、沢口泉(→武藤雄樹)
『取捨選択』
流通経済大学(以下、流通経済)・中野雄二総監督は、はっきりと言いきった。
「栃木の調子がよければ、1―0で逃げ切ったと思います。栃木の煮え切らない部分、課題があるのだろうなと見えました」
端から見た第3者の目には、そう映った。そうであるならば、ピッチでプレイしている栃木SCの選手が同様の思いを抱くのは、不思議なことではない。
「裏へのボールが少ない、縦に遅い、昨年よりも勢いがない、などと言われている。縦に速いサッカーをするのか。上野(優作)さん、山下(芳輝)のポストプレイからサイドに展開するのか・・・」
あけすけに谷池洋平は戸惑いを口にした。ロスタイムに2―2とされた対ホンダFC戦でも「スタイルが確立されていない」と言い、チームの軸を定める作業を怠り続けることによる危険性を強調した。また、言い回しこそ違うが堀田利明も11対8と数的優位に立ちながら、スコアレスドローに終わった対TDK SC戦後に、“核”となるものがない、と嘆きに近い心情を吐露した。
苦境に立たされた時、思うように結果がついてこない時、すがれるものが悲しいかな今の栃木SCには存在しない。昨季は打ち合い上等のスピーディなサイドアタックに加えて、堅守といっても差し障りのない4バックという寄る辺が確かにあった。翻って前々回、前回のコラム、マッチデーでも触れたので、いい加減に書き飽きてしまったのだが、ゴールを奪い取るまでのルートが開拓されておらず、行き先の見えない道を漠然と歩いているのが今季である。
開幕前に高橋監督が掲げたのが「ポゼッションサッカー」。ボール保持率を高め、パスを回しながら機を覗い、ゴールにより近い位置で山下を効果的に使いながら得点力をアップさせることがそもそもの狙いだった。山下が絡んでのゴール、或いは山下自身がゴールを決めることはあったが、前期が終わろうとしているにもかかわらず志向しているサッカーの完成度は恐ろしく低い。個々人の能力で勝ち切れたのは序盤戦だけ。5月3日の対横河武蔵野戦で勝利して以来、実に7試合(ホーム3連敗も含まれる)も白星から見放されてしまっている。無理もない。
それでも、更迭されても文句の言えない戦績しか残せていないにもかかわらず、高橋監督は頑として自らの主張を曲げない。「戦術を大幅に変えることはない」と言うのである。つまり、今後も「ポゼッションサッカー」に固執し続けるようだ。
昼間の練習が取り入れられた。日を追う毎にコンディションは上がっていくだろう。チーム状態も良好になる。でも、果たしてそれで結果が、勝利が付いてくるのだろうか。容易ではない、といわざるを得ない。どんなサッカーがしたいのか。曖昧模糊としているからである。
「Jを目指すには色々なことがある。選手、スタッフが迷わないでJ2昇格という目標をしっかり持ち、自分のやるべきことをしっかりやる。チームがあっちを向いたり、こっちを向いたりしないことが大事」
最後まで目標(あくまでも優勝することだと個人的には考えている)を見失わないことは大切である。高橋監督の意見はもっともだ。一方で、違和感を禁じえない。試合毎にメンバーを入れ替える。本来はセンターバックの選手をサイドバックで起用する。突如として4バックから3バックへ移行。それを継続せずに一度きりで封印。悪しき流れを断ち切りたいとの思いは痛切に伝わるが、最も方向性が定まっていないのは監督ではないのだろうか。激しく揺らいでいる。
上野にロングボールを執拗に蹴り込んでもいい、サイドアタックを復活させてもいい、守りを固めてからカウンターを打ち込んでもいいだろう。徹底的にやるならば。チーム戦術として愚直なまでにひとつのことにこだわるならば。そして、リーグ戦の折り返し地点に差し掛かっても一向に機能する気配のない「ポゼッションサッカー」に見切りを付けるならば。
例えば闘争心、走り負けないこと。これは永遠に捨ててはいけない、保持しなくてはならないものである。しかし、戦術は変更可能だ。切り捨てて構わない。チームにフィットしないものを何時までも重宝していても無益なだけである。監督を交代できないのならば(する気がないのならば)、戦い方を変える以外に負の連鎖から抜け出す方法はないのではないか。
我々は見守ることしかできない。だが、それにも限界がある。幸いにして過去の財産は残されている。劣悪な練習環境は改善されつつある。これを機に些か安定性を欠いても、原点である「スピーディでアグレッシブなサッカー」を今一度、思い出すのも悪くはない。
谷池は訴えかけるように語った。
「失点をしても1、2点。勝つにはとにかく点を取ることを意識しないと。リスクを冒して点を取らなければならない。取らないと勝てない。リスクを背負って前に出る。もっと、前に出ないと・・・」
残り18試合。遅くはない。まだ間に合う、と信じたい。
※後期の回顧録は明日、アップします。
フォト・トレーニング@栃木SC通信
2008年4月23日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
天然ボケ?@栃木SC通信
2008年4月23日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
負傷が気掛かり@栃木SC通信
2008年4月22日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対ソニー仙台FC戦@栃木SC通信
2008年4月20日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-0。
後半:1-0。
ファイナルスコア:1-0。
得点者:上野優作(栃木SC)
上野、泥臭く。
順位:首位(勝点19)
※レポート、コラムは小休止後に。今日から役割分担が代わったので。
プレーバック:対ソニー仙台FC戦@栃木SC通信
2008年4月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているために参考にならない可能性大
選手自身による街頭PR活動が奏効したのか、七夕のこの日、後期ホームゲーム開幕戦には6252人もの観衆が県グリーンスタジアムに足を運んだ。京都サンガFCから移籍してきたばかりの米田兼一郎は「こんなに良い雰囲気で(サッカーが)できるとは思っていなかった。感謝したい」と述べた。
京都で佐川印刷SCに1―1のドロー、柱谷新監督が就任し気持ちを新たに乗り込んだ沖縄での後期開幕戦、FC琉球は0―1で前期(1―0で勝利)の借りを返された。アウェー2連戦では望むような結果が出せなかった。勝利からは9試合も見放され、中位に甘んじている。これが栃木SCに突き付けられている現実である。
勝利を願い駆け付けた6000を越える観衆に、久方ぶりの歓喜を味わってもらうために栃木SCはソニー仙台との一戦に挑んだ。陣容はGK原裕晃、4バックは左から片野寛理、山崎透、照井篤、横山寛真、中盤はボランチに堀田利明と米田、左に小林成光、右に永井健太が配され、上野優作と吉田賢太郎が2トップを組んだ。「サッカー選手は試合に出てなんぼ。自分自身のチャレンジ。京都でお世話になった柱谷監督のために」。移籍早々に初先発の機会を得た米田は栃木SCに籍を移した心境をそう語った。
前期の対戦では敗れはしたが180cm台の選手をズラリと並べ、高さを武器に圧倒したソニー仙台。佐藤英二監督曰く「サイドから崩すためにスピードがあり、クロスの精度が高い選手を揃えた」結果、「高さよりも裏のスペースへ抜け出す」ことを目的としたメンバー構成になった。一転して平均身長は下がった。フォーメーションは4―4―2を選択した。
「守備でのアプローチ。マイボールになったら2トップにクサビを入れて仕掛ける。激しく積極的にやれた」と柱谷監督。その言葉通り序盤から栃木SCがポゼッションで勝り、ペースを握る。上野の落としたボールを米田がはたき永井がフィニッシュ。幸先良くソニー仙台ゴールを脅かすと、直後には小林のスルーパスから吉田賢太郎がサイドネットを突く惜しいシュートを放つ。ボランチから本職のサイドに戻った小林が効いていた。水を得た魚のように溌剌とプレイし、左サイドで起点になった。そこへ上野、米田、片野が絡んで素早いサポートから巧みな連係を見せる。上野のスルーパスから小林が飛び出し、中央でフリーだった吉田賢太郎にパスを送ったシーンは決定的だったが、自殺点をも覚悟した思い切りの良いクリアに阻まれる。
逸機するも「バランスを重視した」(堀田)ボランチからの展開で攻勢であり続けた栃木SCだが、セットプレイ後に鋭利なカウンターを食らっては肝を冷し、照井の緩慢なミスから本多進司にシュートを打たれてしまう。単純なミスが目に付くも形勢は逆転されることなく、永井が小林と米田のシュートをお膳立てするなどしたが、時間が経過するに連れて勢いは失われていった。好機も自ずと減った。サイドに起点を設けられなくなってしまったことが原因だった。
スコアレスで折り返し、迎えた後半。ソニー仙台の活動量はアップした。「セカンドボールに対する修正。ボランチが上手いので潰す。スペースを埋める」(佐藤監督)など、守備のバランスを整えることに重点を置いたことが吉と出た。栃木SCは押し込められる。特に守備が不得手な永井のサイドから何度も攻められたことで守勢に回ることになる。と同時に攻撃力は殺がれた。体力面にも問題はあったが、水漏れ箇所を補修するために永井を引っ込め、深沢幸次を投入した。
しかし、セカンドボールが拾えなくなり、前線にボールが収まらず、出足でも劣った栃木SCの劣勢に変化はなかった。それでも、やや気負いが感じられた吉田賢太郎に代わり横山聡がピッチに立つと、次第に風向きが変わる。貪欲にゴールを狙ったことで強引に手綱を引き寄せる。一気に押しきろうと3枚目のカードを柱谷監督は切った。その時、歴史な瞬間が訪れた。交代のボードに8が灯る。後半26分、堀田アウト、茅島史彦イン。「全く記録のことは気にしていませんから」。さばさばとした表情で連続フル出場記録が途絶えた堀田は言った。91試合で大記録はストップした。ベンチ外だった山下芳輝、スタメンから外れた谷池。これでアンタッチャブルな存在はいなくなった(GK原を除く)。
疲労の色が濃かった堀田を下げ、中盤をより攻撃的なダイヤモンドに移行する。底に米田、左に茅島、右に深沢、頂点に小林を据えた。均衡を破る態勢を整える。積極性を前面に打ち出した深沢は存在感を際立たせ、横山聡は途中出場ながら6本ものシュートを記録し(正確には7本だと思うが)、その大半が絶好機だったが精度を欠き、GK金子進が好守を披露したこともありネットを揺らせなかった。「決定機を作れることは評価できる。しかし、それを決めなければならない。チャンスを生かさないと、勝負強くないとプロではない」と柱谷監督は自身がFW出身であることから辛口だった。また、チームとしてゴールを奪えないことに関しても触れ、「最後の精度、クロスの質や高さなどを前の選手が持っていないと勝てない。能力の部分に差がある」と分析した。詰めの部分の重要性は選手も痛感している。「ドリブルで抜けることはベースとして、その次。クロスやパスがずれている」(永井)
終盤の猛攻も結実することなく試合はスコアレスドローで終了した。勝ち点1を手にしたが、またしても勝利を掴めなかった。遠かった。つまり、勝ち点2を逃したと表現する方が適切。
「サポーター、ファンが多いのは財産。勝ちたかった。そうすればリピーターも増える。勝って面白いゲームを観た人が友人に話せば(単純計算で)1万2000人になる。こういう試合では勝たなければならない」
柱谷監督はサポートしてくれる人達のありがたみを強調し、語り口は淡々としたものではあったがドローという結果に悔しさを滲ませた。
一方で、可能性と自信も口にした。
「昼のトレーニングを開始して2週間が経ち、コンディションは上がっている。あと2、3割上がる。今日よりも激しく積極的なゲームができる」
JFL後期第2節 栃木SC0―0ソニー仙台 観衆6252人 @栃木県グリーンスタジアム
〈ソニー仙台〉GK金子進、DF橋本尚樹、木村孝次、亀ヶ渕幹、飯川裕太、MF大谷哲也、西洋祐(→高野和隆)、千葉真也、平間智和(→石原慎也)、FW本多進司(→金子央朋)、村田純平
『独自色が出始めている』
初陣となった後期第1節のFC琉球戦。合流して2日目のトレーニングで「頭の中に(思い描いている)メンバーはいる」と口にした柱谷新監督であるが、蓋を開けてみれば高橋前監督時代と先発、選手交代に大幅な変化はなかった。準備期間が4日、試合前日には解説の仕事をこなしての現地入りだったことを考えれば、大胆な手に打って出ることが容易でなかったことは想像に難くない。選手を見極めるという目算もあったのだろうが、あえて大きなリスクを冒すことはしなかった。
監督就任から慌しかった1週間が経ち、ようやく腰を据えてトレーニングに取り組むことができるようになった。Bチーム主体で臨んだ日立栃木ウーヴァスポーツクラブとのトレーニングマッチ、前節の対FC琉球戦(0―1の敗戦)の2試合で「選手の特徴を見られた」。「名前と特徴を憶えている」段階を終え、迎えた実質“初采配”となった対ソニー仙台戦では、柱谷監督の独自色を幾つか見ることができた。
先ず先発メンバー。6人も入れ替えた。京都サンガFCからレンタル移籍をしてきた米田兼一郎、エース吉田賢太郎の先発起用には驚きはなかったが、これまでスーパーサブだった永井健太をスタートから使い、コミュニケーションが最も要求されるDFラインをいじった。先発の座を不動のものとしていた高野修栄、谷池洋平、北出勉が外れた。代わりに片野寛理、山崎透、横山寛真が前の試合から唯一残った照井篤とラインを組んだ。今季初めて実戦で最終ラインを形成したわりには、相手を無失点に抑えたことが雄弁に物語っているように破綻することはなかった。窮地は前半5分に食らったカウンターくらいだった。「前線からプレスに行っているので、蹴り込んでくるボールを跳ね返せる力を信じて使った」照井と山崎のセンターバックは柱谷監督の期待に応え、「守備も強い。カタ(片野)は上がっていける。ヨコ(横山寛真)もカタもよくやってくれた」と両サイドバックに対する評価も高かった。
一方で注文もつけた。
「最後の10分、(ラインを)上げられない。蹴り込んだら相手をオフサイドポジションに置き去りにするくらいガッと上げる。何回も最後の10分、上げられるように言ったのだが・・・」
トレーニングで柱谷監督は執拗に時間を意識させているが、まだ選手達には浸透していないようだ。フィジカルコンディションも発展途上にある。苦しい時にどれだけ挫けそうな己と相手との勝負に勝つことができるのか。勝ち切るにはさらなる心身両面での精進が求められる。就任会見で指摘した栃木SCのウイークポイントである「フィジカルベースが相手よりも劣る」点は、解決手段のひとつとして時間も鍵となってくる。一朝一夕には向上しない。積み重ねが物を言う。しかし、時を待つのではなく、「年齢が若い方が伸びる」、回復力に差異があることから平均年齢を下げ(いままでよりも2歳近く下がった)、運動量を上げる策も講じている。ただ手をこまねいているだけではない。
意外と言っては失礼だが、先発に抜擢された永井。この起用にも明確な意図とメッセージが込められていた。「90分間プレーする体力はない。技術に不満もあるが、縦へ仕掛ける、前へ行ける強さがある」と永井を評した柱谷監督。足りない守備力と体力に目をつぶったのは、強引なまでのドリブルを生かしてチームを鼓舞し、攻撃的なサッカーを展開したかったからだ。永井は右サイドで1対1になれば果敢にドリブル突破を試み、加えてチャンスメイクにフィニッシュと持ち味を発揮した。「狙い通りアグレッシブにやれた」(柱谷監督)一因に挙げられる。
また、柱谷監督はこんなことも言っている。
「1対1で攻守に勝てないと、戦わないと使わない。そういう選手を使うことでチーム内に競争原理を働かせる」
運良く米田を獲得することができたが、シーズン途中での補強は厳しい。現有戦力で残りのリーグ戦を戦い抜き、J2昇格を果たすためには、永井や途中投入された深沢幸次のように前を向いたらとにかくゴールを目指す、闘争心を剥き出しにした姿勢を求め、そして固定観念にとらわれることなくフラットに選手を見ることで常に互いを競わせ切磋琢磨させる目論みでいる。短所を補って余りあるほどの長所を買って永井を最初から使ったことには、そんな指揮官の思いがあった。
攻勢だった前半。「ベースの部分を確認した」トレーニングの成果がはっきりと表れていた。ビルドアップには必ずダブルボランチのどちらか一枚が参加し(落ちるとも表現する)、ボールをサイドに散らしつつ、クサビも打ち込み、背後も狙った。ピッチの横幅を有効利用することでサイドハーフを起点に攻撃を繰り出しもした。その際サイドバックも自陣に引っ込んでいることなく適度な距離感を保つことを忘れない。背後に控えフォローに入れる態勢を徹底させたことでサイドハーフやボランチが孤立することを防いだ。ポゼッションも上がり、前線の連動性も高まったことで個に依存するのではなく、複数の選手が絡みながらゴールに迫ることができるようになった。良質なトレーニングを消化していることで、当たり前のことが当たり前にできるようになってきた。損なわれていた躍動感が散見されるようにもなった。
試合内容は格段に良くなってきている。だからこそ、勝ちたかった。連続フル出場記録が途切れた堀田利明はいった。「内容よりも結果にこだわりたい」。今は何よりも勝利、勝ち点3に重きが置かれ、喉から手が出るほど欲しい。だが、結果が思うようについてこないのが実状である。FC琉球戦でスタートを切った柱谷新体制。ソニー仙台戦は痛み分けのドローに終わるも、やりたいサッカーの方向性が感じ取れた。三段跳びに例えるならばホップに成功したといえる。あとは着実なステップを踏み、高々とジャンプするだけである。
ひとつのゴールが、1勝が悪しき流れを断ち切り、連勝という好循環に繋がる気配はこれまでよりも濃厚に漂っている。
※おまけ
栃木SCは千葉県市原市の市原スポレクパークで2月2日から8日間のキャンプを張った。最終日はキャンプ中に組まれたトレーニングマッチ(TM)3試合(ジェフリザーブズ、国際武道大学)の締めとなるソニー仙台と対戦した。試合形式は45分×2本だった。
1本目のスタメンはGK小針清允、DFは左から入江利和、鷲田雅一、山崎透、赤井秀行と並び、中盤はボランチに落合正幸と向慎一、左に深澤幸次、右に小林成光が配され、2トップは横山聡と稲葉久人が組んだ。交代はGKのみ。小針に代わり途中からGK柴崎邦博が入った。ちなみに、昨季まで栃木SCに所属していた谷池洋平はソニー仙台のCBの一角として出場していた。
電光石火の先制劇だった。右サイドからのスローインに好反応した向が倒されてPKを獲得。これを横山聡が豪快に突き刺す。落合がアンカーとして最終ラインの前にどっしりと構えていてくれるからこそ、向は大胆にゴール前に顔を出すことができた。ボランチのお手本のような米田兼一郎(徳島ヴォルティスへ移籍)が抜けた穴は大きいように思えたが、どうやら中心選手の1人として柱谷幸一監督が期待を寄せている落合が埋めてくれそうである。あっさりと先手を取った栃木SCだが、波に乗り切れない。攻撃陣に故障者が続出したことで攻撃のトレーニングに時間を割けたのが1、2日だったことから、コンビネーションを駆使してゴールに迫る回数は数えるほどだった。攻守が入れ替わっても動き方はぎこちなく、スペースメイキング、セカンドボールに対するサポートなど、改善する余地があるだろう。「前線のクサビの意識付けを、かなり意識的にやった。まだ、合っていない部分が結構ある。反省をして、まだ日が浅いので、これからよくなるし、よくなっていけば」とは横山聡。流れるような展開は1度だけ。入江のクサビを横山聡が落とし、ドリブルで持ち込んだ深澤がシュートを放ったシーン(GKに弾かれる)。それ以外はアタッキングサードにボールを運んでも詰まってしまう場面が散見された。
拙攻が目立ったのは事実。しかし、無理にパスを回して引っ掛かることを避けてミドル、ロングボールを多用したのは、意図的だったようだ。不出場だったものの佐藤悠介が明かしてくれた。単調に映った攻撃にも明確な意思が存在していた。仙台が4-4-2でラインを浅くしてきたこと、前線にボランチからクサビが思うように入らなかったことで、左サイドの入江のところに起点を設けた。攻略が困難なエリアを避け、サイドバックとワイドがポイントになり、一旦サイドに預けてからFWを背後へと走らせる。ポゼッションだけに固執することなく、相手のやり方に対して自分達がどうアクションを起こすのか。この日は敢えて裏を突き、DFラインを下げさせることで全体を間延びさせる戦術を採用。ある程度、サイドを利した狙い通りのカタチは作れていた。
守備陣をリードしたのは鷲田だった。仙台の執拗なロングボール攻撃にも臆することなく、強気なラインコントロールで何度もオフサイドトラップの網にかけた。常時、前線との距離感を確かめながら、コンパクトフィールドを壊さないように努めた。小刻みなライン設定、空中戦の強さ、足元の確かなスキル。頼もしいDFリーダーになってくれそうである。気掛かりは右サイドバック赤井のところ。2度も赤井のサイドから窮地を招いてしまった。一人だけの責任ではないが、ワイド、ボランチ、CBとの連携を深める必要があるだろう。試合は横山聡がプレスを掛けて奪ったボールを自らが蹴りこんで追加点を挙げ、2-0で45分は終了した。「練習試合で点を取りたい、アピールしたいと思っていたので2点取れてよかった」。横山聡は安堵の表情を浮かべていた。
2本目はGK柴崎、4バックを斎藤雅也、川鍋良祐、照井篤、赤井が形成し、ダブルボランチに久保田勲と鴨志田誉、左に深澤、右に高安亮介が入り、2トップに起用されたのは稲葉と坂本勇一。交代は柴崎→武田博行→飯田健巳、赤井→岡田佑樹、稲葉→石舘靖樹。岡田と石舘は交代した選手と同ポジションに就いた。
安易なパスミスが多発。波状攻撃を仕掛ける前に失ったボールをカウンターに繋げられる。落ち着かない試合運びも、右の久保田から稲葉→坂本→深澤とボールがピッチを横断し、最後はオーバーラップした斎藤が惜しいシュートを打ったあたりからリズムを掴み始める。この一連のプレーは綺麗だった。その後もサイドチェンジを織り交ぜながら、高安の突破力を生かした、アグレッシブな攻撃からゴールを伺う。が、シュートは枠を反れるばかり。高安が2本、坂本が1本、枠を捕らえなければならないシュートを外した。守っても全体的にプレスが緩く、仙台に攻め入られ、好機を演出されもしたが、無失点でクローズ。CKから坂本がニアサイドで競り、ルーズになったボールを再びプッシュし、1-0で2本目も栃木SCが勝利した。
トレーニングマッチ 栃木SC3(2-0、1-0)0ソニー仙台 @市原スポレクパーク
『ベクトルを合わせることの重要性』
キャンプを振り返り、佐藤悠介が言う。
「方向性は見えていると思うので、いいキャンプだったと思う」
収穫はフォーカスした守備面だろう。アタッカー陣が怪我を負ったことで必然的にキャンプは守備を中心としたトレーニングにならざるを得なかった。連日、ビデオを見ながらトレーニングで浮き彫りとなった課題を修正した。入念にチェックを繰り返したことで、柱谷幸一監督が守備のキーファクターとする「チャレンジ&カバー、ラインコントロール、スクリーン、ボールへのアプローチ、サンド」などの共通理解が図れた。例えばDFは鷲田雅一、ボランチは落合正幸が軸であるが、パートナーが変わろうともベースの部分がしっかりと構築されたことで守り方にブレが生じない。ジェフリザーブズ(1-0)、国際武道大学(2-0)、ソニー仙台(3-0)とのトレーニングマッチ3試合を完封できたのは、守備組織が段階を踏んで仕上がってきているなによりの証拠だろう。天候に恵まれなかったキャンプだったが、「予定通りやれた」と柱谷監督が口にしたのは、「守備はかなりやれている」との手応えを掴んだからに違いない。
「どうやって11人で守るのか。どこでプレッシャーを掛けるのか。ファーストDFのコースの限定の仕方など、当たり前のことだがチームが同じ方向を向く。ひとりが取りに行っているのに、周囲が動かないのでは意味がない。皆が同じ方向を向くことが今回のテーマだった」
佐藤は何度も「同じ方向を向く」ことの重要性を説いた。ベクトルが同じということは、つまりコミュニケーションが取れているということ。この時期、トレーニングマッチの勝敗よりも、攻守におけるイメージがどれだけシンクロできているか。その点に重きを置くべきだと強調する。それは柱谷監督の目指すサッカーにどれだけ近付けているのかを測るバロメーターを知っているからこその発言なのかもしれない。
佐藤は言う。
「ボクは昔、監督とやっているので(志向する)サッカーが理解できている。完成度とか。これをやれば、これくらいの状態になることが分かっている」
指揮官の理念を叩き込まれている選手が、佐藤以外にも在籍していることはチームの完成度を促進する。個が突出していてもユニットとして機能しなければ過酷なリーグを勝ち抜き、テッペンになど辿り着けない。新加入選手が大半を占めるチームが、一致団結して目標を達するには目線を合わせなければならないのは言わずもがなである。
他方で、先送りになってしまった攻撃に関しては個のレベルアップの必要性を感じてもいる。
「J1、2のチームもそうだが点を取るところですね。いいトレーニングを監督がしてくれてもPボックス内での個人のアイディアとかクオリティは選手が持っているもの(が関係してくる)。シュートが枠に飛ばない、シュートが入らないのは僕自身も含めて個人の練習になってくる。11人でボールを運んで攻めて守るが、最後の部分は個人的な問題になってくるので、そこの精度を上げていきたい」
『柔軟な発想力』
昨季と体質的に似通った部分があるのかもしれない。
「真面目で言われたことはしっかりやるが、そればっかりになるのは困る」
佐藤は現在のチーム状態をそう把握し分析した上で、「自分で考える必要がある。局面、局面で色々なことが起こるので個々で修正をする。グラウンドで起こっていることを自分達で考え、対応していく。その力を付けていかなければならない」。そのために、上野優作と共にこれまでの経験を若手に還元していきたいと考えている。
表現こそ違うが、柱谷監督も対応力について言及している。
「ゲームでの90分の使い方。相手のやり方に対してどう戦っていくのか。極端に固めた戦術で戦うのではなく、柔軟に考えてやっていく。それが90分のペースを作る。ひとつのカタチしかなく、相手が対応してきたら、相手のペースで終わってしまう。いろんなことを自分達が使えるようにならないと」
臨機応変に戦わなければならない。その一例としてショートパスを持ち味とするヴァンフォーレ甲府を引き合いに出した。細かいパスを繋いで引っかかって逆襲を食らうのでは意味がなく、大きなサイドチェンジや大胆に背後を突くパスを混ぜるなど、その場の状況を読みきる力を養うことを求める。ひとつのことを突き詰めて徹底的にやるのではなく、バランスよく試合を運び、相手が守り難いサッカーを展開する。ソニー仙台戦を見た限りでは、高いラインを押し下げるのに長いボールを、サイドから意識的に使った。浅いラインが深くなれば中盤が空き始め、バイタルエリアから崩せるし、トップがボールを受けられるようにもなる。ボールを付け難い中央から侵略するのではなく、サイドを有効活用する。分かり易いビビットな単色ではなく、色彩に富んだサッカーを理想系として掲げる。
言われたことをただ単に忠実に実行するのではなく、頭を柔らかくしておくことで刻々と変化する局面で思考を停止させることなく正しい判断ができるようにする。今年も攻守両面で「アラート(用心深い。敏感な)」な状態を持続させることがポイントになってくるだろう。
プレーバック:対ソニー仙台FC戦@栃木SC通信
2008年4月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているため参考にならない可能性大。
ジャケット一枚で十分だろう。見込み違いも良いところだった。侮った。東北の寒さを。曇天模様の仙台に降り立つ。身震いがした。とにかく、寒かった。北国特有の体の芯をえぐるような冷気は、冷え性にはこたえた。コートが必要だったことを後悔する。
今季初のアウェー取材となった仙台遠征。もちろん、栃木SCの勝敗、試合内容にプライオリティが置かれていたが、サッカー専用のユアテックスタジアムを生で拝むことも楽しみのひとつであった。最寄駅から5分とかからないアクセス環境は何物にも変え難く、スタンド全体を覆った屋根は反響効果が抜群であり、ピッチとスタンドの距離感も程よくて心地好かった。日本平スタジアムも惚れ惚れするような造りだったが、ユアスタのコンパクトゆえの圧迫感はまた違った趣があった。改修、新設が予定されている栃木SCのホームスタジアム。観戦に訪れていた新井賢太郎社長は、何を思ったのだろうか。
プレス席に座ると、雨がパラパラと落ち始め、体感温度はグッと下がった。吐く息が白い。にわかに信じ難い光景を目にする。関東の人間からすれば冬に逆戻りした天候の中、栃木SCはソニー仙台と対戦した。
アルテ高崎に4―0と圧勝した栃木SCのメンバーは、前節から不動だった。「勝っているチームはメンバーをいじらない」。サッカーの原則である。GK原裕晃、DFには左から高野修栄、谷池洋平、照井篤、北出勉、ダブルボランチに堀田利明と山田智也、左に石川裕之、右に小林成光、センターFW山下芳輝の下にシャドーとして吉田賢太郎が起用された。
既に3敗と出足で躓いたソニー仙台。平均身長179.5cmと高さに長けた選手を揃えた。フォーメーションは4―4―2を選択した。180cm以上が6人。自ずと戦術は予想され、警戒すべきことも分かっていたはずなのだが・・・。
「いつもよりパワーを使い、23番(金子央朋)と9番(村田純平)が前線で競ってから一気に攻撃を仕掛けてくる」ことは高橋監督も選手も読み通りだった。ところが、「浮き球で勝負してくるのは分かっていたが、跳ね返せなかった。相手の術中にはまってしまった」(小林)。
早めにトップにボールを当て、セカンドボールを拾い、両サイドバックを効果的に使ってきたソニー仙台に試合を支配される。劣勢に回り、西洋祐の低空ミドルがGK原を襲い、千葉慎也にはスペースに飛び出されループシュートを打たれ、不用意なパスミスから金子央朋にはミドルシュートを許した。前半のロスタイムには橋本尚樹の右クロスをフリーで村田純平に頭で合わされた。万事休す。失点覚悟の状況であったが、運良くシュートはGK原の正面に飛んだ。頭を抱える村田。安堵の溜息が漏れた栃木SCスタンド。
出足が遅れ、動きに乏しく、一発狙いの単調な攻撃、サイドで数的優位を作り出せないなど、栃木SCは全体的に精彩を欠いた。シュートは僅かに1本だけと、お粗末な内容だった。
それでも、序盤に好機はあった。小林が内側へとドリブルで切れ込み、山下のポストプレイを利し、シュートまで持ち込む。一旦は弾かれるもセットプレイの流れの中で、ゴール前に残っていた谷池がルーズボールをプッシュ。インゴールのように見えたが、ボールはコロコロと優雅に枠から反れていった。「あれが入っていれば、優勢に試合を進められた」と高橋監督は悔しがった。たった一度、逸機しただけで、流れは一方に傾く。サッカーの恐ろしさを改めて痛感させられた。
前半の勢いそのままにソニー仙台は、後半も立ち上がりからゴールに迫った。多彩な攻めから攻略を試みた。
押し込められていた栃木SCであるが、「(対面の)2番(橋本尚樹)がいいリズムを作っていたので自分が主導権を握ってやろう」と茅島史彦が「チャンスに絡むこと。運動量」を意識した動きでサイドを疾駆すれば、後半頭から同時投入の横山聡も前線からの惜しみないチェイシング、ポストプレイ、スペースへの飛び出しから活性化に貢献した。
やや、盛り返したところでゴールは生まれた。堀田のクサビを山下がダイレクトではたき、ゴール前で横山聡、山田が絡んで最後は小林が左足でコントロールシュートを隅に沈める。「相手がトラップしたら狙ってやろう」。マーカーがクリアしにくいボールと予測した小林は、トラップした直後を見逃さずに、体を寄せて窮屈な体勢ながら先制点を叩き出した。対アルテ高崎戦のループシュートに続き、難易度の高いシュートで2戦連発弾。吉田賢太郎、石川、小林と前半は消えていた3人のうち、誰が変えられてもよかった状況で、小林だけが後半もピッチに立った。「皆が守ってくれているから責任感がある。監督にも信頼されているから結果を出さないと」。見事に小林は期待に応えた。
山下のジャンピングボレー、横山聡の反転シュートとフィニッシュに至る回数が増えても、ソニー仙台は怯まなかった。ホームでの敗戦、4敗目を回避するために左サイドから圧を強める。後手に回った栃木SCは耐え凌ぐしか手はなく、再び防戦一方に。終盤にはパワープレイを仕掛けられもした。身をていしての懸命のブロックなどで乗り切ったが、猛攻は凄まじかった。「一番、苦しい試合だった」。疲労が滲んだ北出の言葉が、そのことを如実に物語った。
「首位に立つことを意識した」(高橋監督)試合は、困難なものとなったが「0で抑えればうちはまけない」と常々いわれている守備陣が踏ん張り、攻撃陣が決定機を確実にゴールに結び付け、「1―0で勝ちきる」ことができた。他チームが足踏みをしている間に勝ち点3を積み上げられたことは大きかった。6節を終えて得失点差でFC岐阜を上回り首位に立ったからだ。苦戦の先には、ちゃんとご褒美が用意されていた。
「苦しい中でも勝ちきれる力がある」
高橋監督が自信を持って語った通り、試合を重ねる毎に逞しさは養われ、安定感も増している。勢いだけで突っ走った一昨年とは異なる強さが、今の栃木SCにはある。
JFL前期第6節 ソニー仙台0―1栃木SC @ユアテックスタジアム 観衆854人
〈ソニー仙台〉GK内田謙一郎、DF橋本尚樹、山本僚、藤倉寛、飯川裕太、DF亀ヶ渕幹、西洋祐、桐田英樹(→平間智和)、千葉真也(→高野和隆)、FW金子央朋、村田純平
『懸念の右サイド』
後半13分、小林成光のコースを狙ったシュートが決まり、栃木SCが先手を取った。ソニー仙台に前半45分を支配されていただけに、値千金のゴールだった。
数少ない好機をゴールに繋げられたことで、形勢は逆転し、栃木SCの時間帯に突入するかに思われた。だが、思うに任せない。千葉真也に代わりピッチに送り込まれた高野和隆に振り回されることに。中盤の左サイドに配された高野和隆。挨拶代わりに村田純平へと良質なクロスを供給し、自らは思い切り良くミドルシュートを放った。更に左サイドバック飯川裕太のオーバーラップを助長と、栃木SCにとっては厄介極まりない存在となった。サイドの綱引きでは完全に屈した。
相手の起点を潰そうと高橋監督は手を打つ。イエローカードを一枚もらっていた小林を下げ、ジョーカー永井健太を投入した。ここ数試合キレのある動きを披露している西川吉英、ボランチとサイドができる久保田勲がベンチに控えていたが、あえて永井を入れた。
この交代には2つの意図があったのではないか。ひとつはスピードと馬力のあるドリブル突破から「追加点を取る」こと。もうひとつは“抑止力”を働かせようとしたこと。リードを広げることが最大の狙いであったことは確かであるが、それよりも制圧されていたサイドにおける攻防で優位に立とうとした。ゴールしたにもかかわらず悪い流れを、抜群の攻撃力を有する永井で断ち切る。守備力では永井に勝る西川と久保田で守りを安定させることよりも、攻撃的に力で押し切ることを選択した。
結果的に講じた策は奏効したとは言い難かった。「10番(高野和隆)がフリーで(スペースに)入るタイミングがある。しっかり対応しろ」と高橋監督は盛んに指示を飛ばしたが、「スペースに入られてしまい苦戦をした」と右サイドバックの北出勉。無失点に封じることはできたが、最後まで手綱を引き寄せられなかった。相手の軸を圧し折れなかった。
トレーニングマッチから右サイドの守備はチームの懸念材料だった。主力組とされていた選手が出場した試合。ジェフ千葉、横河武蔵野FC戦では、いずれも右サイド(相手にとっては左サイド)のクロスからゴールネットを揺らされた。リーグ戦で唯一、喫したジェフリザーブズ戦での失点も同様だった。
原因は、はっきりとしている。中盤とサイドバックの間のスペースが、ポッカリと空いてしまうのだ。「コバ(小林)も永井も攻撃的な選手だから、自分がケアーしてあげられれば・・・」と北出は責任を感じているようだが、個人が担当できるエリアには限界がある。「DFはラインを崩さない(ことが第一)。前に出るのではなく、中盤が戻って来るのを待つ」ことがチームの共通理解である以上、北出はアタックに行きたくても容易には行けない。躊躇っている間に相手はスペースに侵入。クロスを許す。悪循環にフラストレーションは溜まっていることだろう。
「自分が行くのか、ボランチが行くのか。バランスを考えながら詰めていきたい」(北出)
得点力と粘りのあるドリブルが持ち味である小林の特長を殺さないためには、守備の負担を軽減させるには、北出とダブルボランチで話し合う必要がある。状況によって生じてしまう広大なサイドのスペースを誰が埋めるのか、を。
幸いにしてソニー仙台戦ではゴールを割られることはなかったが、栃木SCの右サイドの守備が万全ではないことは顕在化してしまった。今後は強豪との対戦が続く。対戦相手はスカウティングをしているであろうことから、確実にウイークポイントを突いてくる。6戦して失点は1と、現時点では申し分のない数字を残しているが、課題を先送りにしてしまうことになれば、必ず痛い目にあう。早急な対処が求められる。
北出が前に出て最終ラインの残り3人がスライドするのか、それともダブルボランチの一枚がサイドに加勢するのか。やり方は色々あるだろう。栃木SCにとって最良の守り方を模索し、追及してもらいたい。
※後期の回顧録は明日、アップします。
佐川印刷SC戦コメント@栃木SC通信
2008年4月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対佐川印刷SC戦@栃木SC通信
2008年4月13日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-1。
後半:2-1。
ファイナルスコア:2-2。
佐藤ダイレクトボレーも土壇場で同点に。
順位:2位(勝点16)◆首位:ファジアーノ岡山(勝点18)
※ただいまです。レポートは今日中には難しいです。深夜には更新できそうかな?疲労度が凄いので自信はないっす。
プレーバック:対佐川印刷SC戦@栃木SC通信
2008年4月12日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているために参考にならない可能性大
高橋高前監督が突然の辞任(解任に限りなく近いものだが)。J2昇格の切り札として招聘された柱谷幸一新監督が実質、指揮を執り始めたのは7月からだった。就任当初から優勝ではなく、現実的な「4位以内」という目標を掲げることで足並みを揃え、挑んだ戦いは残り2試合を残した、11月18日に終止符が打たれた。
投げかけられた問いに対する迅速な答えが返ってこない。様々な思いが交錯していたことは想像に難くない。言葉は途切れ、会見場は静寂で覆われた。しばしの沈黙後、ようやく口は開かれた。
「チームの環境や状況など説明を受け、理解して(チームに)入った。置かれた状況の中で最大限のことをやる。変えられることはいい方向に変えよう、と思いやった。なかなか勝ち切れない。勝ち点を積み上げられない。順位が上がらない。応援してくれたサポーターには申し訳ない気持ちで一杯です」
普段は勝敗に関係なく、些か温度に欠ける嫌いはあるものの、冷静に淡々と言葉を並べていく柱谷監督だが、さすがに「J2かJFLか」の審判が下されたことで声に力はなかった。目は虚ろであり、憔悴していた。課せられたミッションを履行できなかったことで自責の念に駆られ、サポーターをJへ連れて行けなかったことを激しく悔いた。
前日の試合でFC岐阜は勝利し、勝ち点を57にまで伸ばした。これにより、栃木SCの3位以上は消滅。昇格圏内ギリギリの4位に滑り込むための椅子は僅かにひとつだけとなった。上に4チームが位置するも「数字の上での可能性」は消えていなかった。一縷の希望を頼りに、対佐川印刷SC戦に臨んだ。
4―4―2の栃木SCは、GK原裕晃、4バックを石川裕之、山崎透、谷池洋平、片野寛理が組み、ダブルボランチを米田兼一郎と久保田勲が務め、左ワイドに小林成光、右ワイドに高安亮介が入り、上野優作と横山聡が2トップに起用された。
開始早々にFKを頭で合わせた谷池のシュートは枠外へ飛ぶが、出足は悪くなかった。石川と片野の両サイドバックは高位置に顔を出し、横山聡は旺盛な運動量でボールを呼び込んだ。ここ数試合で先発の座を確かなものとしつつある高安は持ち前の攻撃性を存分に活かす。前からのフォアチェックも効果的であり、コースが限定されたことで後ろは守り易かった。コレクティブな守備で佐川印刷の行く手を阻む。
攻守で優位に立ち、両サイドから攻め立てるも、相手も必死の守りで凌いだことで好機を生み出せない。攻勢もややペースダウンした時間帯。山崎の信じ難いバックパスを大坪博和に掻っ攫われる。ここはGK原が捨て身のセーブで逃れるが、今にして思えばこのワンプレイが失点の伏線だったのかもしれない。つまり、一瞬、切れてしまう集中力。これが敗因。
窮地を脱してから数分後、上野が左足を一振り。ゴール右下へと吸い込まれるようにミドルシュートが決まる。谷池のロングフィード、高安の落としとお膳立ては完璧であり、立ち上がりから果敢にゴールに迫っていた上野の気持ちがシュートには込められていた。
怪我の功名。負傷した高橋弘章がアウト、代わりに辻本茂輝がDFラインに入ったことで、佐川印刷の3バックは安定感を手にする。辻本は「2トップにボールが収まらないように潰すこと」(佐川印刷・橋本雄二監督)を実行に移し、主にマークしていた横山聡をピッチから消した。
リードを得てからが拙かった。連動した守備機能が低下し、高い位置で取れていたボールが取れなくなる。流れが少し傾いたところでショートカウンターを浴びる。東純一郎から大坪と渡り、あっさりとゴールネットを揺らされた。前半34分、試合を振り出しに戻される。
「しっかり立て直して、うちのペースにできていれば・・・そのままの流れで行ってしまった」(米田)
前半の悪しき流れを後半も引き摺る栃木SC。5バック気味にサイドを強化した佐川印刷に正面からぶつかってしまう。インパクトプレイヤー深澤幸次を投入。深い位置までボールを運ぶことには成功した。そこからが問題だった。クロスを入れるが中との呼吸は合わず。崩してもフィニッシュに至れない。また、意固地なまでにサイドに固執したことが柔軟性を殺いだ。
再び米田。
「攻撃のバリエーションが不足し、単調になっていた。ちょっとした工夫が必要だった」
外、外。その意識はマイナスに作用した。内側から攻略する発想に乏しかった。
セカンドボールへの反応の遅さ、プレスの機能不全、攻め切れない攻撃。悪循環が逆転ゴールの呼び水となる。谷池と深澤の間に潜り込んだ金井龍生がGKの頭越しにループシュート。「サイドにつけてからのカウンターが決まった。上手くプラン通りに運べた」と橋本監督。堅守速攻の策にはまる。石川は言う。「はめられたというよりも、はまってしまった。自滅した」。
上野に代えて山下芳輝、片野を削り小原昇を入れ、3トップにしてパワープレイを仕掛けるが水泡に帰す。蹴っては跳ね返される。巻き戻しと再生を繰り返しているだけだった。
1―2の敗戦。
「前節で修正できたと思っていたが、リードして勝ち切れない。そういうゲームが続くということは、本当の強さの部分はまだまだ未熟。弱さがある。積み重ねがチームの成長に繋がる。同じメンバーでやってきているのに継続性が足りない。チームが纏まりつつあっただけに勿体無い」
攻めるのか、守るのか。課題は前節のジェフリザーブズ戦で解消され、意思の統一は図られたはずだったが、それは上野が指摘したとおり一過性のものだった。
「厳しいゲームをものにしていく強さ。1―1のゲームを勝ち切る泥臭さ、粘り強さが足りない」
上野同様に昇格の味を知る谷池は、そう語った。
より具体的に柱谷監督は、備わっていない要素を列挙した。掻い摘んで記す。
先ず組織としては強固な守備も1対1となると露呈する脆さ。2失点はいずれも個の強さの欠如によるものだった。次に試合運びの巧拙。確実なビルドアップ、左右に揺さぶるポゼッションとサイドチェンジ。状況に応じたチームとしての対応力と判断力の低さが勝ち点を喪失させた。アドリブが利かないのだ。
個が伸びれば、組織も充実する。理屈は単純だが、易々と事は運ばない。現時点で監督の去就を含め来季の体制は白紙だそうだが、2つを突き詰めなければ同じ轍を踏むことは必死。来季の開幕まで時間は限られている。気が付けば今季が終わろうとしているように、来季もすぐそこまで迫っている。有効に時間とお金を使っていかなければならない。今季のような蹉跌を味わうのは一度で十分だ。
JFL後期第15節 栃木SC1―2佐川印刷SC 観衆3386人 @栃木県グリーンスタジアム
〈佐川印刷SC〉GK川本良二、DF高橋弘章(→辻本茂輝)、山本健二、松岡真吾、MF金井龍生、小寺一生、中森大介、中井義樹、東純一郎(→大槻絋士)、FW大坪博和、町中大輔(→吉沢秀幸)
〈栃木SC〉交代:高安(→深澤)、上野(→山下)、片野(→小原)
『少々、粗雑なくらいが丁度いい』
後半に放ったシュート数が公式記録によれば、1本もなかったことを伝える。すると、驚いた表情で聞き返してきた。
「後半のシュート、0ですか?チャンスはなかったと思っていましたけど・・・」
米田兼一郎は首を傾げた。
不思議がるのも無理はない。厳密には、打っているからだ。途中交代の深澤幸次が、そして米田自身が。後半33分、Pボックス内でルーズになったボールを左足で叩いた。DFにブロックされるも、それはゴールを意識した紛れもないシュートだった。が、カウントされることはなかった。
記録員によりシュート数に多少の変動があるにしても、栃木SCが拙い攻撃を重ねたことは動かし難い事実である。フィニッシュに持ち込めなかったことが問題であり、その原因を米田が語る。
「攻撃のバリエーションが不足し、単調になっていた。ちょっとでも工夫ができていれば・・・。相手が3―5―2でサイドでの優位性があったのだから、サイドチェンジを使うべきだった。何回かできていたが、センタリングやシュートで終われなかった」
1点のビハインドを背負っていた栃木SCは、後ろを3枚に減らして前線に人数を割く手を講じる。好守からの速攻をゲームプランとしていた佐川印刷SCは、守備への意識を更に強めた。引きこもった相手に対し、厚みを持たせることで嵩に掛かって連続攻撃を行う。一方的な展開も好機を作り出せない。緩急の乏しさだけが際立った。
谷池洋平に「前で潰して、後ろはカバーするから」と伝えた石川裕之。手薄になった最終ラインでカウンター攻撃を耐え凌ぐ。抜群のカバーリング能力を発揮し、味方の反撃を待った。小林成光、久保田勲、深澤はゴールライン寸前の深部にまで侵入できた。しかし、肝心の詰めが甘かった。それだけに、「勿体無い」と歯痒さを感じ、「3、4回サイドをえぐってもシュートにいけないのは、後ろとしては堪える。(攻守交代した際の)準備はしているが、シュートで終わるのと終わらないのでは、気持ちが違ってくる」と、守る側の複雑な心情を吐露した。
DFの視点から石川は付け加える。
「シュートを打たれると相手は嫌な気持ちになるし、綻びも出てくる」
単に押し込むだけではなく、一回の攻撃を完結させることの重要性を強調した。表現こそ異なるが、要旨は米田と同じである。1本のシュートが敵に脅威を与え、警戒心を抱かせる。同時に守備陣は呼吸を整える機会を得られ、アラート(機敏な、警戒する)な状態を再び作り直せる。そう考えると、試合を進める中でシュートするという作業は殊の外、大きなウエイトを占めているといえる。
シュートを打ち切る大切さ。それは上野優作の先制点から伝わっていたはず、だった。左足からの強烈なミドルシュートはゴール右隅に突き刺さる。ボールを受けた際、前方にDFは3枚もいた。状況は万全とはいえなかった。味方を活かすことに徹している上野。パスを選択するのではないかと思われたが、しかし果敢にゴールを狙った。些か無理な体勢であろうとも、強引に打ち切った積極性が実を結んだ。
得点力不足、決定力不足は万国共通の、サッカーチームが抱える最大の悩みである。有効な解決策は容易に見出せない。“難病”のようなものである。シュートは無闇矢鱈に打てばいいものではない。一理ある。精度が要求されるのも当然である。だが、栃木SCは極端にシュート数が少なく、決定率が高いとは言い難い。ならば、質よりも量を優先させるべきだ。困難な状況、体勢不十分でも、ゴールが視界に入れば打つ意識。ポゼッションが上手くなり、組織的な守備の完成度が増そうとも、サッカーの基本であり、形勢を逆転させられる、ゴールが生まれないことには勝機は手繰れない。精度の議論をするのは、二の次である。綺麗に崩すことを考えるよりも、先ずは相手に立ち向かっていく気概を見せ付けなければならない。
少々、粗雑でも打ちまくる。それくらいが栃木SCには、丁度いい。
一人がサボるときつい@栃木SC通信
2008年4月 8日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対TDK SC戦@栃木SC通信
2008年4月 6日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:1-0
後半:1-1
ファイナルスコア:2-1
得点者:佐藤悠介×2
順位:首位(勝点15)
※小休止後にレポート、コラムをアップします。マッチデーを読んで頂きありがとうございました。
プレーバック:対TDK SC戦@栃木SC通信
2008年4月 5日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているために参考にならない可能性大
秋田県仁賀保運動公園多目的広場は、ダグアウトを兼備している特異な構造のスタジアムだった。おそらく野球場としても使用可能なのだろう。そのメインスタンドからは風力発電用の風車が遠方に見える。日本海からの風を受け、ゆったりと回転を続けていた。
天皇杯3回戦、ベストメンバーのアビスパ福岡に挑むも弾き返された。0―4と完敗。実力差を見せつけられ、「興奮と感動」、栃木県をアピールするには至らなかった。惨敗に悔しさは残る。昨年のアップセット、奮闘が記憶に新しいから。が、残り8試合、J2昇格が懸かったリーグ戦だけに集中できる。プラスに解釈することもできるし、気持ちを切り替えなければ昇格圏内の4位以内に滑り込むことは困難だ。自らを窮地に追い込んでしまった栃木SCの陣容はGK原裕晃、DFは左から片野寛理、山崎透、谷池洋平、高野修栄、ダブルボランチは米田兼一郎と久保田勲が組み、左ワイドに小林成光、右ワイドに只木章広、2トップには上野優作と小原昇が指名された。
ここ数試合、立ち上がり好調な栃木SC。開始早々に放たれた久保田のミドルシュートを皮切りに、攻勢に立ちたかったが頻発したミスが自滅を招く。とにかく、パスが繋がらない。呼吸のズレが、粗雑なプレイが攻守交代の滑らかさを損なわせた。中盤で引っ掛かる場面が目に付く。サイドからの侵略が叶わないのは必然だった。
「中盤とFWの距離が空いてしまった。クサビを打ち込めなかった」(米田)
ポゼッションが難しいことからロングボールに頼るも、全体が間延びしてしまい、サポート意識が低くセカンドボールを拾えない。みすみすボールをTDK SC(TDK)に渡しているようなものだった。単調な攻撃だけが繰り返され、ゴールの匂いなど全く漂わなかった。
アバウトなボールを蹴り込むだけの栃木SCとは対照的だった。TDKは同じロングボールを使うにしても、ターゲットの松田正俊をしっかりと狙っていた。意図のあるボールと、そうでないボール。シンプルと単調の違いが次第に現れ始める。衛星のように松田の周囲を富樫豪が動き、池田昌広と松ヶ枝泰介の両ワイドが絡む。パターン化された攻撃だからこそ、迷いがない。ダイナミズムでは圧倒的に凌駕された。
拙攻を幾重にも重ねる。思い描くサッカーが展開できなかったが、栃木SCが先手を取った。FKのセカンドボールから片野の左クロスを谷池が頭で合わせた。ど派手なガッツポーズの連発は、この一戦の重要性を感じ取っていたからこそのものだった。
絶好の時間帯、前半ロスタイムのゴールは、低調だったパフォーマンスを向上させるには恰好の刺激となるはずだった。小休止後の後半戦。しかし、栃木SCは本来の姿を取り戻せない。僅か10分で失点を喫してしまう。
池田が体を張ってボールを確保した富樫とのコンビネーションからゴールを割る。厳しく人とボールに寄せるように柱谷幸一監督は指示を飛ばしていたが、前半から顕著だった寄せの甘さが被弾を浴びることになる。
富樫とハイボールを競り合うも、先に体勢を立て直され、アシストを許した山崎が振り返る。
「今日は主審のヘディングに対する基準が曖昧だった。ガツガツいけなかった部分があったが、取られてはいけなかった」
高安亮介、深澤幸次、横山聡を立て続けに投入。交代により久保田を左サイドバックに、中盤は米田がワンボランチ、高安と深沢をサイドに配し、小林をトップ下にシフト。リスクを背負ったが、栃木SCに練習生として参加したことがある小林宏之を中心としたTDK守備陣も粘りを発揮する。ようやく、米田がPボックス内でシュート、1対1を制した深沢の左クロスから横山聡がニアに飛び込む絶好機を生み出すも、GK正面を突く、クロスバーに嫌われるなど好機を潰す。結局、スコアを動かせないまま1―1でタイムアップ。勝ち点2を喪失した。4位アローズ北陸との差は絶望的な10にまで広がった。
「数字の上で可能性があるならば4位以内を目指す」と話した柱谷監督だが、一方で「これからはガリガリやれる選手、ポジションを取るというひたむきにやれる選手にチャンスを与える。中途半端なメンタルの選手は使えない」と来季に向けて動き出そうとするコメントを残した。それは、降伏宣言とも受け取れるニュアンスを含んだ発言だった。
秋田の寒風は現実を受け入れるには十分すぎるほど冷たく、人もボールも動かなかったサッカーを見せられたものにとっては、回り続けていた風車が恨めしくもあり羨ましかった。
JFL後期第10節 TDK SC1―1栃木SC @仁賀保運動公園多目的広場 観衆1215人
〈TDK SC〉GK小野聡人、DF小林宏之、阿部琢久哉、高橋臣徳、小沢征敏、MF高林佑樹(→成田卓也)、千野俊樹、松ヶ枝泰介(→佐藤和旗)、池田昌広、FW松田正俊、富樫豪(→木下真吾)
『自己改革』
名指しで批判することを厭わない。柱谷幸一監督の矛先は片野寛理に向けられた。
「片野のところで上手く繋げなかった。ハーフタイムに交代させようと思ったが、1点取れたのでやらせたが最後まで駄目だった」
柱谷新体制となってから左サイドバックのファーストチョイスは高野修栄から片野に変わった。フィジカルと守備には難があるも、大胆なオーバーラップを買われ先発に抜擢される。タッチライン沿いを駆け上がり、中盤の選手を追い越す。クロスの供給、切れ込んでからのシュート。求められる要素を満たす。
TDK SC戦では持ち味が活かされなかった。相手の脅威とは成り得ず。サイドの攻防で後手に回るシーンが目に付いた。周囲のフォローも足りなかったが、本来の出来から程遠かったのは事実。アシストを記録するものの、後半27分に引っ込められた。
期待をかけ、信頼を寄せているから言葉も自然と鋭くなる。「サイドバックの入れ替え」をも示唆し、バッサリと切り捨てた。
「(胸を叩き)ハートが弱い。多少、痛くても弱音は吐かない。見せない。そうではなければ使えない」
疲労から片野は足に張りを訴えていたという。普段とは異なる微妙な体の感覚のズレが、プレイに影響を及ぼしたのかもしれない。ケガの危険性はなるべく回避したい。選手の本音だろう。だが、柱谷監督からすれば痛めている箇所は誰にでもあり、試合当日まで言い続けるものではない、ということなのだろう。まだまだ甘い、と映ったに違いない。
片野が槍玉に挙がったが、チーム自体クオリティは恐ろしく低かった。押し並べて物足りなく、不甲斐なかった。
問題点を柱谷監督は、こんな風に感じ取っている。
「メンバーを固定するとレギュラー(の気持ち)が緩くなり、安心してしまう」
本来は責任感を持ち、チームを背負って立っているという自覚が芽生えるはずが、栃木SCの場合は異なる。レギュラーを確保した時点で充足感を得てしまう。飢餓感が一転して、満足感に変わってしまう。つまり、ポジションを掴むことが弊害になっているという。それが脆弱なメンタルに直結してしまっている。だから接戦をものにできず、劣勢を跳ね除け、挽回できない。
京都パープルサンガ(現・サンガFC)で昇格レースに身を置いたからこそ、過酷さ、そして必要不可欠なものが分かるのだろう。
「昇格争いは厳しい。戦術や個人の技術だけではなく精神的にタフでなければ、メンタル面で強くないと勝ち残れない」
スキルが少ないのは折り込み済み。キックの精度は一朝一夕に向上しない。それでも、気持ちの持ち方、メンタル面はひとり一人の意識が高ければ磨き上げられる。プロ契約を結んでいようと、カテゴリーがアマチュアであろうと関係ない。
決定的に欠けているのは“プロ意識”。「お金をもらい」サッカーをやれているという幸福感が勝り、サッカーで飯を食えている、生きているという矜持、次のステージへと進んでやるという野心が希薄になってしまっている。後の祭になる前に、契約を打ち切られる以前に気が付くか、付かないか。その差は大きい。人に言われて実行するよりも、自ら意識改革を図り、日々変化を感じることが最も身になる。
4位との勝ち点差は引っくり返すのが極めて苦しい10に開いた。だが、戦うことを、前進することを諦めてしまっては、これまでが無になる。例え昇格を逃したとしても、最後の最後まで足掻いたという跡を残さなければならない。
「ここでやらないと次がない。それが嫌なら仕事を持ち、安定した収入を得てサッカーを楽しんだ方がいい」(柱谷監督)
辛辣だが、しかし的を射ている。
『怖さ』
恵まれた体躯を活かした確実なポストプレイ、DFを背負っても体勢が崩れない力強さ、サイドに追い込まれ囲まれてもボールを取られないキープ力、ゴール方向への推進力のあるドリブル。TDK SCのストロングポイントにして、前線の起点であるターゲットマン・松田正俊の存在感は際立っていた。まさに、大黒柱だった。
柱谷監督は、こう評した。
「恐さがある。JFLのレベルだと強い。高さ、強さがあり、足元も上手い。ピッチに立った22人の中では抜けていた」
前半から栃木SCは15ゴールを叩き出している松田に手を焼いた。主審のジャッジが一定ではなく、タイトな守備が難しかったことを割り引いても、ファウルを犯してはFKを取られ過ぎた。対峙した谷池洋平は言う。「ポジショニングがよく、戦える選手だった」。自ら獲得したFKを蹴れるのも松田の魅力のひとつだろう。プレイスキッカーを任されているだけのことはあり、足元のスキルもしっかりしていた。
後半、劣勢の栃木SCは松田を更に勢い付かせてしまう。胸で、頭でチャンスメイクを許す。決定機を何本か演出された。終盤にはカウンターから持ち上がり、ロスタイムにはオフサイドとなるもスルーパスを通しもした。シュート数は両チームあわせて最多の4本をマーク。図抜けていた。
モンテディオ山形で監督に就任した際、柱谷監督は当時在籍していたFC東京から松田を引っ張った。京都パープルサンガ(現・京都サンガFC)に移ってからも山形から戦力外通告を受けたことで声を掛け、J1昇格を果たすために共闘。期待に応えるように松田は大事な場面でゴールを決め、J2からの脱却に貢献した。拾ってくれた恩に報いた。
既に京都時代の教え子である米田兼一郎、小原昇をレンタル移籍させている。来季、続投が決まったならば松田を再び呼び寄せる可能性は極めて高い。置かれている現在の環境はリサーチ済みである。関心の高さが伺える。
数字の上ではJ2昇格の芽は潰えていないが、現時点で4位に位置しているアローズ北陸は栃木SC同様に下位との対戦を残していることから、状況はかなり厳しい。敗因を述べるのは時期尚早かもしれないが、中位に甘んじている一因に元Jリーガーをかき集めることに固執してしまったことが挙げられる。昇格に最も近いロッソ熊本はエース高橋泰を擁しながら、北川佳男(元アローズ北陸)に小林陽介(元横河武蔵野FC)とJFLで実績を残し、ある程度の計算が成り立つゴールゲッターを補強した。緻密なスカウティングと、戦力補強に抜かりはない。ちなみにアローズ北陸のチーム得点王はJFLを経験している元愛媛FCの永冨裕也である。
最早、元J戦士というだけでは年々レベルが上がっているJFLでは、結果を出すことは容易ではなくなってきている。審判の判定も含め環境にアジャストするのに時間を擁しているうちにシーズンは終わってしまう。Jでのゴール数よりも、リーグ戦で対戦した「恐さのある」FWの方が市場価値は高いのではないだろうか。
プレーバック:対TDK SC戦@栃木SC通信
2008年4月 4日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているため参考にならない可能性大
5月に入り昨季の上位陣との5連戦で栃木SCが残した結果は1勝2敗2分けだった。リーグ戦序盤の勢いは殺がれた。見事なまでに失速した。足踏みしている間に佐川急便SC、FC岐阜、ロッソ熊本のトップ3に大きく差を広げられる。過ぎ去った5月は「悪夢」以外のなにものでもなかった。前節のホンダFC戦で上位陣との対戦を終えたことから、気持ちを切り替えて先ずは3連敗中のホームでの連敗を止めること。そして、前期の残された4試合で全勝を飾り、頭ひとつもふたつも抜けた3チームとの距離を縮めておきたいところ。
JFL新参者のTDK SC(以下TDK)戦のスタメンは先週から不動だった。GK原裕晃、4バックは左から高野修栄、山崎透、谷池洋平、北出勉、中盤はボランチに小林成光、堀田利明、左サイドに石川裕之、右サイドに久保田勲、センターFW山下芳輝の下に佐野智洋が配された。
開幕3連敗を喫するも、持ち直しホームでは無類の強さを発揮している「内弁慶」のTDK(つまり、アウェーは分が悪い)。初昇格チームとしては10位(前期13節終了時)と健闘し、FC岐阜を抑えて全国地域リーグ決勝大会をトップ通過したことが伊達ではないことを証明している。シーズン前に補強した元J戦士、松田正俊(元京都)はチームトップの6ゴールをマークし、2トップの一角を占めた。布陣は4―4―2だった。
スムーズな入りを見せたのはアウェー不敗と「外弁慶」栃木SCだった。右サイドの久保田が起点となる。石川、佐野に絶妙のクロスを供給した。石川は痛恨の空振り、佐野のダイビングヘッドは枠外も感触は悪くなかった。自身も果敢にミドルレンジからシュートを狙った。
がっちりとペースを握り、サイドとチームコンセプトのひとつである「山下を高い位置で使う」ことができた。21分にはボランチとして2試合目となる小林がボールを掻っ攫い、ドリブルしながらグングンと加速。Pボックス内での折り返しを佐野、山下が詰めた。惜しくもファールを取られるが、数人が絡んでフィニッシュに至った。
その後も、小林が山下とのワンツーから右サイドを崩してシュート、堀田が枠を捉えるロングシュートを放つなど好機を作り出した。圧倒的攻勢に立ったことから、ゴールを決めておきたかった。
山下は振り返る。「前半で決定的な場面が何本かあったが、決めきれなかったことが最後まで響いた」。結果的に連敗を止めるも、足を運んだ3775人がカタルシスを得られなかったのは、前半に決定機を逸し続けたことも一因として挙げられる。
加賀潤がGKとDFの中間に入れた右クロスを長身の松田がヘディングで競り勝ったシーン以外、4バックはシュートを許さなかった。もっとも、その1本が失点に繋がる窮地だったことはいただけなかったのだが。また、山崎の横パスミスに、カウンターから4対4の同数に持ち込まれるなど、何本か危ないシーンは散見された。
「相手の背後を突く、サイトにボールをあて、トップにクサビを入れ、ボールも人も動き、相手を追い越していく」(小松勉監督)サッカーを志向しているTDK。後半の頭から運動量を増やしたことで中盤のプレスが機能し始め、松田にボールを集めながら右サイドから組み立てを図った。思い描いているプレイが可能になる。勢いに乗ると距離のある位置から松田が直接FKを蹴り込んだ。ポストに嫌われるも、気をよくした松田はドリブル突破からゴールを脅かした。
相手と絡まりあいながら倒れた佐野が負傷し、そのままベンチに下がる。代わりに登場した永井健太が傾きかけた流れを断ち切るべく、スピーディなドリブル突進に、抑えの効いたミドルシュートを放つ。CKからは頭で山崎、谷池と繋ぎ最後は北出もヘディングシュートするが間一髪でクリアされてしまう。ボールは収まらず、チグハグな攻撃が繰り返されるも、流れは引き戻せた。
手綱を握ったところで石川アウト、茅島史彦イン。間もなくTDKは千野俊樹が2枚目のイエローで退場する。前々から火種はくすぶっていたが、退場劇を境にして両チームはエキサイトする。些細なボディコンタクトにもナイーブな笛を吹く主審に苛立つ。拍車をかけるようにGKが接触プレイで負傷しゲームが中断され、神経を逆撫でした。「とにかく冷静に戦うこと。集中力を切らさないこと」を高橋監督は指示するも、栃木SCの選手達は平常心を失っていく。高橋臣徳、富永英明と続けて退場者を出したのはTDKだったが、それを尻目に栃木SCが落ち着いて試合を運べたとは言い難い。これまでも審判団に試合を破壊され、ラフプレイを受けるなど荒れた試合は多々あったが、大人の対応を見せていた。ジャッジに不満を漏らさず、相手の挑発行為をいなすなどして。だが、思うに任せない試合展開により自己制御が効かなくなってしまった。酷い判定に憤る気持ちも理解できなくはないが、戦う相手を間違えてしまった。誘いに乗り、自滅してしまったと言っても過言ではない。
3人を欠いたTDKに対し、右サイドバックの北出を中盤に上げ、左サイドの茅島にボールを預けては、切れ味の鋭いドリブルから精度の高いクロスを上げてゴールネットを揺らそうと試みる。が、「後手に回ることが多く、6、7人で守れる練習をした。守り切れる自信があった。ここ最近、負けていない(5月は3勝2分けと無敗)こともプラスに作用した」(小松監督)TDKの壁を打破できない。ロスタイムに得た3度のCK、いずれもショートCKから小林がクロスバー直撃のシュート、茅島のクロスに山崎がボレーシュート、谷池がフリーでヘディングシュートを放つが、ゴールを割れなかった。
ホームでの連敗は3でストップしたが、負のスパイラルからの脱出を目論見た、連勝の足掛りとするための一戦は、スコアレスドローに終わった。順位は昇格圏内の4位から5位に落ちた。「優勝から離れてしまったと実感している。J昇格も危機感を持ってやらなければならない。反省している」と高橋監督の声には当然ながら力はなかった。22本ものシュートを打ちながら無得点、絶対的に有利な状況を活かしきれなかったチームに罵声が浴びせられたのは自然なことだった。サポーターからの熱いメッセージを真摯に受け止めなければならない。
「入り方は悪くないが決めきれずに雰囲気が悪くなり、焦ってしまった。先に点を決めていればイライラせずにプレイできた。(試合が途切れ途切れになったことで)集中力を保つのは難しい。それでも、自分達のプレイを最後までやり通し、点を決めなければならなかった。審判よりも自分達に問題があった」
押していた前半に先手を取れなかったことでリズムが乱れ、試合を荒れ模様にしてしまったと山下は総括し「FWが点を取れていれば・・・」と唇を噛んだ。
「試合の度にやりたいことは、はっきりしてきている。この状況を打開するには精神的な強さが必要。無我夢中で入ったゴールが切っ掛けになるかもしれない。自分自身、栃木の良さがゴールに結び付いた時に結果が付いてきて階段を登れる。練習の一本、一本、ワンプレイ、ワンプレイが積み重ねになる」
苦境を乗りきるにはどん底から這い上がる精神な逞しさ、栃木SCの特長である泥臭さ、試合を想定した強い気持ちで練習に取り組む姿勢を持つことが大切であると茅島は強調した。
最後に堀田の言葉で当コラムを締め括りたい。
「何をしなければならないのかを考え、優勝に向けて選手、スタッフ、フロントもそこを明確にする必要がある」
一枚岩になるためには、ベクトルがバラバラでは話にならない。
JFL前期第14節 栃木SC0―0TDK SC @栃木県グリーンスタジアム 観衆3775人
〈TDK SC〉GK小野聡人、DF小沢征敏、岩瀬浩介、富永英明、高橋臣徳、MF高林佑樹、千野俊樹、加賀潤(→阿部琢久哉)、池田昌広、FW三浦俊輔(→成田卓也)、松田正俊
『困惑』
後半26分に千野俊樹、36分に高橋臣徳、さらに富永英明が41分にピッチから追い出される。立て続けにTDK SC(以下TDK)は3人の選手を失った。11対8と栃木SCにとっては、0―0とスコアレスの状況を動かすには最高の環境が整えられた。しかし、数的優位の時間帯が相当つづいたにもかかわらず、ゴールをこじ開けることは終ぞ叶わなかった。前期第13節ホンダFC戦と同様、勝ち点2を取り逃した。
攻め崩せなかったドローという結果を「今の状態を物語っている」と堀田利明は表現した。
今の状態とは。
堀田の言葉を借りる。
「どういうサッカーをやっていくのか。選手交代でチームが変わってしまう。今までやってきたことが変わる。ひとつのことを徹底的にやらないと」
ひとつのことを徹底するとは。
「ポゼッションサッカーを継続するのか、茅島(史彦)と永井(健太)の“槍”を入れてサイドから攻めて立てるのか。はっきりとしない部分がある」
どうやら、後半に拙攻を重ねた原因は、個々のイメージがシンクロしていなかったことにあるようだ。
前半はボールが回った。サイドに起点を設けながら、センターFW山下芳輝を有効利用することで、相手陣内でゲームを押し進めることに成功する。イニシアチブを握り、シュート数は二桁の11本を数え、好機も数多く生み出せた。守備陣はTDKのシュートをたった1本に抑え込みもした。それぞれのやりたいこと、やるべきことが噛み合った申し分のない45分間だった。ゴールを得られなかったという一点を除いては。
自分達のリズムで試合を運べた。確かな手応えを感じて臨んだ後半。開始5分で2戦連続して先発の座を射止め、エネルギッシュに駆け回っていた佐野智洋が負傷退場する。急遽、永井がピッチに投入された。マーカーをものともしない重戦車ドリブルに強シュートとストロングポイントで存在感を際立たせる。2アシストを記録した前節から好調が維持され、新境地の1.5列目で自由自在に相手を撹乱した。
永井が攻撃をリードし、ゴールに近付いたかに思われたが、実際にはバランスが取れていたとは言い難かった。ゲームプランとして佐野の途中交代はあらかじめ決まっていたようだが、不測の事態に見舞われ、交代時期が早まったことで小さな亀裂が生じる。
「(永井投入で)やっているサッカーが変わった。佐野が居た時はバランスが取れていたが、永井が入り背後ばかりを狙うようになってしまった」。ボールが繋がり、複数の選手が絡むことでフィニッシュに持ち込めた前半。打って変わり後半は前線の2、3人での攻撃が目立ち、厚みが損なわれた。波状攻撃など行えるはずもない。
堀田は続ける。「入ってきた選手に合わせるのか、(前半から継続してきたサッカーを)突き詰めるのか。明確にしないと、やっている選手は不安になる。見ていて自信を持ってやっている選手が少なかった」。
前半からの流れを寸断させることなく、途中交代した選手をも巧く使いこなせればよかったのだろうが、局面、局面における個々の意識のズレが、それを阻んだ。ゆえに、困惑し、柔軟性に乏しい一本調子のサッカーに陥ってしまった。TDKがゴール前に人数を割いて守りを強固なものにし、試合をコントロールする能力に著しく欠けた主審のジャッジに神経をすり減らされたことも影響したが、残り時間での好機が全てCKからという事実が示すように、オープンプレイから有効打を繰り出せなかったことが分かる。
「スタイルが確立されていない」と谷池洋平が指摘したように、チーム戦術が絞り切れないようでは、臨機応変に刻々と変わる事態に対応することは困難である。ポゼッションか、サイドアタックか、カウンターか。先ずは、軸となるべき“栃木SCのサッカー”を打ち出さなければならない。選手補強など二の次だ。さもなければ、マッチデープログラムにも書いたのだが「同じことを繰り返すだけ」である。
出口が見えない迷路を抜け出すには、確たる指針が必要である。それなくして、勝利という名のゴールには辿り着けない。
※回顧録は2日に分けて掲載致します。仁賀保編は明日。
反骨精神@栃木SC通信
2008年4月 3日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
尽きる@栃木SC通信
2008年4月 2日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
最後の交代カードは稲葉久人だった。リーグ戦初出場を果たす。選択肢としては赤井秀行、山崎透も考えられたが、高安亮介が岡田佑樹の守備面の負担を軽くしたことで「最後はイナで勝負に行った」(柱谷幸一監督)。「チャンスは作れなかったが、守備面でボランチにプレッシャーをかけるなどしてくれた」と柱谷監督は稲葉を評価した。
とりぎんバードスタジアム@栃木SC通信
2008年4月 2日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
鳥取駅構内のショップは4月1日オープンだった。街中のショップには足を運ばなかった。対面の焼肉屋(酔っ払ったおっさん曰く、特上カルビが絶品とのこと。しかし手が出るような値段ではなかった)で晩飯食ったのに。
コラボレーション@栃木SC通信
2008年4月 1日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対:ガイナーレ鳥取戦@栃木SC通信
2008年3月30日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:0-0。
後半:0-1。
ファイナルスコア:0-1。
得点者:落合正幸(栃木SC)
順位:首位(勝点12)
※小休止してからレポート、コラムに取り掛かりたいと思います。鳥取は寒いっす。
プレーバック:対ガイナーレ鳥取戦@栃木SC通信
2008年3月29日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているために参考にならない可能性大
掲示されたロスタイム2分が経過しようとしていた。最後の攻撃機会が巡って来た。米田兼一郎がDFラインの背後へとパスを送る。追い付いたのは途中出場の金子剛。Pボックス右からのシュートは、しかしゴールマウスをはるかに越えていった。2―2のスコアを動かせず無常のホイッスルが鳴り響く。それは同時に今季の“終わり”を告げるものでもあった。
勝敗表とにらめっこしながら一喜一憂する。その楽しみは残り4試合を残した、11月の頭に奪われた。勝ち点で上回るチームがいつ転ぶのか。下から這い上がり、最終的に昇格圏内の4位に滑り込むためには。厳しい現実を突きつけられながらも、様々な状況を想定し、逆転のシナリオを描く作業は、もはや無意味なものとなってしまった。つまり、栃木SCが今季、J2へ昇格する望みは絶たれてしまったのである。微かに開いていたJへの扉は完全に閉ざされた。
三菱水島FC、アルテ高崎に沈黙していたFW陣がゴールを決め、堅守で鳴る守備陣が無失点に抑え勝利した栃木SCは、連勝を3に伸ばすべくガイナーレ鳥取(以下、鳥取)とのJ2準加盟対決に臨んだ。スタメンの11人はGK原裕晃、DFには左から石川裕之、山崎透、谷池洋平、高野修栄、米田と久保田勲がボランチを組み、左ワイドに小林成光、右ワイドに高安亮介が入り、好調を維持している横山聡と山下芳輝が2トップに起用された。FWの軸とされてきた上野優作は累積警告による出場停止だった。
水口洋次監督の辞任に伴いヘッドコーチから昇格したのが、鳥取のヴィタヤ・ラオハクル監督である。監督就任後は5戦して2勝2分1敗と結果を出している。この人、現役時代はブンデスリーガ1部ヘルタ・ベルリンに所属。短期間ながらタイ代表監督を務めた経験も持ち合わせている。国際経験豊かなラオハクル体制での着実なステップアップを目論むクラブとしての姿勢が伺える。
「ワクワクするゲーム運び」と柱谷幸一監督が評した前半は、栃木SCのワンサイドゲームだった。手綱をグッと引き寄せたのは、横山聡の開始5分の先制弾だった。CKからファーサイドで米田が折り返したボールをヘディングシュート。ゴール後のゴリダンスもばっちり決めてみせた。
米田と久保田がリンクマンとなり、前線と最終ラインの橋渡し役となることでボールがスムーズに動く。2トップも上手くボールを引き出した。ボールが走ったことで、必然的に人も動いた。ポゼッションで凌駕し、サイドチェンジも多用。ピッチを幅広く利し、小林と高安がサイドを幾度となく攻略した。サイドでのアドバンテージが活きたのが2点目である。内に絞った米田が右へはたき、高安が入れたロークロスを二アサイドで横山聡が突き刺す。僅か15分で2点のリードを得る。
スピーディなアタックは爽快感を漂わせ、素早いプレスは相手の攻撃の芽を摘んだ。圧倒的な攻勢は変わらず。山下が横山聡とのワンツーから、横山聡がFKから試合を決めにかかった。3度目の歓喜は訪れなかったが、45分間を鳥取陣内で過ごせた。
ビハインドを背負った鳥取は後半、早速2枚代えを敢行する。意図は「スペースを埋め、早いプレスをかけて栃木のリズムを乱す」(ラオハクル監督)こと。加えて4―4―2から変則的な3―5―2へシフトし、中盤に厚みを持たせた。
策を講じるも流れは容易には変わらない。フリーの横山聡が2度のシュート機会、小林、久保田がそれぞれ枠内を捕らえたシュートを放つ。が、「苦手ではない」横山聡の左足は精度を欠き、小林と久保田はGK井上敦史の好守に阻止され決定的な3点目が手にできない。
「2点差は危ない。うちが先に点をとればゲームは決まる。相手が取ると難しいゲームになる。相手にやらずにうちが取ろう」
ハーフタイムの柱谷監督の指示である。前半の余勢を駆って優勢に試合を押し進めるも絶好機を逸したことで、ゲームは決まらずに危惧した通り困難なものとなった。
鶴見聡貴のパスから堀池勇平が技ありのループシュート。中央を崩され、失点を喫する。楽勝ムードは一変した。点差を縮めたことで鳥取の活動量は増した。トップにボールが収まり始め、中盤の攻防で優位に立つ。対照的に栃木SCは振り出しに戻されたわけでも、引っくり返されたわけでもないのに浮き足立ってしまう。全体が間延びしてしまい、連動したプレイは鳴りを潜める。プレスの効力は次第に弱まる。インパクトプレイヤー深澤幸次、小原昇の投入も起爆剤とはならなかった。2度もクロスバーに救われたものの、悪しき流れを断ち切れない。相手のペースに合わせてしまう。そして後半42分、カウンターに沈んだ。鶴見の左からの折り返しを戸田賢良がプッシュ。同点とされる。
逃げ切るのか、それとも次のゴールを取りに出るのか。曖昧な栃木SCと、カウンター一本に絞った鳥取。統一感は欠如し、迷いが付け入る隙を与えてしまった。
結局、好機で勝るも欲しかった3点目を掴み切れず、仕留め損なっている間に被弾してしまい、痛み分けで勝ち点2を喪失。数字の上では可能性を残すも、4位・FC岐阜との差は絶望的な10に開いたことで、事実上の終焉を迎えることになった。
「狙っているサッカーは分かってもらったが、もっと足りない部分を個人が上げていかないと。内容はまずまずも結果がでなかったことは申し訳ない」
J2昇格の切り札としてシーズン途中からチームを率いた柱谷監督だが、求められ期待された結果を出すことは叶わなかった。
さて、注目されるのは進退。「最後まで諦めずに戦い、J2かJFLか結果が出た時点で社長と話し合いたい」としながらも、「やってみたい気持ちはある」と続投の意志があることを公の場で語った。そう思い至ったのは高安に深澤と荒削りな選手が日に日にプロへと成長する過程がこの上なく楽しいからであり、「これだけの熱狂的なサポーターはいない」と絶賛するサポーターとJへ行きたいからでもある。
そのためには、「数字上きびしく可能性が0でも、有料試合だから対価に見合う準備をしてベストの状態で100%出し切り、目の前の試合に勝つ」(柱谷監督)必要がある。来季も契約を結んでもらえるのか、それとも切られるのか。選手同様に今後は監督も試される。
JFL後期第13節 栃木SC2―2ガイナーレ鳥取 観衆3683人 @栃木県総合運動公園陸上競技場
〈ガイナーレ鳥取〉GK井上敦史、DF増本浩平、戸田賢良、徐晩喜(→畑野伸和)、田村和也(→徐暁飛)、MF中垣雅博、川田和宏(→西村英樹)、実信憲明、堀池勇平、FW鶴見聡貴、釜田桂吾
〈栃木SC〉交代:高安(→深澤)、横山聡(→小原)、高野(→金子)
『主体的に問題を解決できる逞しさ』
2ゴールを叩き出すも殊勲者になり損ねた横山聡が、悔しさを押し殺し振り返る。
「後ろを楽にさせられるように3点目、追加点が取れていれば、こういう結果にはならなかった」
柱谷監督が繰り返し強調したのも3点目だった。なるほど、勝ち点3と勝ち点1を分けたものは、数多の好機を作りながらも終ぞ得られなかった次のゴールだった。殊に後半の立ち上がり、ゴールに襲い掛かるも決め切れなかったことが後々まで響いた。また、2―0から2―1にされた際、再び突き放すゴールが生まれていればガイナーレ鳥取(以下、鳥取)の戦意が殺がれたことは容易に想像できる。失ったアドバンテージを取り戻すことで、精神的な余裕が生まれ、三菱水島FC戦(5―0)に続き大量得点での圧勝がなったかもしれない。
息の根を止め切れなかった詰めの甘さが、開幕当初から改善されることのなかった心許ない攻撃力が、勝機を逸し、J2昇格への可能性を消滅させた。まさに、今季の栃木SCを象徴するかのような幕切れだった。
この試合、ポイントは2つあった。ひとつは前述したように後半15分までに雌雄を決するゴールが奪えなかったこと。もうひとつは1点差とされてから、残り約30分間の戦い方の選択である。
「3点目を取りにいくために前からDFにいく」(横山聡)姿勢は、次の1点が留めの一撃と読んでいた前線の選手に共通した思いだった。だが、DFラインの4人は、それに追随できなかった。自陣の深いところから動けない。最終ラインは取り残されてしまった。ぽっかりと空いたバイタルエリアを“埋めていた”のは、皮肉にも相手選手だった。広大なスペースを有益に使い、立て続けにゴールを脅かした。綻びが生じていることは誰の目にも明らかだった。が、失点の兆候を感じながらも、水漏れ箇所を修復するには至らず。失うべくして1点を失った。前後の微妙な意識のズレが連動した守備の機能を低下させ、致命的な同点弾を許す要因となってしまった。
攻守に奔走したボランチの米田兼一郎が、ピッチで感じた戸惑いを口にした。
「徐々に全体が開いてしまい、セカンドボールを拾われた。疲れもあるが、意思統一が図れていなかった。どうやって守るのか。引くのか、前へ行くのか。チームとしてのゲームプランを、時間帯と点差を考えながらやれていれば・・・」
柱谷監督は珍しくまくし立てた。
「前の6人はプレスに行くも、後ろの4人は前に行けない。狙ったボールではないのに相手に持たれズルズルと下がる。4人が相手にガツンと寄せる。強さ、というんですかね。メンタル、フィジカル、戦術的な強さを持っていない。前に行けないのならば中盤とトップを下げてコンパクトにすればよかったが、調節できなかった」
以前からゲーム運びの拙さを、選手と監督は課題として挙げていた。リードしていても簡単に流れを明け渡してしまう悪癖は克服されないままだった。いなしきれず、何時の間にか相手のリズムに引き込まれてしまう。原因は「バランスを取りながらポゼッションする」(柱谷監督)力が不足しているからである。
苦し紛れのボールを入れてくる。そのテンポに付き合うことなく、DFラインでボールを回しながら呼吸を整える。捨て身で向かって来たらブロックを形成。好守から機を伺いカウンターを繰り出してゴールを陥れる。卓越した状況判断能力、もっといえば老獪さが備わっていないのである。
その点に関して柱谷監督は、こんな風に感じている。
「(ピッチ)サイドから指示を出すとできるが、90分間いい続けることはできない。自分たちでやれるように、やっていかなくてはならない部分。やれていないのはボールを正確に蹴れない技術が不足しているのと同じ要素」
個々人が常に気持ちをアラート(用心深い、敏感な)な状態に保つ必要性があることを執拗に訴え求めているが、一朝一夕には身につかないようだ。自主的に局面毎に生じる問題を解決できるだけの逞しさを指揮官は欲している。
試合を重ねることで経験値を上げ、パート・パートではできているゲームコントロールを90分間、絶やさずに持続させる力を養っていかなければならない。1―0の僅差でも勝ち切れる、憎たらしさを兼備した強いチームになるためには、まだまだ何段もの階段を登らなければいけないようだ。
コツはケツ@栃木SC通信
2008年3月25日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
対三菱水島FC戦@栃木SC通信
2008年3月23日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:3-0。
後半:2-0。
ファイナルスコア:5-0。
得点者:石館靖樹×2、小林成光、落合正幸、久保田勲(栃木SC)。
順位:首位(勝点9)
快勝!!
※マッチデー読んで頂きありがとうございました。小休止後にレポート、コラムを順次アップしたいと思います。
プレーバック:対三菱水島FC戦@栃木SC通信
2008年3月22日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているために参考にならない可能性大
昨シーズンまで栃木SCに在籍。今シーズンから三菱水島FC(三菱水島)に籍を移した萩生田真也は言った。
「栃木を出て(サポーターの)ありがたみが改めて分かった。独特の応援は凄い」
秋田は仁賀保でのドローにより4位との勝ち点差はとうとう二桁の10となり、残り試合数を考えれば昇格は限りなく厳しいものになった。過酷な現実を突き付けられるも、サポーターは諦めていなかった。1時間前のスタンドは閑古鳥が鳴いていたが、試合開始時間が近付くに連れてメインスタンドは埋まり始める。秋の温かな陽射しに照らされたバックスタンド芝生席も家族連れや子供達の姿が目に付くようになる。公式記録によれば3734人が足を運んだ。平均観客動員数4506人には及ばなかったが、極端に落ちることもなかった。客足が遠のいてもおかしくはない状況に置かれても、これだけのサポーターがスタジアムに集結してくれたことに選手、スタッフ、クラブは感謝しなければならないだろう。
対TDK SC戦後、入れ替えを示唆した通り、栃木SCはスタメンをいじってきた。陣容はGK原裕晃、4バックには左から石川裕之、谷池洋平、山崎透、高野修栄、中盤はボランチに米田兼一郎と久保田勲、左ワイドに小林成光、右ワイドに高安亮介が入り、前線は横山聡が上野優作とパートナーを組んだ。 片野寛理、只木章広、小原昇に代わり、石川、高安、横山聡が起用された。
前節アローズ北陸に1―2で敗れるも、手応えを感じた三菱水島は、ここまで10ゴールの松岡大輔がサブに回った。元栃木SCの長身FW松永一慶がトップに入る4―5―1を敷いた。
電光石火の一撃が炸裂した。ショートCKから久保田のクロスをフリーの横山聡が叩きつけるヘディングシュート。開始1分の出来事だった。鮮やかな先制劇。
「プレッシャーを前線から中盤から掛ける。失った瞬間に速いプレスを掛け、相手が逃げてきたら後で跳ね返す。前半から飛ばし、ハイプレッシャーを掛けさせた」(柱谷幸一監督)
幸先のいい先制点がリズムを生み出す。「リラックスできた」(久保田)栃木SCは攻守に積極的だった。秋田では拾えなかったセカンドボールを米田と久保田が拾いまくる。上野と横山聡のフォアチェックに、ボールの誘引。小林と高安はサイドからゴリゴリ仕掛けた。そして、連動した守備からの素早い攻守の切り替えで圧倒。
「ボールに対して一歩、二歩と寄せる意識の差が大きかった。ファーストDFが狙い、周囲も狙う。後はやり易かった」(谷池)
15分には高安が山崎からのサイドチェンジのボールを受け、トラップと同時に松岡宏晃と入れ替わりPKを獲得。上野がこれを外すも大勢に影響はなく、依然としてイニシアチブを握ったまま試合を押し進める。
「当てるのが精一杯でした。自分じゃないみたいでしたね」と取材陣を笑わせながら、「後がないので結果が出てよかった」と一転して真剣な眼差しで語ったのは横山聡。ボールを掻っ攫った小林の左クロスはニアサイドの上野の頭上を越える。逸機したかに思われたがファーサイドへと走り込み、滑り込みながら懸命に伸ばした右足でゴール上段にダイレクトボレーを突き刺した。ハートの伝わるスーパーな一発。 2度目の”ゴリダンス”は控え目だった。
その後も圧を掛け、好機を作りだし続けた栃木SCは、終盤にCKから谷池が2戦連発弾。「嬉しいが、これから不吉なことが起こりそうで恐い」とおどけるほど喜んだ。窮地はロスタイムにGK原の頂けないプレゼントパスから中川心平にシュートを許したシーンだけだった。
「前期と運動量、攻撃の組み立てが違った。スペースの作り方が上手く、正直サッカーのレベルの差を感じた」
敵将・熊代正志監督も脱帽するほど、出来過ぎた前半だった。
些か集中力に欠けた後半の頭。高松健太郎にフリーでシュートを浴びる。が、GK原が好守で凌ぐ。先程のミスを帳消しにした。肝を冷やすも危機を脱すると緩みは消え、再び三菱水島ゴールへと襲い掛かる。スムーズに敵陣へと侵入するスピード感のある攻撃は迫力満点だった。横山聡、小林が立て続けに絶好機を迎える。だが、自ら潰してしまうと、僅かに天秤の針は相手に傾く。 ロングボールを多用し、高松が忙しなく動き回りながら起点となり攻勢に立つ。アドバンテージを有していたことからポゼッションを高め、いなせればよかったのだが、まともに攻撃を受けてしまった。課題が残った。
「夜勤明け」でガス欠を起こすも最後まで試合を捨てない、ファイトする三菱水島の反撃に手を焼いたが、途中投入のインパクトプレイヤー深澤幸次が留めを刺した。44分に左サイドを駆け上がり横山聡のハットトリックを完成させるお膳立てをし、終了間際には左足一閃。強シュートをぶち込んだ。
「何回もチャンスを与えられ、ゴールというカタチが欲しかった。ボールを受けたら打とう、と思いました。ライバルでスタメンの高安の存在がシュートを打たせた」
何時になく饒舌に深澤はゴールシーンを振り返った。高安の活躍が刺激となり待望のゴールに繋がった。生存競争が奏効したといえる。
今シーズン最多の5ゴールで圧勝。
「これまでは安定感があるもアグレッシブさに欠けた。決定力、スピード感が不足して点が取れなかった。トレーニングを積み自分達のスタイルがよくなっていることは感じていたが・・・攻撃のスピード、決定力がないところが今日は上手く出せた。今後も前半のテンポの試合をやりたい」
指揮官は表情こそ崩さなかったが、結果に内容が伴った試合に満足げだった。
マンネリ化した試合前の花火とは異なり、いつ見ても大量得点の“打ち上げ花火大会”は飽きがこない。遅きに失した感は否めないが、5発の花火はどれもが美しく、心に響いた。
JFL後期第11節 栃木SC5―0三菱水島FC 観衆3734人 @栃木県グリーンスタジアム
〈三菱水島FC〉GK永冨裕尚、松岡宏晃(→三宅一徳)、小原一展、萩生田真也、木村卓也、渡辺晋平(→岸田茂樹)、山下聡也、川口正人(→曽根祐一)、中川心平、高松健太郎、FW松永一慶
〈栃木SC〉交代:上野優作(→山下芳輝)、高安亮介(→永井健太)、小林成光(→深澤幸次)
『柱谷サッカーを完成させるのに不可欠なラストピース』
絶望の淵に追いやられた秋田遠征での収穫は、高安亮介と深澤幸次の果敢なドリブル突破だった。いや、正確をきすならば、“だけ”だった。全体的に低調だったチームにあり、フレッシュな両者の立ち向かって行く姿勢には、心を揺さぶれるものがあった。柱谷幸一監督も例外ではなかったのだろう。一定の評価を与え、こう述べた。
「(深澤)幸次と高安のサイドからチャンスを作れた。そこは多少、収穫だった。これからはガリガリやれる選手、ポジションを取るというひたむきな選手にチャンスを与える」
修学旅行の引率により只木章広のコンディションが万全な状態ではなかったにしろ、高安に出場機会は巡ってきた。しかも、待望のスタートから。
「初めてのスタメン。今まで出られない時間が長く、一生に一度のチャンスだと思ってやりました。精一杯DFしてゴールに絡む。とにかく走ろう、と」
早速、開始1分に生まれた横山聡の先制点に絡んだ。その後も「走る。前へ仕掛ける」アグレッシブさを前面に押し出す。CK、FKをもたらした。
PKをゲット(キッカー上野優作は失敗)したシーンは殊に秀逸だった。サイドチェンジのボールを絶妙のトラップで前方へと落とす。ワントラップでマーカーを抜き去った。間合いを計り損ねたDFは置き去りにされ、後追いになりたまらずファウルを犯す。裏を取られ、PKを与え、イエローカードをもらった三菱水島FC松岡宏晃。「DFがPボックス内で裏を取られてはいけない。イエローをもらい退場して10人になるのを恐れ」(熊代正志監督)引っ込められた。PKを獲得し、さらに対面の選手を“退場”させもした。「若いし、キレがある。DFにとっては勝負されるのは嫌ですね」と元栃木SCの萩生田真也が言う通り、厄介で脅威を抱かせるプレイで存在感を示した。敵将・熊代監督も絶賛した。「スピードがあり、自分の使いたいスペースを作り使えていた。うちとしては抑えきれなかった」。
「すいません。足、攣りました。でも、セーブしてプレイするよりも、仕掛けたかったので」
常に勝負を挑んだ。貪欲で、好戦的だ。3人に囲まれても、もろともしない。特長である切れ味鋭いドリブルで縦へ縦へと突っかけ続ける。右サイドを共に崩した横山聡には、決定的なラストパスを供給した。しかし、繰り返されたドリブルは体力を削った。疲労は極値に達していた。後半20分過ぎ、ピッチに倒れ込む。これまで臨時講師の職にあることからトレーニングは専ら夜が中心だった。今週は職場に都合をつけ、昼のトレーニングに参加できるよう取り計らってもらった。周囲とのコミュニケーションを深めるに至るも、スタミナは容易に付くはずがない。分かっていた。最後まで持たないことを。それでも、体力を温存しながら90分ピッチに立ち続けることよりも、行けるところまで行く、ことを選んだ。
フィジカルに課題を残すも、良くも悪くも安定感が売りだったチームに高安という異物が混じったことで、前への意識は格段に増し、推進力が生じたことは紛れもない事実である。「4―4―2のワイドは縦へ行ける、局面を打開できる、スピードがある、などの要素がないと攻撃力が出ない」。高安が披露したプレイは柱谷監督が求めていたものであり、柱谷サッカーを完成させる上では必要不可欠なピース。守備ブロックを機能させるためにワイドには只木と小林成光が起用され続けてきたが、リトリート(一旦、下がり守備陣形を整える)よりも前からハイプレッシャーを掛ける戦術が吉と出たことで、今後は高安が重宝される可能性も出てきた。
「学校の都合でトレーニングに参加できなかったが、只木が不在ということで是非使いたかった。元々ポテンシャルは高く、これくらいは出来ると思っていた。使っていくことで伸びていく。あと1ヶ月で今シーズンが終わるが、学校側と調整をして高安が出られるようにしたい」(柱谷監督)
起用すれば期待に応えてくれると想定はしていた。活力となり、チームに勢いを付けられると。だが、ライバル深澤の闘志にも火をつけ、望外の5ゴールを得る原動力になるとまでは、柱谷監督も予想がつかなかったに違いない。
「レギュラーが確定したわけではないので、改めて競争へ向けて頑張ります」
強気に攻め、化学反応を起こしたアタッカーは謙虚に語るも、定位置争いに堂々と名乗りを上げた。
プレーバック2007:対FC刈谷戦@栃木SC通信
2008年3月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に変わっているために参考にならない可能性大
11月29日、クラブ側から今季での契約満了選手が発表された。プロ選手21名のうち12名が首を切られた。名を列挙する。北出勉、谷池洋平、高野修栄、片野寛理、金奇徳、石川裕之、山田智也、茅島史彦、永井健太、西川吉英、吉田賢太郎、山下芳輝。「残す選手は10人前後」(柱谷幸一監督)。大ナタを振るうことは予想できていたが、覚悟はしていても衝撃は小さくなかった。これまでチームを支えた思い入れのある選手が離れていってしまう。現実は耐え難い痛みを伴い突き刺さった。
契約更新の時期は、選手の心が激しく揺れ動く。残る選手と去って行く選手がピッチで同居する。モチベーションを高める作業は困難であることを承知の上で、「有料試合でありサポーターが足を運んでくれるのだから100%の状態で戦わなければならない」。柱谷監督は就任以来、言い続けてきたことを試合前に再度伝えた。そして、「今日のメンバーで戦うのはラスト。勝って喜んで終わろう」と送り出した。
栃木SCのスタメンはGK原裕晃、最終ラインは左から石川裕之、山崎透、谷池洋平、片野寛理の並び、ダブルボランチを米田兼一郎と久保田勲が務め、右ワイドに高安亮介、左ワイドに小林成光が配され、上野優作と横山聡が2トップを組んだ。
詰め掛けた観衆は6387人。今季2番目の観客動員を、優勝と昇格の芽が潰えた最終戦で記録した。ひとつの時代の終わりを見届けようとするもの、新たな歴史の扉が開く来季に向けた心の準備をするもの。様々な思いがスタンドで交錯していたことは想像に難くない。
「ありがとう 楽しかったよ 栃木がここまできたのは皆のおかげです またどこかで逢おう ありがとう」
ゴール裏には感謝の思いがたっぷりと綴られた弾幕が掲げられていた。
懸念されていたような事態は起こらなかった。ピッチに立った選手は、この試合の重要性を十二分に把握していた。全員が勝利に向かい直向きに走り回った。旺盛な運動量と圧倒的なポゼッションでイニシアチブを握る。FC刈谷の前線に配した3枚にロングボールを放り込み、セカンドボールから2次攻撃を仕掛ける策にも、しっかり対応できていた。細かなミスはあったが、混乱することなく試合運びは安定していた。
「右サイドは高安の単独突破。左は(小林)マサミツ、石川、2トップのどちらかのコンビで崩せていた。うちのカタチが作れていた」(柱谷監督)
両サイドを軸に押し込めた。特に高安の切れ味は抜群だった。立て続けに生み出した好機は、ほとんどがサイドからだった。前半24分に小林成光のミドルシュートをGK来栖由基が弾き、ルーズボールに高安が詰めるも枠外へ。絶好機を逸するが、31分に先手を取る。オーバーラップした石川の左クロスを横山聡がダイレクトボレー。一旦はGKに防がれるも、上野と横山聡がこぼれ球に食らい付く。最後は横山聡が押し込んだ。計7本ものシュートを放つことになる横山聡。片野の絶妙クロスをゴールに結び付けられなかったが、高安がドリブルで突っかけ供給したグラウンダーのボールを冷静に流し込んだ。時間は44分。絶好の時間帯に追加点を挙げる。
後半も立ち上がりから意欲的にゴールを狙う。スピードを活かし、サイドチェンジを織り交ぜながら相手を翻弄した。ダイナミックな片野の攻撃参加が目を引いた。攻勢はしばらく続くも、勢いが止んだところでゴールを割られる。DFの間に入り込まれ、篠川雅仁にゴールを決められる。対処できないプレイではなかった。一瞬の隙を突かれる悪癖が顔を覗かせる。僅かながら不穏な空気が漂うも、途中交代の山下芳輝に只木章広が持っていかれそうになった手綱を引き戻す。リズムを整え、形勢を逆転させた。栃木SCでのプレイが最後となる山下は貪欲にゴールへ襲い掛かる。だが、2度の決定機をいずれもDFとGKの好守に阻止された。有終の美は飾れなかった。
苦しい時間を凌ぎ、リードを守り切った栃木SC。是が非でも勝利が求められた惜別の一戦を2―1でものにした。勝点を3つ上積みし、順位をひとつ上げる。
2007年シーズンの戦績は14勝10敗10引き分け。勝点52、8位でのフィニッシュだった。
JFL後期第17節 栃木SC2―1FC刈谷 観衆6387人 @栃木県グリーンスタジアム
〈FC刈谷〉GK来栖由基、DF小林健史、岡戸佑樹、西原拓巳、石橋竜太、MF酒井康平、日下大資(→西村俊寛)、篠川雅仁、FW加藤知弘、伊藤智弘(→平林輝良寛)、社本将光(→酒匂宏明)
〈栃木SC〉上野(→山下)、高安(→只木)、小林(→小原昇)
『サッカーはいつまでも続けられる』
スタンドがにわかにざわめき、熱を帯び始める。ピッチサイドに背番号10を確認したからだ。只木章広の栃木SCでのラストダンスは、後半16分から始まった。
交代してから数分後、山下芳輝がそっと歩み寄る。ゲームキャプテン上野優作から譲り受けたキャプテンマークを只木の左腕にそっと巻いた。谷池洋平の発案だという。粋な演出。
「キャプテンマークを渡してくれて、支えてくれている人の思いを感じた。ありがたい。オレに最後の舞台を与えてくれた」
ピッチに足を踏み入れる前、チーム全体のパフォーマンスは一時的に落ち込んでいた。後半21分には失点を喫する。1点差に詰め寄られる嫌な展開を、しかし只木が変えてみせた。
「失点で流れが良くないのでシュートが大事だと思った。自分でも打ちたかったので」
一本のミドルシュートが停滞していたチームを鼓舞し、活力をもたらした。「栃木の心臓」。吉田賢太郎が只木を、そう形容していたことを思い出した。後半32分にはクロスから山下の決定的なボレーシュートをお膳立てするも、DFに阻まれアシストを記録することは叶わず。目に見えるカタチで勝利に貢献できなかったが、相手に傾きかけた流れを食い止め、勝機を手繰る役割は十分にこなした。派手さはないが、要所をきっちりと抑える。試合を読み切り、その状況に応じたプレイを心掛ける。只木の特長が遺憾なく発揮された。
「最後だから絶対に勝って終わらないと」
最終戦に向けて語った意気込み通り、自身の幕引きを白星で飾った。只木の栃木SCでの9年間は終わりを告げた。それは、栃木SCがアマチュアから完全なるプロフェッショナルに移行する象徴的な出来事でもあった。
やっぱり、泣いた。
前節の試合後、囲み取材でのこと。「泣かせないでくださいよ」。おどけながらも只木の目頭には、既に薄っすらと涙が滲んでいた。必死に我慢していた姿が印象的だった。
押し殺していた感情を最後の最後で、堪えることなどできなかった。共に去り行く戦友と熱い抱擁を交わす只木の目からは堰を切ったように滴が零れ落ち、頬を伝う。人目をはばかることなく泣きじゃくった。男泣き。安易な表現も、この人に当てはめれば様になる。
熱血漢、只木は言う。
「栃木に迷惑を掛けて暴れ回らせてもらった。『もう1年やりたい』という思いはない。能力的にできないとは思わないが、古い人がチームを去ることで新しい人が入り、流れができる。変化するには必要なこと」
引退を1年、先延ばしにしたのは「栃木SCをJへ」という強い思いが胸にあったからだった。生活の一部だった栃木SCが抜け落ちる日々に寂しさを感じないといえば嘘になるだろう。だが、本気でJを目指すならば、転換期を迎えたチーム事情を考えれば、血の入れ替えが必要不可欠なことも承知している。
「散々やらせてもらえてオレは幸せです」
感謝の言葉を終始、並べた。その一方で、こんな思いもある。
「心残りは正直、ある。高橋監督(前・栃木SC監督)の手伝いをできず、力になれなかった。なんにもできずに祈るしかなかった。申し訳ない気持ちで一杯です。高橋監督に育てられたから・・・」
開幕前から順調に体を仕上げるも、故障により前期を丸まる棒に振った只木。負った怪我は思うように回復しなかった。その間、スタートダッシュに陰りが見え始めたチームの成績は下降の一途を辿る。ようやく復帰するも、高橋高は志半ばで退団していた。今季は辛苦と歓喜を共有できなかった。悔いが残った。
忘れ難い試合は2005年の対ホンダFCとのホームゲーム(3―2で競り勝つ)。「自分のことなんて、ねえ」。天皇杯でJ1清水エスパルスから奪った1ゴールなど比にならないという。
「ホンダに勝つのはJFLでの夢だった。強くて規律があり、そのチームに追い付く、強くなるのが目標だった。勝ったことで同じステージまで来られた。起死回生のゴールは凄かった。今でも鮮明に憶えています。(決勝ゴールを叩き出した)吉見(康之。現・広報)、大好きです」
躊躇いもなく「好きです」と言ってしまえる、その熱さ。栃木SCとの係わりは保ち続けるが、マグマのごときサッカーへの情熱は、他に注がれることになる。教鞭を執る宇都宮白楊高校と監督の任にあるサッカー部に。
「生徒を全国や次のステージへ送り出す。指導者としても充実したい」
こっそりと駆けつけた部員から花束と寄せ書きを贈られ、胴上げもされた。悪乗りに巻き込まれ3回も宙に舞った。泣きっ面は一変し、ビックサプライズに満々たる笑みが浮かんだ。「お前等、明日から猛練習な」。栃木SCの只木から、只木先生になった瞬間だった。
「技術がないから走り回ることでガチャガチャかき回すしかないですから」
決してスキルは低くないが、それに溺れることなく貪欲にボールを追っ掛け回した。全身から熱を発しながら泥臭くプレイする姿に誰もが熱狂し、鼻の奥をツンとさせられもした。来季もチームに残る久保田勲、深澤幸次、高安亮介の生え抜きの選手には、魂の継承者であって欲しい。
「皇帝」と称えられ、他チームから恐れられた10番は、新たなサッカー人生を歩む決意をした。今後は監督業がメインになるものの、「今までやってきたメンバーでもう少しやりたい。活躍の場があるべき。コーチでも運営面でも係わりあいたい」と、最終的にJFLを目指し、天皇杯で栃木SCと対戦する日を目標に、輪郭ができつつある新チーム構想に胸を高鳴らせてもいる。
「サッカーはいつまでも続けられる」
舞台が変わろうとも、只木は只木であり続け、熱が冷めることはない。偉大なる10番は栃木SCとは別れるが、サッカーから離れられそうもない。
7月から就任するも選手個々のキャラクターを把握すること、プロ・アマが混在するチーム事情からコントロールできない部分を改善していくことに時間を要した。1、2ヶ月で攻守におけるイメージは出来上がり、ゲーム内容も向上するが、一瞬のミスによる失点が響く。勝点を取り逃したケースが多々あった。
勝利を収めた対FC刈谷戦でも、狙ったクロスではないボールから失点を喫した。
「今日の失点はつまらない。ああいうのはなくさないといけない。アラートじゃない。準備できていない。守り切れない。かっちり抑えて2―0、欲を言えば3―0で勝たなければいけなかった」
守備陣に要求されるのは高い集中力と警戒心(アラートな状態)である。敵陣で試合が進められていても、常に眼前に位置するアタッカーの動きに目を凝らす。カウンターを受けた際にもパニックに陥らず、状況に応じた守り方ができる準備を整えておく。ガツンと当ってボールを奪い取るのか、それともディレイさせて味方の帰陣を待つのか。臨機応変な対応力で堅守に磨きをかけ、無駄なゴールを与えない腹積もりだ。
「追加点を取れず、決定力がなく追い付かれた」
苦渋を味わったシーズンでの唯一の勲章がリーグ最小の失点29。一方でゴール数はワースト5位の43だった。内訳は前期22、後期21だった。監督交代が劇的な得点力アップに直結するわけではもちろんない。ゴール欠乏症は世界規模でサッカークラブが抱える頭の痛い問題である。優勝と得点王をさらった佐川急便SCの御給匠(30ゴール)、悲願のJ2昇格に貢献したロッソ熊本の高橋泰(29ゴール)と突出したストライカー有無は、成績と無関係ではない。一部の例外を除けば、ゴールランキング上位者とチーム成績は密接な関係性を持っていることが分かる。ここ数年で失点数がある程度は計算できるチームに成長してきただけに、待望されるのはゴールがコンスタントに稼げる選手の存在。「大人のチームなので子供のチームのように育てられない」。だからこそ、高さ、スピード、パワー、テクニックなど、独自の武器を持っている選手を獲得する方向で動いている。アタッキングサードまでボールを運べる力はクオリティの高いトレーニングを入れることで養えるが、そこから先は絶対的なゴールゲッターの能力に負う割合が高い。特効薬であるブラジル人を雇う経営体力がない以上、日本人の中で「もっている」選手を探すしかない。栃木の魅力を伝えることで争奪戦を制する気構えでいる。
「ゲームを勝ち切るだけの勝負強さが出し切れなかった」
勝敗に拘らず訴え続けてきたのは、メンタル面と高いプロ意識。自信を喪失した状態で栃木に入団した選手からは、サッカーで飯を食っているという強烈な自負心はどうしても希薄に感じられ、劣勢に回ってもプレイのクオリティを落とすことなく継続的なパフォーマンスを披露できるだけのハートの強さも欠落して映ったという。そこで、予算規模も絡んでくるが、「JFLレベル以上」と高評価する大学リーグでレギュラー、または準レギュラークラスの選手に目を付けた。常時、ハイレベルな試合を経験し、競争原理が働く場に身を置いていることから、“勝者のメンタリティ”が兼備されていると言うのである。「やってくれるのではないか」。既に仮契約を済ませている選手に加えて、交渉を進めている3人に大きな期待を寄せている。毎年、新卒の大学生を獲得し、育成しながら主力にシフトさせ、好成績を残しているホンダFC。ひとつのモデルになるのかもしれない。
「勝たないといけない。結果を出す。勝点3を取り、勝点1を積み上げていく。勝負に徹する。ただ、勝てばいいだけではなく、内容やフェアプレーも追及したい」
不退転の決意で挑む来季は選手とスタッフはオールプロ。優勝を疎かにすることはないが、昇格に比重が置かれることは間違いない。時にはドローでも御の字という選択をする試合もあるだろう。上に行くためには、勝負に執着するとは、つまりそういうことである。今季よりも退屈な、高揚感が得られる試合が減少する可能性は低くない。しかし、それは観衆を魅了するサッカーを放棄することと同義ではない。ハイプレッシャーを掛け続け、アラートな状態を保持し、5―0と圧勝した対三菱水島FC戦をベストゲームに挙げていることから、志向するサッカーのベースはあの試合にある。ただし、「時間帯によって(プレッシャーを前から掛けること)はやれると思う。それで勝点を失ってはいけない。ペース配分を考えてやりたい」と語るように、空気を読んで引く時は強固な守備ブロックを構築し、カウンターに絞るなど幅のあるチームへの変貌を思い描いてもいる。
「かなり悔しい思いを一試合、一試合した。来季はこういう悔しい思いをしたくない。来年の今頃はスタジアムの全員が喜べる状況を作りたい」
柱谷改革は志半ばで頓挫するも、再チャレンジする機会を許された。栃木SCをJ2に引き上げ、長期政権を築き、プロビンチャを実現できるかは、全て来季の結果次第。ドラスティックな変革は果たして実を結ぶのか。刮目したい。
開幕戦、選手コメント@栃木SC通信
2008年3月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
共同記者会見コメントUP@栃木SC通信
2008年3月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
開幕戦:対FC琉球戦@栃木SC通信
2008年3月16日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:1-0。
後半:2-1。
ファイナルスコア:3-1。
得点者:佐藤悠介、松田正俊、佐藤悠介(栃木SC)、高松健太郎(FC琉球)。
順位:2位(勝点3)◆首位:FC刈谷(勝点3)
※開幕戦の疲労度は凄まじい。レポートくらいは今日中にアップしたいと思います。勝利を噛み締めながらパソコン打ちます。マッチデー読んで頂き、ありがとうございました。
プレーバック2007:対FC琉球戦@栃木SC通信
2008年3月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
※メンバーが大幅に入れ替わったことにより参考にならない可能性大※
Jリーグより遅れること2週間、栃木にもサッカーの季節が到来した。
2月20日に全会一致で承認された「準加盟申請」。改善すべき点は残されているものの、先ずは「J2」へのハードルをひとつ越えた。これを受け高橋監督、37名の選手達のモチベーションは俄然、上がった。規約が「原則2位以内」から「4位以内」に緩和されても、頭にあるのは優勝のみ。そのために、昨季JFLを制したホンダFCが積み上げた勝ち点83を上回る86を獲得することを宣言した。勝ち点86を勝敗に換算すると27勝5分け2敗となる。落とせる勝ち点は僅かに16。過去最高順位が4位ということを考えれば大胆な数字である。また、他チームも栃木SC同様にオフに慌しい動きを見せ、戦力補強を図ったことから例年以上に厳しい戦いが予想される。それでも、掲げた目標にブレはない。あえて重圧と言う名の荒波に立ち向かう。
不退転の決意で挑む第9回JFL。開幕戦のカードは昨季と全く同じ、FC琉球とだった。
ボランティアスタッフの増加、臨時駐車場の手配、宇都宮駅からのシャトルバスの運行など、触れなければならない話題には事欠かない。でも、やはり焦点をあてなければならないのは、観客動員ということになるだろう。フロントの動きが全く見えなかったことから、6153人を集めた昨季の開幕戦を下回るのではないか、との見方が強かった。
ところが、である。出足から好調だった。2個所設けられた入場ゲートには長蛇の列。人で溢れかえった。キックオフ1時間前にメインスタンドは、ほぼ埋まった。日向のバックスタンド、ゴール裏へと移動する人の波は試合が始まっても、なかなか途切れることはなかった。「(今日の観衆は)7、8千人くらいかな。1万人が目標だけれど」。試合前にそう話した新井賢太郎社長の予想は良い意味で裏切られることに。公式発表によれば1万2539人がスタジアムに足を運んだ。蓋を開けてみれば昨季の2倍以上の数字を叩き出した。JFL新記録(過去最高は2004年。ザスパ草津対大塚製薬戦の1万3743人*参照:羽ヶ丘データスタジアム*)とはならなかったが、栃木SCのホーム試合としてはもちろん過去最高記録である。悲願であった“1万人超え”を果たした。「準加盟申請」を通過させたことといい、一気に記録を更新した観客動員といい、フロントの尽力には脱帽である。
探し回って、ようやく会えた。コールリーダーのシゲルさんとである。最早、儀式のひとつと化している握手をがっちりとかわした。「今年は勝負、と言われるが、こっちは毎年勝負のつもりで応援している。今日も熱くいくよ。よろしく」と意気込みを語り、人込みの中へと消えていった。いつも絶やすことのない笑みはより一層輝きを増し、目はまるで子供のようにキラキラしていて眩しいくらいだった。人を惹き付ける天賦の才を持っている。密かにそんなことを思っている。
そのシゲルさんが選手入場のタイミングを見計らい合図を送った。次の瞬間、スタジアムには恒例となった紙ふぶきが舞った。キイロ一色に染まる。ここ数年、目にしているが何度見ても、見飽きることはない。光りに映えるキイロは幻想的な雰囲気を醸し出し、我々を非日常へと誘ってくれた。サポーターの演出に負けまいと、フロントもバックスタンド裏から花火を打ち上げた。空に咲いたキイロの花も、それはそれで綺麗だった。互いの意地の張り合いが相乗効果を生み、多いに開幕戦を盛り上げた。もちろん、栃木SCと今やセットである「県民の歌」も猛々しく歌われた。
前置きが長くなってしまって申し訳ない。ここからが戦評である。
1週間前の中央大学戦とのトレーニングマッチのメンバーが、ほぼそっくりそのままスタメンに名を連ねた。GK原裕晃、4バックに左から高野修栄、谷池洋平、照井篤、北出勉、中盤はボランチに堀田利明と久保田勲、右に小林成光、シャドーに横山聡、ワントップには山下芳輝を起用した。唯一の変更点は左サイドだけ。吉見康之と入れ替わったのは石川裕之。「今年は良い調子で来ている。技術はJリーガーと遜色のないものを持っている」。高橋監督が石川を先発させた理由である。フォーメーションは4―5―1を採用した。
与那城ジョージ監督、藤吉信二、比嘉リカルドにブラジル人が抜けたFC琉球は、オーソドックスな4―4―2で臨んだ。
「うちはベテランが多いからさほど緊張しなかった」とキャプテンの北出が言うように、序盤からアグレッシブに前に出た。前線から山下と横山聡がプレスをかけ、「ボールを回してくるイメージがあったので高い位置で潰そう」と堀田は久保田と2人で果敢にボールに食いついた。
入り方に成功したことでイニシアチブを握り、ロングボールとクサビの使い分け、「サイドが第一。次に山下」(堀田)と優先順位をはっきりとつけて攻撃したことが奏効する。石川と小林の両サイドに起点を設け、そこにサイドバックの北出と高野が絡んでの効果的なアタックを繰り出せた。久保田の左クロスから小林がダイレクトボレー、小林の右クロスから横山聡がオーバーヘッドと好機を生み出す。優勢に試合を進め、前半の半ばを過ぎた頃だった。サイドチェンジのボールを受けた石川がドリブルで突っかける。FC琉球は堪らずPボックス内でファール。PKを得る。すかさず、子供達は反応した。甲高い声で「やーました」コールを送る。期待通りキッカ―は山下。GK野田恭平の逆を突いた。左側に力強く蹴り込む。が、無情にもポストに弾かれてしまう。絶好機を逸する。
「ポストに跳ね返り自分の元へ戻って来る時もあるが、今日は違ったので駄目なのかな」と気落ちした山下だが、挽回の機会が巡って来る。横山聡がドリブルで持ち上がり、右へ走り込んだ山下にはたいた。先ほどのように迷うことなく右足を振り抜いた。股間を通そうとしたシュートはGKに防がれる。運に見放されたかに思われたが、何時の間にか混戦になっていたゴール前。ひょっこりボールが目の前に現れた。これまで決まらなかったシュートが足を伸ばしただけでゴールラインを越えた。「入って良かった」(山下)と胸を撫で下ろし、「思わず出てしまいました」と歓喜のポーズを披露。駆け寄ってきたチームメイトと喜びを分かち合った。
ゴールこそ1点しかマークできなかった栃木SCだが、FC琉球を寄せつけずに前半を折り返す。
「2点目を狙ったが攻撃が単調になってしまった」(高橋監督)。久保田がゴールライン深いところまでえぐり、小林がフリーで放ったシュートくらいしか好機を作り出せなかった。攻め急ぎ、前半は起点になっていたサイドを活用できなかったことで、後半は拙攻を繰り返すことに。ジョーカーの吉見、新人の高安亮介とスピード系のアタッカー投入も実らなかった。追加点を奪えず。
前半、飛ばしたことで運動量が落ちた栃木SCは守勢に回る。FC琉球は右サイドを軸に攻め込んできた。枠をとらえたミドルシュート、一気のカウンター、ドライブの効いた直接FKとゴールを脅かす。しかし、GK原が好守を連発したことでゴールを割ることはできなかった。
3度、冷やりとしたシーンはあったが、不思議と失点するとは思わなかった。それは、ボランチラインで攻撃の芽を摘めたこと、攻守の切り替えが比較的スムーズに行えたこと、絶対に1点を死守するという守備意識が感じられたからだろう。
結局、山下の先制点がそのまま決勝ゴールになり、栃木SCが開幕戦を勝利で飾った。
「今までの選手と新加入選手の噛み合いができていない。試合を積みながら微調整をしたい。これから(チーム力を)上げていきたい」と語った高橋監督。攻守両面でまだまだ改善が必要な点はあるが、「白星スタートができた」のはなによりである。
第9回JFL開幕戦 栃木SC1―0FC琉球 @栃木県グリーンスタジアム 観衆1万2539人
〈FC琉球〉GK野田、MF濱田、仲里、石井、栗田、MF佐藤(→比嘉雄作)、渡邉(→古賀)、秦、三原、FW石井(→黒田)、関
『安定という褒め言葉』
FC琉球・吉澤監督の栃木SC評は興味深かった。
「恐さは半減したが、安定した戦い方をしていた」
さらに突っ込んで質問をしてみた。恐さが半減したとは。返って来た応えはこうだ。
「(昨年は)ボールを奪ってから速い攻撃を仕掛ける嫌な印象があったが、今年は(攻守が)安定していた」
続けて「栃木SCは安定していて良かったなあ」としみじみ。
自らが指揮するチームの収穫は「90分、足が止まらなかったこと」。一点だけだった。現段階での彼我の実力差を認め、真摯に受け止めていた。
昨季JFLを制したのはホンダFCであり、そのチームを率いていたのが吉澤監督だった。最優秀監督賞にも輝いた名将である。
優勝経験のある監督が短時間の会見で繰り返した「安定」という2文字。これは今季の栃木SCに対する最大級の褒め言葉であり、重要なキーワードになってくる。
3―6―1のフォーメーションでスタートした昨年は吉田賢太郎、西川吉英、佐野智洋(高秀賢史)のスピードを活かし、相手を捻じ伏せる“超攻撃的なサッカー”を志向した。一定の成果を挙げるも、手の内を読まれ始めると苦戦を強いられることに。
そこで、方向転換を図る。4バックをベースとした「いい守備からのスピード豊かなサッカー」へ。持ち味であるスピードを保持しつつも、守備に比重を置くようになった。先ずは守備ありき。この方針は奏効した。天皇杯ではJチームに勝利、善戦。リーグ戦の終盤6試合は4勝2分けと負け知らず。ある程度、計算が成り立つチームへと変貌を遂げた。
ツボにはまればゴールが量産可能な爆発力、一発殴られても二倍返しできる破壊力、観衆を魅了してやまない点を取り合う試合は減少した。
しかし、攻撃力と引き換えに得た守備力は、チームを一段上のステージへと押し上げた。僅差でも試合をものにできるようになった。「不安定さ」がなくなり、堅実になった。
迎えた2007年の開幕戦。スコアは1―0と最少だった。数々の好機を生み出し、放ったシュート数が20本であることから、ちょっぴり寂しい感じもする。決定力不足、得点力不足などの常套句が聞こえてきそうである。確かに肝心なところでゴールを決められなかったことは課題であるし、1万人を超える観衆にとっては些か物足りない印象を残したかもしれない。
だが、JFL初制覇、そして、J2昇格を狙うチームとしては、大事な初戦で「内容よりも、とにかく勝つ」(高橋監督)ことができたのは小さくない。しかも、無失点で。これは大差での勝利よりも価値がある。
昨季、構築された“強固な守備”が途切れることなく今季に引き継がれ、結果を出したからだ。前半の守備はパーフェクトだったが、後半スタミナが落ち始めると我慢の時間が続いた。それでも、集中力を切らすことなく踏ん張った。寸前のところで崩壊の危機を免れたのは、4バックならば守り切れる、といった自信と経験があったからこそ。
肝を冷されるシーンもあったが、90分全般の試合運び方は「安定」したものだった。欲を言えば2点目を奪い、リードを広げたかったが。
前半に先制し、失点することなくそのまま試合を閉められた。昨季までの栃木SCだったならば、FC琉球戦のような展開に持ち込むことは容易ではなかったはず。困難なミッションを実行に移せたのは蓄積された財産――4バックを主体とした高い守備意識――のおかげである。
失点せず、最少得点での勝利。派手さはない。でも、地味であることも優勝を狙うためには求められる要素のひとつである。
敵将が羨望の眼差しで見つめていた戦い方。それこそが、テッペンに立つために栃木SCが追求し続け、完成の域に達するようにしなければならない理想のカタチである。
開幕戦で確実に勝ち点3を手に入れただけでも合格点がつけられるが、格下の相手に対しても勝ちきれる“栃木SCのスタイル”がしっかりと出せたことは収穫だった。
「チーム力は6、7割」と語る高橋監督。目標としていた「8割」には届かなかった状態での滑り出しとしては悪くない。むしろ、上々である。
観衆の声を力に@栃木SC通信
2008年3月12日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
『なんとか勝って勢いに乗りたい』@栃木SC通信
2008年3月11日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
PM:対アルテ高崎戦@栃木SC通信
2008年3月 9日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
スタメン:GK小針DF斉藤、山崎、川鍋、岡田MF落合、向、深澤、小林FW上野、石舘
前半:0-0。
後半:2-0。
得点者:久保田、石舘
*すこぶる体調が悪いですが、無理しない程度にレポート書きます。申し訳ない*
望むがままに@栃木SC通信
2008年3月 5日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
背番号29の守護神@栃木SC通信
2008年3月 4日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
打ちまくる@栃木SC通信
2008年3月 3日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
右サイドのお話@栃木SC通信
2008年3月 3日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
TM:対湘南ベルマーレ@栃木SC通信
2008年3月 1日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
スタメン:GK小針DF斉藤、鷲田、川鍋、岡田MF落合、向、佐藤、小林FW上野、松田
前半:0-1。上野ゴール。小針ファインセーブ連発。
後半:0-1。CKから山崎どんぴしゃヘッド。
羨ましいぞ、サッカー小僧@栃木SC通信
2008年2月26日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
堅実、ときどき華麗@栃木SC通信
2008年2月25日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
上澄み@栃木SC通信
2008年2月25日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
溜飲が下がる@栃木SC通信
2008年2月25日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
攻撃センス@栃木SC通信
2008年2月25日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
TM:対福島ユナイテッドFC戦@栃木SC通信
2008年2月23日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
スタメン:GK柴崎、DF斉藤、鷲田、川鍋、岡田MF落合、向、佐藤、小林、FW石館、坂本
前半:0-0。坂本フリー外す。
後半:4-0。上野×2、深澤、松田
日韓戦が終わったのでコラムに取り掛かります。
横浜の戦利品@栃木SC通信
2008年2月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
(左)常に柱谷幸一監督から高評価を受けているのが川鍋良祐である。対人プレーに強く、制空権を相手に譲らない。足元も確かだ。右サイドバックもできるユーティリティ性を加味すれば、開幕18人枠に入ることは間違いないだろう。鷲田雅一とパートナーを組む可能性は低くない。
(右)最も激しいポジション争いが行われているのではないだろうか。左サイドバックの位置は。入江利和は攻守に安定感があり、斉藤雅也もポジショニングの修正をされてから攻撃的な特長を生かしている。果たして、どちらが開幕のピッチに立つのか。
(下)本来の左ワイドではなく、FWで起用されている石舘靖樹。「まだコンディションが整っていないので、ワイドだと守備に戻ったり、1対1のアプローチで運動量を使うので、コンディションが整うまでは前でプレーさせる。前線が足りないですし、左は(佐藤)悠介と(深澤)幸次でプレーできているので前でやらせます」(柱谷監督)。上下動を繰り返すワイドでは故障明けの体に負担が大きいことから、しばらくはトップで起用されることになるだろう。途中出場でもきっちり仕事をこなせる貴重な存在。左でも見てみたいが・・・。
優勝記念コラム@栃木SCジュニアユース通信
2008年2月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
TM:対横河武蔵野FC戦@栃木SC通信
2008年2月17日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
スタメン:GK武田、DF入江、山崎、川鍋、赤井MF久保田、鴨志田、深澤、高安、FW稲葉、坂本
一本目:0-0。手詰まり。
二本目:0-0。流れ変わるもゴールなし。
*ショッキングなことがあったので更新が遅れるかもしれません*
TM:対横浜Fマリノス戦@栃木SC通信
2008年2月16日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
前半:GK小針、DF斉藤、鷲田、照井、赤井MF落合、向、佐藤、小林、FW横山聡、坂本0-3。得点者:大島秀夫、水沼宏太、兵藤慎剛(横浜)
後半:GK小針、DF斎藤、鷲田、川鍋、高安、MF佐藤、向、落合、小林、FW横山聡、稲葉
0-0。
*コラムは小休止後にアップします。マリノスタウン、凄まじい設備だった*
北信越リーグからも目が離せない@栃木SC通信
2008年2月12日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
キャンプの戦利品2@栃木SC通信
2008年2月11日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
選手ひとり1人の自覚が大事@栃木SC通信
2008年2月10日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
TM:対ソニー仙台戦@栃木SC通信
2008年2月 9日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
GK小針、DF入江、鷲田、山崎、赤井、MF落合、向、深澤、小林、FW横山聡、稲葉
1本目:2-0。
聡×2。
GK柴崎、DF斉藤、川鍋、照井、赤井、MF久保田、鴨志田、深澤、高安、FW稲葉、坂本
2本目:1-0。
坂本ゴール。
*小休止後にレポートアップします。大雪降る前に帰宅できて良かった。*
副キャプテン@栃木SC通信
2008年2月 6日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
チームの顔@栃木SC通信
2008年2月 6日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
意識の差異@栃木SC通信
2008年2月 4日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
キャンプの戦利品@栃木SC通信
2008年2月 3日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
凍てつく極寒の地から浅草の旧友邸を経由して帰宅。
千葉キャンプ取材は、ほとんど収穫なしに。
自然の怖さを思い知らされる。
プロ野球のキャンプ、雨でのスケジュール変更が他人事のように思えなくなった1泊2日だった。
それにして、ホテルの枕は高い。
まったく頭にフィットしないから、目覚めると頭痛に首痛。
すべてのホテルがテンピュールになればいいのに。
本気でテンピュール購入して持ち運ぼうかと考えてます。
熟睡ができないので。
これ、結構、苦痛ですよ。
千葉キャンプ初日レポート 『背骨と肉付け』@栃木SC通信
2008年2月 2日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
18ゴールは必要最低@栃木SC通信
2008年1月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
いかに踏ん張れるか@栃木SC通信
2008年1月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
只木さんの代わりではない@栃木SC通信
2008年1月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
失うものは何もない@栃木SC通信
2008年1月19日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
2008年の始蹴@栃木SC通信
2008年1月18日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
歴史的な瞬間に@栃木SC通信
2008年1月17日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
3つの変わらぬ理念@栃木SC通信
2008年1月16日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
新生・栃木SCを形作る人々@栃木SC通信
2008年1月15日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
セレクション 『例年とは異なる厳しさ』@栃木SC通信
2008年1月14日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
補強「失敗」@栃木SC通信
2008年1月 9日 大塚秀毅 | この記事のページ | コメント(0) | トラックバック(0)
最後の最後まで残留か移籍かに関して「白紙です」と言っていた米田兼一郎。
完全移籍させることが「最大の補強」だと考えていたが、新天地に徳島を選らんだ。
最終戦後、柱谷幸一監督は「小原にはオファーを出さないが米田には出す」、と断言していたことから交渉が上手く両者間で纏まらなかったのだろう。
実に残念である。
喪失感でいっぱいだ。
来季は一緒に戦えない。
ボクタチノ教科書は紛失した。
ありがとう。
そして、さようなら。
また、どこかのピッチで。
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